声楽のレッスンに行ってきました。
まずはハミング練習からです。ハミングをやる時は、最初っからしっかり響きを鼻に入れて歌いなさいと言われました。つまり、声でハミングをするのではなく、響きでハミングをする感覚です。で、響きでハミングをするために気をつけることは、しっかり息を支える事でしょう。息をしっかり支えさえすれば、自然と響きで歌えるものです。
次は発声練習です。ハミング同様、しっかり息を支える事が肝心です。響きのある声とは、よく支えられた声なのです。支えが足りなくなると、声が落ちてしまい、ノドが鳴ってしまいます。支えをしっかりとし、息をよく通して、声をアゲアゲで歌うと、自然と響きの豊かな声になっていきます。
心構えとして大切な事は、決して英雄的なカッコいい声で歌おうとしない事でしょう。それをやると、私の場合、声が落ちがちなのです。むしろ、頭の中を空っぽにしたバカっぽい声で歌う方が結果が良いみたいです。
テノールの声には2つのタイプがあるようで、一つはマッチョな王子様タイプで、もうひとつは肥満体でアホな坊やタイプなのですが、私の声は…残念な事に、肥満体でアホな坊やタイプの声なのかもしれません。私が好きなテノールは王子様タイプなので、ついついそのように歌いたがるわけですが、自分自身がアホな坊やタイプならば、自分の好きは諦めて、自分の声の個性に従って歌っていくべきなのです。
というわけで、発声練習はたっぷりやりました(ほぼ筋トレです)が、そろそろ歌のレッスンの話に移りましょう。
今回からドイツ歌曲です。シューベルトの「Die schöne Müllerin/美しき水車小屋の娘」の第1曲「Der Wandern/さすらい」です。
とにかく、ドイツ語難しいです。ドイツ語で歌うの、難しいです。
私は学生時代、第3外国語としてドイツ語を学んでいますので、ドイツ語は出来ないわけではないのですが、学生時代に学んだきりなので、すっかり錆びついていて、歌うのにも苦労しているわけです。
ちなみに、学生時代に学んだ第1外国語はもちろん英語です。で、第2外国語は中国語[北京語]だったりします。これは当時、中国がまだピカピカの優良国家に見えた時代だったし、中国語を学ぶことで未来が開けるような気がしていた時代だったので、積極的に中国語を選択して学んだわけです。で、中国語を学んだ事自体は後悔していません。別に卒業後、中国語を使うことはありませんでしたが、漢文を読む時に、中国語を知っていると、実にスラスラと読めるんですよ。書き下し文などを経由せずに、ダイレクトに漢文を現代文に翻訳できますから、とても助かりました。
ドイツ語は、大学院受験のために、特別に第3外国語として勉強したわけです。なにしろ、私が希望する学科は、中国語での受験は皆無で、外国語の試験は、英語は必須で、後はドイツ語かフランス語の選択だったので、受験準備のためにドイツ語を学び始めたわけです。なので、ドイツ語は出来ないわけじゃないけれど、受験という人生の一瞬でしか使っていないので、ある意味、中国語以上に使っていませんでした。だから、私のドイツ語って、本当に錆びついて崩れてしまっていました。
そんなドイツ語を歌うために、再び使い始めたわけです。
歌い始める前に、Y先生から、歌は文語で歌うか、口語で歌うかを尋ねられました。
音楽史的には、シューベルトの時代は文語の時代ですから、シューベルトの歌曲は文語で歌うのが正しいと言えば正しいわけです。実際、往年の名歌手たちは文語で歌っています。また、日本人歌手の皆さんは、ドイツ語はほぼ文語で歌います(合唱の第九を思い浮かべてみると分かりやすいです)。
実のところ、文語のドイツ語は、ほぼローマ字読みでいいので、年を取ってから学ぶなら、文語は楽だと思います。例えば“Wasser”という単語を「ヴァッセル」と読むのが文語で「ヴァッサア」と読むのが口語なんです。ほら、文語の方がローマ字っぽいでしょ? それに文語の方が、我々の感じるドイツ語っぽくもあるでしょ? 口語は耳で聞いていると、確かにドイツ語なんだけれど、なんか英語っぽい感じもするんですよ。それは母音の響きが文語と口語では違う事と、ドイツ語の特徴である“r”を文語ほど強めに巻かないと言う事もあり(全然巻かないわけではないんですよ:念の為)、ドイツリートを歌う時は、文語で歌う人が多いわけです。
でも、今時の若い歌手たちは、ドイツ歌曲を口語(つまり現代ドイツ語)で歌う人が増えてきたそうで、ドイツリートと言えども、必ずしも文語で歌わないとダメという時代ではなくなったそうなのです。ただ、文語で歌うなら文語で、口語で歌うなら口語で統一して歌うべきでしょうとの事でした。
で、私は…文語ではなく、口語で歌うことを選びました。つまり、現代ドイツ語で歌おうと決めたわけです。
理由ですか? 単純な話で、大学で学んだドイツ語が現代語だったため、私のカラダに入っているドイツ語が現代語である事と、持っている辞書にせよ参考書にせよ、現代ドイツ語に基づくモノばかりなので、ドイツ語の勉強をするには、現代語の方がら楽だからです。あと、私の声的にも、重々しい文語よりも、軽めの口語の方が似合うだろうし…ね。そんなわけで(なるべく)口語でシューベルトを歌うことにしました。
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