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日本語に訳されたオペラ上演は…

 先日、オペラ魔女こと翠千賀氏の『カルメン』を見ました…と書くと、ちょっと誤解されそうなので、補足すると、テノールの上原正敏氏が毎年某所で行っている、初心者向けのクラシックコンサートに、翠千賀氏が今年もゲストとして出演してくれて、そこで日本語&ハイライトで『カルメン』をやったのを見た…という話です。

 翠氏のカルメン…すごくいいです。これ、マジでいいです。某カラオケ番組でポップスを歌っているよりも一万倍ぐらい良いです。声といい、容姿といい、全体にまとわりつく雰囲気といい、明らかにカルメンははまり役です。今回は、日本語&ハイライトだったので、かなり物足りなかったのですが、次はぜひ彼女のカルメンを、フランス語の全曲版で聞いてみたいですよ。

 それはともかく、上原氏企画のコンサートに二年連続で翠氏が出演したのは…彼女、上原氏の妹弟子なんだそうです。門下の兄貴が企画するコンサートなら…よほどの事が無い限り、出演するしかないだろうね(そういう世界だからね、声楽の世界って)。おかげさまで、売れっ子の翠を二年連続で直接拝見できたわけですからね、眼福眼福。

 さて本題。久しぶりに見た日本語訳のオペラですが…なんか違和感だよね。もちろん、言葉が聞き取れないわけではないし、日本語だからストーリーは分かりやすい。でも、なんか…ねえ。

 オペラの日本語訳って…訳している方には申し訳ないのだけれど、昔っから、あまり日本語としてこなれていない…って感じがします。ミュージカルの日本語訳とか、ディズニー映画の日本語訳ってのは、日本語として自然に歌に載っていると思うのだけれど、オペラの日本語歌詞って、なんか無理があるような気がするんですよ。日本語とオペラのメロディーの相性が悪いのか、日本語訳が古いのか、あるいは完成度が低いのか…まあ、そのあたりは私には分かりかねるのですが、聞き取れないわけじゃないけれど、聞きづらい…というか、言葉が胸にすっと入ってこないんです。

 なので、私的には、原語のフランス語で歌っていただいて、日本語訳は字幕スーパーで出していただく…という最近のやり方の方がいいかなって思ってます。もちろん、歌はフランス語だけれど、芝居部分は日本語でいいんですよ。

 あと、配役の都合もあって、今回は、テノール1人、ソプラノ2人、女優1人、ピアニスト1人という配置で『カルメン』のハイライトをやったわけです。そうなのですよ、つまりバリトン不在だったんですね。エスカミーリョ無しの『カルメン』って、結構物足りないよ。ミカエラかエスカミーリョが、どちらか一人をカットすると言われれば、私なら迷わずミカエラをカットしちゃいますが…まあ、今回はそうもいかず、エスカミーリョをカットしてしまったのだろうと思います。ああ、残念。

 演出は…大道具なし、衣装とちょっとした小道具だけでしたが、芝居は出演者が常に観客側を向いて演じるという、なかなかおもしろい演出でした。舞台右端でカルメンが客席に向かって花を投げると、それが舞台左袖にいるホセの足元に現れるなんて、なかなか目の錯覚を利用した興味深い演出でした。こういうやり方もあるんだなって思いました。

 演出で面白かったのは、女優さんがラウラというオリジナルの役になって、いわば狂言回しとして、舞台の進行を説明していった事です。ハイライト上演の場合、ストーリーをどうやって説明していくかが工夫されるところですが、こういうやり方もアリなんだなって思いました。

 オペラ上演って、フルで行うと、時間も経費もかかるけれど、こんな具合に工夫してハイライトで上演するのも、オペラへのハードルが下がって良いなあと思いました。

 コンサートそのものはとてもよかったのだけれど、一点疑問が残りました。それは物販です。

 今どきって、どこのコンサートでも物販があるわけで、今回のコンサートでも物販がありました。で、私はそこで売っていた青薔薇海賊団(上原氏が所属している、テノール三人組のグループです)の最新CDとDVDのセットを開演前に買いに行ったら、物販コーナーはすでにオープンしていたのにも関わらず、売ってくれなかったのですよ。コンサート終了後に買いに来いと言うので、これはコンサート後にサイン会でもあるのかなと思い、素直に引き下がり、コンサート終了後に買いに行ったら、特に何もなく、普通に販売してくれました。

 一体、あれはなんだったの? 普通、コンサートに行ったら、開演前から物販ってするものじゃないの? わざわざコンサート終了後じゃなきゃ売らないよ…ってなら、何かあるって思うじゃない? でも、何も無し。ああ、なんか納得いかない。まあ、勝手に期待しちゃったこちらの責任かもしれないけれど、なんかガッカリ。でも、最新盤が大幅ディスカウントで買えたから、まあ良しとしておきます。

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