音痴には2種類いると私は思います。それは、音程の音痴と、リズムの音痴です。
日本人は、音程には厳しいけれど、リズムには甘いという傾向があると私は考えます。最近の人はそうでもないけれど、少し前の人は、シロウトはもちろん、プロの流行歌手ですから、歌うとリズムが甘い人が多かったです。
当時はカラオケなんてものがなく、歌手は生バンドに伴奏してもらっていました。当然、バンドにも善し悪しがあったわけですが、評判の良いバックバンドというのは、大概、歌手の歌に上手に合わせられるバンドの事を指してました。つまり、歌手が遅れたら、その遅れに合わせ、歌手が走ったら、一緒になって走り、いつも歌手の歌に寄り添って伴奏できるバンドが、上手なバンドだと言われていました。
つまり、プロ歌手ですら、平気で遅れたり走ったりしていた時代だったんです。こんな調子だから、シロウトの世界では、なおさらの事です。のど自慢などでは、ほんと「こんな歌によくバンドは合わせられるようなあ…」と思ってしまうくらいに、実にフリーダムなリズムで歌う方がとても多かったです。
もしかすると、昔の日本人にとって、リズムというものは、時間的に等間隔なものであるという認識がなかったのかもしれないなあと、最近の私は、そう思うようになりました。つまり、昔の日本人にとって、時間の流れる速度は一定ではなく、その心情に合わせて、常に伸縮していたと理解すれば、あのリズムの甘さ(リズムが甘くても、それなりに音楽として成り立っていたわけですし…)も納得できます。
あるいは、別の言い方をすれば、日本では、時間ですらデフォルメしてとらえていたのではないか? とも言えます。ヨーロッパの近代絵画が写実的であったのに対して、同時代の日本の絵画には、デフォルメが多用されていたのと同様なのではないか? 計時的な時間よりも、心情的な時間の流れを優先していたのではないか?(ヨーロッパでもイタリアは、心情的な時間の流れを優先しているような気がします)
最近の日本人のリズム感が良くなったのは、カラオケのおかげではないかと、私は思っています。なにしろカラオケの演奏は、歌手にはちっとも合わせてくれないですからね。むしろ歌手の方がカラオケに合わせて歌わないといけないわけで、カラオケに合わせて歌っているうちに、若い世代を中心に、計時的なリズムに、合わせられるようにななってきたのではないでしょうか?
ならば、リズム音痴の克服は、この流れでいけば良いのです。
つまり、カラオケに合わせて歌ってみる/演奏してみるのです。無論、最初のうちは、ちっともカラオケに合わないだろうけれど、歌う部分を短く区切り、パートごとにしっかりリズムをカラダに入れて、それを積み重ねる事で、曲全体の正しいリズムをカラダの中に入れるのです。こうして、リズム音痴を克服していくのが良いと思います。
それに加えて、リズムの基礎練習をするのも良いでしょう。
例えばメトロノームに合わせて手拍子をしてみる…とか? これって簡単なようで、リズム音痴の方には結構難しい作業だと思います。例えば、一分間ずっとメトロノームに合わせて手拍子を続けられるか? もしも簡単にできるなら、その人はリズム音痴ではありません。リズム音痴の方は、手拍子をしているうちに、なんかわけが分からなくなってしまって、やがて手拍子がズレてしまうようなんです。なので、一分なら一分、しっかりとリズムを自覚しながら手拍子をするのって、大切な基礎訓練だと思います。
あと、音楽で使われるリズムって、たったの9種類しかないので、それを毎日練習するというのも良い方法かもしれません。9種類のリズムについては、以前の記事で書きましたので、そこを読んでいただいても面白いかもしれませんよ。
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