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日本人特有の発声方法とは?

 案外知られていないのかもしれないけれど、私は人種や言語や文化によって、声ってかなり違うのではないかと思ってます。例えば、英語を話す白人たちの声は深くて渋いし、中国語を話すは早口で甲高くてうるさい…です。これは我々とは、人種や言語や文化が違うために、出てくる声が違うから…だと私は考えています。

 では逆に、我々日本人の(クラシック声楽における)発声の特徴ってなんだろう?って考えてみました。

1)母音のバリエーションが少なく、またその差も少ない。
2)ノドが上がりやすく、苦しそうな声に聞こえがち。
3)鼻声要素が強い
4)感情を抑える傾向があるので、棒歌いになりやすい。
5)いわゆる“ドイツ唱法”的である。
6)カラダが小さくて、薄っぺらいので、低音に深みがなく、声も薄っぺら。

 まず1)から。これは日本語の特徴とも言えます。何しろ、日本語には母音が5つしかなく(少ない!)、そのため、我々はバリエーション豊かな外国語の母音を日本語に引き寄せて…つまり、外国語の歌を“カタカナ”で歌ってしまいがちです。

 また、日本語はあまりクチを大きく開かない言語なので、各母音の差も生じづらく(おそらく、そのために母音が5つしか無いのかもしれません)、それぞれの母音の発声が似たような感じになりがちです。

 また日本語は母音優勢な言語なので、その影響もあって、外国語の歌を歌う時に、子音の発音が雑になりがちだったりもします。

 2)は…なぜなんでしょうね? 日本人(特に歌の素人)が歌うと、苦しげな声で歌っているように聞こえることが多いです。歌うことが恥ずかしくて、緊張して、ノドに力が入って、その結果、自分で自分のノドを締め付けてしまう…いわゆるノド声になってしまうからではないかしら?

 3)これも不思議だけれど、日本人の歌声って、鼻声要素が強いですよね。いや、ポピュラー歌手なんか、鼻声で歌っている人すらいます。おそらく「鼻声、カッコいい!」という価値観が日本人にはあるのかもしれません。でも、クラシック声楽では鼻声は禁忌です。

 ちなみに、アメリカではハスキー・ヴォイスが褒め称えられる傾向がありますが、ハスキー・ヴォイスって、単なる音声障害で、壊れた声だからね。そんなぶっ壊れたモンが称えられるんだから、アメリカ人の趣味もなかなかなモンですが、それがその国民の文化ってやつだから仕方ないのかもしれません。

 4)日本人は全般的にシャイです。そんな人たちにとって、人前で歌うというのは、かなりの難行苦行になるようで、そのために、人前で歌う時は、歌うことだけに一生懸命になってしまい、周囲が見えなくなり、自分も見失ってしまうので、結果的に、歌っている歌が棒歌いになってしまって、感情がちっとも入っていない歌になりがちです。でもって、そんな棒歌いを「素朴な感じで素晴らしい」とか褒めたりします。これも日本人の価値観がなせる技なのだから、仕方ないのかもしれません。

 5)“ドイツ唱法”と書くと「ドイツ流の歌い方」と思われますが、実態は(今は通用しない)「昔、日本の音楽大学で主流だった、ドイツ系の出稼ぎ教授たちに教わった、発声方法」を言います。今はドイツ人もドイツ唱法なんてしてませんからね。

 でも日本人は伝統を大切にする国民で、昔のやり方を大切にして、それを師匠から弟子に伝える事を良しとする国民なわけで、そんな昔のやり方が今でも、大手を振ってまかり通っていたりいなかったりするわけです。

 ちなみにドイツ唱法の特徴を簡単に言うと「丹田に力を入れて、しっかり下腹部を固めて歌う唱法」です。いわゆる“お腹から声を出す”歌い方なのですが、そんな歌い方をしているのは、もはや日本人ぐらい…なんだそうです。

 6)これは日本人の人種的特徴ですが、日本人はクラシック声楽の本場の白人たちと比べると、カラダは小さいし、薄っぺらいのは、生物としての特徴なので、仕方ありません。だから我々日本人が、自然な無理のない声で歌えば、白人たちとは全く違った、共鳴の少ない、倍音も少なく、甲高くて、薄っぺらな声になってしまうのも仕方のない事です。

 こんなところが日本人特有の発声方法ってところでしょうか? かなり他の人種や国民や文化の人たちの発声方法とは違っていると思います。で、本来なら、そんな事を気にせずに、胸を張って歌っていればいいのですが、問題は“クラシック声楽”を日本人が歌うとなった場合、これら日本人特有の発声方法は、あまり褒められたものではありません。むしろ(クラシック声楽基準で考える)良い声で歌う時には、足かせにすらなりかねません。

 ではどうするべきか? そこが問題なのです。

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