今回のキャスト&スタッフは以下の通りです。
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:マイケル・メイヤーアイーダ:エンジェル・ブルー(ソプラノ)
ラダメス:ピョートル・ペチャワ(テノール)
アムネリス:ユディット・クタージ(メゾソプラノ)
アモナズロ(アイーダの父):クイン・ケルシー(バリトン)
ラムフィス(祭司長):モリス・ロビンソン(バス)
さて、今回の目玉は、何と言ってもメトで35年続けられてきた、定番とも言えたソニヤ・フリゼルの演出を止めて、マイケル・メイヤーによる新演出に変えたことでしょう。
で、その新演出の感想ですが…「頭デッカチで上滑りしていないかい?」というのが、私の本音です。つまり、あまり良い評価をしていません。
今回の演出の肝は、2つの時間軸があるという事です。一つはオペラの「アイーダ」の世界、もう一つが20世紀初頭のエジプトの遺跡発掘のチームの時間軸です。で、遺跡発掘のチームの動きが、ウザくて、ほんとノイジーなんですよ。これ、要らないと私は思いました。
最新のエジプト発掘研究の成果を演出に取り入れたのだそうだけれど…そんなの、見ている我々には何の関係も無いんだよね。それよりも、オペラの世界に没入させて欲しいのよ。
特に残念だったのは、凱旋の行進の演出がスケールダウンしていた事かな? フリゼルの演出では、勝ち戦を喜ぶエジプトの人々の、実に派手派手で華々しい行進だったのに、今回の演出では、遺跡発掘チームが盗掘したものをウキウキと盗み出すシーンになっていて「それはさすがに違うでしょ…」って思ってしまいました。
この演出はダメだよ。おそらく、近い将来、また演出が変わるんじゃないかしら?
歌唱の方は、目をつぶって聞けば、素晴らしいです。ただ、画面を見ちゃうと、色々と残念です。特に今回のソリストは、ほぼ全員、デブなんです。今どきのオペラ公演では、太った歌手の登場そのものが珍しいのに、ほぼ全員がデブってのは、ほんと、今どきのキャスティングじゃないです。テノールのペチャワがスマートに見えたくらいだもの(ほんと、ありえません)。
でも、キャスト全員をデブで揃えたので、アイーダを歌ったエンジェル・ブルーの違和感が無くなっていたので、これは計算されたキャスティングだったのかもしれません。何しろ、エンジェル・ブルーって、今どきめずらしい、デブな黒人歌手だからね。少し前なら、どんなに歌えても、デブな黒人歌手なんて、主役をやらせてもらえなかったからね、やれても、せいぜいがメイド役か侍女役です。それがデブな黒人歌手の役割だからサ。
だから、今までのオペラ公演でブルーが主役の時は、一人だけ太っていて、設定上、白人のスマートな美人の役を、黒人のデブデブな歌手が演じるわけですから、舞台上で違和感バリバリだったわけですが、今回は全員がデブだし、おまけにアイーダは黒人役なので、まさにブルーにはまり役だったわけです。
しかし、黒人である事はともかく、あんなに太ったソプラノを、よくメトは使い続けるものだね。これもやはり、ポリコレの影響なのかしら? 白人歌手たちは、太っているという理由で解雇されちゃうのに…ねえ。黒人なら太っていてもOKとか?
あと、1幕と2幕を連続で上演して、休憩を1回にしていたけれど、それはさすがにやり過ぎだと思いました。今まで通り、1幕と2幕の間にも休憩を入れて、長丁場のオペラなのだから、休憩は2回、欲しかったと思いました。
そんなわけで、今回の「アイーダ」は私的には、あまりオススメではありません。エンジェル・ブルーがお好きな方ならともかく、他にも、もっと楽しめる「アイーダ」があるからね。
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