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フルートの特殊管の名称について

 かねてからの疑問です。それはフルートの特殊管の名称について。どうにも納得がいかないんだよね。「責任者、出てこい!」って気分です。小一時間ほど問い詰めたいです。

 どの辺に納得がいかないかと言うと、ソプラノ・アルト・テナー・バスという言葉の使い方。私は歌う人ですから、歌を基準にモノを考えます。そうすると、サックスはまあOKです。弦楽器は、ヴァイオリンがソプラノで、ビオラがアルト、チェロがテナーで、コントラバスがバスと考えるので、これもOK。でも、フルートは完全にアウトです。もう、訳分かんねーぞー状態です。

 まず、普通のフルート(C管)はグランドフルートと言うそうです。今回はこれをグランドと呼びます。

 このグランドを基準に考えていくと、高い方へ行くと、ソプラノ(F管)とピッコロ(C管)があります。低い方に行くと、アルト(G管)、バス(C管)、コントラバス(F管とC管の二種類)があります。

 まず、最初の疑問は、ソプラノフルートの存在。なんで、こんなのがあるの? と言うのも、グランドって、音域的にも楽器としての起用法も、どう考えてもソプラノでしょ。グランドこそが、ソプラノフルートと呼ばれるのにふさわしいのに、なぜかこの楽器よりもちょびっと高い音域にソプラノフルートがある不思議さ…って事は、グランドはメゾソプラノですか? それはちょっと感覚的におかしいと、私は思います。

 次に変なのは、バスフルート。グランドのオクターブ下の音域だし、音色的に考えても、これはバスじゃないよ。どー考えても、これはテノール。なぜ、本来、テノールの楽器をバスと呼ぶのかは、私にはまったく分かりません。

 当然、本来テノールな楽器をバスと名付けてしまったので、その帳尻合わせを次に来るモノでやらないといけないんですね。

 コントラバスフルートというのがあります。これは名前は同じでも、F管とC管の二種類があるそうです(この前、私が試奏したのは、C管の方です)。このコントラバスフルートのうち、F管の方は音域的にはバスフルートであって、C管の方がコントラバスフルートと呼ばれる楽器だと思います。

 ちなみに私が納得しているのは、ピッコロとアルトフルートです。

 ピッコロはソプラノ音域の楽器で、いわゆるコロラチューラ・ソプラノに当たります。実際に楽器としての起用法もコロラチューラそのものなので、すごく納得です。名称もピッコロ(小さい=かわいい)って名称で、気が利いているよね。

 アルトフルートも…まあいいかな。音色的にもヴィオラっぽい。ただ、G管でなくF管であった方が理屈的には気持ちいいけれど、まあ、それくらいは勘弁しましょう。アルトもOKです。

 つまり、私はグランドをソプラノ(それも主役を歌うソプラノリリコ)と考えているので、グランドに付け加えて、ピッコロ(コロラチューラ)とアルトの三種類の名称と音域には整合性もあって、大いに納得なのです。

 まあ、私の頭の中で、名称と役割が一致していませんが、こんな感じで考えています。

  コロラチューラソプラノ…ピッコロ(C管)
  ソプラノリリコ…グランドフルート(C管)
  アルト…アルトフルート(G管)
  テノール…バスフルート(C管)
  バス…コントラバスフルート(F管)
  コントラバス…コントラバスフルート(C管)

 ですから、バスは名付けを間違えたと思ってます。これは本来テナーフルートと呼ぶべき楽器です。コントラバスフルートも、F管はバスフルート呼ぶべきで、コントラバスフルートと言えばC管であるべきです。ソプラノフルートに関しては…一体、何のために存在している楽器なんでしょうか?

 こうして考えてみると、すべての責任は、バスフルートを作った人にありそうですね。テノール音域の楽器を作ったにも関わらず、なぜかバスフルートと名付けてしまった、うっかり者のせいで、混乱が生じたような気がします。

 一体、誰だい。バスフルートを考えた人は。私は攻めるつもりはありませんが、その人の真意を知りたいです。いや、マジです。

 と、このようにバスフルートを悪者にする事も可能ですが、実はもう一つの考え方…アルトフルートを悪者にして考える事も可能です。と言うのも、フルートをテノール楽器と考えると、ピッコロ(ソプラノ)・グランド(テノール)・バスフルート(もちろんバス)という風になって、これはこれで整合性が取れます。実際、フルートって倍音が少ないので、記譜音よりも低く感じられなくもないし、グランドとほぼ同じ音域のリコーダーはテナーリコーダーって言うわけだし、そういう主張も言い張れば言い張れないわけではありません。でも、グランドがテナー?とは、楽器の起用法を見ると、とてもそうは思えないですねえ。

 フルートと近接領域にある楽器のリコーダーは、きちんと整合性があるのに、フルートがこれだけグチャグチャだと、なんか負けたような気がして、とってもイヤです(笑)。

 蛇足。ウチの息子君は、グランドフルートはテノールだと思ってたようです。この前、話をしていた時に「お父さんのテナーフルートは…」って言ってたもの。だから、あれは“テノール”ではなく、グランドピアノ同様に“グランドフルート”と言うんだよと教えましたが、何の知識も偏見もなく、音楽的な耳で聞くと、グランドって、テノールに聞こえるんだな。ううむ。

コメント

  1. めいぷる より:

    最初に出来たフルート、
    グランド、コンサート、ノーマル、色んな呼び方されてますが。 ノーマル?じゃぁ特殊管はアブノーマルなの?って事で、合宿の余興で「アブノーマル・カルテット」を編成編曲してやった事がありますよ、面白かった[E:lovely]

    音域の違いより音質が違う事の方が命名の意味が通じそうな気もするなぁ、ワタシは。例えば、ピッコロ、ノーマル、アルト、で同じ音出せるけど音色が全然違うもの。

    でも、この種訳楽しい。。♪
    んで、ダモーレと、ダブルコントラは?[E:smile]

  2. Cecilia より:

    バスリコーダーも音がバスじゃないのにそういう名前ですよ~。
    もっと低いと思って期待していたのにがっくりでした。

  3. すとん より:

    >めいぷるさん

     アブノーマル・カルテットは楽しそう…。

     おっしゃるとおり、特殊管の命名は、音域よりも音質の方が重視された結果なのかもしれません。それならそれで、それこそ納得です。すぐに音域でモノを考えるのは、合唱人の常なのですが、悪い習慣かもしれませんです。ちょびっと反省です。

    >んで、ダモーレと、ダブルコントラは?

     おっと、ダモーレは忘れてました。すんません。ダブルコントラは…世界に二本しかないそうで、そんな貴重な楽器、私の弁舌で切ってはいけない気がしましたので、今回はアンタッチャブルゾーンに入れておきました。でも、ダブルコントラ、吹いてみたいなあ…。

  4. すとん より:

    >Ceciliaさん

     リコーダーは音域がインフレ気味というか、全体に1オクターブ高いような気がします。それこそ、テナーリコーダー~アルトリコーダーあたりが、リアルな人間のソプラノさんの音域じゃないかと思いますが、いかが。あ、高音で勝負するソプラノさんなら、ソプラノリコーダーそのままの音域かな? ソプラノさんって、音域の広い人が多いからなあ…。

     でも、確かに、バスリコーダーの音はバスではないと、私も思います。

     フルートも同じでしょうが、リコーダーも、低音になると、半端なく大きくなって、操作性が悪くなりますよね。あれが問題だと思います。金管みたいに、管をグルグル巻にできないから、仕方ないのでしょうが。

     フルートとリコーダーは何気に似てて、でもやっぱり違っていて、ああ、親戚な楽器なんだなあと思うと、現在フルート陣営にいる私から見ても、リコーダーって、親しみのわく楽器です。この前も楽器店に行って、思わずテナーリコーダーを買ってしまうところでした。買っても吹いている時間など無いぞー、と思って踏みとどまりましたが…。

  5. kf より:

    お邪魔しますm(_ _)m
    これは素人の私の勝手な解釈ですが、

    ピッコロ…ホイッスルボイス(マライア・キャリーなどが使う)

    ソプラノフルート…コロラトゥーラ(レッジェーロ)・ソプラノ

    低めのソプラノフルート(D管?)…リリコ・レッジェーロソプラノ

    グランドフルート…リリック・ソプラノ

    フルートダモーレ…メゾソプラノ

    アルトフルート…そのままアルト

    バスフルート…テノール

    サブバス(?)フルート…バリトン

    コントラバスフルート…バス

    と、このように続くと思います(所々名称があやふやですいません)。

    ちなみにバイオリンのフラジオレットは人声でいう裏声(ファルセット、ホイッスルボイス)、トランペットは女声の地声(実声?)でのハイトーンボイスに当たるのかなと思います。

    急な横やり、失礼しましたm(_ _)m

  6. kf より:

    先程のコメントでネットで調べたところ、

    D管→× E♭管→○

    サブバス→× F管バス→○

    であることがわかりましたのでお詫びすると共に訂正させて頂きます。

    また、Wikipediaによりますと、ダブルコントラはコントラバスフルートと呼ぶのが望ましいと提唱されているそうです。

    誤った記述を掲載した事を、重ね重ねお詫び申し上げます。

  7. すとん より:

    kfさん、いらっしゃいませ。

     古い記事にコメント、ありがとうございます。4年ほど前の記事ですね。その頃の私は、特殊管に興味があったみたいですね(自分でも驚きです)。

     kfさんの分類を面白く拝見させていただきました。そういう考え方もあるんだなあって思いました。

     でも結局、フルート属の楽器では、グランドとピッコロだけが世間的に認知された楽器であって、それ以外の楽器は、フルートアンサンブルなどの特殊な状況でのみ使用される特殊管なんだなって事なんです。

     そんな特殊管の事を考えるのは、実はなかなか楽しい知的遊戯だったりします。まあ、自分で、それらの特殊管を演奏することは、たぶん無いでしょう。そう思うと、かなり残念な気になります。でも、一度は、いえ、一曲ぐらいは、それらの特殊管での演奏体験を経験してみたいものだなあって思ってます。

     個人的には、テノール音域のバスフルート(笑)に興味があります。

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