フルートのレッスンに行ってきました。今回は月に一回のロングレッスンの日です。普段ならセッションレッスンをする日ですが、さすがに発表会を間近に控えているので、今回はしっかり発表会用のレッスンをしました。
まずは音出しから。私は普通にフルートを吹いている状態で息が多いのだそうです。だから、いつも音がシャープ気味になりがちです。で、シャープ気味だからと言って、意識的に息を少なくすると、今度は音がフラット気味になっちゃうそうです。で、フラット気味になったからと言って、今度は息を少なくしながらも、しっかり息を支えると、またシャープ気味になってしまって、ちょうどいいところで決まらないそうです。
そこで、もう一歩進んで、そのシャープ気味のところから、しっかり音を曲げるといい感じになると思うので、フルートを演奏する時は、いつも気を抜かずに、回りの音を聞いて、しっかり音を曲げて演奏できるようにしましょう、との事です。
息をやや弱めにする(その方が音がきれい) -> しっかり息を支える -> きちんと音を曲げる の三段階の作業を同時に行って、きちんとピアノの音程に合わせてフルートを吹きましょうってことですね。たかが、音出しですが、課題はアリアリな私です。
ロングレッスンの日なので、二曲ともたっぷり練習できるかな…と思ったけれど、結果、ほとんどはデスペラードの練習になっちゃいました。いやあ、曲を見てもらうってのは、実に時間がかかりますね。1時間でも足りない足りない。
デスペラード…歌の部分はキング先生に軽~くレッスンつけてもらったおかげで、なかなか良い感じになったそうです。
実は笛先生、前回のデスペラードのレッスンの時に「この歌、どーしましょ」って感じで頭を抱えていたそうなんです(それを顔にも言葉にも出さないのが笛先生なんですね…優しい方です)が、笛先生が頭を抱えている間に、キング先生とのレッスンで軌道修正をしてもらったので、万事、塞翁が馬ってところです、て言うか、餅は餅屋かな? とにかく、歌は、ポピュラーソングとして、他人に聞いてもらえるレベルになったのでOK。後は、フルートのパートに全力投球していきましょう、です。
で、そのフルートの方ですが…まだ中間形なので、ネットにアップしていませんが…色々と自分なりに工夫をしてきました。それを先生の前で披露したわけですが、OKなところと、ダメなところの両方があり、ダメなところの修正をしていただきました。
「歌とフルートのつなぎ目がちょっと…」と言われました。特に間奏に入るところが、歌手の気分のままでフルートを吹いちゃっているけれど、お客さん的には、歌手が引っ込んで、別のフルート奏者が出てくる、みたいに、区切りというか、けじめをつけて、演奏をした方がいいですと言われました。つまり「歌の気分をフルートに持ち込まない」ようにです。
歌を終えて、フルートを持ったら、気持ちも切り換えていきましょう…です。
肝心の間奏部分ですが、テクニック的に言うと、まず、トリル多すぎ。フルートで何か装飾をする…となると、トリルが使われがちだけれど、トリルを多用するとクラシックぽくなってしまうので注意。トリルに限らず、フルートは普通に吹くだけでは、クラシックぽくなってしまうので、できるだけクラシックから、遠ざかるような演奏を心掛けなければいけないのです。と言う訳で、なるべく普通に吹かない、トリルは最小限に留める、そういう方針で…。
それにしても、この「クラシックから遠ざかる」という観点、笛先生のみならず、キング先生からもよく言われます。とにかく、クラシックの音色やテクニックや手法を使ってポピュラーを演奏するのは、厳禁というか、おかしいと言うか、ありえないと言うか、常に両先生から、そのような主旨の事を言われ続けております。たぶん、これは、音楽をやる者にとっては当たり前の事なんでしょうね。なにしろ、両者の音楽様式は、全く違うのですから。
最近は、スタイルの違うものを合わせて“コラボ”にするのが流行っていますが、コラボるには、まずそれぞれのスタイルが確立している事が先決問題です。クラシックをクラシックらしく、ポピュラーをポピュラーらしく演奏できる事が、何となく中途半端などっちつかずのダサい音楽になってしまいがちな私にとって、片づけなければいけない問題なんだと思いました。コラボっぽいものは、もう少し先になってから始めましょう。
さて、次に、フラッターも多すぎ。フラッターは止める必要はないけれど、フラッターばかり使うと、まるで、フラッターの練習曲のように聞こえるので、せいぜいフラッターの使用は一曲につき1~2回に留めておきましょうとの事です。ちなみにフラッターと言うのは、フルートの現代奏法としては、ありふれたテクニックの一つで、巻き舌しながらフルートを吹く技法で、すさまじく細かいタンギングを連続して行うような効果があります。かっちょいいテクです。
音程がジャストなので、もっとフラット気味にしてぶら下がる感じで吹くとブルージーに聞こえます。時折、音をグウーンと曲げて、音程を下げながら演奏する(ギターで言うところのチョーキングの反対みたいなもの?)と良い感じに聞こえるそうです。実際やってみると、なかなかオツな感じになります。それと、やっぱり演奏者自身が、ブルージーな気分で演奏する事が何よりも大切なので、まずは気分からブルージーになりましょうとアドヴァイスをいただきました。
…ここで問題です。実は私、演歌とブルースとカントリーが苦手なんだよねえ。なんとなく分かってもらえると思うけれど。自分の中にブルージーなものがないのに、そこからブルージーな気分を出すのは、結構厳しいものがあるなあ…。
全体的にレガートすぎ(つまり、クラシック臭い!)なので、もっとリズムをはっきりと強調して演奏すること。ヴォイス・パーカッションやヒューマン・ビート・ボックシングをやっている気分で、タンギングをもっともっと、しっかりすると良いでしょうとの事です。どちらにしても、タンギングは私の弱点の一つだな。
さらにさらに…この曲にはグロウルが似合うので、ぜひグロウルを入れてみましょう!…だって(困)。
グロウルとは…あるフレーズを実際に声に出しながらフルートを吹く奏法のことです。つまり「歌いながらフルート吹いちゃうテクニック」です。グロウルにも色々種類があるそうだけれど、一番簡単なグロウルだと、フルートで演奏するフレーズと同じフレーズを歌いながら吹くやり方。現代奏法としては、基礎に属する程度のテクニックです。まずはこれでいいから、やってみましょうとの事。
先生が見本を見せてくれました。いつものことですが、うますぎて、全然参考になりませんが、グロウルがどういうものなのかは、よく分かりました。グロウルの音は「歌いながらフルートを吹く」という言葉から想像される音とはかなり違います。グロウルの音って、フルートから、サックスっぽい音と言うか、ディストーションギターっぽい音と言うか、ああいう感じのバリバリッとしたノイズっぽい音が出ます。これはなかなかに刺激的で現代的な音色です。たしかにロック系の音楽に合いそう…。そう言えば、イアン・アンダーソンもよく使っているなあ…。
まずはお手本を見せてもらったので、そんな感じでやってみようとしたけれど、全然できませんでした。まるで歯がたたないのよ。難しいわー、グロウル。どこが難しいかと言うと、声と息の両方を同時に十分に出すこと。
私、声が出ている時って、ほとんど息が出てないんだよ。だから、声を出しちゃうと、息が足りなくなってフルートが鳴らなくなります。で、フルートを鳴らすために息を出すと、今度は声が消えちゃいます。どうも私の場合、息と声とでは、入れるギアが違うみたいです。ちょっと格闘しましたが、やはり、とにかく、息と声の両方を同時に出せません(涙)。これは自宅で猛特訓だな…。
先生がおっしゃるには、フラッターができるなら、グロウルもできるはずだから、頑張りましょうって事です(ん? グロウルはフラッターの向こう側にあるって事ですか?)。
とにかく、次までの宿題として、グロウルをできるようにしてくること。そして、そのグロウルをかっこ良く使えるフレーズを考えてくること。また、フラッターも一回は使いましょう、そのためのフレーズも考えてくること、となりました。
レッスン時間のほとんどをデスペラードで使ってしまいましたが…、まったくシシリエンヌをやらないと言うわけにもいかないでしょうというわけで、残りの10分程度の時間で、ササッとシシリエンヌをやりました。
テンポを今よりももっと遅くしてもいいから、もっと情感豊かに、たっぷりと歌ってください。
スラーの中の附点のリズムを強調しようとするあまり、タンギングが見えすぎるので、あくまでスラーでつながっている事を強調していきましょう。スラーの中のリズムだと言う事を忘れないように。
息が足りない部分があるけれど、ブレスは我慢して吸わない。クラシックは体力勝負の部分があるので、がんばりましょう。常にレガートで、音をつないで演奏しましょう。
指がまだまだなところがあるので、ちゃんとやる。スラーとスタッカートの区別をはっきりと。
たった10分とは言え、見つけようと思うと、課題なんて、いくらでも見つかるものですね。それにしても、これで発表会に間に合うのだろうか?
コメント
あと3週間ありますから、大丈夫ですよ!、、ってすとんさんは焦っていらっしゃらないんですよね(^^;)
>息が足りない部分があるけれど、ブレスは我慢して吸わない
きついですねー。私の先生は「なるだけカンニングブレスを入れていい息をたくさん吹き込みましょう」と仰るので助かりました。息が続くかどうかは肺活量より腹筋なんでしょうけど、やっぱり男性の方が体型的にも有利ですよね。
>smilekumiさん
はい、残念な事に焦ってません(汗)。焦った方がいいんだろうけれど。
カンニングブレスはねえ…一応、やっていたつもりなんだけれど、先生から「全然、隠れていません」って言われたので、断念してます。
>息が続くかどうかは肺活量より腹筋なんでしょうけど、
あと「用意周到な性格と先を見通す知性」も必要です。だって、私、ブレスする時、何にも考えてない(そこがダメ)し、吹いている時だって、先々の事まで計算してません。頭からっぽにして「ええ音してるな~、アゲハは~」なんて、浮かれた気分で笛吹いてますから、すぐに息が足りなくなります。心構えがダメなんですね、私の場合(涙)。でも、これも性格(かなりの快楽主義者)なんで、仕方ないです。
すごくわかりやすいレッスンでうらやましいです。
勝手に想像してみるのですが。
こういう曲ってこう演奏するって、がんじがらめなきまりはないのですよね?
だいたい、これはアレンジBYすとんさんですし。
すとんさんの中に淡いイメージがあって、それを実現するために笛先生がすごく親身になって教えてくださっているように思えました。
何もない人だと、あれやこれや教えるのも大変ですよね。
打てば響くタイプの生徒さんだから教えてくださったのだと思います。
宿題のレベルがすごく高いように思えますが、がんばってグロウルしてください。
ブルースは、もしジャム・セッションとかされるなら必須だと思います。
それにしても、笛先生…もしかしてジェレミー・スタイグっぽい演奏ができる方なのでしょうか。
あの叫びながらの演奏は、紙一重というか…。
かっこいいんですが、すごいですよね。
タンギング、そういえば、ジャズ・ヴォーカルの本を読むと、やはりヴォイスパーカッションっぽい練習が書いてありました。
四分音符のダッみたいなやつです。そんな雰囲気なのかな?
>夜希さん
デスペラードはポップスですから、演奏するのに別段決まりはありません。私が好きなようにやりたいように、やるだけなんです。レッスンでは、夜希さんのご推察どおり、私がどんな事をやりたいのか、笛先生と二人で探って行って、色々とアドヴァイスをいただいています。
>ブルースは、もしジャム・セッションとかされるなら必須だと思います
…でしょうね。さっそく、図書館に行って「ブルース入門」というCDを借りてきました。あまりにベタなんですが、本当に何もない私のような人には、これくらいベタな方が良いと思いました。じっくり聞いてみたら、初期のストーンズや全盛期のクリームっぽいサウンドでした。たしかに、ロックのルーツの一つだなあと思いました。デスペラードもこっちの方向に持ってきて演奏すると、確かにかっこいいだろうなあと思いました。
>それにしても、笛先生…もしかしてジェレミー・スタイグっぽい演奏ができる方なのでしょうか。
普段の笛先生は、手数の多い早吹きタイプの奏者ですが、サラッとグロウルやっちゃってましたから、やればできるのかもしれません。ジェレミー・スタイグは大好きって言ってましたし…。
グロウルって初めて聞きました。
ブーと声を出しながらなら吹けますが、それを歌にしないといけないんですよね。
しかもあと3週間ですか。
私なら焦っちゃいますが、すとんさんは大人ですね〜
練習頑張ってください!
>ディアさん
>ブーと声を出しながらなら吹けますが、それを歌にしないといけないんですよね
たぶん、それもグロウルだと思います。どうも、グロウルとひと言で言っても、色々とあるそうで、出す声は「ブー」でも「ウー」でも「プー」でも良いみたいだし(でも、ウ段がどうも使いやすそうです)、音程もあってもいいみたいだし、無くてもいいみたいです。さらに音程がある場合も、メロディと同じ旋律を歌う場合もあれば、メロディに対してハモる音程で歌っていく場合もあります。どちらにしても、声によって左右されるので、当然、男女ではその演奏効果も変わってくるでしょうね。
>しかもあと3週間ですか。
はい、しかも、今のところ、全然できません(笑)。どうなるんでしょうね。ま、なるようにしかならないし、ポピュラーなので、当日までにできなければ、やらなければ済むだけの話なので、鷹揚に構えています(おいおい)。
…できなきゃやらないで済む、のがポピュラー演奏の良いところ? 自分の実力なりの演奏を懸命にやれば良いので、クラシックのように背伸びをして演奏する必要がない分、気持ちが楽です。