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ラ・フォル・ジュルネに行ってきたよ 2009 その3

 さてさて、今日の記事は、5月3日の夕方から夜の話になります。

【公演166 有田正広のフラウト・トラヴェルソ】

 本日二度目の有料コンサートです。場所はヴァイマールと呼ばれる103席しかない会議室。この会議室にイスを並べて、急造のサロンにしたのが、ヴァイマールです。この狭くて小さな会場にチェンバロ入れて、フラウト・トラヴェルソの演奏会なんて、最高の贅沢だよね。これで2000円なんだから、なんか、とっても罪悪感にさいなまれます。そんな複雑な気分のまま、演奏を聞きました。

 演奏者は、有田正広氏がフラウト・トラヴェルソ、チェンバロがモード・グラットン(若手の美人演奏家でした。肌が抜けるように白い人でしたよ)で、演奏曲は5曲。「フルートとチェンバロのためのソナタ第3番」「バルティータ第6番よりトッカータ(チェンバロ独奏)」「ファンタジー(チェンバロ独奏:この曲のみW.F.バッハ作曲)「フルートとチェンバロのためのソナタ第1番」、アンコールとして「シチリアーノ」でした。

 調律師の方がコンサート直前まで、チェンバロの調律をしていました。そういえば、マスタークラスでも会場係さんが「たった今、チェンバロの調律が終わったばかりなので、絶対に触らないでください」って言ってたよ。チェンバロって、とても繊細な楽器みたいですね。

 マスタークラスでも感じたけれど、フラウト・トラヴェルソって、本当に小さな音量しか出ない楽器ですね。でも、音量は小さいけれど、音はひなびた感じの優しい素朴な音色。ある意味、現代フルートとは真逆な音色ですね。サロンで聞くには、まさにぴったりって感じの楽器です。チェンバロとの相性もばっちりだし。バッハが、フルートの曲を、この楽器を想定して作曲したのだったら、私は、バッハの曲を、とても軽く洒脱に演奏しないといけないなあと思いました。だって、この音色では、どうやっても重厚な演奏は無理。どうしても、カジュアルな感じのかわいい音楽にしかならないよ。

 考えてみれば、バロック音楽なんて、軽さが取り柄の音楽で、バッハなんて、バロックの親分みたいなものなんだから、軽く軽くフワフワな感じが本来なんじゃないと思いました。

 有田さんのバッハ、良かったです。すごく親しみやすくて笑顔満々のバッハさんでした。高音域のpが、まるで宝石のように美しかったです。チェンバロさんとの息もぴったりで、時折、フルートとチェンバロのフレーズがピタっと重なる瞬間があるのだけれど、そこが、とてもつなく、気持ちよかったです。さすがは、一流のプロ同士の共演ですね。

 有田さんの演奏フォームは、しっかりとアゴを引いていました。楽譜を低い位置にしたためか、目線も下がり気味で、しっかり音を曲げてましたね。構えは、オーソドックスな三点支持のようです。ただ、演奏中は汗をかくのでしょうね。ちょっと間でも、フルートの歌口付近と、ご自分の口のまわりを拭いてました。

 驚きは、有田さんが、演奏中に譜面をめくったこと。右手でめくったのですが、その間も演奏していて、左手は忙しく動いてました。三点支持なのに、右手をハズしたら、すごく不安定な構えになるのに、それでも演奏はやめずに譜をめくってました。スゲーと思いました。ちなみに、チェンバロも左手で演奏中に素早く譜をめくってました。こっちもすごいと思いました。

 ラ・フォル・ジュルネのコンサートは、アンコールを基本的にしないのですが、時間がちょっとあったので、有田さんは大忙しでアンコールをやってくれました。さすがはプロですね。しっかりエンタメの部分も忘れていないのですよ。

 なんか、フラウト・トラヴェルソもやりたくなりました(やんないけど)。

 しかし、ここのサロンは全部で100席程度しかないのに、ざっと見回しただけで、10席以上も空席がありましたよ。完売したはずなのに、行きたいのにチケット買えないって泣いている人が大勢いるのに、なぜ、こんなにたくさんの空席があるの? オークションを見ると、ラ・フォル・ジュルネのチケットが定価の3倍程度の値段で売っているね。ああいうのは、ダフ行為って言うんだよな。ダフ屋がチケット買って、音楽ファンがチケット買えないなんて…。なんとなく不愉快だね。こんなところで、商売すんな! それにインターネットオークションでのダフ行為は違法だし、取締対象って事になったんじゃなかったっけ? 違ったっけ?
 
 
【リューベック広場コンサート JR東日本交響楽団】

 それはさておき。

 なんかもう、今の有田さんで、音楽的に満腹と言うか、食い過ぎみたいな感じになってしまいました。「もう、今日はいいや」なんて、投げやりな感じでリューベック広場に行った私です。

 次は、アマオケのJR東日本交響楽団でした。期待せずに聞いたせいか、大満足でした。演奏曲目は、いわゆる「シャコンヌ(無伴奏バイオリン・パルティータ第2番)」を、ラフという名前のロマン派の作曲家がオーケストラ用にアレンジしたものを演奏しました。まさに、ロマン派バッハの曲でした。これがおもしろい。いわゆる「デザートは別腹」状態で楽しみました。それに演奏がいかにもアマチュアで、ほほえましい部分も多々あるけれど、音楽をする喜びがとても良く伝わる演奏で、すごく一生懸命で、思わず聞き惚れてしまいました。いいなあ、こういう演奏。大好きです。

 バッハの音楽が、JR東日本交響楽団によって、カラフルな音楽に変わりました。たぶん、こういうバッハは二度と聞けないでしょう。良い物を聞かせていただきました、感謝です。
 
 
【島村楽器ブース前 レイモンド・クラシックギター演奏会】

 JR東日本交響楽団の演奏が終わるやいなや、島村楽器のブースで「レイモンド・クラシックギターのデモ演奏を行いまーす」という呼び込み開始、なんだなんだと人ごみが移動するので、私もつられて移動。そのまま、演奏を聞いちゃいました。

 レイモンド・ギターというのは、島村楽器が開発製造しているクラシックギターのブランド名です。そのギターを、島村楽器の音楽教室の先生(お名前は聞き取れませんでした、ごめんなさい。たぶんスペインの方だと思う)が演奏されました。クラシックギターの演奏会でしたが、実際はフラメンコ風味のジャズ・ギターでした(笑)。こういう音楽、大好きな私です。

 4曲演奏してました。「ヴィラロボス作曲:プレリュード第3番」「ロドリーゴ作曲:アランフェス協奏曲」「マルキーナ作曲:エスパニア・カーニ」「大野雄二作曲:ルパン三世」、全部、ご自分の流儀でアドリブをガンガン入れてやってました。大抵の曲が原曲をかろうじて留めるか留めないかといった具合に崩されていましたが、そこが格好良かったです。ジャズゥ~って感じの演奏でしたよ。

 演奏が終わって、お腹が減った私は、ネオ屋台村で夕食を取ることにしました。
 
 
【ミュージックキオスクコンサート 東京音楽大学ホルン・アンサンブル】

 妻が屋台で見かけた、イタリア丼が食べたいと言うので、付き合うことにしました。私はイタリア丼のうち、ボロネーゼ丼と言うのを食べました。ご飯の上に、ミートソースをかけたものです。味は…ご飯の上にミートソースをかけた味でした(涙)。いやあ、何のひねりも工夫もなく、ただただ、ご飯の上にミートソースをかけただけでした。

 ポイントは「トマト味のご飯はOKかどうか」と言った点でしょう。私は不可です。口に合いませんでした。酸っぱいご飯ってどうよ? 少なくとも、もう少し塩味が効いているとか、肉の旨味が付加されているならOKですが、ただのトマト風味のミートソースよ。ミートソースって言われないとトマトソースだと勘違いするほどに、トマト風味のミートソースだよ。あ、ローリエはたっぷり入ってました。トマト風味なライスがお好きな方はどうぞ、です。ちなみに、妻は「美味しい」と言ってました。どうも、夫婦とは言え、味の好みは違うようです。

 で、このイタリア丼を食べながら、背中でホルン・アンサンブルを聞きました。目の前は居酒屋状態で、酔っぱらってヨレヨレになった人を見ながらです。毎年思うけれど、このネオ屋台村周辺って“アルコール臭い(苦)”。

 そんな状態で聞いた演奏だったので、4~5曲やってましたが、何をやったのか分かんないです。たぶん「バッハ作曲:イタリア協奏曲」「バッハ作曲:主よ人の望みの喜びを」くらいは分かったけれど、後は???でした。何しろ、空腹なのに、口に合わないものを食べて、プンスカしてましたので…。

 でも、ホルンはいいね。あの音色は心にしみるね。とても金管には思えない上品な音色だよ。私の中では、金属製の木管楽器として認定してあげたいです。フルートよりも、よっぽど木管っぽい音じゃない、ホルンって。いいね、ホルン。ただ、アルコール臭い場所で聴きたい音色じゃあないね。
 
 
【リューベック広場コンサート 世田谷おぼっちゃまーず】

 私の本日最後のコンサートがこれでした。時間も遅いせいか、会場に空席が目立ち始めましたので、さっそく席をゲットして、座って演奏が始まるのを待ちました。さすがに、イスに座ると疲れが出てきました。何しろ、朝から活動しまくりですから…。もう、年だな。

 この団体は、なんでも“ハルモニア杯の入賞者”とか。妻が大変楽しみにしていました。

 「世田谷おぼっちゃまーず」という、何ともふざけた名称(失礼)ですが、世田谷の学校のブラバンOBで結成されたバンドだそうです。クラリネット五重奏のバンドです。名前はふざけていますが、腕前は大したものでした。若い人が一生懸命な姿は美しいものです。

 演奏曲目は4曲。「バッハ作曲:イタリア協奏曲第1楽章」「バンドメンバーの後輩作曲:ディア・ヨハン・フロム・パリス(原曲は「主よ、人の望みの喜びを」)」「どこかの外国の作曲家が作曲:フルフェージェット(C.P.E.バッハ作曲のピアノ曲が原曲)」「バッハ作曲:イタリア協奏曲第3楽章」

 当然、バッハの時代にクラリネットはありませんので、すべて、アレンジものです。なかなか良かったですよ。バッハもクラリネットで演奏すると、何となくジャズっぽく聞こえるものですね。オシャレで良かったですよ。本日の締めのコンサートとしては、最高の出来でした。

 演奏が終わって、アゲハをコインロッカーから出して、そのまま帰るのは悔しいので、イタリアの仇をインドで取ろうと思って、有楽町駅のカレー屋でカツカレーを食べました。そしたら、口の中がカレーになってしまったので、今度はマクドナルドに行って、ソフトクリームとコーヒー(コーヒーはラ・フォル・ジュルネ会場で無料券を配っていたので、それで引き換えました)を買って、ナメナメ飲み飲みしながら、有楽町駅から東京駅までガード下を歩いて行きました。

 ああ、疲れた。でも、楽しかった。これで5月3日(日)はお終い。翌日の5月4日は家でおとなしく休んで、最終日の5日にまた東京国際フォーラムに行きました。今度は息子君も参上です。5月5日の話は、また明日アップします。

コメント

  1. こしひかり より:

    ホルン・アンサンブル、お聴きになったのですね。
    いいなあ~ 私も聴きたかったです。ホルンっていい音色でしょ?金管楽器なのに、木管楽器とアンサンブルすることが多いんです。なんだか面白い。

  2. すとん より:

    >こしひかりさん

     ホルン・アンサンブル…聞いたような、聞いていないような微妙な感じです。ま、それでも一応は聞いたって言えるのかな? ホルン・アンサンブルをやった、ミュージック・キオスクという舞台は、地上の広場というか、通路というか、そんなオープンな、通りすがりの人でもOKな入場無料なところなんですよ。で、回りは露店だらけでアルコールを含めた飲食可能な場所なんです。

     まあ、落ち着かないこと、落ち着かないこと(笑)。特に我々が行った時間は夜の宴会タイムだったので、もうそれはそれは……な状況でした。

     一応、私の中では、ホルンは木管楽器に、サックスは金管楽器になっていますので、木管アンサンブルにホルンが入っていて、サックスが入っていないのは、当然の理なんですね。

     ホルン、いいですね。すごく音色が優しくて美しいです。欠点は、(演奏するのが)難しいことと、(楽器のお値段が)高いことでしょうね。

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