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音名について その6 男声は注意!

 少し間があきましたが、音名シリーズです。

 ここまでの音名の話で「五線の下にはみ出るドは一点ハ音(またはC4)」である、とお分かりになったかと思いますが、ところがドッコイです。

 以上は女声と子供の話であって、(大抵の場合)男声は違います。男声の場合は「五線の下にはみ出るドはハ音(またはC3)」であったりします。

 へ? と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、これは「(ト音記号で表記された譜面では)男声は記譜音より1オクターブ低い音で歌う」からです。または「耳で聴いた音よりも1オクターブ低い音で歌う」といった方が分かりやすいでしょうか?

 つまり男声は移高楽器(譜面に書かれた音より1オクターブ低い[楽器によっては“高い”]音を出す楽器)なのです。本来的な話をするならば、男声の場合、ト音記号の下に小さな「8」を書き加えて書き表すのが正解でしょう。もっともヘ音記号で表記された譜面の場合は、実音を出していますので、移高楽器と考えなくてもよいのですが…。

 男声は移高楽器なので、時々話がすれ違うことがあります。片方が記譜音(譜面にかかれた音)で話しているのに、もう片方が実音(本来の音)で話していると、そのすれ違いッ振りは見事なものです。さらにこの移高がオクターブ関係なので、すれ違っているのかが分かりづらいところもミソです。

 例えば、ハイC。テノールの大きな魅力となる高音ですが、この音は三点ハ音で記譜されますが、実は二点ハ音です。三点ハ音は、女声でもなかなかやっかいな高音です。これを男声が出していると勘違いした女性は、その歌手を神の如く尊敬したりなんかしますが(しないか?)、二点ハ音と知った途端ガッカリすることもあります。だって二点ハ音は女声にとって、ある意味一番出しやすい手頃な音ですからね。「女の私ですら苦労する音を男声が出している…」から「あんな楽な音を苦労して出すなんて、男声って大変ね」に変わります。ちょっとショックでしょ。

 時々「自分は三点ハ音を出せる」と豪語する男性がネットにはいますが、大抵の場合は、記譜音と実音がごっちゃになっていると推測されます。二点ハ音なら、結構出ちゃうテノールがアマチュアレベルでもいますからね。あるいは、まだ子供でボーイソプラノなのか、なんらかの理由で声帯が子供サイズのままなのか。子供サイズのままなら、それはそれでとても貴重な存在ですね。ちょっとうらやましいです。

 ちなみに私はこのブログでは実音で書いてゆきます。

コメント

  1. Cecilia より:

    午前中コメントを入れたつもりだったのに送信できていなかったのでもう一度・・・。

    昨日はコメントありがとうございました。
    こちらを拝見させていただいて内容が濃いのに感動しました。
    女性と男性では発声も違うなあ・・・と感じます。
    私はソプラノ・メゾ・テノール・バス・・・全ての先生につきましたが、発声に関しては自分と同じタイプの声の先生が一番かな~と今思います。
    でもいろいろな意味で影響を受けたのはテノールの先生でしたけれど。
    いろいろ面白い記事が多いのでこれから少しずつ遡ってコメントさせていただくと思います。
    早速RSS登録させていただきました。
    これからもよろしくお願いいたします。

  2. すとん より:

    コメントありがとうございます、Ceciliaさん。

    >声に関しては自分と同じタイプの声の先生が一番かな~と今思います。

     全く同意です。性が違えば当たり前ですが、高音低音の違いでも、やはり身体の使い方が違うのだと思います。音楽全般に関しての指導なら、素晴らしい先生であれば、どの声種でも良いのでしょうが、こと発声や歌唱に関しては(とりわけ初歩の段階では)同じ声種の先生の方が良いと思っています。

     つい、生意気なことを書いてしまいました(照)。
     こちらこそよろしくお願いします。

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