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上手に歌う人にも色々ある

 上手に歌うって、どういうふうに歌えば良いのだろうか?
 昨今流行りのカラオケ番組風に考えれば、音程とリズムが正しく、それにビブラートとかシャクリとかの歌唱技法が付随すれば、なお良いし、上手いわけです。ならば、人間が歌うよりも初音ミクちゃんに歌わせれば良いわけです。
 ミクちゃんもかつてはかなりロボっぽかったけれど、最新のミクちゃんはなかなか人間に近づいた(?)ような気がしますが、だからと言って、ミクちゃんの歌が“上手い歌”とか“良い歌”とかには、私には聞こえません。ただ“正しく歌っている”とは思います。
 「正しい事は良いこと」ではないんですよね。そうであるなら、世の中なんて、チョロいもんです。歌の世界でもそうで、正しく歌う事は必要な事だけれど、それだけではダメなんですね。
 皆さんは、ディズニー映画「アナと雪の女王」の時の“Let it go”騒動は覚えていらっしゃいますでしょうか? 日本語吹き替え版では“Let it go”は、劇中で松たか子さんが、エンドロールではMay J.さんが歌っていました。ある意味、二人とも日本語版“Let it go”のオリジナル歌手と言えます。
 で、当時のテレビの番宣番組等では、専らMay J.さんばかりが出演し、松たか子さんはテレビに出てきませんでした。私はよく分からないのですが、ディズニーとの契約がからんでいるんでしょうね。
 で、テレビでMay J.さんが“Let it go”を歌うたびに世間がMay J.さんを叩いたものです。みんな、松たか子さんの歌唱で“Let it go”を聞きたかったんだと思います。それはなぜでしょうか?
 それは、二人の歌唱を聴き比べてみれば、その理由は簡単に分かります。だって、全然違うんだもの。私に言わせれば「松たか子さんの方が抜群に上手い」からです。
 こちらがMay J.さんの歌唱です。
 で、こちらが松たか子さんの歌唱です。
 違いがお分かりでしょうか? 音程もリズムも、どちらの歌唱でも正しいのです。おそらくカラオケ的には、そんなに大きな差はないと思われます。いやむしろ、歌姫的な観点で言えば、May J.さんの方が、よっぽど歌姫的な歌い方をしているわけですが…我々日本人の耳で聞くと…多くの人が松たか子さんを支持したわけです。
 「アレンジも違うし、歌い方なんて、それは好みの問題じゃないの?」 ごもっともです。ならば、なぜあの頃、世論はMay J.さんを支持しなかったのでしょうか? 世間の人は、松たか子さんの歌が本物で、May J.さんの歌を(言葉は悪いのですが)まがい物と感じ「まがい物のくせに、何を偉そうでテレビに出ているのだ!」という流れになっていたと思います。
 May J.さんさんには気の毒なことですが、当時の空気は、そんなものだったと思います。
 さて、あれから数年が経ち、冷静な気持ちで、例えば…この歌の一番最後の部分、30秒ほどずつでも…聴き比べてみると良いです。ね? やっぱり全然違うでしょ?
 松たか子さんが、歌詞をきちんと読み込み、エルザの気持ちや気分を、自然体で表現しながら歌にしているのが、よく分かると思います。一方、May J.さんは、彼女自身の歌唱力を前面に押し出し、歌い上げる方向で歌いきっています。
 松たか子さんがエルザとして歌っているのに対して、May J.さんはあくまでもMay J.さんとして歌っているのです。
 「何を言っているのか分からない???」
 つまり歌の世界をどう表現しているかの違いです。無論、May J.さんだって、決して何もしていないわけではありませんが、松たか子さんと比べてしまうと、歌の世界の表現力に大きな差があるわけです。劇中の松たか子さんの歌唱を聞き慣れた人にとって、テレビ等で聞くMay J.さんの歌唱には「これじゃない!」感じがして、それが不満につながったのだと思われます。
 May J.さんも、決して下手な歌手ではないのですが、松たか子さんの方が、より上手な歌い手さんだったというだけの話です。
 こういうレベルので、歌の上手さがあるんですね。

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コメント

  1. 如月青 より:

    >松たか子さんを支持
    画像2通り出して頂いて有難うございます。
    格段に松さんの方が聞きやすいです。
    これは松さんのほうが役をつかんでいる、というのはもちろんですが、私の耳には、彼女の方が発声がnaturalと聞こえます。もちろんクラシック的な声ではなく、地声で歌ってらっしゃるのだけど、舞台できたえているせいか、「ノドが開いている」のですね。我々も調子がよいと経験できますが、声を「出している」のではなく、自然に出てくる響きを手に取って曲想に合わせて動かしている、という感じ。
    May.Jさんも目立つアラはないのですが、特に低音で、ノドに力を入れて響きを押し下げているように聞こえます。結果、本人が努力して表情をつけているのに、かえってわざとらしく聞こえてしまうのではないかと。
    昔通っていた教室の先生は、あまり技術的なことを言わず、「心で歌えれば技術は自然についてくる」メンタル重視派でした。一見とっつきやすいので、生徒の評判はよかった。ただ、「曲がつかめた」ということは、その曲にふさわしく身体条件が整った、ということなので、私のようにカンの悪い人間は、よくできた時とできなかった時の差はどういう身体の動きによるものかの説明や指導があるほうが有難いです。
    今のソロの先生は、かなり徹底したphysical派なので、その点は助かってます。こちらがトシということもあって、言われた動きを会得するのがどんどん難しくなっていくのが悔しい...

  2. すとん より:

    如月青さん
    >心で歌えれば技術は自然についてくる
     まさにそのとおりだと思いますが、その“心で歌う”のが難しいんですよね、私は理が勝つ人なので、それでは、なかなか難しいです。
     技術をPhysical面から教えてくださる先生は、ある意味、万人向きで親切な先生だと思いますが、私のような不器用なジジイだと、言われた事が簡単にできないし、できないものはできないんですよね。私も、何度も何度も腹筋の注意を受けてますが、未だに十分に動かせたことはありません。
     心も体も思う通り動かないのです(涙)。いやあ、困っております(汗)。

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