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遠い地平の彼方の存在

 中国の若者たちの間で“躺平(たんぺい)主義”という言葉が流行っているのだそうです。“躺平”とは寝そべる事ですから、日本語で言えば「寝そべり主義」って事になるのでしょうか?
 具体的には、意図的に生活レベルを最低限にまで落とし(例えば、1日2食にするなど極力お金を使わない)なるべく働かず、人とも付き合わず、極限まで消費活動を控えて生きていく事なんだそうです。そうして、なるべくお金を使わないように暮らし、それでも手元のお金が無くなったら、ごく短期間(1~2ヶ月)だけ働いて、またその収入で、数年は寝そべったままの生活をするんだそうです。
 うーん、想像できない。日本で言えば、ひきこもりに近い生活かとも思ったけれど、日本のひきこもりはお金に不自由していないイメージがあるよね。ネット通販でバンバン買い物して物欲は満たされているし、食事は1日3食だし間食にジャンクフードをたっぷり食べているわけだし(だからデブのイメージがあります)、ネットを使って、他人とのつながりは案外豊富だし…そう考えると、全然違う。
 むしろホームレスに近いのかもしれない。でもホームレスは主義主張でやっているわけじゃないもの。ホームレスの場合、ホームレスしかできないからホームレスになっちゃったわけで、そこは躺平さんたちとは決定的に違うと思う。少なくとも、躺平さんたちは、望んでそういう存在になり、意図的にそういう生活をしているわけだからね。
 「仕事を減らし、消費を減らし、誰も愛さず、誰とも関わらず、自分のためだけに生きる」のが彼らなんだそうです。家で寝そべり、戸外で寝そべり、犬や猫のように寝そべって生きる。しかし、自分たちの人格と尊厳は手放さない。
 一種のヒッピーのような存在なのかしら?
 彼らは結婚もせず、子供も持たず、家も車も買わず、起業もしない。つまり、何もしない。ただ生きているだけ。
 逆に言えば、結婚して、子どももいて、家も車もあって、ちゃんとした定職についているような人間(例えば私)は、彼らとは真逆の遠い地平の彼方にいる存在なのであろう。 あまりに私から遠い存在すぎて、彼らの事を身近に捕らえて考える事はできませんが、もしかすると、彼らのような存在は、かつては日本中で見られて、今では絶滅してしまった“清貧な生き方”に近いのかもしれません。
 日本の若者たちは、ここまで貧しくはないけれど、親世代よりも少ない収入で暮らしている人たちも多く、失業率も高く、未婚率も高く、自家用車を所持しない人が増えています。考えたくはないけれど、やがて日本の若い世代も、清貧であったり、躺平であるような生活をする人たちが増えてくるのかもしれません。
 経済が縮小し、貧富の差が開いていって、貧困が普通になってくると、こういう人たちが現れてくる…のかなあと思うと、日本の未来の姿もこんな感じになってくるのかもしれないなあと思いますが…その頃、当然私は死んじゃっているわけです。でも、自分の子孫たちが、こんな生活になってしまうのかもって思うと、ちょっといたたまれないです。

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