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「パヴァロッティ 太陽のテノール」を見てきました

 これは早めにレビューしないと劇場から消えてしまいそうなので、急いでアップする事にします。標題のとおり「パヴァロッティ 太陽のテノール」というドキュメンタリー映画を見てきました。あまり多くの映画館で上映されていないみたいだし、上映期間も、おそらくそんなに長くはないだろうから、見たい方は急いで見に行くべしです。見るなら、映画館の素晴らしい音響設備で見たい(聞きたい)タイプの映画だからです。
 内容は…パヴァロッティの伝記です。昔なら伝記映画(カルーソーなら「歌劇王カルーソー」とかね)になっていただろうものを、今は各種映像や音源が残っている時代なので、それらを編集してドキュメンタリー映画を作成したのだろうと思われます。数年前に「私はマリア・カラス」というマリア・カラスのドキュメンタリー映画が公開されましたが、あれのパヴァロッティ版だと思えは、まあ正解です。ちなみに監督のロン・ハワードは「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years」というビートルズの伝記ドキュメンタリー映画も作っていますので、ドキュメンタリーはお手の物なんでしょうね。
 内容は…遺族とか友人知人の協力を得て作られているドキュメンタリーですから、あまりパヴァロッティの事を悪くは言ってません。むしろ、彼の善行面に焦点を当てた構成になっているかも。まあ、彼のスキャンダルを描くのが目的ではないので、これはこれでアリでしょうね。
 ドキュメンタリーですが、わりかし多めにパヴァロッティの歌が聞けるので、まあ良しって感じかな? もちろん、本格的に彼の歌が聞きたければ、ドキュメンタリーではなくライブ映像を見た方が良いわけです。
 マリア・カラスのドキュメンタリー映画に関しては、彼女の生涯は、多くの人が知っている(もちろん私も知っている)し、後半生は、どうしたってスキャンダル中心にならざるをえないので、ドキュメンタリーを見ても「ああ、またか」って感じがしましたが、パヴァロッティの生涯って、案外知らないので、私はドキュメンタリー部分も結構楽しめました。
 多くの人たちがコメンテーターとして出演していますが、その中でもプラシド・ドミンゴは実に何度も登場して多くのコメントを残していますが、そのドミンゴは、パヴァロッティがポピュラー音楽にうつつを抜かしている時期には全くコメントせず(その代わり、その時期については、U2のボノがコメントしています)彼がオペラ界で活躍している時期だけにコメントをしている事に私が気づき、なんか映画をみながら「うむうむ、さもありなん」と思ってしまいました。
 それにしても、パヴァロッティって人は、マネージャーとか愛人とかに、本当に振り回されていたんだなあって感じました。映画を見ている限りでは、食い物にされていたように思われました(実際はどうなんでしょうね)
 このドキュメンタリーは、ある程度、オペラとかクラシック声楽とかパヴァロッティとかに基礎知識がある人向けだと思うし、そういう人は、それなりに楽しめると思いますが、一般人向けの映画とは思えませんので、見たい方は早めに見に行った方が良いと思います。きっと、あっという間に上映期間が終わっちゃうと思うんだよね。
 ちなみに多くのコメンテーターが色々なことを話していますが、その中から2つのコメントに関して私の感想を書きます。
 グリゴーロが「テノールの声は自然ではない」と言っていた事に関しては、全く同意しました。自然ではなく、ムチャをしている声…だと私は思ってます。なので「テノールである」というのはあくまでも結果であって「テノールになる」というのが正しい言い方だろうと思うし、そう考えるなら、グリゴーロのコメントは聞きようによっては極端だけれど、そう思う方が正しいんだろうね。
 あと、ボノが晩年の、声が衰えたパヴァロッティをかばって「声がダメになっても、歌にはその人の人生が現れる」から晩年のパヴァロッティの歌も素晴らしいと言ってますが、それはポピュラー音楽の価値観であって、クラシック音楽は再生芸術なので、歌手の人生よりも、美しい歌声の方が大切だと思うので、ボノの発言には同意できませんでした。歌手は、あくまでも作品や作曲家に奉仕する下僕だという事を忘れてはいけないのです。

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コメント

  1. ショウ より:

    すとんさん
    パヴァロッティ好きなので、興味湧いてきました。
    見に行ってみようかな。

  2. すとん より:

    ショウさん
     ぜひぜひ、この週末にでも御覧ください。なかなか興味深い映画だと私は思いました。急がないと、終わっちゃいますよ(笑)。

  3. 通りすがり より:

    こんばんは。
    視聴されたとの事でちょっとお聞きしたいのですが。
    パヴァロッティの歌の部分で音響的には
    音量、残響等実際のホール等のものに近いのでしょうか?
    よろしければお聞かせ願います。

  4. すとん より:

    通りすがりさん
    >パヴァロッティの歌の部分で音響的には
    >音量、残響等実際のホール等のものに近い
     まさか! それは映画じゃ絶対に無理です。今の最新の録音技術でも、それは無理ってモンです。
     元の音源の状態もあって、音響的には色々な状態のモノがあります。コンサートの音源等の良い音源だと、CDレベルの音響を保っていたと思います。全体を通して、シネマコンサートとしては、中の上ぐらいだと思います。私は特に不満はないですよ。

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