先日のレッスンでキング先生におもしろいことを言われました。それは発声練習の時に「アゴを動かしてブルブルさせてください」
??? 具体的に言うと、声を出している時に、アゴを左右に動かして声を震わせると言う奴。別に目的は声を震わせてることではなく、発声の最中でもアゴが自由に楽に動けることを確認しましょうということです。
アゴが自由に楽に動ける? つまり、アゴの力を抜いて楽に発声しましょうってことです。逆に言うと、アゴに不必要な力が入っていると、アゴがカチンコチンになって、うまく動かないわけです。
これ、おもしろいですよ。普段、アゴなんて左右に動かさないから、不器用な自分が発見できるし、何よりも、アゴに力が入っていると、本当に動かないから不思議。
先生がおっしゃるには「いつもいつもやる必要はないけれど、たまにやってみると、アゴの力が抜けているか確認できますよ」とのこと。
実際に、アゴに力が入っていると、なんか硬くて余裕のない声になってしまいますが、アゴの力が抜けていると、柔らかい聞きやすい声になるから不思議です。
ちなみに私はアゴに力が入りやすいタイプ。常に入っているわけではないのだけれど、口の中を大きく開けようとした時に、うっかりアゴに力が入ってしまうことがあります。要注意要注意。
とにかく,アゴに限らず、身体のどこかに無駄な力が入っていると、声は硬くなってしまいます。ただし、顎関節症の人は無理にやらないこと、とも先生おっしゃってました。顎関節症の人には、確かにコレ、キビシイよね。
と言うか、顎関節症の人って、声楽そのものをやるのがキビしくないか? それとも、口が開かなくても、口の中が開けば問題ないから、関係ないのかな? プロの声楽家に顎関節症の人っているのかしら? 喘息のマラソンランナーってのもいるから、案外、顎関節症のオペラ歌手なんて、いたりして。 思わず脱線。
アゴをブルブルは、たまにやるとおもしろい練習法(確認法?)です。
コメント
こんばんはー。
ということはテノールは顎を下に落として口を大きく開けるのですか?私が習ったときは口はあまり開けずに(解剖学的に顎を下に落として大口を開けると喉も下がるとのこと。)耳の付け根から頭がい骨の奥に向かって(これは気持ちの問題)深堀りするよう(うーん、うまく言葉に表せない)に開けろと習いました。先日の公開レッスンでも口を開けすぎるなと注意されてる生徒さんもいましたしね。
この辺のソプラノとテノールの違いはやっぱり松尾先生に聞いてみなきゃいけないかも。
>あゆみさん
実は以前「アゴの開け方、落とし方 または 男声と女声の違い」(http://stone.tea-nifty.com/blog/2008/02/post_dd75.html)という記事を書きました。これが合っているかどうかは、未だに自信がないのですが、確かに男女でアゴの開き方が違うような気がしています。
もっとも、これも、性別による違いなのか、流派による違いなのかは、よく分かりませんが、でも、おおむね男性…、女性は…って、傾向があるような気がします。
骨格も違えば筋肉量も違うのですから、男女でやり方が違っても全く不思議ではないと思います。やり方が違っても、結果が良ければそれで良いのが歌の世界だと思いますし。
To Ston & Ayumi
顎の脱力は歌唱に於いて大変重要な問題ですが、顎の落とし方にこだわると、かえって自然な動きが出来なくなる事態がおこります。むしろ正しい発音を心がける事が顎の脱力に繋がるかも知れません。
顎の落とし方については「美声学」第5章で触れていますが、顎を落とした時に下歯が見えるのがひとつの目安となるでしょう。
女性は男性に比べて顎を落とす意識よりも口腔を拡げようとしますし、男性は顎を落として口を大きく開こうとするのは、女声はVoce di testaつまり頭声から声門閉鎖を行おうとするのに対し、男声はVoce di petto、声門閉鎖しやすい胸声から高音域を作ろうとする違いではないかと考えられます。
松尾篤興
>松尾さん
アゴの落とし方が重要なのではなく、アゴの脱力と正しい発音が肝心なのですね、肝に銘じておきます。私の先生もアゴの落とし方を注意されたことはありません。口(ノドも含む)を開くことを中心に注意されます。枝葉末節にこだわって、分けの分からないところに行ってしまうのが、私の欠点なんです(笑)。
男女でアゴの開け方が、結果として違うのは、常用する声域の違いから異なった方法論を取ろうする事から生じるわけですね、納得です。しかし、これにしても、この開き方にこだわったら間違いで、まずは正しい発音があり、そこを目指すべきなんだろうと思いました。
さっすがー、松尾先生!ワタシは先生のファンです。こう明確に理論的に説明されるとうれしいですね!