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高いフルートと安いフルートを比べてみました

 高いフルートはアゲハのこと、安いフルートはチャイナ娘のこと。なんか値段で話をするのは下品な感じがして、ちょっとイヤなのですが、検索のことを考えた場合、こんな直接的な表現の方が、より情報を必要としている人にヒットしやすいだろうと配慮して、こんなタイトルにしました。あああ…。

 それはさておき…。アゲハ(アルタスA1307:約58万円)とチャイナ娘(ジェー・マイケルFL-280:約3万円)を比較してみました。(値段は定価ベース。チャイナ娘の定価って意外に高いんだよ、びっくり)

 アゲハとチャイナ娘、価格差は考えるだけムダというくらい違います。だいたい、片方は日本の職人さんが心を込めて作った笛。片方は中国の大量生産品。総銀フルートと、真鍮に薄いメッキの楽器。鍵付きのショーケースの中に飾られていた笛と、お店の真ん中にむき出しで展示されていた楽器。ローンを使って買った笛と衝動買いをした笛。そりゃあ、色々と違いますし、違わなければ困りますが、その違いは果たして価格差ほどあるでしょうか?

 興味あるでしょ? さっそく比べてみました。

 まず全体の姿。長さはさすがにだいたい同じ。でもよくよく見ると、穴(トーンホール)の開いている位置がひとめで分かるくらい、違うところに開いている。つまり設計は全然違うわけだ。おもしろい。

 笛の色。チャイナ娘は、渋くメタルっぽい色をしてます。銀メッキとメーカーさんは言ってますが、本当のところはどうなんでしょうね。他の銀メッキのフルートと比べても、かなり鈍くて厚みを感じさせる色合いです。厚みを感じさせるくせに、実際のメッキはとても薄くて、使用一カ月ほどでメッキがはがれ始めました。ダメじゃん。

 対してアゲハはピカピカの銀無垢です。特に違うのは、開口部から笛の中をのぞき込んだ時、チャイナ娘は冬場の夕暮れのような感じにうっすらと光ってますが、アゲハはLEDでも仕込んであるんじゃないかと思うくらい、ピカピカの光の輪が何重にも見えました。これ、全く違うよ。

 管厚。チャイナ娘はかなり厚くて、見た目でアゲハの三倍くらいの厚みの笛でした。そりゃ、重いはずだよ。この管厚がチャイナ娘の特徴的な太めの音色を作っていたんだと思うと、それはそれで納得。たぶん管体が厚い方が低い技術でも作りやすいのでしょうね。

 固さ。チャイナ娘はとても硬いです。凶器としても使えそうですが、アゲハはとても華奢です。体重かけてフンと押せばヘコんでしまいそうです。

 重さ。重い重いと言われ続けたチャイナ娘は意外なことに420g。アゲハは…460g! なんと、アゲハの方が華奢なのに重いのです。でもね、持った感じはアゲハの方が軽く感じます。ちなみにヤマハのホームページによると、普通の総銀フルートで440g、14Kのゴールドフルートが500gだそうです。もっとも、ヤマハのフルートって全体的にゴツくない? 他のメーカーのフルートよりも、絶対重い気がするけど、どうなんだろ? ま、それはともかく、アゲハは総銀フルートの中では重量級ってわけです。チャイナ娘は本来、軽い材料で作られているのだろうけれど、目で見て分かるほど管厚が厚いので、その分、重くなっているのでしょう。また、各パーツの重量バランスもかなり悪いので、余計重く感じるのだと思います。

 音色。違います。でもこれは、善し悪しではなく、好き嫌いでしょう。どっちも深めの太めの音色で味わいがありますが、やはり素材の違いか、全くタイプの違う味わいです。ただし、音色のバリエーションについては、比較になりません。それこそ変幻自在な音色をもつアゲハに対して、〇と×の二つの音色しか持っていないチャイナ娘という差は否めません。

 音の響き。決定的に違います。チャイナ娘はほぼ生音って感じだけれど、アゲハはとてもよく響く音を出します。また吹いている時に、チャイナ娘は微動だにしませんが、アゲハは吹き方によって、楽器全体に波動を感じて、なかなかいい感じになります。またアゲハはリング式なので、楽器のあっちこっちから音が出てくるので良い感じです。

 音量。私には同じ程度に聴こえますが、妻は全く違うと言います。「明らかにアゲハの方が音が大きい。チャイナ娘は書斎のドアを閉めると聴こえなかったけれど、アゲハはドアが閉まっていても部屋越しによく聴こえるし、二階にいてもよく聴こえる」のだそうです。ちなみに私は一階の自分の書斎で笛を吹いてます。

 音程。アゲハは平均律に近くチューニングされているので、チューナー・チェックをしながら吹いてみると、まずグリーンランプをハズすことはありません。

 一方、チャイナ娘をチューナーに合わせるためには、2cm程度も頭部管を抜かなければいけませんし、そこで「ラ」を合わせても、その他の音はほぼすべてチューナー的に正しい音は出ません。ひとことで言っちゃうと、チャイナ娘は音痴です(笑)。ただし、チューナーに合わせることを考えずに、頭部管を根本までしっかり差して込んで吹いてみると、全体的にかなり高くなりますが、使えないほどひどい音程ではなくなります。つまりチャイナ娘は、基本ピッチがでたらめなくらい高く設計されているのですね。中国人は高いピッチがお好みなのでしょうか?

 吹き心地。チャイナ娘は「そんなもん」って感じの吹き心地なのに対して、アゲハは「うっとり」って感じ。この部分はとても違う。チャイナ娘の吹き心地が悪いとは思わないけれど、笛に息を吹き込んで音になるまで、極々短い時間だけれど、反応がすこしゆっくりしていて、演奏に支障があるかと言われると別にないだろうけれど、何となく…って感じ。キー操作もいかにも「キー操作してます」って感じになるんです。

 アゲハは、笛に息を入れると間髪入れずに音が出てくるって感じ? おまけに、当たり前だけど、優しい息で優しい音が、強い息で強い音が出てきます。音色も豊富だし、キー操作だって特に意識せずに気持ちよくできる。数字やスペックでは表現できない何かが、かなり違うって感じなんだ。日本職人の手仕事に敬意を表したい気分です。

 人間に例えてみると…。チャイナ娘は、元気で庶民感覚あふれる優しいお姉さん。ちょっとおっちょこちょいでドジなところもあるけれど、なんか憎めない人です。街の商店街なんかにいそうです。ちなみに元気だけがとりえで、あまり仕事ができるタイプではありません。ガサツでアバウトな性格です。

 アゲハを人間に例えてみると…進学校に通う秀才タイプの女子高生かな? とにかく頭はいいし勉強はできる、係や委員会もソツなくこなすけど、一見すると、冷たい感じで、見知らぬ人には簡単に心は許さない。その上、人づきあいが苦手で、女友だちのグループには入らずに一人でいることが多いタイプの子。でも、親しくなると、実は親切だったり、可愛らしい面も見せてくるようになる。本人的には自覚はないだろうけれど、いわゆる“不思議ちゃん”だし“ツンデレ”なお嬢様。欠点は、世間知らずでタカビーなところ。これからオジサンが、世の中の事を色々教えてあげるからね~。

 リアルな人間なら、アゲハよりもチャイナ娘の方が好みだな。でも、笛は人じゃないから…。

 ブラインド・テストをしてみました。妻(フルートは全く吹けません)にどっちがどっちの笛とは教えずに、彼女の後ろで笛を吹いて、どっちがアゲハか当てさせました。

 聞いた瞬間に違いが分かったそうです。で、実際、正解しました。

 「どう違ったの?」って尋ねたら「こっちは高い楽器の音がした」とアゲハの方を指さしました。理屈じゃなくて、音が違うのだそうです。

 「音が違うって言うけれど、どのくらい違うの?」「楽器の種類が違うんじゃないかってくらい違うよ」だそうです。

 ただし、音は違っても、曲になると曲に集中しちゃうから、楽器がどうとかは思わなくなるそうです。「曲を聴く時は、楽器の音色なんか気にしないからね」 まあ、そんなものかもしれない。

 「値段の違いほど、音の違いってあると思う?」「私はあると思うよ。それくらい全然違う。でもその辺の感じ方は人それぞれだからねえ…」だそうです。

 ひとまず安心しました。目の前で吹いてみて、区別がつかなかったり、チャイナ娘をアゲハだと答えられた日には、高い金を出してアゲハを買った意味というのがなくなってしまうからね。でも、やはりだいぶ違うみたいだね、アゲハとチャイナ娘。でもでも、どっちも大切な私の伴侶です。

 引退したとはいえ、月に一回くらいは、チャイナ娘もケースから出して、吹いてあげるつもりです。

コメント

  1. めいぷる より:

    比較するって、色々な意味で面白いですね。
    今の様にブログが流行る前、HPを持っているお仲間と、面白がって重さ比べをしました。^^; お友達のサイトに残っていますのでご紹介します。 皆、キッチンスケールで量っているので誤差は大きいとは思いますが、面白いですよ。

    http://www5b.biglobe.ne.jp/~mitosui/w7_hokensitu.htm

  2. すとん より:

    >めいぷるさん

     拝見しました。おもしろかったです。それにしても、みなさん、ご立派な楽器をお持ちで…。

     ま、重さに関して言えば、私もキッチン・スケールで量っているので、多少の誤差はあると思いますが、それにしても、アゲハは重いことが判明(、しかし、上位機種のPSより重いというのはありえないはずだけど…)。

     これはきっと、たぶん、私が“重い楽器”の音が好きなんでしょうね。これもそれも、たぶんチャイナ娘による刷り込みだろうなあ…。あの娘とつきあって、重い笛の音に目覚めたんだろうなあ…。

     もし次にフルートを買い足す時は、管厚のH足付きって奴にするべきなんだろうなあ…。

  3. あゆみ より:

    確かにヤマハの作りってごつい感じですね。私も突然アルタスにしようと決めたときにヤマハのものも含めて4,5本試奏したときにヤマハの横にお並ぶとアルタスって華奢に見えましたが持つと軽いというわけではなかったです。まあ計ったわけではないですが。

    昨日のすとんさんのコメに奏者が違うと音が違うとありましたがまさにそのとおりで、私のアルタスを先生に吹かすと聞くも無残な(!)トランペット風音色でした。「ビヤー」って感じです。(激爆)あの柔らかい銀っぽい音色はいずこに?でしたよ。アンブッシャーと息のスピードの違いですが・・・。

    ヤマハはこれほど変わらないと思いますね。(ヤマハのすべての機種吹いたわけではないし、単なる私の個人的感想ですが)

  4. すとん より:

    >あゆみさん

     私が思うのに、ヤマハのフルートは器が大きいと思います。どう大きいかと言うと、奏者の違いや癖を楽器の側が飲み込んで、常にある一定範囲内の良い音を出すようになっていると思います。簡単に言っちゃうと「誰が吹いてもヤマハの音がする」ってことかな? 高級機種は分かりませんが、私が試奏したナンバーモデル(~中級品までネ)に関しては、そういう感想を持ちました。

     楽器の個性が強いと評価できる一方、奏者の個性が表現しづらいとも言えます。でも、少なくとも中級品までの楽器は、これでいいのかもしれません。ヤマハって、比較的、初級者の使用が多いメーカーですが、初級者が音色のことを考えずに、フルートを楽しんだり、合奏や吹奏を楽しめるのですから、これは大きなアドヴァンテージでしょう。大切なことです。音色のことを考えないで済むということは、音色で悩まないってことですからね。その分、純粋に音楽が楽しめるというわけです。

     その点アルタスは…音色で苦労しそうです。奏者の個性や癖がおもしろいくらいダイレクトに反映するような気がします。実際、奏者やその体調で音がだいぶ変わると思いますよ。そういう意味では、初心者の多い、学校の吹奏楽部などには向いていないのかもしれませんね。みんながみんな、バラバラの音色で吹いていたら、合奏としてはどうなの?って感じがします。

     ちなみに私、今のところ、毎日、違った楽器を吹いているのではないかという錯覚がするくらい、日々色々な音色でアゲハを吹いてます。いやあ、楽器にふりまわされっぱなしです。

     あゆみさんの先生のトランペット風の音色って、なんとなく想像できます。クラシックの方ですよね? ジャズの人だったら、すごい武器になりそうな気がします。あの音はあの音なりに、私好きです(笑)。柔らかい銀っぽい音色から、輝かしいトランペット風の音色まで、幅広く楽しめるのは、このメーカーさんの特徴なのかもしれません。

     そうそう、アルタスは華奢に見えますが、実は重い楽器みたいですよ(笑)。

  5. ゆず より:

    w頑張って練習してくださいw

  6. すとん より:

    ゆずさん

     “w~w”ですか? 小馬鹿にしているわけですか…。ゆずさんは、私などからすれば、恐れ多いほどの、とてもお上手なフルーティストなんでしょうね。でも、いくらご自分がお上手だからと言って、素人のオジサンフルーティストを下に見るのは、いかがなものなんでしょうね。その見識を疑います。

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