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LFJ2019 その7 ディーヴァオペラ

ディーヴァオペラ
 東京国際フォーラム B7ホール

 モーツァルト「後宮からの誘拐」
  ベルモンテ(スペインの貴族):アシュリー・カトリング
  オスミン(太守の監督官):マシュー・ハーグリーヴズ
  ペドリッロ(ベルモンテの召使):リチャード・ダウリング
  太守セリム:デイヴィッド・ステファンソン
  コンスタンツェ(ベルモンテの婚約者):ガブリエラ・キャシディ
  ブロンデ(コンスタンツェの召使、英国人):バーバラ・コール・ウォルトン

 さて、お楽しみのディーヴァオペラです。今年の私は、これが見たかったんです。

 こちらのオペラは、ピアノ伴奏のオペラです。出演者はみな白人さんで、演目とヴィジュアル的に合っています。まあ、トルコ人役もいますから、オリエンタルな人がいても、リアルかもしれませんが、オペラはファンタジーですから、オール白人キャストは大歓迎です。

 大道具はほとんどありません。ついたてと、ソファと、小机と、植木4つぐらいです。実に簡素な大道具です。その代わり、衣装とかつらは、かなりきちんとしていました。なので、あまりチープな感じはしません。

 問題が大アリだなと思ったのは、原語(ドイツ語)上演なのに字幕がない事。訳詞は小冊子にして入り口で配布しているんだけれど、舞台が始まると舞台は暗くなってしまうので、小冊子を読みながらの鑑賞はかなり難しいです…ってか、小冊子に目を落としていたら、舞台の芝居が見れないから現実的ではありません。それに、LFJって、初心者向けの音楽祭のはずで、だったら字幕サービスぐらい、当然付けないとマズイでしょ?

 字幕がない…とは事前に知っていたので、私は事前にしっかり勉強しておきました。少なくとも歌詞に関しては、何を言っているのか分かる程度に、丸暗記しておきました。ただ、このオペラ、シングシュピールなので、セリフの部分があるんですよ。レチタティーヴォじゃなくてセリフなんです。で、このセリフってのは、大筋というか原案的なものは当然あるのだけれど、上演のたびに舞台監督が作っていくので、細かい部分は上演団体ごとに違っているわけです。当然ですが、ディーヴァオペラ版のセリフは、標準的なものとはだいぶ違っていました。問題は、違うのは分かるんだけれど、どう違うのかが、私のドイツ語能力では全然分からない事です。ああ、残念。まあ、ヨーロッパでオペラ見物しているつもりになって見ていました(ヨーロッパの歌劇場では、当然日本語字幕なんてないもんね)。

 しかし…暗い中、皆さんはしっかり小冊子を読んでいたようで、一斉にページをまくる音が場内に響くのも…なんか興ざめです。仕方ないけれどねえ。

 肝心の演奏の方は、実にすごかったですよ。B7というホールはかなりデッドで、正直、歌には向かない会場なので、後ろの方で見たら、また印象が変わると思います(B7ホールは縦に長くて平らなホールなので、音が聞こえづらいはもちろん、歌手たちの姿も後ろだと見えない…と思います)が、私は幸運な事に最前列でご鑑賞だったので、しっかりとオペラを堪能させていただきました。

 ディーヴァオペラという団体は、室内楽オペラの団体ですが、歌っている方々はかなりパワフルに歌っていました。モーツァルトのオペラというと、良くも悪しくも大人しめの上演スタイルが思い浮かびますが、この人たちは、特に変わった事はしないけれど、歌はかなりパワフルに歌うので、今までのモーツァルト上演とは、ちょっと印象が違いました。もっとも、彼らがパワフルに歌っていたのは、会場がデッドだったせいもあるかもしれませんが…(でないと、後ろの方まで聞こえないからね)。

 で、音量もさる事ながら、技巧的にも上手な歌手さんが揃っていました。どれくらいお上手かと言えば、歌いながら演技をしたりダンスをしたりと…誰一人として立ちん坊な歌手がいなかったんですよ。また、その演技も上手(ダンスは…まあ踊れていますよね程度でしたが:笑)

 ちなみに、このオペラ団、裏方とか合唱団とかがいないんです。ですから、大道具の移動は、出演者たちが小芝居しながら移動していましたし、合唱は、最後のフィナーレ以外はカット。最後のフィナーレの合唱(実は、格付けチェックのテーマソングとして使われています)は、合唱ではなく、出演者たちが声楽アンサンブルとして歌っていました。

 で、カットされていたのは、合唱だけでなく、アリアもあれこれたくさんカットされていました。まずもって、脇役のアリアはザックリとカットです。主役のアリアも繰り返しはカット。セリフも大幅カットです。なにしろ、普通に上演すれば休憩無しでも2時間半かかるオペラを、休憩込みで2時間にしての上演ですから、全体の1/3程度はカットしなきゃいけないのだから、そういう大胆なカットにならざるをえません。

 それだけカットしても、オペラとしてのストーリーはきちんとしていましたよ。ただ、私的には、脇役テノールのペドリッロのアリアをたくさん聞きたかったのですが、ほとんどカットされてしまったのが残念でした。まあ、脇役なんて、そんな扱いだよね。

 それにしても、出演者たちは、カットのせいもあって、ほとんど休み無く、入れ代わり立ち代わりアリアや重唱を歌い続けているわけで、これはなかなか大変なオペラだなって思いました。

 それにしても、期待を膨らませて見に行った私ですが、期待通りに素晴らしい公演で、大満足でした。このレベルのオペラがLFJで見られるなら、毎年やって欲しいと思いました。

 ただ、上演終了時間がほとんど午後11時ってのは、遠方からやってきている私にとっては、ちょっと遅かったです。まあ、終電にこそなりませんでしたが、家に着く頃は、当然日付が変わっていたんですよ。ふう。

 というわけで、私達にとっては初日のLFJは、こんな感じでした。続きはまた明日。

 

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