スポンサーリンク

2011年 ラ・フォル・ジュルネに行ってきたよ その8…まとめと感想

 では、例年のように、今年のラ・フォル・ジュルネのまとめを個人的に行いたいと思いま~す。

 まずはダメ出しから(笑)

 展示ホールの企業ブースがなかった事。 寂しかったです。ある意味、この展示ホールに出店で出てくる、たくさんの企業ブースが、ラ・フォル・ジュルネの華の部分であり、私が大好きな場所なんです。ここに来ないと買えないもの、ここに来ないと知ることのできない情報が、たくさんあるんですよ。企業主催のミニ講演会/ミニライブも、毎年の楽しみでしたし、ブースでの買い物が楽しいんですよ。ここにいるだけで、結構楽しめるのですが…それがなかったのが、とても寂しかったです。

 売店の規模が小さかった事。 展示ホールが無くなってしまったけれど、いわゆる“売店”が全くなくなってしまったわけではありません。地上広場とか、地下1階の広場とかに、例年と比べれば、かなり小規模でしたが、お店が出ました。しかし、こちらが買う気満々であっても、屋外のテントに商品平積みでは、不思議と購買意欲がそそられないんですよ~。それに、実際、買い物客も少なかった様子です。たぶん、売り上げ的には、大したことなかったんじゃないかな?

 当日フラッと来ても見れる有料コンサートがほとんどなかった事。 ま、これは実は今年に限らず、毎年の事です。これがあるから、ラ・フォル・ジュルネは、地方展開とか規模拡大とかをしているんだろうと思いますが、やっぱり当日買える有料チケットがあまりないと言うのは、商売的にも興行的にもマズイですよね。

 アーティストたちが忙しそう。 プログラムの数が減った事もあるだろうけれど、来日しているミュージシャンたちの絶対数が、たぶん少ないんじゃないかな? どのアーティストさんも、忙しそうにしていました。おそらく、次から次へとスケジュールが詰まっているんでしょうね。例年のような、ゆったりとした表情がアーティストたちから消えていました。いや、夕方ぐらいになると、明らかに、お疲れさんの方もいらっしゃましたし…。例年だと、地上広場でくつろいでいるアーティストさんも、たくさんいたんですが、今年はそういう姿は、チョボチョボとしか見かけませんでした。

 ガラス棟の演奏会場やマスタークラス会場に行くには、エレベーターしか移動手段がない事。 これは建物の構造上仕方ないのだろうけれど、私は階段を使って昇り降りをしたい人なんです。だけど、今年は、階段使用不可になっていたのが、残念だね。東京国際フォーラムの階段って、すごく解放感があって、私は大好きなんだけれどな。それに、エレベーターに閉じ込められて移動するのって、実は好きじゃないんだ。

 会議室を会場としたいなら、ステージを敷設して欲しい。 せめて一段だけでも、高くして欲しかったな。ステージと客席が同じ高さの床だと、アーティストがピアニストだったりチェリストだったりすると、二列目以降は、ほとんどアーティストの姿が見えなくなります。せめて、30cmでもいいから雛壇を用意して、その上で演奏してくれると、だいぶ違うんだけれどなあ…。

 周辺エリアコンサートも、なるべく電気的な拡声を避けてくれるとうれしい。 すべての会場で、演奏を聞いたわけではないので断言しちゃいけないのだろうけれど、やっぱりクラシック音楽なんだから、基本的に拡声はいらないんじゃないかな? みんなで耳を澄ませて音楽を聞こうよ。だってね、演奏音を拡声することで得られる事も確かにあるけれど、失う事だってあるんだよ。だから、その損得を天秤にかけて考えた方がいいと思うし、天秤にかけたなら、ポピュラー音楽ならともかく、クラシック音楽は拡声しない方が絶対にいい、って私は思ってます。だってね、マイクを通すと、楽器の音色って変わるでしょ。アーティストたちは、その音色にこだわって演奏しているのに、それが電気を通すと変わっちゃうんだよ。それってマズイでしょう。それに、聞こえなきゃ聞こえないでいいと思うし、どうしても雑踏の雑音が大きめなところでコンサートを開きたいなら、歌手とかピアニストなんて呼ばないで、ブラバン呼んでくればいいじゃん。

 公式ガイドブックが発行されなかった事。 どうやら正式に作成され、アマゾンを見ると、一度は販売ルートに乗ったらしいですが、結局、販売中止となり、今年はうやむやのうちに無くなってしまいました。おそらくは、旧プログラムに基づいて作成されたガイドブックであり、新プログラムで作り直すには、時間的制約など色々と困難があったので、止めちゃったのではないかと憶測します。私は、2008年から公式ガイドブックをいわば“思い出の品”として毎年揃えていただけに、入手できなかったのは、実に残念です。個人的には、旧プログラムのものでも良いので、ぜひ入手したいです。あ、ついでに言うと、うっかりしていて買えなかった2007年の公式ガイドブックも、今更だけど入手できるといいなあ(ボソッ)。

 
 
 さて、ダメ出しばかりじゃ、イジワルな小姑さんになっちゃいますので、よかった点もあげましょう。

 開催できた事。 まず“よかった点”と言えば、これですね。ほんと、開催できてよかった。関係者の方々の働きに感謝です。やってきてくれたアーティストの方々に感謝です。

 展示ホールが完全入れ替え制になっていた事。 毎年、展示ホールの八角形のステージ周りの椅子が「場所取りはご遠慮ください」となっていても、ほとんどの席が荷物を置かれて、場所取りされているんですよ。で、荷物を置きっぱなしにして、肝心の演奏の時間に姿を表さない人も結構います。だから、立ち見は押すな押すなの大盛況なのに、座席の方には、空席がチラホラって状況は、なんか納得いかないし、だったら朝早くから来ている私なんかは、展示ホールの場所取りだって可能なんだれど、そこはあえて我慢してやっていないのに、日本語が読めない/理解できない/無視する人たちだけが、オイシイ思いをして、真面目にルールを守っている私たちがヘトヘトになっているのは、すごくすごく納得いかなかっただけに、完全入れ替え制は大賛成です。このシステムは、来年以降もなんとか継続してもらえるとうれしいな。

 毎年いる、地上広場のステージ周りでヘベレケになって酔っぱらっているオヤジ軍団がいなかった事。 自粛ムードのせいもあるのかな? “酒を飲んで酔っぱらってはいけない”なんて事は言いません。しかし、音楽のお祭りなんだから、酔うのは、酒ではなく音楽にしましょう。アルコール臭い人は、興ざめよ。

 東北物産展のブースがあったよ。 場所的な問題もあって、仕方なかったのだろうけれど、本当は涼しい場所で広々とお店を出せるとよかったでしょうね。こんな時だから、みんな、東北のモノが買いたいんだよね。

 全般的にどこもかしこもすいていた事。 地方在住な私には、あのくらいの人口密度が快適でよかったのだけれど、でもこれじゃあ、明らかに例年よりも人手が少なかったわけで、主催者的には、どうだったのでしょうか? あんまり儲けが出なくなっちゃうと、ラ・フォル・ジュルネ自体の継続が不可能になるので、多少は混雑しても、経済が回っている方がいいんだろうなあ。

 例年、チケット半券が必要な場所も、無料で解放してくれた事。 チケットの販売枚数が激減したのだから、仕方ないことだ思うけれど、それであっても、どこもかしこもスカスカでした。ただし、来年からは、例年どおり“半券が必要”にした方がいいです。でないと、どこもかしこも殺人的な混雑になっちゃうからね。

 室内楽や声楽のコンサートに会議室を利用していた事。 アーティストと観客の距離がとても近くて、私は大好きです。会場もデッドだから、楽器の音を素で楽しめるしね。そんなサロンコンサートっぽい感じがいいですね。

 周辺エリアコンサートが意外と充実していた事。 気のせいか、例年よりもそそるミュージシャンたちがラインナップされていたような気がします。なぜ? それとも、私の気のせい?

 よみうりホールが演奏会場として、新しく加わりました。 私は今回、ここには行かなかったけれど、演奏会場が増えて、選択肢が広がるのは、うれしい事ですし、どうしてもオーケストラ演奏は、大きなホールじゃないとダメだもんね。よみうりホールの使用を今後も支持します。

 では、最後に、ちょっとムチャな提案をしますね。それは…

 日比谷の野外音楽堂はどうだろうか? 何が「どうだろうか?」と言うと、ラ・フォル・ジュルネの演奏会場としての採用ね。 三菱一号館広場での演奏を聞いて思ったのですが、クラシック音楽の野外演奏も捨てたものではないと思います。もちろん、色々な手立ては必要でしょうが、帝国ホテルで周辺エリアプログラムをやるのだから、日比谷の野音でラ・フォル・ジュルネを行っても、問題ないんじゃないの? 東京は吹奏楽団体の出演が極端に少ないのですが、その手の吹奏楽団を野音に集めてみてはいかが? それなら、音響的な心配もせずに済むし、吹奏楽ファンも集まるし…それとも、やっぱ野音はダメ?

 

 来年は、ロシア音楽だ~。ロシア音楽って、結構ウェットな音楽が多いので、好きです。ああ、楽しみ。だけど、ロシア音楽だと、フルートがまたまた寂しい事になりますわな…。声楽は…どうなるんだろ? 低音歌手がたくさん来るのかな?

コメント

  1. おざっち より:

    震災による影響が色々なところに出て、主催者としては土壇場になってから目一杯対応したのだと思います。「公式ガイドブック」があるとは知りませんでしたが、事前にプログラムが駅や楽器店、その他あらゆる公共施設などに置かれており、それを見ながら「あれ聞いてから、これ聞きに行って、、、」と楽しみにしていました。が、当日行ってみると、ホールの入り口で修正版を配っており、急遽その変更になったプログラムを繋ぎながら一日を過ごしました。今年のびわ湖はベートーベンということで、メジャーな作曲家とはいえ、その趣旨に沿ったプログラムに合わせねばならないので、大変だったと思います。

    それにしてもこのラ・フォル・ジュルネというイベントは、どのあたりで採算を合わせているのでしょうね。無料、ないしは低料金ということで、あまり大人数のオケだと費用がかかりますから、ソロや小編成、オケも国内だったように思いますが。やはり興行としてこの先も続けていくためには、それなりの利益を出すことを求められるでしょう。物販なども含めて、そのあたりは採算をとっているのでしょうか。あくまでも音楽に親しんでもらうための呼び水のような位置づけであり、このイベントだけでペイするという考えではないのかもしれませんが。聞き手がこんな心配することもないでしょうけど、来年以降もずっと続けていって欲しいので、そのあたりがちょっと心配になりました。

    酔っぱらいオヤジ軍団ですか、、。ホールのスタンドでワインを口にしている人はいましたが、酔っぱらいまでは見かけませんでした。悪いことしなきゃ、そして臭い息を吐かなければ、こういう場でもよしとしますかね。クラシックは正装して襟首を正して、という日本でのイメージを、より庶民的なものにするためにも、マナーさえわきまえるのなら、いいことかもしれません。(現場を見ていないのでなんとも言えませんが)

    なにより、開催できたことに感謝ですね。

  2. すとん より:

    >おざっちさん

     ラ・フォル・ジュルネに限らず、世界のクラシックコンサートの大半は、実は赤字です。もちろん、赤字のままでは運営が成り立たないので、企業のスポンサード(日本は大半がこれ)であったり、国や地方公共団体から補助金をたっぷりもらったり(ヨーロッパはこのパターンが多いです)、お金持ちがババンと寄付したり(アメリカはこのパターン)、で帳尻を合わせているケースが大半です。

     ラ・フォル・ジュルネは(少なくとも東京では)東京都を中心に、三菱やサントリー、JR東日本、ぴあ、電通、東京電力、東京ガスらが脇を固め、それをさらに百近い企業が支えています。つまり、企業たちの社会貢献の一環として、ラ・フォル・ジュルネは行われているわけですよ。だから、不況が続き、企業たちが社会貢献どころじゃなくなると、立ち行かなくなるわけです。もちろん、その手の寄付金ばかりには頼れませんから、ラ・フォル・ジュルネ自身も、収益をあげていかないといけないのは、当然な話です。

     公式ガイドブックは、ぴあから発売されている、それなりに分厚いパンフレットです。1000円もするんですが、私は欲しいです。あれを事前に購入して、色々と読みふけって、気持ちを高めて、ラ・フォル・ジュルネに向かうんですよぉ~。

     ま、何はともあれ、本当に、開催できてよかったです。

  3. MY より:

    短期集中連載「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」鑑賞記、
    とても読み応えがありました。
    いつもながらの長文力作に敬意を表します。

    ところで「2007年ガイドブック」、
    今ちょうどヤフー・オークションにて出品されているようです。
    ご参考までに...。

  4. すとん より:

    >MYさん、いらっしゃいませ

     ヤフオクですか? それはなかなかに貴重な情報をありがとうございます。オークションは売るばかりで買った事のない私ですが、せっかくなので、ちょっと挑戦してみようかな? 情報、感謝です。

タイトルとURLをコピーしました