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某声楽コンクールを見てきました

 ゴールデンウィークの中頃に、東京で行われた、某声楽コンクールを見てきました。実は、このコンクール。当初は私が出場しようかなと思った、アマチュア向けの声楽コンクールだったのでした。ちょうどその準備期間に、私はインフルエンザになってしまったので、エントリーを断念したのですが、もしも私がこのコンクールに出場していたら、どうなっていただろうかという思いも込めて、見に行ったわけです。

 考えてみれば、どんなコンクールかも知らずにエントリーしようとした私って、バカかもしれませんね(笑)。

 そのコンクールはアマチュア向けのコンクールで、ピアノと声楽のコンクールを予選無しの(つまり、エントリーすれば誰でも出場できる)タイプのコンクールでした。一応、年齢と、音楽の専門教育の有無(つまり音大卒かどうか)で、クラス分けをして、その上で全部をゴッチャにして賞を与えるといった、ある意味、乱暴なやりかたをしたコンクールです。小学生も、音楽活動をしているセミプロも、同じ土俵で戦うという、格闘技で言えば、無差別級的なコンクールだったわけです。

 ちなみに賞の区分けはこんな感じです。

 最優秀賞(グランプリ)…第1位
 審査員特別賞…第2位
 金賞…第3位
 銀賞…参加賞(ほぼ全員、この賞をもらえます)
 銅賞…努力賞(舞台で何かをやらかした残念な人たちがもらいます)

 これを、ピアノと声楽で、それぞれに与えられるわけです。

 昼過ぎからピアノのコンクールが、昼下がりから夜にかけて、声楽のコンクールが行われました。私は、ピアノには興味がなかったので、声楽コンクールだけを見ました。

 出場者は30名ちょっと。約半分の人が一般クラスと呼ばれる、オトナの趣味人たちでした。後は子どもたちが5名程度、音大卒の人が10名程度でした。男女別で言えば、10名程が男性で、残りは女声でした。女声はほぼソプラノ、メゾの人がちょっこっといました。男性はほぼバリトンで、ボーイソプラノとカウンターテナーが一人ずつで、テノールはいませんでした。

 出演者の方々は、予選なしとは言え、皆さん、熱心に上手に歌われていました。

 それでも感じたのは、子どもを含めて、一般の方々と、音大卒の人たちは、全然歌のレベルが違っていた事です。やはり人生の多くの時間と多大なる金銭を使って音大で学んだ方々と、旦那芸や有閑マダムの習い事じゃあ、全然違っていました。当然と言えば当然なんだけれど、こうして並べてみると、残酷なくらい、如実に違っていました。やっぱり、皆さん、伊達に専門教育を受けていませんね。

 なので、歌の上手い下手だけで比較しちゃうと、上位者は音大卒ばかりになってしまうでしょうが、実際の賞は、そうではなく、音大卒、一般クラス、子どもの部から、バランスよく受賞していました。つまり、歌の上手い下手だけが審査基準ではないって事ですね。おそらくは、まずは各クラスからバランスよく第3位まで決めてしまう。あと、何かをやらかしちゃった人を銅賞にする。で、残りはみんな銀賞…って感じなんだろうと思いました。

 コンクールに出ている人の特徴を言えば、皆さん、ソルフェージュ的には上手な方ばかりでした。リズムは多少の揺れがあっても問題にはなっていなかったようですが、音程が正しい事は必要最低限のようで、音程が甘めの人は、皆さん、銅賞になっていました。なので、このコンクールに出場するなら、音程に関しては、きっちりしないとダメなようです。

 声に関しては、ホールが実に響きの良いホールだった事もあり(誇張ではなく)蚊の鳴くような歌声でもなんとか聞こえました。そんな小さめな声でも、きちんと銀賞をいただいていましたので、声が小さい、楽器が良くないという理由では、銅賞にはならなかったようです。とは言え、音大卒の人たちで、発音に問題のある人はいませんでした。

 声に問題と言えば、一般クラスには、結構見受けられました。大半の人が、声が小さくて、ここのホールでなければ、歌声は聞こえないかもしれないってレベルの人がとても多くいました。おそらく、普段は合唱を歌っているんでしょうね。ソルフェージュ的にはほぼ完璧で、ただただ音量が小さいと言った人たちです。

 また、声に合った選曲をしていない人も多く、その声で、このアリアを歌うのは、無しだろう…って人も、結構いましたね。

 男性はほぼ全員バリトンだったわけですが、実際のところ、バリノール(または、テノリトン)の方がいました。こんな細くて軽い声で、どうしてこの曲を選んじゃったのかな…って感じで、自分の声にあった選曲をすれば、結果も、もしかしたら違っていたかもしれないのになあ…って思いました。

 1位も2位も、バリトンの方で、きちんと自分の声に合った歌を歌われていました。やはり自分の声質に合った曲を歌うのは大切です。

 女声はとても上手な方も大勢いらっしゃったのだけれど、ソプラノは数も多くて、どうしても埋もれてしまいがちで、賞レースとなると、少数で目立つ男声の方が有利になってしまうのだろうと思いました。

 あと、審査の先生も講評でおっしゃっていましたが、アマチュアはどうしても、自分の実力以上の選曲をしてしまいがちだけれど、こういうコンクールでは、自分の身の丈に合った、実力なりの選曲をして、それをきちんとミスなく歌うのが良いのだそうですし、実際、聞いていて、ちょっと無理めな曲は、やはり印象はよく無かったです。もしも自分が出場するなら、無理のない選曲を心がけないといけないなあって思いました。

 とは言え、アマチュアの出演者の出場目的には「ぜひホールで歌ってみたい」「プロのピアニストで歌ってみたい」「人生の思い出づくりのために歌ってみたい」などがあるでしょうから、そうなると無理めな選曲も無理のない話かなって思いました。

 おそらくですが、もしも私が、今年のこのコンクールに出場したとしたら…たぶん、銅賞でしょうね。良くて銀賞です。そんな感じかな? と言うのも、私は今までのステージで、必ずと言っていいほど、何かをやらかしていますからね。で、そんなやらかし野郎は、ここでは銅賞なので、私が出場したとしたら、やっぱり銅賞でしょう。もしも何もやらかさなかったとしても、上位3名に食い込めるとはとても思えないので、良くても、やっぱり銀賞でしょう。

 目指せ、銀賞。って感じで、来年のこのコンクールに出場するか、どうか、一年かけて考えてみようと思いました。

 

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コメント

  1. ドロシー より:

    すとんさん、こんにちは。
    コンクールのメリットといえば、結果よりも、講評がもらえて、自分自身を客観視することだと思います。どうしてもアマチュア相手の先生は褒めて伸ばそうとしますから、学校で受験戦争やら体罰やら経験していた私の世代から見ると無責任に感じなくもないのです。

    このコンクール、私も昔、何度か受けたことがあります。
    が、「銅賞」を貰うと「下から数えた方が早い」ということがわかるので、ひどく落ち込みます。
    おそらくアマチュアを励ます意図で全員何かしら賞がもらえるようになっているのでしょうけどね。
    ある音楽教室のHPで「生徒は銅賞受賞の実績があります!(ドヤッ)」ってありましたが、本当に笑ってしまいました。
    それにしても、ここに限らず必ず賞がもらえるアマチュアコンクールって、多いですけど、結構傷つくんですよね。
    かえって、「安い参加費で奏楽堂で歌う」という目的で「日本歌曲コンクール」を記念受験の方がまだマシのような気もします。

    先生の質にも問題あるのかなぁ、なんて思ったこともありますが、同じ先生についても金賞と銅賞の人がいた、ということでした。
    あと、見た所、「どういうタイプの人が歌うか」というのも大切かな、と思いました。なぜか年配の人は歌曲でも金賞の人がいるけど、若い人は殆どがアリアでした。

  2. すとん より:

    ドロシーさん

    >コンクールのメリットといえば、結果よりも、講評がもらえて、自分自身を客観視することだと思います。

     そうね、その通りだと思います。そのコンクールも、審査員の先生方から講評が個人的にいただけるし、他の出演者さんからも、感想がいただけたりします。アウェーの人の真実の言葉って、落ち込むこともあるけれど、勉強にもなりますからね。

    >アマチュアを励ます意図で全員何かしら賞がもらえるようになっているのでしょうけどね。

     でもね、参加賞みたいなの賞とか、残念で賞みたいなのは、自分的には凹むけれど、業界の常識を知らない人には、威張れたりするしね。それこそ「銅賞もらったんだせ(すごいだろ)!」ってノリです。

    >見た所、「どういうタイプの人が歌うか」というのも大切かな、と思いました。

     そうそう、歌の実力よりも、その人のキャラで賞をいただく…ってのは、アマチュアだとあるあるですね。

    >なぜか年配の人は歌曲でも金賞の人がいるけど、若い人は殆どがアリアでした。

     これもね、難しいアリアを歌うよりも、自分の身の丈にあった曲を丁寧に切々と歌う方が評価されるのは、アマチュアの歌には技巧的なモノは求められていないって事なんだろうね。技巧よりも大切なのは味わいなのかもしれません。でも、それはそれでアリだと思っています、私。

     まあ、今回コンクールを見せてもらって思ったのは、ヘンに気負わずに、真剣にしかし気楽に、この手のコンクールに出場するのは、十分アリだなって事です。ほんと、来年、出場しちゃうおうかな?

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