たぶん、プロレベルになると同じなのかもしれないのだけれど、アマチュアレベル…それも私程度のレベルでは、合唱(市民合唱レベルを想定)と独唱の発声は、基本テクニックこそ同じだろうと思われるものの、実際の姿は、かなり違う状態になっているのではないかと思われます。
どれくらい違うのかと言えば、独唱の方が合唱に入って無邪気に歌うと、たいてい声が浮いて合唱の邪魔になります。また、合唱の方が頑張ってソロを歌っても、何か物足りなさを感じさせる歌になる事が多いです。そういうのを見ていると、やはり合唱と独唱の発声は、アマチュアレベルでは、実は違うのではないかと思わざるを得ないのです。
アマチュアレベルでは…つまり、アマチュアはテクニックが未熟ですから、その未熟さが、合唱と独唱では、それぞれ異なる方向に現れ、本来は同一であるべきものだけれど、アマチュアレベルでは“実は発声が違うのでは?”と思ってしまうほど、違った状態になっているのだろうと思います。
独唱の方の未熟さは…アンサンブルに不慣れな事に尽きると思います。周囲の音をよく聞いて、そこに音程とか音色とかを合わせていくというのが、うまく出来ない人が多く、ただただ「大きくて美しい声で歌おう」という意識ばかりが高くて、そのために、周囲の声とは異質の声で歌ってしまい、結果、周囲から声が浮いてしまうというわけです。はっきり言っちゃえば、独善的なんです。
一方、合唱の方の未熟さは…心の強さが足りない事かな? 独唱をする人たちの“前へ前へ”という心意気はみんなすごいですからね。合唱の方の多くは、そういう心の強さを持ち合わせていないわけで(だから合唱をやっているんだろうと思います)、いざ自分が独唱を歌うという場面になると、前へ出るどころか、一歩二歩心理的に引いてしまうわけで、それが声にも現れ、観客にも伝わってしまうわけです。つまり、弱気なんですね。
無論、独善的であったり、弱気であったりとする、心理的な問題も抱えていますが、アマチュアですから、それ以外にも、発声的な技術不足がそれぞれにあるわけです。そういったものが複合的に作用して、独唱と合唱では、ほぼ、発声が違ってしまうのだと思います。
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コメント
ロマン派以降の声楽曲やオペラの合唱とルネサンス期以前の合唱(特にアカペラ)とでまた違う気がします。もっと言うなら独唱の発声法も前者と後者で違う感じがしますね。
具体的には特に高音の出し方が決定的に違うように聴こえます。
前者はパッサッジョから上の音域で喉頭が上がってこないように声のチェンジを推奨し、結果的にややカヴァーされたサウンドになりますが、後者の音楽は全音域で喉頭の位置をやや高めにキープしてチェンジによる音色の差があまり発生しないように歌っているように聴こえます。
バロックや古典派はグレーゾーンですかね。音楽的な様式を壊さない範囲でどちらの発声でもありな感じでしょうか。
以上、私は専門家ではないので全て個人的な感想です(笑)
オデさん
多くの市民合唱団で歌われているのは、邦人現代作曲家による作品が大半です。オリジナルもあれば、ポピュラー音楽を合唱にアレンジしたものだったりします。私が話しているのは、そのレベルの話。
個人的には、オケ付き宗教曲を歌う合唱団が好きだし、入るなら、そういう団だろうと思ってますが、それは少数派である事ぐらい自覚しています。古楽の合唱団とは、たぶん、それよりももっともっと少数派になるんじゃないかしら? 少なくとも、私の身近にはありません。古楽って、アマチュアでも歌えるのかしら?
私が以前所属していた合唱団は、活動の二本の柱が定期演奏会と合唱コンクールへの参加でした。
定期演奏会では邦人曲やポピュラー音楽をアレンジした曲が選曲のメインでしたが、コンクールには課題曲が幾つかあってその中から古楽をチョイスする事が多かったです。
少なくともコンクールの県大会に出てくるような合唱団は古楽を含むいろいろなジャンルの音楽を嗜んでいるところが多かったですよ。
オデさん
へえ、コンクールがあって、古楽も選べるんですか? ウチの近隣では、合唱団の発表会的な催しはあるけれど、コンクールはないですね。順位を決めて格付けをするのが嫌で、みんなで友好的に地域を盛り上げたい…って趣旨なんですがね。なので、統一した曲を歌う必要もなく、皆さん、それぞれの団体の個性を活かした自由曲で参加です。で、小難しい現代曲を歌う団体はいくつかあるけれど、古楽を歌う団体は…無いなあ。まあ、邦人作曲家の定番的な曲を歌う団体が大半なんだけれどね。
合唱団ごとにキャラクターが違うので、複数の団体を掛け持ちする人たちもたくさんいるんですよ。なので、名前は違っても、メンバーはほぼ同じ…なんていう、兄弟的な団もいくつかあります。
まあ、みんな、仲良しなんだよ。