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たぶん支持されないだろうけれど、私が考える“ふるさと納税”の在り方

 最近、ふるさと納税の話題をちらほら耳にします。どんな返礼品があるとか、どこの返礼品がいいとか、返礼品あげ過ぎとか、返礼品に法規制をするとかしないとか…

 ぜんぶ、返礼品周りの話題じゃん(笑)。

 私が思うふるさと納税の問題って、次の3点なんだろうなあって思います。

1)ふるさと納税をする事で、本来地元に支払われるべき地方税が納められない事。
2)実質無料で返礼品がもらえる事。
3)より多くのふるさと納税を集めるために、多くの自治体が還元率の高い返礼品を用意し始めた事。

 私、ふるさと納税に関して…自分が応援する地方自治体に寄付をするのは、とても良い事だし、麗しい事だし、ノブレス・オブリージュだと思っています。つまり、ふるさと納税には原則的に賛成しています。

 ただ、問題をややこしくしているのは、地方公共団体等に特定寄附(ふるさと納税って、実は納税ではなく寄附行為なんですよ)をした場合、寄附金控除と言って、税金の控除が受けられる事です。具体的には寄附をした分、その金額に応じて、所得税と住民税の支払いが少なくなります。もっとも、所得税は国税、住民税は地方税となります。所得税の控除分は還付されるので国の減収となり、地方税に関しては、現在住んでいる地元への納税は減りますが、ふるさと納税した分はふるさと納税先の収入になります。

 つまり、ふるさと納税をすると、国とあなたがお住まいの市町村は一方的に税収が減り、あなたとあなたがふるさと納税をした市町村は収入を得る…という構造なわけです。あなた自身に関して言えば、還付金だけでなく、返礼品まで入手するわけだから、ふるさと納税って二度お得なわけです。

 だから、猫も杓子もふるさと納税に走るわけだな。

 収入が増えてホクホクになる方は、別に問題ないでしょうし、ふるさと納税バンザイなわけです。

 問題は、ふるさと納税によって痛手を食らう側です。実際、少なくない自治体で、大幅に税収が落ち込んでいるわけです。その数は約500団体ほどなんだそうです。

 2017年度の統計によれば、横浜市が55.5億円、名古屋市が31.9億円、世田谷区が30.8億円などと、都会と呼ばれる地方自治体の減収は、実にびっくりするほどの巨額なんだそうです。

 だいたい、55.5億円の税金があれば、一体いくつの保育所が作れるんだろうなあ…なって、ぼやって考えてしまう私だったりします。

 公平を期するために書くと、ふるさと納税で税収が増えた団体は1750団体ほどで“損”をしている市町村の三倍も“得”をしている市町村が多い勘定になります。なので、ふるさと納税は、全体的に見れば、成功していると言えます。

 ふるさと納税は麗しい事だけれど、それをする事で、地元へ収める地方税が減ってしまうのは、個人的には、問題だと思ってます。横浜の55.5億円は極端にせよ、少なくとも500の団体で、税収の不足が発生しているわけで、そういう地域に住んでいる人は、ふるさと納税をする事で、自分と自分の家族および周囲の人々が不利益を受ける事に気づいていないのです。

 税金って、特に地方税って、自分たちの暮らしの質を維持するため(道路整備、河川整備、公園整備、都市整備、図書館整備、警察、消防、保健所、役所、公立老人ホーム、公立音楽ホール、公立保育園、公立学校、子どもたちの教科書代等々に使われます)に収めているわけで、税収が不足する地域に住んでいると、十分な住民サービスが受けられなくなります。

 だから、ふるさと納税が考えられたわけだけれど、それがちょっと行き過ぎてしまっているのだと思います。

 ウチの地元も、ふるさと納税で減収しています。その金額は…ふるさと納税で得られる税収が約2000万円で、ふるさと納税で失う税収が約2億円なんだそうです。ただでさえ赤字地方公共団体として有名なのに、その上ふるさと納税で2億円も減収しているので困っているようです。福祉サービスを減額し、いくつかの大型事業を中止し、市有地は売却して、当座を乗り切っているようですが、それもいつまで続く事やら…。

 今までも、税収が厳しいから文化事業は規模縮小しろって、よく議会で取り上げられていたようですが、それでも今までは市長が頑張ってくれていたので、現状維持をしていたみたいだけれど、その市長も先日亡くなってしまったので、今後の文化事業はどうなるんでしょうか? クラシックコンサートなんて廃止されちゃうのかな? 年末の第九も無しになるのかな? とか、どうでもいい心配してます。

 本当はまず、税金で整備しないといけないライフラインの心配をしないといけないのですが…。ライフラインの心配の次は、不足気味の福祉関係の整備だね。ウチの地元は、近隣の市町村と比べて、福祉が貧しいからなあ。これも税収が少ないから仕方ないらしいのだけれど…。

 なので、自分が応援したい地域に寄付をするのは良いことだけれど、だからと言って、地元へ収める税収を減らしてしまっては、良くないと思います。私もふるさと納税をしたい地域がありますが、地元の税収が減ってしまうのはマズイと思っていますので、遠慮しています。

 やはり、地元に収めるべきものはしっかりと収めた上で、地方を応援するべきだと思います。自分の足元は、しっかり固めておかないとダメだよ。

 なので、ふるさと納税をした場合の寄附金控除に関しては、国税の還付だけにして、地方税はきちんとそれぞれお住まいの市町村に収められるようにした方がいいかなって思います。

 国税の還付だけにすると、金銭的なお得感が減るけれど、その代わり、返礼品は金銭的な制限は取っ払って、それぞれの市町村で知恵をしぼってもらって、うんとお得感が出るようなものにしてもらうのはいかがでしょうか?

 まあ、本来、ふるさと納税は、応援したい地方を金銭的に応援するためにするものであって、返礼品目当てなんて、実に邪な考えなんだけれど、人間の本性は邪なんだから、返礼品でコントールしていくのは、仕方のない事だと思うわけです。

 もしも、こういうシステムに、ふるさと納税を変えてくれたら、私なんて、バンバンふるさと納税しちゃうよ。いや、マジです。

 それに、みんながみんな、ふるさと納税をして、国税が減ってきたら…地方交付税とか、あの辺りをいじればいいし、それくらいの事は、国税に関わる人々は賢いから、すぐにどうにでもするでしょうから、国税の不足なんて、全然心配していない私でありました。

 実は税収なんて、景気さえよくなれば、あっという間に増えるんだよね。だから、本来的には増税したり、新税を作ったり、税金のシステムを変えたりする以前に、景気対策をしないといけないし、そのためにはお金が社会で回るようにしないといけなし、そのためには公共事業をバンバンやんないといけないんだよね。一見無駄に見える公共事業をたくさんすると、景気が良くなって、税金問題解決するんだけれどなあ…。

 ま、こんな考え、世間から支持されないだろうなあ…。

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