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なぜ年を取ると高音が出なくなるのか?

 今回の記事は医学的な内容を含みますが、私は医学に関しては(当然ですが)素人さんなので、間違った記述があったら、優しくご指摘くださいね、よろしく。

 さて、標題の『なぜ年を取ると高音が出なくなるのか?』ですが、結論を言っちゃうと、やっぱり“加齢(老化)のせい”のようです。残念。

 なので、どんな人であっても、年齢には勝てませんから、加齢とともに徐々に高音を出しづらくなってしまうわけです。ただし、高音が出しづらくなるだけで、別に低音が出しやすくなるわけではないので、音域も狭まってくるわけです。さらに残念。

 良い例が、プラシド・ドミンゴでしょうね。若い時はテノールとしてバリバリやっていましたが、年を取るに従い高音が出づらくなり、70歳前後からバリトン役を歌い始め、今ではすっかりバリトン歌手として定着しました。バリトンになったからと言って、彼の声が若い時とすっかり変わってしまったのかと言うと、決してそうではなく、明るくヒロイックなテノールのような声で、バリトンを歌っているわけです。ドミンゴを見ていると、老化をしても声色は特に変化なく、低音域が得意になるわけでもなく、ただただ高音が苦手になってくるようです。

 ちなみにドミンゴは、オペラではすっかりバリトン歌手ですが、コンサートなどでは、テノールの歌もまだ歌うし、その時は往年の歌声はまだまだ健在だったりします。

 さて、閑話休題。声は老化すると書きました。しかし、何度もこのブログで書いていますが、人間の筋肉って奴は、決して老化しないんです。いくつになっても鍛え上げて最高のパフォーマンスを発揮できるんです。ですから、声の老化は筋肉のせいではありません。

 ではどこが老化すると、声が老化するのか…ですが、一番影響が大きいのは…軟骨なんだそうです。

 声帯周りって軟骨で出来ています。具体的には、輪状軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、咽頭蓋軟骨の4つの軟膏があって、それらに取り囲まれるように声帯が存在するわけです。で、これらの軟骨を筋肉(内喉頭筋とか外喉頭筋とか)が動かすことで、声帯の張りに強弱が付き、それで音程が作られるわけですが、とりわけ高音を発する際には、軟骨が大きく動いて、声帯が思いっきり引っ張られて高音を発声するのだそうですが、加齢で軟骨の柔軟さが失われると、軟骨が声帯を思いっきり引っ張る事が出来なくなる…んだそうです。それで高音が出しづらくなるんだそうです。

 声帯周りの筋肉を鍛えると、軟骨を動かす筋肉が思いっきり軟骨を動かすわけです。若くて柔らかい軟骨ならば、筋肉が引っ張る方向により大きくしなって声帯を張っていく事ができますが、軟骨が硬くなると、いくら筋肉で引っ張っても、軟骨はびくともしなくなり、声帯もある程度までしか張ることが出来なくなってしまうのだそうです。それで若い時には出せた高音が出しづらくなってくるわけです。

 ちなみに、軟骨の老化は、四十代後半から始まるそうです。このあたりから軟骨の硬化が始まり、高音が出しづらくなるんだそうです。

 また、同じ頃から、カラダが乾燥していくようになります。これも痛手です。

 若い人はカラダが水々しいのですが、老人はカラダが乾燥しています。厳密に言うと、老人は若者よりも、水分や油分が不足しがちで、それで結果的にカラダが乾燥していくわけです。

 声帯は筋肉なんだけれど、その筋肉を粘膜が覆っています。カラダが乾燥してくると、粘膜部分に潤いが失われ、粘膜が硬くなり、声帯自体も実は動きづらくなってきます。これも間接的に高音が出しづらくなる原因となります。

 で、そんなこんなで、人は50歳を越える頃から高音が出づらくなるって寸法なのです。すでに50歳を過ぎてしまった人間にとっては、なんか残念な結果だね。

 でも私は諦めないよ。確かに加齢ってやつからは逃げられないし、老化も受け入れなければいけないです。軟骨が硬くなり、粘膜が乾いて硬くなるのも受け入れよう。しかし、筋肉はまだまだ鍛えられるわけです。

 軟骨を動かすのは筋肉だし、声帯自体も筋肉です。これらが筋肉であるなら、軟骨や粘膜のハンデを筋肉で補っていくしかないじゃないですか!

 まあ、確かに若い人には敵わないし、もっと若い時から歌っていれば良かったという後悔はないわけではないけれど、今の自分にとって、今できる範囲で頑張っていくしかないじゃないの? 山登りで例えれば、もう山頂に登る手立ては失ってしまったのかもしれないけれど、9合目や8合目まで行けるなら、そこを目指せばいいし、そこもダメなら7合目でも6合目でも、それよりももっとふもと近くでもいいじゃない。その時の自分のベストが尽くせれば、それでいいじゃない。

 なんて、私は考えます。それに人間ってヤツは、意思が強ければ、大抵のことは成し遂げられるので「年を取ったので高音は無理だー」と諦めるよりも「年を取って高音が出しづらくなった分、余計に頑張んなきゃいけないな」と思いたいんですよ。

 それに、年を取ると性ホルモンが減ってくるので、男性は声が高く、女性は声が低くなるという説もあります。私は男性なので、軟骨が固くなった分、男性ホルモンが減って、声が高くなって、プラスマイナス・ゼロ…じゃね? なんてお気楽に考えていたりもします。

 まあ、どちらにせよ、諦めたら、そこで終わりだからね。私はまだまだ諦めないよ。

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コメント

  1. 青子 より:

    まあ~ 今日の記事は、なんと「否定しようのない現実」ですこと!!
    60で初声楽を私はなんなんでしょうね~~( ゚Д゚)

    おおっ そうだ
    意思の力より更に強力な老人力で
    今日の記事は忘れることにしましょう(^^♪

    私はまだまだいけるぞ~~(笑)

  2. 名無 より:

    こんにちは。

    この話題、私的には発声の仕方と元々の声帯の仕様
    によるんじゃないかなーと思ってます。
    強く出す発声を嫌う日本的な声楽理論だと
    歳が行った時に高音が出なくなるのは必然じゃないかなと?
    以下にもう見られているかもしれませんが
    歳は関係ない動画を載せて見ます。

    ↓ロフォレーゼ70歳 highF
    https://www.youtube.com/watch?v=ywirgWci82o&index=4&list=PLEFCCA89C5C1AE043

    ↓同じくロフォレーゼ92歳 Nessun dorma
    https://www.youtube.com/watch?v=S5JU95a2Z0o

  3. すとん より:

    青子さん

     まあ、今回の記事は私にとっても、あまりうれしくない内容だったりします。

     もうすでに、人生最大のパフォーマンスを発揮できないお年頃になっていたという現実を突きつけられると同時に、ならば今の時点での最大パフォーマンスを発揮してやろうじゃないかと…という決意表明の記事でもあるわけです。

     お互い、現時点での最大パフォーマンスを目指して頑張っていきましょうよ。

  4. すとん より:

    名無さん

     おっしゃる通り、ロフォレーゼは凄いですね。

    >この話題、私的には発声の仕方と元々の声帯の仕様によるんじゃないかなーと思ってます。

     まあ、私が書いた内容は、平凡な一般人向けの話ですから、恵まれた声帯とその周辺器官を持った、鍛え上げられたテクニックを持った人々には通用しない話なのかもしれません。

     いやあ、それにしてもロフォレーゼは凄い。

    >強く出す発声を嫌う日本的な声楽理論だと歳が行った時に高音が出なくなるのは必然じゃないかなと?

     確かにロフォレーゼの発声には、名無さんがおっしゃるように、ノドの強さが要求される発声なのかもしれません。プロアマ問わず、日本の声楽人の多くは、さほどノドが強いわけではありませんから、ロフォレーゼはあまり参考にならないかもしれません…が、実は私、例外的にノドが強い人間なんですよね。グフグフ…。なんか、光が差してきたようき気がします(勘違い?)

  5. 青子 より:

    は~~い(^^)/
    がんばりましょう~!

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