声楽における“楽器”というのは、自分のカラダです。ですから、最初っから無い物ねだり的な事を書いちゃえば、大きな声量を得るために必要なのは、立派なカラダだと思ってます。
具体的に言えば、高い身長、厚い胸板、太い首、高い鼻、大きなアゴ、重い体重…最後の体重以外は、まさに無い物ねだりで、無い人は無いわけで、どんなに努力しても得られるものではありません。
なので、昔の人は、クラシック系歌手を志望する若者に「太れ、太れ、太れ…」と言ったわけです。太れば体重が増えて、重い体になります。方向としては間違っていなかったのかもしれないし、太る以外に体重を増やす方法が思いつかなかったのかもしれません。
最近では「太れ」ではなく「鍛えろ」というそうです。つまり、脂肪を増やして体重を増やすのではなく、筋肉を増やして体重を増やしなさいってわけです。実際、筋肉ってかなり重いので、筋肉を増やすと体重はグンと増えます。それに脂肪を増やすよりも筋肉を増やしたほうが健康的ですよね。
しかし、脂肪でタプタプになったクラシック歌手は未だに見かけますが、筋肉でマッチョになった歌手は、なかなか見かけませんね。少なくとも日本の歌手さんは、かなり鍛えても細マッチョ止まりです。プロレスラーのような体型の人は、海外にはいらっしゃいますが、日本でなかなかお見かけしませんし、見かけても、たいてい歌わない人です。
ま、日本男子で、そんなに恵まれたガタイを持っていたら、音楽ではなくスポーツとか格闘技とかの方面に行きますよね、普通。なので、あまりカラダの大きさにこだわっても仕方ない話なのかもしれません。
それにガンガン鍛えて、マッチョなカラダになったとして、本当に分厚い筋肉の鎧を着てしまうと、どうしてもカラダって固くなってしまうんですよね。筋肉って、本来重いし硬いんですよ。それって、歌手として、どうなんでしょうね。歌手ならば、柔らかくてしなやかな筋肉…ってのがあればいいのですが、それって筋肉オタクの方にうかがうと、なかなかトレーニングでは得る事の難しい、天性のものらしいので、これまた別の意味での無い物ねだりになるのかもしれません。
じゃあ、現在、声量に不足を感じている人は、諦めるしかないのか? それはちょっと即断即決すぎるかなって思います。
客観的に大声量の持ち主になれるかどうかは別の話として、自分基準で声量を増す事は不可能ではないと思います。
と言うのも、発声って、運動の一種であって、声帯とか呼吸筋とかの筋肉の動作の結果だから、トレーニングが有効であると思われます。
筋肉って不思議なものです。筋肉って、若い時は力が有り余るものですが、年を取ると自然に力が出なくなって衰えていきます。また使わなければ、すぐにダメになりますが、、使っていれば若々しさが維持し続けられ、何歳になっても鍛え上げて向上させる事すらできます。
実際に、老人のボディビルダーっているでしょ? あれですよ、あれあれ。
じゃあ、具体的にどんな運動が声量を増すのに必要なのか…って、おそらく特別な事は必要ないと思ってます。必要なのは、正しい発声方法で歌い続けていく事ではないでしょうか?
発声も筋肉運動ならば、常に歌い続けていくことで各種筋肉は鍛えられ、歌っていないと筋肉がなまってくるものです。週に一度の合唱練習とかで2~3時間だけしか歌っていなければ、声量維持がせいぜいで、声量増加は難しいのではないでしょうか?
声が無くなってしまったり、ガラガラになったり、枯れたりしたら、それは歌い過ぎです。過ぎたるは及ばざるが如し…です。そうなったら、いくら歌いこんでも、声量は増えず、ノドが壊れていくだけです。声量を増したければ、そうなる前までにたくさん歌って、筋肉を鍛えていくだけなんだろうと思います。
まあ、言うは易し、行うは難し、なんだけれどね。
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