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声と響きの正体

 最近の私は、歌声のことばかり考えています。まあ、アマチュア歌手としては、ごく当然の事なのかもしれませんが、ほんと、歌声のことばかり考えています。

 で、このところ考えるのは、声と響きの話。一体、声って何? 響きって何? って考えてます。

 まず大前提なんだけれど、声にせよ、響きにせよ、それらの発信源は声帯です。それ以外の部位からは、これらの音声は出ません。

 つまり、声にしても、響きにしても、根っこは一緒。声帯の振動で生まれた音なんです。じゃあ、その違いは何? どこにあるの? って考えるわけです。

 共鳴腔の中の響かせ方の違い? 支えの問題? 多少は関連あるだろうけれど、ここらに問題の答えがあるようには思えません。

 そこでピンと来たのが、幼女の話し方。幼女全般と言うよりも、割とおとなしめのお姫様タイプの幼女(幼稚園児あたりをイメージしてます)の話し方です。彼女たちって、ヒトなのに、まるで小鳥がさえずるような声で話すんですよ。同じ幼女でも、活発な子は違います。彼女たちは、少年たちと同じように、しっかりした声で話します。でも、お姫様タイプの幼女たちは、小鳥がさえずるように話します。この小鳥のさえずりのように聞こえる声が、いわゆる“響き”の声ではないかと思ったわけです。

 では、なぜ彼女たちの声が小鳥のように聞こえるのか…もちろん、その音高も関連しますが、一番の原因は、彼女たちの筋力不足。根本の筋力が不足気味なので、少年や活発な幼女たちとは違って、しっかりとした声が出せなくて、ふわふわ話すわけです。この筋力不足気味のふわふわした声が、小鳥のように聞こえる原因なのではないか…と私は考えました。この幼女たちも成長に伴い、やがて筋力増強してくれば、ふわふわ話さなくなるわけですし…ね。

 つまりお姫様タイプの幼女たちのような、ふわふわした声で歌えれば、響き多めの声で歌えるのではないかと思ったのです。

 しかし、オトナは幼女と違って、必要にして十分なだけの筋力を持っています。ですから、素のままの声では響き多めの声にはなりません。

 そこで必要なのが、リラックスだとか脱力だとかのテクニックなんだろうと思います。

 声帯から力を抜いてリラックスさせた状態で、声帯を振動させられたとしたら、お姫様タイプの幼女のように、響き多めのふわふわした声になるのではないかしら?って…。だから、声楽のレッスンでは、常に“リラックス”とか“脱力”だとかが言われ続けているんじゃないかしらって…思うわけです。

 ああ、なんか、納得。

 で、響きの声がリラックスした声であるならば、響きと対義語として使われる“声”は、逆に声帯をしっかりと鳴らした時の声…って言えるのではないでしょうか?

 つまり“響きと声”と言いながら、実は“響き”にせよ“声”にせよ、それらが単独で存在している事はなく“響き”と“声”は連続した一続きのものであると考えたわけです。

 で、我々の声のニュートラルな状態は…やっぱり“声”と呼ばれる状態だろうと思います。そして、そこよりも、声帯の脱力度が高ければ、声は芯を失って“響き”になります。また逆に“声”の状態よりも、声帯がしっかりしすぎる程に鳴ってしまえば、それは“鳴り”と呼ばれます。「声がよく鳴っているよね」って言われる時の状態がこれです。

 さらに“鳴り”の状態よりも声帯に力を込めて、しっかりしすぎるほどに声を鳴らしてしまえば、それはやりすぎとなり“怒鳴り声”になり、この“怒鳴り声”は、ほぼ“ノド声”と呼ばれるものになるのではないか…と考えました。

 そうなると…

  響き > 声 > 鳴り > 怒鳴り(ノド声)

 となります。

 で、これらの違いは、声帯周辺の筋肉のリラック具合なんだろうと思います。リラックスして声帯が脱力してくれば、声は響きになっていくし、緊張して声帯に力を込めてしまえば、声は鳴りや怒鳴りになっていくと考えています。

 そして、これらとダイレクトに関連してくるのが、ノドの強さかもしれません。

 ノドがあまり強くない方は、そもそも声を鳴らす事が苦手です。ノド声なんて無理も無理です。こういう方が軽く歌うと、ふわふわな声になり、まるで小鳥たちのような軽々とした声で歌えるわけで、それは響きをメインにした声で歌っているからです。

 一方、ノドが強い方は、声を鳴らすのが普通だし、鳴らしすぎてノド声になっていたりします。こういうヒトが響きの声で歌おうと思うと、振り子を逆に振っていかないといけないわけで、そりゃあ大変な仕事になるのだろうと思います。力を込めるのは簡単な事だけれど、力を抜くというのは、名人や達人の行いだもの、簡単にはいきません。

 そうなると、響きメインで歌うには、ノドは弱い方が良いのかもしれません。少なくともノドの強い方よりもスタートがずっと有利ですよね。もっとも、ノドが弱いと、声量は少なめになるし、声の通りも良くなくなるので、そもそもは歌向きな声ではないとも言えます。でも一人で歌えなくても仲間と合唱を楽しむ分には問題はないでしょうね。

 実際、響きの方が多くいる合唱団のハーモニーって、すごぶる美しいですものね。

 ソロで歌っていこうと頑張っている方って、程度の差こそあれ、ノドは強い方が多いと思います。そういう方が響きの声で歌うためには、脱力・脱力・脱力…ってなるわけで、皆さん、泣きを見ているわけです(涙)。

 というわけで、ノドに力をどれくらい入れるかで、我々の声は“響き”“声”“鳴り”“怒鳴り”に分かれていくというふうに私は考えました。

 いかがでしょうか?

蛇足 …と言うよりも追記ですが、今回の記事内容は、すべてノドの脱力うんぬんの話に終始しています。もちろんの話ですが、息そのものはしっかりと支えて、必ずちゃんと発声しないとダメですよん。

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コメント

  1. おぷー より:

    大人は、支えがありますから、響きをしっかり背中と丹田で支えるのが重要です。
    声はちゃんと出さなきゃダメですよ。

  2. すとん より:

    おぷーさん

     すぐさま追記しましたが、記事で書いているのは、専らノドの脱力関係の話です。もっとも、私の筆力不足で、支えのない声で歌うべきであると誤読できる書き方になってますね。まだまだ書き手として力不足さを露呈してしまいました。

     ご指摘、感謝です。

  3. さと より:

    以前コメントさせていただきました。
    興味のある点なので、またコメントさせていただきます。

    咽頭共鳴は喉の空間がしっかりと確保されていることが必要だと思います。そこを空気がしっかりと通り、鼻腔共鳴、口腔共鳴へと息が流れていくことになるかと思うのですね。

    ノドの筋肉の脱力というか、喉を開けた状態が骨格でしっかりと支えられている必要があるかと思います。例えば英語話者はむしろ常にそこに空間が確保されています。日本人は通常は少し閉じ気味になっているから、まずそこに空間を作る必要があるのでしょう。

    なので、実は英語の発音がきちんとできると、それは最初から問題無しです。鼻腔共鳴は響くところを探しながら練習して、そのうち見つかるかと思います。
    口腔共鳴は口の中の空間を少しでも広く取ることと、基本的には西洋の五母音の顎の構えで発音することだと思います。

    本当は西洋語の発音の練習をしておくといいような気がします。
    (ただし、フランス語は口の中の前の方を使うので、歌の練習には不向きかも。)

    それにしても、合唱の人たちは、一般的に音を聞くことをあまりしていないように思えます。まずはプロの発音や発声をとことん聞く必要があると思うんですよ。そして真似してみる、という段階を経て練習したほうがいいのではないかな、と。

    どうでしょうか??
    勝手に書いてしまいましたが、お役に立ててますでしょうか?

  4. すとん すとん より:

    さとさん

     少し前の記事(と言っても、4年前なんですねえ…)にコメント、ありがとうございます。

     響きに関しては、今もまた悩んでいる最中です。この記事を書いた頃は「うん、これこれ!」と思って書いたのだと思いますが、ううむ、やっぱり分かっていないかも。

     今はまだ記事にするほどの確信は持ててませんが「マスケラで歌う」事と響きで歌う事の関連性について、ぼんやりと考えている最中です。

     さとさんのおっしゃる英語の発音うんぬんに関しては、私の英国人の友人たちの、普段の話し声を聞いていても「声が深いなあ…」と思ってますので、たぶん、さとさんの推論は正しいのだろうと思ってます。

     ただ、それが英語という言語のためなのか、彼らの骨格から来るものなのかは、よく分かりませんが、彼らの日本語の発音を聞く限りでは、骨格由来なのではないかと思わないでもないのです。彼らは日本語の時も、声が深いんですよぉ。

    >それにしても、合唱の人たちは、一般的に音を聞くことをあまりしていないように思えます。

     これは、おそらく合唱の人たちは、歌う声自体に興味が無いからではないかと、私は思います。彼らの関心事は、音程であり、リズムであり、ハモリであって、歌声そのものではないからです。それに合唱は、団体芸ですから、一人だけ理想の声を求めても、それが団体の方向性と違っていたら、なんの役にもたちませんから、ある意味、仕方のない事だろうとも思ってます。

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