さて、声楽のレッスンの続きです。
ハミング練習ですが、いつも通り…いや、いつも以上に高いポジションで歌うことを意識しました。いつもそうなのですが、ハミング練習は上行音程を使って練習しますが、私の声的には、3番目の音がいつも一番良い感じなんだそうです。なので、最初っから、3番目の音の響きで歌えるようにしましょうって言われました。
つまり、最初の音と次の音の響きはあまり良くなく、いつも2番目と3番目の音の間で、ポジションが変わっていて、その変わった先の3番目以降の音のポジションが良いらしいのです。…確かに確認しながら歌ってみれば、2番目と3番目の間で、声がグイっと高みに登っているのが分かります。確かにポジションチェンジをしていますね。
音程に合わせて、ポジションが移動するのは、クラシック声楽においてはダメです。ダメなんです。クラシック声楽では、すべての音を同じポジションから歌うのが理想なのです。
だから、よく音痴の方の音程指導の中で、音程に合わせて手を上げ下げして、音程の高さと声の高さを意識的に連動させて歌わせて、それで音痴脱却を図るというやり方がありますが、あのやり方だと、手を上げ下げする事で、音程だけでなく、声のポジションも変わってしまうので、クラシック声楽的には望ましいやり方ではありません。クラシック声楽的には、手は常に同じ高さで、むしろ手は上下ではなく前後に動かすのが良いかなって思います。低い音は手前に、高い音は遠くに動かす感じ? まあ、それはともかく、声のポジションが動いちゃダメなんです。
でも、ポジションが変わってしまうのは、声が出しづらいから無意識に動くわけです。声が出しづらい理由は、一つは単純に低い音だから。もう一つが腹圧が低いために声が支えきれていないから。と二つの理由が考えられます。
だから、しっかり腹圧をかけ、低い音であっても意識的に高いポジションで歌うようにする必要があります。当然、出しづらい低音ですから、そこを頑張ってはいけないのです。むしろ、しっかり鳴らない、声にならない…で良いのだそうです。だってテノールだもの。バリトンやバスの方のような立派な低音が出るはずもなく、むしろそんな低音を出しちゃいけないのです。
ですから、低い音は貧弱で貧相な声でいいわけです。それなのに、そんな低い音を頑張っちゃうと、私のように、フレーズの途中でポジションチャンジをしてしまったり、低い音に引っ張られて高音が出づらくなったりするわけですから、低い音を頑張るのはダメなんですね。
とにかく、鳴ろうが鳴らなかろうが、息をしっかり通すことだけを気にかけて歌っていく事が大切なのです。
さて、次にやったのが『馬のいななき』練習です。ヒヒーンのヒーンで練習です。ちなみに女声の場合は、子犬のキャンキャンのキャンで練習するそうです。
とにかく、ヒーンです。このヒーンで音型練習をするわけですが、これが案外、難しいのです。普通に、アーだとかマーだとかなら簡単にできるのですが、不思議な事に、ヒーンだとできないのです。ヒーンになった途端、声が詰まったり、声に伸びがなかったりと難しいのです。話し声ならできるのに、これが歌声になった途端にうまくできなくなります。つまり、歌声の時に何かが起こっていて、それがヒーンがうまくいかない原因になっているってわけです。
まず、ノドに力が入っている事。無駄に大声を出そうとしている事。自然な発音でなく、どこかに不自然な動作が入っている事。…などが予想されます。
この馬のいななき練習は、声をやたらと消耗するので、たくさん練習してはいけないそうだけれど、必要な練習なので、毎日やりなさいと宿題として出されました。まあ、忘れない限り(笑)毎日やるようにしましょう。
とにかく、ポジションを動かさずに歌うにせよ、馬のいななきにせよ、大切な事は、息を流し続ける事です。特に高い音ほど多くの息を流して歌うようにする事が大切です。
高い声を出すには色々なやりかたがあるわけで、必ずしも息を流さなければ出せないわけではないけれど、まず最初は息を流して高音を歌う事を身につける事が大切。なぜなら、このやり方が一番声を消耗しない発声方法だからです。
私の場合、発声練習ならば、この息を流す発声方法では、今現在でも、若干低めながらもHi-Cまで発声できているそうです。だから、このやり方で練習を重ねていけば、Hi-Cまでは歌えるようになるはずなんだそうです。Hi-C以上の高い音に関しては、また別のやり方が必要になってくるわけですが、それはもっとずっと先の話なので、今はそこまでは考える必要はないわけで、今はひたすら息を流し続けて高音を歌っていくやり方に集中するべきなのです。
“高い音=アクート”と考えがちですが、私のように中低音の発声方法のまま、息を流し続けていって高音を歌うやり方もあるわけです。どちらがいいかは、簡単に言えないけれど、初心者に毛の生えた程度の私にとっては、アクートのように鋭く高音を歌うよりも、息を流して歌うやり方の方が、リスクが低くて使い勝手がよさそうなわけです。
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