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響きのポイントとブレスコントール

 声楽のレッスンを受けてきました。

 まずは先生から(音源を渡してあった)クラシックコンサートの感想をいただきました。

 トスティ作曲の「Ideale/理想」は、なかなか良かったとお誉めの言葉をいただきました。全般的によく声がコントロールされています、との事でした。合わせて「最後は力み過ぎだね。あそこを上がらずに、楽に歌えれば、ほぼ完璧でしたね」との事でした。ううむ、最後のあそこは、上がるつもりはなかったのに、カラダが勝手に上がってしまったので、それを無理矢理抑えこもうとして、力んでしまった箇所なんですよね…。で、結果として中途半端になったというわけです。まあ、残念な事には変わりありません。

 ちなみに、ダウランド作曲の「Come again/来たれ、今いちど」と、二重唱のヴェルディ作曲「椿姫」の「Parigi, o cara, noi lasceremo/パリを離れて」に関しては、ノーコメントだそうです(ってことは、不合格って事だね)。

 特に二重唱の方は、私の第一声を聞いた瞬間に「ダメだ、こりゃ」と思われたのだそうです。『あの声で、あのテンポでは無理』と思ったんだそうです。

 難しい曲を歌う時や、自分の調子や体調や声の具合が悪い時などは、なるべく曲のテンポは落として歌った方が良いとのことです。と言うのも、曲のテンポがゆっくりならば、歌のテクニックを使って歌う事ができるのだそうです。ところが、テンポが速くなれば、テクニックを行使する前に音楽がドンドン進んでしまうので、どうにもならなくなってしまうのだそうです。それに、テンポがゆっくりなら、ブレスもゆっくり取れるし、たとえヘマをしても、立ち直る余裕が生まれるのだそうです。

 テンポの速い曲は、テンポが速いというだけで、十分難しいのだそうです。

 ちなみに妻は「練習通りでしたね」との事です。先生としては安心して聴いていられたそうですが、会場の観客的には(予定調和的な歌なので)楽しくないでしょうね、とこれまた辛辣なコメントをいただいてました。つまり、妻はどの曲も70~80点で合格。私は、120点と50点で合格と不合格の両方って感じなんだそうです。

 そういう見方もあるんですね(面白いです)。

 さて、レッスンです。発声練習です。

 今回のレッスンでは、声の響きのポイントと、ブレスコントロールについて、しこたま確認しました。

 まずは声の響きのポイントについて。最初はハミングで顔のどこで声が響くかの確認です。顔に手を当てて、リアルに振動を感じられる場所を探すわけです。私の場合は…鼻のてっぺん当たりかな? もちろん、これは不合格です。

 「クチの中が振動したり、クチビルが振動しているようだったら、論外でした」との事でした。…やべえ、やべえ。私は、つい先日まで、ハミングをやると、クチの中とかクチビルとかが振動していたよ(大汗)。

 正解は、眉間…なんだそうです。ハミングをして、声がリアルに眉間で振動しているのを感じられるように歌うのが正解。ってか、ここで歌わないと、早晩、ノドを痛めて、声を壊してしまうのだそうです。

 さっそく、響きのポイントを確認して、ノドを開いて、しっかり息を支えて発声練習をします。エチュードですから、かなりガンガン歌っていくわけですが、やがて、ノドが痛くなって、咳き込んでしまいます。これは、思わず、響きのポイントが下がってしまって、ノドに負担がかかってしまったからなんだそうです。

 声が余り出ていない状態なら、正直、響きのポイントがどこであっても関係ないそうです。でも、声がしっかり出るようになってきた時、声の響きをどこに置くかは、とても大切な事なんだそうです。声が美しいか、美しくないかどころではなく、ノドや声の健康にも関わる大問題なんだそうです。

 正直、声の響きのポイントを眉間において歌うのは、私、まだまだ上手くできません。うっかりすると、声がクチやノドに落ちます。落ちた途端にノドがイガイガし始めるし、やがて痛むようになってきます。ノドを開いている事もあって、ムセるし、吐き気すらしはじめます。しかし、響きのポイントが眉間や、そこまで行かなくても、ある程度高いところにあれば“声がノドから出ている”という意識が薄くなるほどに、ノドへの負担は減ります。

 たしかに、響きが落ちた時の、この嫌な感覚は、キング先生のレッスンを受けていた時に感じていた、あの感覚にそっくりです。まあ、キング先生のレッスンでは、もっと激しくノドが痛くなったし、血の匂いも感じていたけれどね。

 確かに、キング先生のレッスンでは「歌うポジションを高くしろ」とは言われていたけれど、毎回では無かったので、見逃されていた事の方が多かったろうし、第一、歌うポジションをどう高くするか習った事は無かったなあ。笑顔を作ったり、頬を上げると怒られたもんなあ…。「歌う時は、顔は出来るだけ無表情で。能面のような表情が理想で、そこからアゴだけを自然に下に落とすのが良いです」って習っていました。今、Y先生が教えてくれる軟口蓋を上げて歌うやり方なんて、全く教えてもらわなかったよ。

 それところか、キング先生には、声の響きが低くても、しっかりと声を出して歌っていると誉められたけれど、あれってノドを鳴らして歌っていたわけで、それこそY先生に言わせれば「絶対にやってはいけない事」の典型例なんだよね。

 発声メソッドの違いと言ってしまえば、それっきりだけれど、少なくとも私の場合、あのままキング先生のところで習っていたら、早晩、ノドを傷めて、声を壊していたんだろうと思うと、ぞーっとします。ああ、先生、替えてよかった。

 閑話休題。響きのポイントを確認し、常に響きを眉間に置いたら、そこから声を上下に広げて歌っていきます。その際に大切なのが、ブレス・コントロールです。ブレス・コントロールとは、言葉を変えて言えば、息の支えの事であり、腹筋のコントロールとほぼ同義です。

 音程が高くなるほど、息を速く多く圧を高めて送らないといけません。逆に、音程が低い時は、息をゆっくりと少なめに(しかし、圧はしっかりと)送らないといけません。これって、フルートと全く同じだね(笑)。私の場合は、高音に必要なほどの息が送られていないので、高音が出づらいのだそうです。さらに言うと、低音の時は、逆に息が多すぎクので、音程が安定せず、声がブレブレになってしまうのだそうです。難しいね。

 ちなみに、テノールの場合、高音Aまでは、ブレス・コントールだけで歌えないといけないのだそうです。高音Bから上は、ブレス・コントロールだけで歌うのは無理で、声をしっかり曲げていかないといけないのだそうです。逆に言うと、高音Aよりも前で声を曲げて、発声を変えてしまってはいけない事を肝に銘じないといけないわけです。

 私のノドなら、Hi-Cまでは無理せず、なんとか歌えるはずだから、せめてAまではブレス・コントロールだけで歌えるようになっておかないと先がない…って事らしいです。

 「もっとも、Hi-Cが出ないテノールなんて、プロでも珍しく無いので、そんなに気にすることはないのかもしれませんね」ともおっしゃってました。「ただし、その場合は、劇的な歌い方ができるようにならないと…歌える役がありませんが」ともおっしゃってました。

 私の場合は、声帯的にはHi-Cぐらいまでだろうから、それよりも上の音は、テクニック次第なんだそうです。テクニックを身に付ければ、Hi-Dとかもいけそうなんだけれど、問題は、私の人生には、それらのテクニックを身につけている余裕が、たぶん、無い事、なんだよね。ああ、残念。

 再び、閑話休題。まあ、可能性の話はさておき、当面の問題は、なんとか出せる、GとかAbの音を、安定的に、音程的にもぶら下がらずに、いつでもヒョイと歌えるようになる事、まず越えるべきハードルは、これだろうね。そのためにも、響きのポイントを高くして、ブレス・コントロールをきちんと出来るようになる必要があるってわけだ。

 がんばろー。

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