今日は息の吸い方の問題です。
多くの発声関係の本によると、息は口から吐いて(歌っているんだから当たり前)、鼻から吸うと書いてあります。実際、そのように指導なされている先生方も多いでしょう。事実、余所の教室から移動してきたお姉様方が最初に注意されるのもソコ。ああ、余所の先生はそう教えているんだなあ…って思います。
鼻から息を吸いましょうと指導する利点はいくつかあるでしょう。曰く、喉の乾燥を防ぐ。曰く、喉にゴミが入るのを防ぐ。曰く、ゆっくり吸うので深くたっぷり息が吸える。などかな? 他にもあったら教えてください。
でもキング先生は違う。息は口から思い切って吸いましょうタイプです。
なぜ口から吸うのか? 曰く、口を開くだけで息が入るので吸うという動作をせずにすむ。曰く、素早く大量に息が吸える。曰く、息を吸うと同時に次のフレーズに対する備えできる。曰く、口の中は息を吐くよりも吸う時の方が大きく開くのでより響く声が出せるようになる、などかな?
私はキング先生に師事して以来、ずっと「口から息」派なんですが(だからフルートの時も口をガバーって開いて、笛先生に叱られます)、確かに喉は乾燥しますね。すごく乾燥します。レッスンの時は、ペットボトルが手放せません。歌えば必ず喉って乾燥しますが、乾燥する度合いは確かに激しくなっているかもしれません。この点では「鼻から息」派のアドヴァンテージを認めます。
ゴミは…そんな不潔なところで歌わないから入ったことないです。もし入ったら、むせてしまって大事ですわな。
鼻から息を吸うと、たしかにゆっくり息を吸うことになります。ゆっくり吸ってたら、次のフレーズに間に合いません。みなさん、どうしているのしょうね? それに息をたっぷり吸えるかどうかは、単純に練習次第だと思いますよ。普段から、一度に多量の息を深く吸う練習をしていれば、口から息を吸っても深くたっぷり吸えると思います。
それ以前に、歌う時に深くたっぷり息を吸っちゃっていいの? って疑問もありますが…。息ってあんまりたくさん吸うと、すぐに吐き出したくなるので、結果、息が短くなると思うのですが…。
とまあ、ゴミと乾燥に関しては「鼻から息」派に負けますが、それ以外は別にどうということもないと思ってます。
私のような初級者に取って、むしろ大切なのは、息を吸いながら次のフレーズの準備をすることです。次のフレーズの出だしの母音が「ア」なら「ア」の口で息を吸う。「エ」なら「エ」の口で息を吸う。これ案外大事。フレーズの出だしがきちんと歌えます。
先生がよくおっしゃるのは「声を出してから声をどうこうしようとしても無駄。出てしまったものは直せない。だから、出す前に十分準備をしないとダメ」 はい、全くそのとおりです。
だからキング門下では、口から息を吸います。次のフレーズの出だしを考えながら、息を吸います。そして口は、吐く時よりも吸う時の方が大きく開くので、吸った時の状態をキープしたまま歌い出せれば、より良い感じで歌えます。
大事なのは、吸った時の口の状態をキープしたまま歌い出すことです。吸った後、口の中をリセットしてしまったら、別に鼻から吸っても同じことになってしまいますからね。で、私は無意識にリセットしてしまい、よく注意されます(笑)。
さあ、今日もがんばって、口から息、吸うぞ!
コメント
はい、確かに「大あくび」状態を目指している私も口から吸う派です。
ただ、屁理屈こねますが、以前「息は吸うな」と言われました。(笑)横隔膜を下げたら勝手に空気が入ってくると。私はその頃は胸呼吸だったので、「ヒー!」と吸う音がしましたので、そう言われたのです。しばらく普段の生活も横隔膜の上げ下げだけにしようとがんばりました。その時は苦しかったです!なかなか空気が入らなかったのでね。最近は横隔膜を下げると入るので、音もなく吸えます。口は開いてます。口の方が吸う音がしませんね。ギター弾く時も口で吸ってます。フルートは鼻の方が便利かな~。
鼻呼吸は健康法でよく言われてます。
でも歌う時に鼻呼吸は鼻とノドの境目をンガンガと切り替えないといけないので、時間的にもったいないような気がしますねえ。専門的にはよくわかりませんが、私は鼻で吸えとは言われていません。
私の乏しい声楽レッスンの記憶を引っ張り出してみましたが、「鼻から吸いなさい」と言われたことはありませんねぇ・・・。私は鼻が悪くて、鼻から吸えと言われたらそれはそれでツライかもしれんなぁと思います。
鼻から吸って口から吐く場合、タイムラグが生じると思うんですがそれってどう処理するのかな~って、つまんないことですが気になりました。
まぁそれよりも、鍵盤の場合は息を吸わなくても演奏できちゃうので、息をもっと考えないといけないなぁと個人的には思うのですが。
>ticoさん
息は吸うな…は、実は私も言われてます(笑)。ただ、ちょっとticoさんのところとはニュアンスが違うかも。ウチは「息は吸わないで、まず吐く。息というのは、吐き終われば勝手に体に入ってくるから、吸う必要はない。その前に、きちんと息を吐きましょう」って感じです。
その頃の私は、息が足りなくなるの恐れて、息を吸うのに一生懸命だったんだと思います。それなのに、十分に息を吐ききっていなかったんだろと思います。吐きもせずに吸うので、注意されていたんだと思います。
コップにきれいな水をたっぷり入れるには、まず、元々入っている汚い水を捨てるところから始めないとね。
今は…息をむやみに吸うのはなくなりましたが、息が足りなくなるのは、毎度のことです。おそらく息の支えの練習を、きちんとやんないといけないのだろうなあ…と思ってます。
ちなみに、フルートでは「鼻から息を吸いなさい」と言われてます。
>ことなりままっちさん
普段の私は、それほど鼻が悪くないのですが、花粉症なので、春は鼻がとても悪いです。夏~冬は鼻呼吸でできますが、春は鼻呼吸不可です。もし、歌うときに鼻呼吸を強要されたら、春は全く歌えません。
でも、先生も生徒さんを見ていってる部分があると思います。鼻が悪そうな人に「鼻で息しなさい」とは言わないのでは? フルートは鼻呼吸なんですが、笛先生に「鼻は大丈夫ですか?」って最初に確認されました。
>鼻から吸って口から吐く場合、タイムラグが生じると思うんですがそれってどう処理するのかな~って、つまんないことですが気になりました。
私も疑問ですが、たぶん絶えざる修練で克服するのでは?
>鍵盤の場合は息を吸わなくても演奏できちゃうので、息をもっと考えないといけないなぁと個人的には思うのですが。
鍵盤はもちろん、息を使わない弦楽器などもそうですね。ラ・フォル・ジュルネのマスタークラスの先生たちは、ほぼ全員、若い奏者たちに、息のことを指導してます。五線譜にブレスの位置を記入させてた先生もいます。ブレスとフレーズには切っても切れない関係があるみたいです。
>吐き終われば勝手に体に入ってくるから
これは私も言われましたよ。発声練習の前の練習でも一回一回吐ききってくださいと言われてます。やってるつもりなんですが、ほんとのとこはわかりません。後になってわかるのかもしれません。まだ五里霧中(ゴリ喪中)です。はぁ~。
ギターでもブレスがちゃんと出来ないと呼吸のある演奏になりませんね。聞いてる人も演奏者に会わせて呼吸するので、呼吸のない人の演奏は息が詰まってきます…。
>おそらく息の支えの練習を、きちんとやんないといけないのだろうなあ…と思ってます。
そうなんですねえ。ちゃんと支えが出来てちゃんとした発声が出来るとブレスは足りますね。私もまだ苦労してます。(T_T)
>ticoさん
>聞いてる人も演奏者に会わせて呼吸するので、呼吸のない人の演奏は息が詰まってきます…。
そうそう、ギターに限らず、演奏者の呼吸がデタラメ(失礼)だと、お客はつらいね。いや、ほんと。
日本語には「息が合う」という表現がありますが、演者の呼吸が上手で適切だと、自然とお客もその呼吸に合わせてしまいます。そして舞台と客席の息がピタリと合った時。その時が最高の演奏なんでしょうね。
呼吸と少し離れますが、それよりなにより、つらいのが、苦しげに歌ってる歌手。歌手の苦しさがこちらに移ってきて、聞いているこっちまで酸欠になります。あれには参ります。
だから歌はラクに歌わないと、お客様を良い気分にさせられないのだと思います。