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「アッチョンブリケ」は美声になるための魔法

 アッチョンブリケって知ってますか? 手塚治虫のマンガ「ブラック・ジャック」の登場人物であるピノコがよくやるポーズです。まあ、一種のギャグでしょう。両手を頬にやや強く押しつけて、縦開きになった口で「アッチョンブリケ!」と叫べば完成です。

 さあ、みなさん。やってみましょう。まず口を軽く開いてください。そして両手を平手で頬に当ててください。軽く当ててはいけませんよ。少し強めがいいです。手のひらで頭を挟み込むような感じで。そうすると…ほら、口が縦にしか開かなくなるでしょ。縦長に開くでしょう。そうそう、それがいいんです。それがアッチョンブリケです。その形のまま「アッチョンブリケ」ではなく、何か歌を歌ってください。

 どうですか? いつもと声の調子が変わりませんか? あまりよく分からない人は、アッチョンブリケのポーズのまま、頭の後ろでガチョーンとやって見てください。ほら、なんとなく声が変わったような気がしませんか? 分からない? そうですか…。

 実はこれも、前回のレッスンの時の実験でやりました。あ、レッスンの時はアッチョンブリケという用語は使ってませんよ、念のため。アッチョンブリケは私すとんのイメージです。キング先生は「洞窟」って言ってましたけど…。

 さて、この実験の時は、グループを二つに分けて、それぞれにお互いの歌を聞き合うという形で行いました。

 A)普段どおりに歌う
 B)頬に手を当てて、口を縦開きにして強制的にして歌う(つまりアッチョンブリケ)

 さて、結果は? 圧倒的にBの方が美しい声になります。声が5倍増し(5割増しではないよ)くらいに美しく感じます。いやホント。私はB→Aの順番で聞いたのですが、Bの時は、アレアレ、この人たちはこんなに美しい歌声だっけ? と一瞬錯乱したほど美しかったのですが、その後Aにした途端、なんかここで書くには支障が生じるぐらい落胆してしまいました。なんだ、普段の声って………なんだ。

 私が実験台になった時(この時は、A→Bでやりました)は、Bになった時、私の声を聞いていたあるお姉様が「すとんさん、まるでイタリア男のような声よ。今なら口説かれてもいいかも」って真顔で言ってました。その時に私は「これはいける!」と確信しました。アッチョンブリケは案外いけます!

 以前からキング先生に「口は縦に開きましょう」と何度も何度も言われてましたし、実際に手を頬に当てて歌わされもしたのですが、いま一つ声がよくなったような気がしないんです。なんか声が口にこもったような、くぐもったような印象がして、いま一つだなあと思ってました。実際の実験の時も、歌っている感じはなんかスカーっとしない感じなんですよ。でも、客側にまわると、エラく違う。いや、ほんとに違う。すごく違う。

 今回、実験ということで、始めて聞く側にまわったわけですが、これはさすがに毎回のように先生に注意されるわけだ。こんなつまらない事で、声がガラっと変わります。

 自分の声は自分では分からないとはよく言ったものだ。こんなにいい方向に変わっているのに、その自覚が自分には全くないのだから!

 口は縦開きです。イメージはアッチョンブリケです。実際に体得するまでは、何度もアッチョンブリケをして体に染み込ませた方がいいくらいです。それくらい大切です。

 私も毎日練習して、体に染み込ませないとネ。

 しかし実験ができるのは、グループレッスンならではの効用ですね。個人レッスンだと実験したくてもできないものね。

コメント

  1. 松尾篤興 より:

    To Ston
    アッチョンブリケ。いいですね〜
    こんなおまじないをかけるとたちどころに美声になるとか・・・
    私も美声になるための「発声法のカンジインカナメ」をアップしました。
    http://blogs.yahoo.co.jp/matsuoatsuoki/folder/164455.html
    松尾篤興

  2. tico より:

    私はモンクの「叫び」をイメージしていました。今は鼻腔と一緒にもっと首側を開くことを考えさせられているので、「大あくび」です。ところが、この練習をすると本当の大あくびが出て困ります。(汗)

  3. すとん より:

    >松尾さん

     アッチョンブリケって、いいでしょ(笑)。

     松尾さんのブログも読んできました。最近、高い音の練習に迷いがあった私ですが、なんかやれそうな気がしてきました。高音を出すためには、まずは中音をしっかり出す。それができれば、おのずと高音が出る様になる…。

     同じような注意を色々な声楽系の先生方に言われ続けてきたような気がします。短気は損気。少し分かり掛けてきたような気がします。

  4. すとん より:

    >ticoさん

     実は私も最初は「叫び」をイメージしました。でも、それじゃああんまり可愛いくない(笑)ので、アッチョンブリケにしました。だって、ピノコちゃんはかわいいでしょ。

     それはともかく、やはり基本にあるイメージは「あくび」だと思います。最初に「あくび」を思いついた人は、素晴らしいと思います。

     ちなみに、私も「あくび」をイメージすると、思わず「あくび」が出る人です。なぜでしょうね。「あくび」には不思議な力があると思います。

  5. Cecilia より:

    アッチョンブリケ・・・よくやっていました!
    (歌う時ではないです。)
    この時蝶番がゴキッて言うほど縦に開けるのでしょうか?
    私の場合、そんなにほほ骨をあげないのですが、自分が歌うときの感じはどちらかと言うと縦に開けるよりもほほ骨をあげる感じに近いです。
    どちらにしても不十分な感じですが。

    私は仕事をしていた頃あくびをする時の「あ~」がベルカントだ~と当時の同期の音楽教師(声楽家)に言われました。
    本当にいい感じの声が出るんです。

    余談
    中学の頃加山雄三の「ブラックジャック」を見ていました。

  6. すとん より:

    >Ceciliaさん

    >この時蝶番がゴキッて言うほど縦に開けるのでしょうか?

     え? 私も簡単に痛みもなくアゴがゴキってなる人ですが、あれって完全にアゴの関節が外れますよね?(違う??) アゴを外すほど大きく口を開いてはマズくないですか? って言うよりも、そこまでやっちゃったら、スムーズに歌えないような気がしますが、いかが?

    >私は仕事をしていた頃あくびをする時の「あ~」がベルカントだ~と当時の同期の音楽教師(声楽家)に言われました。

     ちょうど松尾さんがこの上の発言からリンクされている記事に関連事項をお書きになっていますよ。

     でも、あくびの時に出る声って、びっくりするほどいい声出ますよね。

    >加山雄三の「ブラックジャック」を見ていました。

     これ知ってるけど、見てない(涙)。私の人生の中では珍しく、テレビを見ていなかった時期の放送だから。当時かなり話題になっていたっけ。

  7. tico より:

    >だって、ピノコちゃんはかわいいでしょ。

    さっぱりわからないのでパスです~。

    >あくび

    1年目の時はそのあくびさえ、うまく出来なかったのでした。意味がわかるようになるまで時間がかかるものですね。

    >まずは中音をしっかり出す。

    私も初めにそう言われました。出る声をきちんと発声できるようにすると。最近、自分では地声(話し声)をもっときちんとしないといけないなと思い始めています。友達とおしゃべりしている時にもひっそりと腹式呼吸とかノドの開放とか、見直しています。高い声は一応、身体の準備たトータル的に出来るようになれば出るのだということまではわかりました。ちゃんと出来ませんが。それで、一箇所だけを熱心に完成させてもバランスが悪いので、あっちをちょっと、こっちをちょっとと徐々に全体のグレードアップを計ろうと思っています。なにしろクセにするまでは時間がかかりますね。

  8. すとん より:

    >ticoさん

    >最近、自分では地声(話し声)をもっときちんとしないといけないなと思い始めています。

     実は私もそこんところ、気をつけるようにしてるんです、最近。と言うのも、声のキレイな人って、話し声もキレイじゃないですか? 歌うから…と言って、その時だけちゃんと発声しようとしても、普段の発声がいいかげんだとダメかなって思います。

     歌手の人たちのリサイタルに行くと、ステージトークの声がすでにキレイに響いてますからね。話し声もキレイに響くから、歌声も自然とキレイな響きになるんだなあと思ってます。ああいう声になりたいなあと思います。

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