食後の合唱曲を聞いた後は、ふたたび東京国際フォーラムを後にし、次の演奏場所に向かった私たちでした。
木管五重奏団
向かった先は、今回から加わった新しい演奏場所、三菱商事MC FORESTの1階広場でございます。丸ビルの(東京駅から見ると)すぐ裏の場所で、丸の内にあるのに“丸の内エリア”ではなく“LFJエリア”という、ちょっと3番手的な扱いを受けている演奏会場でございました…三菱系なのに、ちょっと寂しい扱いなのが残念な場所です。
ここ、演奏会場として良いですよ。野外なので、天候さえ良ければ…という条件付きですが、感じとしては、三菱一号館美術館近くの、丸の内ブリックススクエアのような場所です。高いビルに囲まれた、静かで響きの良い空間なのです。むしろこちらは、三菱商事MC FORESTの玄関前ですから、ビルそのものが反響板の役割をしますから、丸の内ブリックススクエアよりも良いかもしれません。あと、椅子が何脚か用意されていて、座りながら聞けるのも良いかもしれませんね(丸の内プリックスクエアは、基本的に立ち見オンリーです)。
この場所で聞いたのは、木管五重奏の演奏でした。
Appasionista [川口晃(フルート),是沢悠(オーボエ),西崎智子(クラリネット),河崎聡(ファゴット),安田健太(ホルン)]
1)ファルカシュ:17世紀の古いハンガリー舞曲集より
2)トマジ:世俗と神聖な5つの踊りより
3)松本孝弘:ultra soul
4)イベール:3つの小品
1)は素朴な感じのなごみ系の曲でした。4曲演奏してくれましたが、どの曲も素朴です。そもそも木管五重奏曲として作られたオリジナル曲なんだそうです。道理で、それぞれの楽器の良さも引き出されていて、好感の持てる曲でした。
2)は現代曲だそうで…よく分かりませんでした。どうも私は現代曲は苦手なようです。例によって、メロディがありそうで無い感じの曲でした。
3)は、すごく良かったですよ。前半はワルツに、後半は四拍子のいわゆる縦ノリのリズムにアレンジされていました。フルートは何気に高難度なテクニックを披露していて、思わず演奏に引き込まれてしまいました。ちなみに、ドラムパートはフルートが演奏していたんですよ、想像できる?
4)は知る人ぞ知る木管五重奏曲の定番にして名曲なんだそうです(私は知りませんでした)。なんでも、出版譜の指定と作者の指定が違うそうで、今回は作者の指定通りの順番で演奏した(第3楽章→第2楽章→第1楽章)んだそうです。私には馴染みのない曲でしたが、各楽器がそれぞれ活躍する箇所もあり、曲想もどことなくアンニュイで、しっかりメロディーもあって、良い感じでした。
客のウケも良くて、LFJではめったにないアンコールをやってくれました。ファルカシュの曲でしたが…どの曲をやったのかは、私には分かりませんでした。
こうもり
次は有料コンサートです。東京国際フォーラムに戻りました。
びわ湖ホール声楽アンサンブル
大川修司(指揮),渡辺治子(ピアノ)、中村敬一(演出)
アイゼンシュタイン(増田貴寛)
ロザリンデ(平尾悠)
ファルケ(五島真澄)
オルロフスキー公爵(山際きみ佳)
アルフレード(島影聖人)
アデーレ(藤村江李奈)ヨハン・シュトラウス二世:オペレッタ「こうもり」(ハイライト・演奏会形式・日本語版)
とにかくおもしろかったです。全3幕2時間半のモノを、あまり有名ではない曲を省き、込み入った部分をすっきりとまとめて、全1幕約1時間にしました。主要な曲はすべて演奏し、ストーリーも基本的に同じで、短縮オペラとしては、上出来でした。さらに言えば、演奏会形式と銘打ってますが、大道具が無いだけで、歌手たちは衣装を着て、しっかり演技をしながら演奏していました。日本語歌唱でしたが、オペレッタは現地語上演が原則ですから、日本語も気にならず、とても頼ませてもらいました。
かなりたくさんの客が時間ギリギリ、あるいは遅刻して入ってきたので、開始時刻が少々遅れてしまいました。おそらく、ホールEで演奏された「こうもり」を見てきたのでしょう。あちらは無料演奏だし、同じように、ハイライト・演奏会形式・日本語版だし、その上、こちらよりも演奏時間が長いし、合唱団が加わっているし…声楽ファンなら行くよね。私も、移動時間の事を考えなければ、必ずそちらにも行きました…で、多くの人が移動時間の事を考えなかったようで、あちらを見てからこちらにきたのでしょうね。それでこちらの演奏開始が遅れてしまったようです。
ホールEでの「こうもり」、どんな感じだったんだろ? そちらはそちらで、私だって興味あったのよ。
さて、こちらの有料コンサートの話に戻ります。通常はバリトンが演じるアイゼンシュタインが、こちらではテノールさんによって歌われました。もう、それだけで私は満足だったりします。さらに、アルフレード(そもそもテノール役です)は、オルロフスキーが歌えるんじゃないの?ってくらいに高いテノールさんでした。で、そのオルロフスキーは…と言えば、まるで宝塚の男役さん?って感じのソプラノさんが演じていました。日頃からズボン役にケチをつけがちな私ですが、この配役には納得しました。
セリフ部分はかなりの改変&現代化がされていて、日本語の喜劇として、きちんと成立していました。
LFJで、割りとしっかりしたオペラを見たのは、これが始めてかもしれません。LFJは器楽演奏に傾きがちだからなあ…。いやあ、とても良いものを見せていただきました。さすがは有料公演。感謝感謝です。
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