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なぜ今時の若者は車を買わないのか? そしてなぜ私は車を買わなかったのか?

 たまに見かける命題に「なぜ今時の若者は車を買わないのか?」というのがあり、しばしば雑誌や新聞、ネットで取り上げられています。そこには、いかにもな理由が上げられていますし、中には私も納得する理由があります。

 例えば『今の若者は貧乏だから』『今の若者には車以外の楽しみがたくさんあるから』『環境問題への意識が高いから』とかね。まあ、そうかもしれない。

 今の若者は生まれた時からずっと、デフレスパイラルの中で生きているわけで、企業も人件費を低い水準で抑えざるを得なくて、働いても働いても、なかなか昇給しないわけで、それを“貧乏”と呼べば呼べるでしょう。一方で車の価格は上昇しているわけで、若い人の給料では、手の届かないモノになっている事は事実です。

 でも21世紀の日本は案外豊かで、だからこそ多種多様な娯楽があるわけで、娯楽としての車の地位は相対的に低くなったことも事実です。高価で楽しくないものが飛びように売れる事なんて…そりゃあないよね。

 今の若者たちは学校で「エコエコ…」と、その後に“アザラク…”が付きそうな勢いで、環境問題に関する教育を叩き込まれています。特に地球温暖化だとかCO2問題だとかは、世間が騒ぐ前から学校現場では取り上げられているわけで、そういう教育を受けてきた子たちにとっては、車は「排気ガスを垂れ流し、大気汚染の原因となり、公害病の元となる疫病神」という認識だったりします。「エコのためには、車をやめて自転車で移動しよう」とか学んでいたりするわけで、無意識に車の購入を回避するようになっていても不思議ありません。、

 そんなこんなの理由はあるにせよ、私はそれ以前の話として、そもそも「なぜ若者は車を買わないのか?」という命題そのものに、大いなる疑問があるのです。

 と言うのも、この命題の前提条件が「若者は車を買うものだ」だからです。可怪しくない? なぜ車を買わないといけないの? 私は、むしろ、車を購入すること自体に疑問を感じます。

 私は今時の若者ではありませんが、車を買いませんでした。だから、今でも車を持っていないし、免許もありません。まあ、運転免許は簡易な身分証明証になりますので、免許を持っていないのは、たまに不便を感じますが、でも車を持っていない事自体で、大きな不便を感じた事はありません。

 車を所有する事にはメリットとデメリットがあると思います。

 私は車のメリットを否定しません。自家用車があれば、短~中距離の移動が楽になるし、時間も節約できます。悪天候でも濡れずに移動できます。重い荷物も持たずに移動できるし、電車バス等公共交通機関の無い不便で辺鄙な場所でも行動できます。

 でもね、デメリットもあるでしょ? まあ、ここでは、車をディスるつもりは無いので、デメリットは列挙しない事にしておきます。でも、メリットとデメリットを天秤にかければ…必ずしもメリットの方に軍配があがるとは…限らないじゃない?

 私が車を持っていない理由は、そもそも車に興味関心がなかったからです。だって、私の生活には、車は邪魔モノでしかないもの。

 私が暮らす世界では、徒歩10分圏内に生活に必要なほぼすべての施設があるし、職場にだって30分も歩けば到着します(ちなみにバスに乗ると40分かかります。バスは遠回りするからね。自転車なら10分程度です)。遠出をしたければ、電車やバスに乗ればいいし、バス停は家のすぐそばにあるし、電車の駅だって徒歩10分程度で到着します。どうしても車に乗りたければ、タクシーを呼べばいいじゃない? 私はタクシーをよく利用しますが、今の時代、携帯でタクシーを呼べば、10分かからずにやってきます。「タクシーは高い」と言って敬遠する人がいますが、車の維持費と比べれば、格段に安くて経済的です。駐車場問題とも無縁になれるし、あれこれ結構便利ですよ。また、重い荷物の買い物は、タクシー利用ばかりでなく、通販を頼むか、近所の店の配送サービスを使うという手もあります。

 人間の基本がヲタクなので、アウトドアライフには興味は無いし、ドライブで遠出をするよりも、部屋にこもっている方が楽しいし、遊びに行く先も都会が多いので、車ではなく電車バスでの移動の方が便利だし、なによりも歩くの大好きだし(笑)。

 若い時なら、ナンパの道具として車を活用する…というのもあるかもしれないけれど、私、そもそもナンパをした事が無いので、ナンパの道具はいらないのです。ちなみに、合コンもした事ないし、婚活パーティーにも参加した事ないです。もちろん、モテモテのイケメン男子には程遠かったけれど、そこそこにリア充な生活をしてたので、いわゆるガールハント的な経験がないのです。今思うと、ちょっと残念だったかもな。

 あと、私の伯父がお金持ちのお抱え運転手をやっていたのだけれど、その伯父が、私が幼い時から「車を運転する側に人間になるな、車を運転してもらう側の人間になれ」と口を酸っぱくして言い続けて刷り込んでくれたので、無意識に免許取得を回避していたという部分はあるかもしれません。

 で、そんな私なので、車の必要性を感じなくて、免許取得をしなかったのです。

 実は私、大学に入学した頃、ちょっとした計算をしたのです。今から免許を取って、駐車場を用意して、中古車を買って、保険に入って…なんて事をしていたら、30歳になるまでに、いくら費用がかかるのかと計算したら、びっくりしちゃいました。だって、すごい大金だったんだもの。そんなお金があったら、家が買えるって事が分かったから、本当にびっくりしました。

 で、思いました。「だったら、車買わないで、家を買おう」ってね。で、実際、30歳になる前に、湘南に土地を買って、今の家を建てました。もちろん、注文建築だし、基本設計は私自身でやりました。今の家は、青年~中年期に暮らす前提で建てた家なので、あと数年頑張って、現役を引退して退職金をもらったら、老人として暮らすための家に建て替えるつもりです。うふふ。これもそれも、車を持っていないからできる事です。

 だってね、車って、すごく高額な買い物なんだよ。車そのものも高価だけれど、それを維持したり、メンテをするためにもお金がかかります。ほんと、車って、金食い虫だよね。それでも生活のために必要ならば、私もケチケチしないで、車買うよ。でも、湘南地方で生きていくなら、車は無くても全然平気なんだよ。

 湘南で暮らすなら、車よりも自転車でしょ。だって、どこまでも真っ平らな土地だもの。自転車移動が便利だし、自転車利用が似合う街です。以前は私も自転車に乗っていました(数万円もする、ちょっと立派な自転車で“漢号(おとこごう)”と呼んでいました)が、今では自転車にも乗らずに、徒歩生活をしてます。自転車が嫌になったわけではてく、運動不足解消のため…というのが主な理由です。

 今の若者と言っても、人それぞれだし、車を持たない理由も様々だと思うけれど、そもそも「若者は車を買うものだ」という考え方が間違っていると思います。

 車は、必要な人が買うものであって、必要を感じない人は買わない方が賢い生き方だと思います。だって車ってやたらと高いじゃん。限られた収入は有効に使わないと…ね。

 21世紀の日本ならば、都市生活者には車は不要でしょう。都市生活者で車を購入する人は、単純に、車が好きな人と、車が趣味な人だけです。それはそれでいいじゃない? だいたい車ってエコじゃないし、地球にも優しくないし(笑)。

 若者が車を買わなくなると、自動車メーカーは内需が期待できなくて厳しいだろうけれど、その分、輸出で頑張ってください。そもそも、自動車メーカーなんて、グローバル企業なんだから、内需に期待しちゃダメだしね。

 むしろ「そもそも若者は車を買わないものだ」という前提で物事を考えた方が、商売関係の方々は、良い結果が導き出せると思うのだけれど…どうでしょ?

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コメント

  1. ドロシー より:

    すとんさん

    車って、田舎(政令指定都市以外)の人には生活必需品です。
    バスは1日数本だけです。市立病院でさえ駅からは歩けないロードサイドにあります。
    それだけに、車が運転できない高齢者の人は出歩くことができません。
    なので、田舎の高齢者は活動範囲がすごく低くなります。
    活動範囲が狭いと、他の消費も減ります。
    車でなくても良いので、若者には消費をして、どんどんお金が回るようにして欲しいです。
    「一億総活躍社会」ではないけど、老若男女それぞれが、これまで以上に稼いで消費して納税するしかないですね。

  2. すとん より:

    ドロシーさん

     公共交通機関が十分に発達していない地域、もしくはかつては十分だったけれど、今は廃線などで十分に機能していない地域では、乗用車は必要不可欠である事は理解しています。しかし、日本人の大半は都市部に生活していて、都市生活者の日常生活において、車は特別必要なモノではない…と私は思ってます。

    >車でなくても良いので、若者には消費をして、どんどんお金が回るようにして欲しいです。

     それはそう思います。問題は、今の日本企業、とりわけ大企業は、国内で儲けて利益を出しても、それも人件費に回したり、国内での雇用拡張や施設整備には回さず、ずいぶん以前から、海外へ投資して、国内から労働を奪うような動きをしている事です。会社は発展しても、そこで働いている人たちがちっとも幸せにならない…という事を、長い間やっているので、そのしわ寄せが若い世代に集中して、働けど働けど賃金は上がらず、生活はちっとも向上しないわけです。そうなると、出費を控え、贅沢を避け、消費もせずに貯金をするようになります。

     アメリカのトランプじゃないけれど、日本も、もっとジャパンファーストで行かないと、若い世代が可哀想だな…と思います。政治も経済界も、もっと日本国と日本人を優遇していかないといけないと思います。稼いだお金は自分たちのために使う。国外に持ち出さない…そういう事が大切になってくる時代となったのだと、私は思います。

  3. うさぎ より:

    私の家には小さな車が一台あります。年寄りをかかえる家なので、それなりに重宝しています。でも、私の知り合いには(30〜50代)、車を乗らない人も多くいて、意外とアクティブ。積極的に僻地のイベントなんかにも出かけたりしています。そもそも、「車で行く事」が頭にないほうが、いろいろ行動しやすいかも?!なんて感じさせられます。私は車で出かける事を真っ先に考えちゃって、行動範囲が狭まっているかもしれませんね。通勤は自転車だし、買い物だって基本は自転車なのに、手放せないんですよね〜車。

  4. すとん より:

    うさぎさん

     私は車を運転しませんが、うさぎさんの気持ちは分かります。

     車は便利すぎて、ついつい“車ありき”で物事を考えてしまうのだと思います。私の周辺にも、そういう人、たくさんいますし、そういう風に考えるのもわかります。だって、車って、道さえつながっていれば、どこにでも行けるんだもの。そりゃあ、車前提で考えちゃうだろうなあ。

     私、そういう人と湘南から名古屋まで出かけた事があります。私一人なら、迷わずに新幹線利用ですが、その人は車の人で、電車に乗りたがらなかったので、彼の車に同乗しました。楽しかったなあ…長距離ドライブもなかなか良いもんですね。ただ、時間がかかりすぎたような気がします。名古屋なら、新幹線でピャッと行けるのに…ねえ(笑)。

     ちなみに、鉄道マニアの人と、博多まで行った事もあります。新幹線利用でしたが、私一人なら、迷わずに飛行機で行ってます。いやあ、湘南から新幹線で博多まで行くと、疲れる疲れる。彼は楽しかったみたいですが、私はさすがに疲労困憊となりました。でも彼は、本当は、新幹線ではなく特急やら何やら別の電車に乗りたかったみたいですが…それは却下して正解だったなあ…と思います。

  5. Hiro.MTB より:

    お久しぶりです。しばらく帰国しておりました。

    >その分、輸出で頑張ってください。そもそも、自動車メーカーなんて、グローバル企業なんだから、内需に期待しちゃダメだしね。

    いやいや、今どき輸出なんて古いです。今は現地生産ですよ。
    私も自動車部品メーカーの人間としてメキシコに駐在してもう2年になります。

    関東一円や関西などの都市部鉄道網を見ると、自動車なんて要らないですよね。むしろ駐車場代などの土地事情が厳しいようで。

    そう。都市部の人は自動車なんて買わなくてよろしい。私もそう思います。都市部で自動車を買う人は道楽者くらいのものでしょう。都市部の人が200万円のフルートを買うのと、200万円の自動車を買うのは、道楽という意味において同じ行為です。

    ただ、地方に住んでいる人は生活の足として自動車が必要不可欠です。それが無いと生活が成り立たない。地方で免許証の返納なんかしたら、それは死活問題です。スーパーに買い物にも行けなくなるので。

    なので、地方の人は200万円のフルートがほしくてもあきらめて200万円の車を買います。もしくは、150万円の車を買ってフルートは50万円にグレードダウンする。
    (すとんさんの記事中ではフルートではなく注文住宅になっていましたが)

    自動車が要らない都市部に住んでいるのは、すとんさんにとっては単なる事実かもしれませんが、実はそれだけで特権なのだということに気づいてください。

  6. すとん より:

    Hiro.MTBさん、お久しぶりです。

    >いやいや、今どき輸出なんて古いです。今は現地生産ですよ

     全くその通りです、お恥ずかしい。輸出なんてしていたら、トランプに締め出されちゃいますからね。

    >地方で免許証の返納なんかしたら、それは死活問題です。

     そうなんです、問題はそこなんです。でも、日本中、そんな地域はたくさんあって、さらに言えば、そういう地域にお年寄りが大勢住んでいたりするのです。

    >自動車が要らない都市部に住んでいるのは、…、実はそれだけで特権なのだということに気づいてください。

     全くその通りです。どこにでも歩いていけるという幸せをかみしめたいと思います。

  7. tetsu より:

    こんばんは。

    > なぜ今時の若者は車を買わないのか? そしてなぜ私は車を買わなかったのか?

    こちらも車を使わなくて住めるところに生まれ、その後車を使わない生活を選び続けて、未だに車は購入していません。
    車を初めて意識したのはT型フォードの大量生産方式についてどこかの新書で読んだあたりです。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%87%8F%E7%94%9F%E7%94%A3

    この古典的生産方式はいつまで続くのでしょうか。
    こちらはコンピュータ業界の片隅にいます。SE35歳限界と昔から言われ続けて今もギリギリ生活しています。

  8. すとん より:

    tetsuさん

    >この古典的生産方式はいつまで続くのでしょうか。

     最近の自動車工場に行くと、確かにラインによる大量生産をしていますが、かつてと違って、人の姿がめっきり減ってます。かなりの部分をロボットが作業していますし、また人間が作業している場面でも、傍らにロボットがいて、人間の仕事をサボートしています。いずれ、人がほとんどいなくなり、ロボットだけで自動車の大量生産ができるようになるかもしれません。

     オンデマンドで車が生産されると面白いのですが、それはなかなか難しいでしょうね。技術的にも難しいのでしょうが、費用的に見合わないと思います。そのための大量生産方式なんだと思います。

     車を単なる移動手段であると考えるなら、今の値段ですら、高すぎると思っています。大量生産でもこれ以上安くならないなら、やはり車のこれ以上の普及って難しいのだろうと思いますよ。

  9. Hiro.MTB より:

    すとん様

    上の私の書き込みを読み直したら、なんかずいぶん非難めいた調子になってますね…けっしてすとんさんを非難する意図はないのですが、お気に障ったら申し訳ありません。

    久しぶりに書き込めたので、なんか舞い上がっちゃいました(日本の実家からだと、なぜか書き込めないのです)。

  10. すとん より:

    Hiro.MTBさん

     全然、気に障ってないです、ほんとだよ。もしも気に障っていたら、私、露骨にやり返してますよ。そういう人なんです(笑)。

    >日本の実家からだと、なぜか書き込めないのです

     なぜなんでしょ? ネットって不思議ですよね。

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