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なぜ先生について学ばないの?

 音楽をオトナの趣味でやっている人には、先生について学び、発表会等でその学習成果を披露する人と、趣味の団体に属して、その団体のコンサートで演奏を披露する人の、2つのタイプの人がいると思います。

 この2つのタイプの人は、似ている部分もありますが、決定的に違う部分もあります。実は私自身、以前は後者のタイプで、今は前者のタイプにあたる人なんです。

 まず、人数的には圧倒的に後者、つまり趣味の団体に属して、そこで活躍して、音楽を楽しんでいる人が多いと思います。だって、その方が楽しいでしょ? 音楽を楽しむ事と、仲間づくりの両方が一度に得られるわけですから…。これはおそらく、学生時代の部活動の延長の感覚で音楽を楽しんでいるのだろうと思います。

 たぶん、これが普通の人の感覚じゃないかな?

 実は私もそうでして、オトナになって音楽を趣味にしようと思った時、真っ先に「歌を歌いたい」と思ったものの、先生について習うという選択肢を思いつくことができませんでした。

 「歌なら、合唱部。学生だったら合唱部に入ればいいけれど、もうオトナだから…市民合唱団に入ろう!」と考えて、団員募集をしている団を探して、市民合唱団に入りました。私が入った団体は、学校の部活のように「初心者歓迎、誰でも参加してください」と公言していた団体です。ま、実際は違ったわけですが(汗)。

 この手の市民音楽団体は、部活の延長線上にあるわけで、基本的なメンバーも学生時代に活動していた人たちと、彼らに匹敵するだけの力量を持っている人と、彼らにつながる人たちで構成されている所が多いです。

 学校の部活の延長線上にはあるのの、学校の部活とは違うのは、新入会者(学校で言えば、新入部員)を育成するシステムはない…って事でしょう。なにしろ学校じゃないですからね。人を育てる必要はないのです。学校だと、3年経てば先輩たちが引退してしまうため、新入部員たちにも早く一人前になってもらわなければいけないわけで、必然的に新人の育成に力を入れざるを得ない部活と、創立メンバーが10年経っても20年経っても、その団にいるオトナの団体とは違います。オトナの団体だと、先輩たちは辞めないので、新入生たちが急いで一人前になる必要はないし、それゆえに新人育成システムのような面倒な仕事を行う必要もないのです。

 さらに学校の部活同様、きちんとした指導者がいるわけでもないし、イヤなら辞めてもらえばいいわけだし…。とにかく、自分たちの邪魔をせず、団費をきちんと支払ってくれれば良い…という考えになっても、誰も文句は言えません。だから、本当の初心者さんや素人さんたちは、その手の団体に入っても居心地良いわけはありません…が、それはまた別の話です。

 市民音楽団体で音楽を楽しんでいる人たちは、それなりの力量はあるし、自分たちのスタイルや音楽の楽しみ方も固まっているので、いまさら改めて先生に師事するつもりないし、それよりも自由に楽しくやりたいのです。まあ、当然と言えば当然の話です。

 一方、先生に師事をして発表会などで腕前を披露するタイプの人々もいるわけです。こういう人たちは、必ずしも、仲間を作るのが嫌いとか、団体が苦手とかいうわけではありません。そこには様々なタイプの人がいると思います。

 単純に、自分の力量不足を感じていて、上達することを目指している人がいるでしょう。私がそのタイプで、市民音楽団体では、新人育成システムがないため、そこにいるだけでは、上達せず、むしろ足を引っ張ってしまう事を心苦しく思い、個人レッスンを受けて、腕を磨いて、いつか、その音楽団体に戻ろうと思っている人ですね。

 まあ、私の場合は、合唱団に戻るつもりで声楽レッスンを始めたのだけれど、今となっては、合唱よりも声楽の方が面白くなってしまったので、まだ当分は声楽オンリーでやって、合唱はそのうちに戻ればいいか…というふうに心変わりしてしまいましたけれど…。

 あるいは、部活ではなく、習い事の感覚(水泳とか、英会話とか、ピアノとか…ね)で音楽を始める人は、趣味の団体ではなく、先生を探して指導していただくという道を選ぶ傾向があるようです。

 プロ志向とか、上達志向が強い人は、最初から先生について、しっかりと学ぶようです。

 先生の個人指導を受けて学んでいる人は、趣味の団体にいるよりも上達の速度は早そうですが、常に先生とマンツーマンですから、仲間づくりには不向きです。また、先生によっては「趣味の人なんだから、このくらいでよかろう」と考えて、ヌルヌルの指導しかしてくれない事もあります…そうなると、上達の速度も趣味の団体にいるのとどっこいどっこいになるかもしれません。

 あと、市民音楽団体に入りたいけれど、自分の力量では不足があるから、団体に入る前に、先生に個人指導を受けて基礎力を身に付けてから、団体に入りましょうと考える人もいます。ある意味、謙虚な方なのです。また、同じような理由で、今は先生に習うには力量が不足だから、ひとまず独学で頑張って、ある程度力量が身についたら、先生に習おうと考える人もいるようです。ああ、謙虚だな。

 もちろん、音楽団体に属しながら、先生の元で個人レッスンにも励んでいる人もいます。ある意味、こういうタイプの人が最強なのかもしれません。

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コメント

  1. ドロシー より:

    すとんさん

    私もそう思います。
    アマチュア団体のイヤな所は、公式指導者でもないのに何かを勘違いしている人が、上から目線で仲間を指導しようとするところですね。挨拶も自己紹介もしない音大卒やプロが一緒に混じると余計厄介ですね。

    確かに集団だと、できる曲も広がりますけどね。でも上達するかどうかは話が別です。

  2. すとん より:

    ドロシーさん

    >公式指導者でもないのに何かを勘違いしている人が、上から目線で仲間を指導しようとするところですね

     そういう“教えたがり”と言うのは、大抵オジサンです。それも会社かなんかでは、そこそこ偉かった人(過去形)が多いと思います。実は私も、うっかりすると“教えたがり”になりがちなので、すごくすごく自重しておりますが…ホントは、とっても他人に教えたがりなんです。

     とにかく、知っている事を話したくって仕方のない、底の浅い人間なんですよ。ま、それはここのブログを読んでいれば、おわかりか(笑)。

    >確かに集団だと、できる曲も広がりますけどね。でも上達するかどうかは話が別です

     まあ“楽しみを求める場”と“上達をめざす場”は違うという事だと思います。本当は“楽しみながら上達できる場”があれば最高なんだけれど、なかなかそれは難しいです。

  3. ショウ より:

    はじてましてすとんさん!

    最近声楽を習い始めたものです!
    始めたと言ってもこの前体験レッスンに行っただけですが(笑)

    自分は元々カラオケが好きでそれが転じて極めてみたい!と思い声楽の個人レッスンを始めたいと思いました。集団のレッスンは、他の人と上手い下手を比較してしまい、自分より上手い人がいると気落ちしてやる気がなくなりそうだったので個人レッスンにしました(笑)

    話が変わりますが、その体験レッスンにて喉声になっていると言われました!
    息を流してレガートにとも言われました。難しいです(笑)

    そこで質問なのですが、以前すとんさんは、キング先生の元で喉声を推奨?されていたようですが、その時と比べて現在声を出すときはどの位喉の力が抜けていますか?

  4. すとん より:

    ショウさん、いらっしゃいませ。

    >以前すとんさんは、キング先生の元で喉声を推奨?されていたようですが、その時と比べて現在声を出すときはどの位喉の力が抜けていますか?

     気を使っている時や、比較的低い音域のフレーズを歌う時は、いい感じでノドの力も抜けているようですが、気を抜いたり、高音に挑んで気合が入ると、喉声全開になってしまいます。

     要するに、声って、ノドの力で出すか、腹の力で出すかの2つがあり、それらは適度なバランスの上で成り立っているわけで、ノドだけどか、腹だけとかの発声はありえないのです。で、そのバランスが極端にノドに傾いた声が喉声であり、理想の声楽発声は、ノドよりも腹での発声を重んじているってだけの話です。

     ただ、腹重視の発声は、美的には美しい声になるでしょうが、人間の感情は込めづらくなります。感情表現に重きを置くならば、ある程度はノドも使わないといけません。そういう点では、キング先生は、美的な発声よりも感情表現を重視した歌い方を指南していたのだと思いますが…そういう指導をなされている先生自身は、美的な美しさを追求していらしゃいました…んです。

     ま、人生いろいろです。

     私の場合は、もともとノドが筋肉的にも強く、喉声発声に向いている資質を最初から持っていたのが、やっかいな点なのかもしれません。ノドが最初っから強いので、腹を使う発声に慣れないとも言えます。ただ、腹を使う発声にしないと、高音はどう頑張っても出ない…ことだけは確実ですよ。

    >息を流してレガートにとも言われました。難しいです(笑)

     難しいですね。喉声になってしまうと、息を流して歌うのが、ほぼ無理になります。息が流せるようになったら、だいぶノドの力が抜けてきた…と言えると思いますよ。

     頑張ってください。私も、頑張っていきます。

  5. ショウ より:

    丁寧なご回答ありがとうございます!

    すいません。
    追加で質問させてください!
    腹の力とノドの力のバランスで声を出すとのことですが、この腹の力とは具体的には、以前の記事で書かれていたモード1の引いて上げる力とモード2の前に向かって下ろしながら支える力のことですか?

  6. すとん より:

    ショウさん

     その件に関しては、私もまだまだ学習の途中です。

     中音に関してはモード2ですが、高音に関してはモード1です。低音に関してはモード3とも言うべき“引いて下ろす力”で歌います。超高音に関してはモード3からモード1への速やかな動作で出す…というように使い分けをしていますが、これは私にとっての正解であっても、ショウさんの正解とは限りません。おそらく、個人個人で違うのではないかなって思いますし、そこが声楽の難しいところです。なので、詳細に書かなかったわけです。

  7. ショウ より:

    ありがとうございます!

    やはり、声楽は奥が深そうですね!

    喉を壊さないように気をつけながら頑張りましょう!

  8. すとん より:

    ショウさん

     ノドを壊さないためには、ノドに力を込めすぎない事です。喉声でいつまでも歌っていると、私のように強靭なノドの持ち主はともかく、普通の人は、声を潰し、音色を悪くし、やがては声が出なくなり、ポリープ切除などの外科手術が必要になる人もいます。怖いですよ、喉声で歌い続けていくことは。妻は、ほんの数回のレッスンで、ノドを壊して、医者通いを余儀なくされました。間違ったレッスンは、本当に罪深いことだと思います。

     ショウさんも、ご自分の健康には、十分すぎるほどに気をつけて下さい。

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