あくまでも私の印象なのですが、プロはちょっと横に置いて、日本のアマチュア合唱団って、かなりレベルが高いんじゃないかしら?って思います。
レベルが高い…と言っても、何か比較対象があるわけではなく、絶対評価? 庶民の余暇時間の有効利用にしては、レベルがやたらと高いよね…という話です。
もちろん、日本のアマチュア合唱団と言ってもピンキリなのは、よく分かっているし、アマチュア団体に向かって優劣を語るのはおこがましいことなのかもしれないけれど、それでも日本のアマチュア合唱団って、かなりレベルが高いんじゃないかなって思います。
そう思わせる理由がいくつかあります。
1)日本人の集団大好きな気質
合唱には、大きく分けて、宗教曲のような心と声を合わせて歌うモノと、オペラ合唱のように個人の集合として歌うモノがあります。日本人が得意なのは“心と声を合わせて歌う”タイプの合唱曲です。これ、得意、大得意です。本当に上手な団体だと、大勢いるのに、たったひとりで歌っているかのように声を合わせて歌っていますからね。ほんと、凄いです。ただ、その代わり、オペラ合唱のような、歌い手一人ひとりの個性を前面に出して歌う、個人の集合としての合唱は…苦手かもしれません…が、苦手な事はやらなきゃいいわけだし、実際やらないし…ね。とにかく日本人は、心と声を合わせて歌うのが、本当に上手だと思いますよ。
2)邦楽合唱曲というジャンル
現代に生きる作曲家たちが、毎年毎年、日本語による合唱曲を今でもたくさん作り続けています。当然のように、名曲と呼ばれるモノも作られていますし、それらの曲を歌っていくことで、合唱団の歌唱レベルも上がっていきます。
新作が作られ続けていくというのは、そのジャンルに勢いとか力がある証拠です。邦楽合唱曲が今でも作曲され続けているのは、日本の合唱界に勢いと力があるからでしょう。
もっとも、日本のクラシック系の作曲家さんは、合唱曲を始め、吹奏楽の曲やゲームの曲、テレビの劇伴などを作曲していく事で生活の糧を得ている人が多い…という事情もあり、それで合唱曲が量産されているという、作曲家側の都合もあります。
まあ、つまりは、ウィン・ウィンの関係が、合唱を盛んにし、盛んだから実力も高まるわけです。
3)合唱人口の多さ
日本で合唱を楽しむ人は、決して少なくはありません。日本の場合、男性が歌わないだけで、女性は結構、歌や合唱を楽しんでいます。それは、お母さん合唱の隆盛を見ても分かります。それに、うたごえ運動から合唱に入った人とか、学校の合唱部(かつてはどこの学校にもあったものです)から合唱に入った人など、まだまだ健在ですからね。
嗜む人が多いほど、トップのレベルは高くなるのが普通ですから、多くの人々に支えられている日本の合唱のレベルが低いとは思えません。
もっとも、キリスト教信仰をベースにしているヨーロッパの人々は、物心付く前から教会で歌っていますから、実際に合唱団として活動している人たちだけでなく、予備軍まで含めると、やっぱり彼らには敵いません。
とにかく、日本の合唱界の弱点は、男性が歌わないって事だと思います。日本の合唱の黎明期は、むしろ男声合唱の方が盛んだったと聞いていますが…なぜ日本の男は歌わなくなってしまったのでしょうか? 日本の女性は、結構歌っているのに…ね。結局、当初の男声合唱の方々は、音楽ではないモノに惹かれて集まっていた…から、現在、その音楽以外のモノにシフトしてしまい、いなくなってしまった…とも言えます。その音楽以外のモノって…女? それとも思想? あるいは運動?
4)プロ団体の少なさ
日本ではクラシック音楽で食べていくのは困難です。特に合唱で食べていくのは、かなり難しいと思います。教会も歌劇場も少ないですからね…。海外ならば、プロの合唱歌手として活躍できる人も、日本ではアマチュアに甘んじなければいけません。それもあって、日本のアマチュア市民合唱団には、プロ並の腕前の(ってか、チャンスがあればプロになっていた)人も多くいますので、そういう人たちが合唱団の歌唱の水準を上げてると思われます。
まあ、これは合唱団に限らず、アマオケなどでも見られる事で、ほぼ全員、音大卒業生で占められているアマオケってのも珍しくないですからね。一体、どこが“アマチュア”だー!と言いたくなるけれど、それは別の話。それに合唱だと、アマオケほど、極端な事にはなっていないようです。
結論) こんなわけで、私は日本のアマチュア合唱団の歌のレベルは(ピンキリである事は承知ですが)、おしなべて言えば、レベルが高いんじゃないかなって思ってます。
「じゃあ、プロの合唱団はどうなの?」って話になると思いますが、日本のプロ合唱団は、海外と比べると、色々と恵まれていないと思います。座付きではないので、収入も安定せず、本番の回数も限られています。どうしても合唱活動以外で収入を得ないと生活できません。その点、海外のプロ合唱団だと、毎日歌って定期収入を確保できる団もありますから、そういう団で働けば、歌のことだけを考えればいいわけで、日本とは条件が違い過ぎます。
貧すれば鈍する。日本のプロ合唱界は、厳しい言い方ですが、こう言わざるを得ません。海外の団体と比べるのは…ちょっと酷かもしれません。私はそう思います。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント
歌う男性、なかなか素敵なものですよね。心トキメキます、男声合唱ね!時々、私の方が目がハートになりそうなダンディな方がいらっしゃいますからね(笑)結構、好きです男声合唱。しかし、おばさん合唱は苦手ね、、しかし、沢山あるのよ、これがまた(笑)
アデーレさん
歌う男性が素敵なのではなく、素敵な男性が歌うと、素敵さがパワーアップされるだけで、素敵じゃない男性が歌っても、世間の風はなかなか冷たいものですよぉ…。私のようにメンタルが強くないと、なかなか…、なかなか…ね。
日本の男性が歌わない件については、私も日頃からあれこれ考えていて、まだ結論らしきものは出せないのですが、おそらく原因の一つには、自尊心の高さとメンタルの弱さ。容姿の問題があるんじゃないかな? 音楽ってね、歌にかぎらず、ガチムチブヨの人たちを容貌的に排除する…ってか、ガチムチブヨの人って、勝手に排除されちゃうからなあ…。
ちなみに、私はガチムチブヨだよ(笑)。
いやいや、すとんさん、大丈夫よ!歌う男はかなり素敵に見える!医者や学者の白衣がどんな男性でも素敵にみえるのに似てる(笑)歌も白衣くらいポイント高いぞ!大丈夫よ(笑)男性陣、みんな、どんどん歌おうよ!タキシード着てね(笑)
アデーレさん
そうかな? やっぱり歌う男は素敵に見えるかな? タキシードは、医者や学者の白衣みたいにポイント高いかな? 頑張ろう…かな?
ちなみに、タキシード仮面様の御衣装はタキシードじゃないんだよ。あれは、燕尾服っぽい“何か”なんだよね。