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合唱と重唱の違いとは

 昨今、年に数回ずつ、重唱曲を歌うチャンスに恵まれている私です。その多くは、妻との二重唱曲ですが、もしかすると7月に行われる声楽の門下発表会では、もっと多くの人数で歌う重唱曲にチャレンジできるかもしれません。

 歌を人前で歌うチャンスって、普通に暮らしていると、そうそうはありません。

 一般的に趣味で歌うとしても、人前で歌うとなると、その多くは合唱団に入って演奏会で歌うか、愛唱歌のサークルに入って発表会などでサークルのメンバーと一緒に斉唱で歌うか…そのあたりでしょうね。それはそれで楽しいと思います。

 私も本来なら、そのあたりで音楽を楽しみたかった人ですが、どうも合唱団は居心地が悪くて長続きせず、愛唱歌のサークルに入るには枯れ具合がイマイチ足りなくて、それでまあ、王道からはみ出して、声楽をやっている次第だったりします。

 趣味で声楽をやっているという事自体が、すごくマイナーな存在である事は承知しています。それも、オジサンで、テノールとなると、本当に希少な存在であるわけです。希少であるがゆえに、多少能力不足であっても、独唱はもちろんですが、重唱のチャンスも、ままあるわけです。

 それはさておき…。

 合唱と重唱。ともに複数の人間で歌っていくわけですが、かなり毛色が違っています。一番の違いは、合唱は一つのパートを複数の人間で歌っていきますが、重唱は一人ずつ自分のパートを歌います。つまり、合唱も重唱も、複数のパートから音楽が成り立っていますが、それらのパートの一つ一つを複数の人間が協力しあって歌えば合唱だし、一人の歌手が責任をもってそのパートを歌っていけば重唱となります。つまり、重唱を歌う人は合唱人ではなく、基本的に独唱者って事になります。

 昨今の合唱、とりわけバロック系の合唱には、各パート一人ずつという、実に小規模な合唱のスタイルの演奏も数が増えてきました。これらは一見、重唱のように見えますが、やはりそれでも合唱と重唱は違います。

 合唱は、基本的に“声を合わせて歌う”わけで、歌う人数の多寡に関わらず、合唱という楽器になって歌うのです。私がイメージする合唱と言うのは、パイプオルガンの人声版なのです。パイプオルガンという楽器は、演奏する際に同時に複数のパイプが鳴って、分厚い音を作りますが、それであっても、最終的にオルガンの音になるわけです。合唱も同様に、何人で歌っても、最終的には合唱という楽器になるわけです。

 対して、重唱と言うのは、単純に、独唱者がたまたま同時に歌っているだけであって、声を合わせるよりも、歌い手の個性の発露の方に重点が置かれていると思います。

 分かりやすいのが、ベートーヴェンの第九交響曲でしょうね。合唱隊にいて、よく耳にするのが「ソリストさんたちは、合わせが下手だね」という言葉。いつも一つの楽器になって歌っている合唱の人たちからすれば、ソリストさん達の重唱部分の声が、全然融け合っていなくて、それぞれの個性がぶつかりあっている状態を称して「下手だね」と言っているんだろうと思うのだけれど、それはたぶん下手とは違うんです。あの部分は、個性がぶつかっていていいんだと思います。あそこで溶け合った声が欲しければ、ベートーヴェン自身があの部分を合唱で書いたと思うからです。何故、合唱ではなく重唱にしたのかと言えば、溶け合わない声(それでいて、しっかりとハーモニーとして成り立っている声)が欲しかったからだと思うのです。

 まあ、合唱とは大勢の人間が関わっているけれど、楽器として見るなら、1つの楽器なのです。しかし重唱の場合、それが二重唱なら2つの楽器が、三重唱なら3つの楽器が、参加するソリストの数だけ楽器の数が増えてくる…というわけです。つまり、合唱と重唱は、歌い手の数のみならず、使用する楽器として考えるなら、両者は似て非なるものって事になるわけです。

 まあ、器楽で言ったら、オーケストラと弦楽四重奏団の違いみたいなものかな?

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コメント

  1. アデーレ より:

    合唱やってる人が、もっとうまくなりたくて発声を習うと、そこは独唱の為のレッスンになり、段々、声量が増し響きもついてくる、となると1人目だつ。だが、そんな人が1人でなく複数おると、もはやそこは重唱のような感じになりますかね☆
    習いのも微妙ですな。
    関係ないですが、、、声楽習っていて、あまり楽譜を読めない、しかし耳がよく、そんな譜面力を補うだけの耳コピ力で本番にはバッチリ歌える方で、かなり美声な方と、楽譜はバリバリ読めて初見でもバッチリ歌えるが美声ではない?人がいます。どちらを評価しますか?因みにどちらもアマチュア。プロなら楽譜読めない、はありえないでしょうからね。アマチュアならどっちに軍配が。。クラシックならば、やはり楽譜をよく理解できないと致命傷ですかね、だから、この方に1点かな?!。。。因みに楽譜あまり読めない方は勉強はなさってますよ、ただ感覚的にスッと理解できないらしいよ。色んな人がいるもんね〜

  2. すとん より:

    アデーレさん

     合唱の人が発声を習うと…と言うのは、よく聞く話ですね。日本の合唱では、なぜかは分かりませんが、よく言うと“ピュアの声”が、悪く言うと“素人丸出しの声”が好まれます。訓練された声は、あまり好かれないんですよね。

     考えてみると、アイドルや流行歌手も歌が上手いとダメですから「歌はちょい下手がいい」というのが、我々日本人の感性なのかもしれませんね。

    >声楽習っていて、あまり楽譜を読めない、しかし耳がよく、そんな譜面力を補うだけの耳コピ力で本番にはバッチリ歌える方で、かなり美声な方と、楽譜はバリバリ読めて初見でもバッチリ歌えるが美声ではない?人がいます。どちらを評価しますか?

     比較になりません。バッチリ歌える方です。譜面が読めるかどうかなんて、声楽の世界では“どーでもいい事”ですからね。日本のプロは、皆さん大卒ですし、アメリカのプロも養成所上がりがほとんどだから、楽譜が読めて当たり前ですが、ヨーロッパのプロは、まだまだ楽譜が読めないオペラ歌手なんて、結構いるんですよ。それこそ、楽譜が読めない歌手が多いので、歌劇場にはコレペティという専門職の人がいて、彼らが歌手たちに歌を教え、歌手たちはそれを耳コピして舞台に出ます。

    >クラシックならば、やはり楽譜をよく理解できないと致命傷ですかね、

     うんにゃ、それは器楽の話で、声楽だと、オペラにせよ、歌曲にせよ、楽譜通りに歌わない事が多いですし、慣習的な歌い方というのは譜面化されていなモノが多いので、結局、先人たちの歌唱を耳コピして、それに自分の個性を足していくわけですから、大切なのは読譜力ではなく、耳コピ能力ですよ。

     有名な話ですが、パヴァロッティは(全くというわけではないそうですが、それでもほとんど)楽譜が読めなかったそうです。だから、コレペティのお世話になりっぱなしだったそうです。一方、ドミンゴは楽譜が読めるどころか、ピアノも上手だし、指揮者もやっちゃうくらいに音楽的素養にあふれた人だったそうです。一人でどんどん譜読みが出来たので、レパートリーが多かったんだろうなあって思います。

     なので、歌手にとって、楽譜が読めるとか読めないとか、あまり関係ない話なんですよ。

  3. とも より:

    いろいろ考えさせられます。

    いま、私が所属している合唱団にも、独唱の練習をしている人は多いようです。
    合唱曲でソロの部分があると、積極的に歌う人もいます。
    そういう人は、合唱の中で浮いていたり、する場合もあるのです。

    指導者は、そういうことを推奨している部分もあって、発声練習はあまりやらないのです。
    ソロだけの行事を開いていたりもするようで、私のような合唱オンリーには肩身が狭かったりもします。

    そんな団なので、どんなように歌おうと怒られないのでいいのですけど、なんかなぁと思ったりしています。
    他の団に移ろうとしたんですが、私の声は大きすぎて受け入れてくれるところがないんですよね…
    すとんさんみたいに、独唱の勉強をしようとは思っていないので、大きな問題なんです。

  4. すとん より:

    ともさん

     確かに、それは大きな問題ですね。私も合唱団で受け入れてもらい難いタイプの人間なので、分からないでもないです。でも、ともさんの場合は独唱志向ではないんですよね。ううむ。

     理想は、合唱大好き(独唱は好まない)声の大きな友人たちと自分たちの合唱団を作る事ですが…あまり現実的な提案ではないですね。それが可能なら、私自身がそうしてますからね。

     あとは、オペラ系の合唱団で歌う…というものありますが、オペラ系の合唱団には「いつは私もソリストに…」という野望をギラつかせた人が、たいてい、いますので、今の団と同じような割り切れなさを感じるかもしれませんね。

     ああ、難しいですね。

  5. とも より:

    オペラ合唱団に所属したこともあります。
    神奈川県の大きなホールで何回か立ちました。
    そしてすとんさんがこの間ご覧になっていた某ホールでのカルメン、後ろで歌っていました(ばらしちゃいました、その団はオペラメインの団ではないですが、偶然歌うことになりました)。

    ソロに関して、興味が全くないわけではなく、
    ソロをやるとするなら合唱でやりたいという意思があるのです。
    それにいい先生につけるか。
    発表会はどうなのかとか、費用の問題だとか、その先生につく前にいろいろと知りたいことがあるのですが、
    それを言ってくれるケースはないでしょうし(見学に行ったこともあります)、
    だったら今の”なんかなぁ”の団で歌っている方が気が楽かなと思いつつ、
    機会を狙って他の団に目を光らせているのです。

  6. すとん より:

    ともさん

     オペラ合唱も経験済みなのですね。ならば、私がつべこべ言う事なんて何もないですね。

     合唱と独唱の両立は、現実的にはなかなか難しいみたいですね。私もできれば、この両立をしてみたいと願っていた時機ありましたが、今は時間がなくて、両立どころか、フルートと声楽をするだけでヒイヒイ言っているので、あきらめてしまいました。

     いつか時間が出来るようになれば、また再び合唱にも取り組みたいと思いますが、そうなるとまた、合唱と独唱の両立に悩むんでしょうね。

    >発表会はどうなのかとか、費用の問題だとか、その先生につく前にいろいろと知りたいことがあるのですが、

     確かに…。それに費用に関しては、合唱と比べたら、かなりかかってしまうのは事実です。合唱と比べると、レッスン代もかかるし、発表会費用もかかるし…ね。それは、グループではなく個人で先生と関わるわけですから、ある意味、仕方ないです。

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