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たぶん問題は、労働時間が長いことなんだと思う

 我々が暮らす現代日本は、数多くの問題を抱えているけれど、おそらく、将来に渡ってボディブローのように効いてくるのが、少子化問題であり、その原因となる出生率の低下現象と未婚率の上昇現象がかなりの大問題であると、個人的に思ってます。

 いつまでも右肩上がりではいられないのは分かっているけれど“国力”と言うのは、単純に言っちゃえば“人口”の事です。人口の多い国は国力が豊かになります。もちろん、人口さえ多ければ良いのかと言うと、それは違うわけで、例えば、国民の質(教育レベルとか、規範性とか、堅実性とかを合わせた総合力のようなもの)も高くないといけませんし、例えば、いくら人口が多くても老人ばかりが多い状態では却って逆効果となります。人口と言いつつ、本当に必要なのは労働人口です。質の高い労働者の人口が多いほど、経済的にも(当面は必要ないだろうけれど、軍事的にも)強くなれるわけですからね。

 労働者とは…改めて言う事でもありませんが、日々生業に従事して汗を流して働き、収入を得ている人たちの事です。子どもや学生、病人、老人がその数に入らないのは当然として、いわゆるニートや引きこもりの人も入りません。専業主婦は働いていないわけではありませんが、一般的には労働人口から外す事が多いです。つまり、実際に社会に出て働いている人、いわゆる“社会人”の数の事を言います。

 そして労働者は生産するばかりではなく、収入を得ることで消費活動も行います。生産と消費が高度にバランスを保っている状態が豊かな状態であって、これが生産ばかりで消費が少なければ、消費を海外に依存した経済的に危うい状態になるわけだし、消費ばかりで生産が追いつかなければ、国内の財産を食いつぶして、生活レベルがドンドン下がっていくだけの話です。

 日本は、国民の質は優秀だけれど、人口そのものは減っているし、老人ばかりが多くて、労働人口に関しては激減とも言える状況で、生産と消費のバランスが悪く、消費ばかりが拡大しているのが現状です。つまり、日本の国力は、みるみると衰え、だだ下がりになっているわけで、それを手をこまねいているだけでは、もはやどうにもならない状況になっている事は、誰の目にも明らかな事実です。

 つまり、そんなに遠くない将来において、日本は貧しい国に落ちぶれてしまうのです。悲しいけれど、人口が減るってのは、そういう事です。

 現在の日本がまだ豊かなのは、不足してきた労働力を、機械を導入することで補い、それでも不足している部分は、安く海外に外注して(いわゆる、経済奴隷を使用しているわけです)それらを輸入する事で不足を補っているわけで、それらによって、からくも生産活動と消費活動とのバランスを保っているからに過ぎません。今はそれで持ちこたえていますが、このやり方がいつまでも通用するわけでもなく、少しずつ生産活動の衰えが補えなくなってきているのです。その証拠に、以前は日本経済を牽引していた家電業界が凋落の一途をたどっていることからも分かることです。

 日本は、消費ばかりが膨らみ、生産活動が目に見えて衰え始めたのです。

 生産能力を取り戻し、国力を回復するためには、古典的なやり方ですが、やはり人口を増やして労働人口を増やして、生産力を上げていくしかないと思います。

 人口を増やすには、方法は二つしかありません。一つは、出生率を上げて、リアルに日本人の数を増やしていく方法です。もう一つは、移民政策を取り入れて、インスタントに人口を増やしていく方法です。そして、どちらの方法にも問題はあります。

 先ず最初の、出生率を上げて日本人の数を増やしていく方法だけれど、そのためには、女性に限らず、若い人たちが恋愛をして結婚をして出産子育てを気軽にできるような社会体制を作らないといけません。そのために、まずすべき事は…労働時間の短縮じゃないかなと私は思います。

 現在日本では、労働時間が長すぎると思います。ワーカホリックの仕事人間たちには、今の労働環境でも何の問題はないのでしょうが、普通の感覚の人には、労働時間が長すぎると思います。

 家と職場の往復だけで1日を使ってしまっては、恋愛する暇なんてないでしょう。せっかくの休日だって、カラダを休めるためだけに使っては、異性との出会いなんて無理です。なんとか異性と巡りあっても、時間がなければ、恋愛を継続していくも難しいでしょうし、恋愛から結婚へとつなげたとしても、ディンクスならともかく、普通に出産子育ての事を考えたら、簡単には踏み切れないでしょう。

 時間って貴重なんですよ。時間が不足すると、やりたい事もできないし、やるべき事も後回しになるものです。特に女性は賢いですから、そのあたりを本能的に感じ取っているのだろうと思います。それで恋愛を、結婚を、出産を、無意識に回避しているのかもしれません。

 ちなみに日本の年間中絶数は約20万件だそうです。世界トップレベルの多さだそうです。この数は、社会やら生活環境やらが許せば、生まれていたかもしれない人数なんだろなあって思います。

 それでも中絶数自体は、10年程前までは年30万件が普通だったわけだから、確実に中絶数は減っています。でも、それって単純にピルの普及で妊娠そのものの数が減っただけの話で、中絶数が減ったからと言っても、子どもの出生数は減少しつづけているわけで、やはり本来ならば生まれていたかもしれない人数は、中絶数よりも多かったかもしれない…って事になります。

 避妊やら中絶やらの是非については、私はここで語るつもりはないけれど、妊娠したら産んで育てたくなるのが、生き物としての本能だと思ってます。誰も好き好んで中絶なんてする人はいない…と信じてます。そして、子どもを生み育てる事が許されずに、中絶をせざるをえない状況にいる事は、やはり不幸なんだと思いますし、そうせざるをない社会は、良い社会とは言えないと思います。

 閑話休題。労働時間が長いと、職場に拘束される時間が長いわけで、それは家庭ですごせる時間が相対的に少なくなることを意味するわけです。そうなると、育児に時間が割けない事は自明です。自分自身も十分に家事に時間を使えないけれど、夫も労働時間が長ければ、家事にせよ子育てにせよ、夫にも頼れないわけです。大家族ならともかく、昨今は核家族だから、家事や子育てに、親のサポートも期待できません。

 これは大問題でしょう。

 「じゃあ、女が働かなきゃいいじゃん。結婚したら、家庭に入れば、それで済むじゃん」

 実際、そう願う人々もいるでしょうが、現実問題として、それはなかなか難しいのが21世紀の日本です。

 と言うのも、現代女性はみな男性並に高学歴化しています。せっかく男性と同じ教育を受け、能力だって男性並かそれ以上のモノがあるのだから、それらの能力を社会に還元していきたいと考えるのは、当然の事です。そのためには働きたいが、働くとなると、長い長い労働時間が待っていて、とても人間的な暮らしができそうもない…となると、色々と躊躇してしまうわけです。

 定時に仕事が始まって定時に仕事が終わる。一部のブルーカラーと地方公務員ならできる事かもしれませんが、ホワイトカラーや国家公務員だと無縁な話です。それにたとえ周りが定時で帰宅しても、キャリアを積み重ねていくことを考えると、自分は簡単には定時で帰宅できないと思っても不思議はありません。

 また、出産育児によるキャリアの中断も不安でしょう。一度ならともかく、二度三度と産休や育休を取ってしまうと、せっかく積み上げたキャリアが無に帰してしまうのではないかと恐れてしまう事も想像に難くありません。

 で、一生懸命に働いて、キャリアを積み重ねて、ふと我にかえると、すでに出産適齢期を過ぎ、恋愛市場に参加できない年齢になっていたりするわけです。

 男性だって、女性ほどではないけれど、やはり労働時間の長さが原因で、色々と大変だと思います。

 結局、日本人は働き過ぎ…なんだと思います。

 なぜ日本人は働き過ぎてしまうのでしょうか…それはおそらく真面目だから。もっと、いい加減な性質で、労働は苦役であると考えるなら、おそらく定時までしか働かないのが普通になる(ヨーロッパ人がそうですね)けれど、真面目な性格で、上昇志向が強く、労働は喜びだと思っているなら、定時を越えて、ある一定の成果なりカタチなりが見えるまで、ついつい働き過ぎてしまうの普通のスタイルで、それが長時間労働につながっているのだと思います。

 でも、そんな生活は、私生活を投げうった行いでしかないのだけれどね。

 二十代前半で結婚して家庭を持ち、男は外で働き、女は家で働く…そんな昭和っぽい生き方なら、人口も減らずに済むのだろうけれど、今は男も女も、昔の男のように外で働く時代だから、女性が家で働くなんて無理です。だから、女性は男性化せざるをえず、結婚したり、出産したりという、普通の女性としての生活をあきらめざるをえないわけだ。

 それが回り回って、未婚率の上昇と出生率の低下につながって、人口減少へとつながり、国力のだだ下がりの原因となっていくのだと思います。

 人々が真面目で働き者だから、国力が衰えていくなんて、変な話ですね。

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コメント

  1. YOSHIE より:

    こんにちわ。
    さっき、こんな記事をみつけたんです。

    >>1974年、戦後2回目の人口白書『日本人口の動向』は副題を「静止人口を目指して」として政府の出生抑制の強化を明言している

    ええ?!少子化は国策だった?!いやー、なんか花粉にたいする国の緩慢な対策も
    疑ってしまいます。花粉のつかない杉の開発植林ではなく、杉を植えるのをやめるべきではと思いますが。

  2. すとん より:

    YOSHIEさん

     少子化は、確かに昔の国の政策でしたね。戦後の優生保護法の改正も中絶の合法化が目的であって、同じモノです。昔はベビーブームとかがあって、日本の人口が底無しに増えてしまうのではないかという心配があったわけです。

     日本人は極端から極端に行ってしまう民族性があるので、増える時はドドドドと増えますが、減る時は一気に減ってしまうんしょうね。で、今は減っている最中なんてす。ですから、今後は増えてくるんじゃないかと思ってますが、そんなに問題は簡単ではないので、うまくいかないかもしれませんね。

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