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正直に告白します

 正直に告白します。私は、声楽は、歌うのも、聞くのも大好きです。しかし、フルートは、吹くのは大好きですが、聞く方は、あまり積極的にはなれません。

 ですから、私の場合、声楽は、本当に大好きなんでしょうね。でも、フルートの場合は…巷によくいる「自分の練習するけれど、他人のパフォーマンスには興味がない子」と同じタイプの人なんです。

 いるでしょ? ピアノが大好きで、毎日毎日ピアノを練習している小学生ぐらいの女の子で、そんなにピアノが好きなのに、他人の演奏には全く興味も関心も示さない子って。あれと同じタイプの人間なんですよ。

 つまり、私は、声楽…と言うか、歌が好きなんです。クラシック声楽も好きだし、オペラも好きだし、ロックもジャズもポピュラーも好きだし、演歌や民謡だって好きです。人の声で作る音楽、それもメロディーが美しい音楽が好きなんです。

 歌が好きだから、歌う事も、聞く事も好きなんです。

 一方、フルート音楽そのものは、たぶん、そんなに好きじゃないんです、私。いや、フルート音楽のみならず、器楽一般に興味が薄いんだろうと思います。

 まず、アンサンブルは、演奏するのはもちろんですが、聞くことも好きではありません。だから、オーケストラや吹奏楽は苦手です。かろうじて楽しめるのは、室内楽とか協奏曲などです。つまり、主役と脇役がはっきりしている音楽なら、楽しめます。つまり、メロディーと伴奏がはっきり分かれていて、メロディーを楽しめる音楽が好きなんですね。サウンドの素晴らしさなんて、猫に小判なんですわ。

 フルートって、本質的にアンサンブルの中の一部を担う楽器であって、あんまり主役にならない楽器なんだよね。そこへいくと、歌はもちろん、ヴァイオリンとかピアノとかは主役になるケースが多いです。だから私は、歌や、ヴァイオリン曲やピアノ曲は好きなんだと思います。

 フルートって、ほんと、なかなか主役にならない楽器だものね。だから、私が楽しめるフルート音楽って少なくて、フルート音楽の中の一部だけです。

 フルートが主役になる音楽はなぜ少ないのか? それは単純に、作曲家たちがフルートという楽器に興味を持てなかったからです。作曲家たちは、良い曲を思いついたら、まずは、それを歌にします。これは古今東西に共通した事です。歌では表現しきれない曲の場合、それを器楽曲に仕立てますが、その時に作曲家が使う楽器が、ピアノであったり、ヴァイオリンであったり、エレキギターであったり、シンセサイザーであったりします。つまり、表現力が豊かな楽器たちです。これらの楽器でも足りないとなると、アンサンブルやバンド、オーケストラになります。それだけの話です。

 フルート曲のうち、かなりの数の曲が、歌やヴァイオリンやピアノの曲からのアレンジものであるのは、そう言った理由からでしょう。

 でも、いいや、そんな事。それと私がフルート音楽をあまり好まないのは、たいした関係があるわけじゃないから。

 私は、フルートという楽器は好きですよ。自分で演奏するのも大好きです。でも、他人が演奏するのを聞くのは、好きじゃありません。相手がプロであれ、アマチュアであれ、同じ事です。

 他人の演奏を聞いていると、なんか、時間がモッタイナイような気がするんですよ。フルート音楽を聞く時間があったら、声楽曲を聞きたいとか、フルートの練習をしたいとか、アニメを見たいとか、ネットを徘徊したいと…まあ、そう思ってしまうだけの話なんです。つまり、フルート音楽を聞く事は、私の人生の楽しみの中での優先順位がかなり低いんです。

 では、フルート音楽があまり好きじゃないのに、なぜフルートが好きなのかと言うと、単純にフルートの音色が好きだから。それも自分の演奏するフルートの音が好きだから。フルートの音を楽しむなら、別に音楽のカタチになってなくてもいいし、演奏は上手いに越したことはないけれど、別に下手でも楽しいです。ただ単に、音色を慈しむんです。それが好きなんです。

 そこへいくと、他人が吹くフルートの音って、なんか私の好みとは、違うんだよね。

 それと、フルートの音域って、女声の音域なんですよね。私は男声だから、女声の音域では歌えません。だから、女声の曲って歌えないんですよ。もちろん、1オクターブ下げれば歌えるけれど、それでは曲の雰囲気がガラッと変わってしまうのです。だから、自分の声で女性の曲を歌うのを諦めた代わりに、フルートで女声曲を吹くのです、歌うのです。いわば、フルートが自分の第二の声帯、それも女声の声帯なんです。

 だから、フルートを吹くのは大好きです。まるで自分が女声になったような気がするんですよね。

 フルートは音だけでなく、練習していく事も好きです。だって、楽器の練習って、ちょっぴりゲーム感覚もあるでしょ? 難しい課題曲を征服して、吹けるようになると、うれしいじゃないですか。エチュードを一曲一曲片付けていくのは、ゲーム画面をひとつずつクリアしていくのと同じ感覚でしょ?

 そんな感じでは、私、フルートを吹くのは好きですが、フルート音楽を聞くのは好みません。フルートは吹くこと自体が好きなので、人前で吹けなくても全然平気なんです。声楽の場合だと、歌う事が好きだし、練習も好きだけれど、人前で歌う事がとても好きな私ですが、フルートの場合だと、練習止まりで全然平気なのです。

 実際、今のH門下に移動してから、一度もフルートの発表会に参加していませんが、それでも全然平気なんです。もちろん、発表会から逃げているわけではありません。単純に仕事の都合で参加できないのですが、それを残念に思わないんですよ、私。

 そんなわけで、今後ともフルートを吹き続け、練習し続けていく私ですが、フルート音楽を積極的に聞きに行かない私でした。

 以上、ぶっちゃけた話を終了します(笑)。

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コメント

  1. chako より:

    こんばんは
    発表会?何のことでしょう
    安心してください
    私には関係ありませんよ(笑)

    去年一年色々なフルーティストさん聴きましたが感動したのは上野星矢さんと高木綾子さんかなぁ
    二人に関してはCD全部買うくらい好きなんですo(^-^)oワクワク
    中には音色の好みあわず前半で帰って来た方もいました

  2. すとん より:

    chakoさん

     高木綾子さんはいいですね、私、この人のフルートの音色、大好きですよ。上野星矢さんは、たまたま彼が楽器店でフルートを選んでいた時に近くにいて、彼の楽器選びを(勝手に:笑)拝見させていただいたことがあります。その時はたくさんのゴールドフルートをズラ~っと並べて、片っ端から吹いていましたが、結局、気になる楽器は無かったようでした。プロともなると、仕事の道具ですから、あれこれとこだわりがあるんでしょうね。

    >中には音色の好みあわず前半で帰って来た方もいました

     豪腹だなあ…。私だったら、多少好みとは違っていても、せっかくチケットを購入して、電車賃をかけてやってきたコンサートなんだから、最後まで聞いているけれどなあ。そんな、ぜいたくは、私にはできません。

  3. chako より:

    上野星矢さんのムラマツゴールドフルート
    昨年亡くなったおばあちゃんに大学合格祝いに買ってもらったそうですよ

    高木綾子さんのHelmuthHammig
    プロ、音大生でわかる範囲でフルート三本は確実に有りますね
    その他色々ネットで見ているので10本位国内に有るんでしょうか

  4. すとん より:

    chakoさん

     高木さんのフルートは、かなりの貴重品なんですね。もっとも、私が高木さんのフルートを吹いても、高木さんのような音色にはなりませんから、別にうらやましくもないです(笑)。フルートの音色は、楽器よりも、奏者の方が影響あるわけだし。

     それにしても上野さんのゴールドフルートは、大学合格祝いですか? よく、音大受験に向けて、親がゴールドフルートを買ってあげるという話は聞きますが…。どちらにせよ、子どもにポンとゴールドフルートを買い与えられるような家庭環境がないと、音大進学なんて難しいわけで…その才能はもちろん、家庭環境も、うらやましい事です。

  5. chako より:

    高木綾子さん以外あの音色と音圧は出ないでしょうね
    1mの距離で仙クラ聴きましたが別世界でした

    HelmuthHammigは生涯でpiccoloとflute合わせて450本作られたそうな
    高木綾子さんは1960年代#442です
    fluteは中古で250万~350万します
    安い総金買えます(^^;)
    まず国内は山野楽器フルートサロン位でしか並ばないでしょうね
    去年かな中古リストに3本載っていたことも有りましたよ

  6. tetsu より:

    こんばんは。

    > 声楽は、歌うのも、聞くのも大好きです。しかし、フルートは、吹くのは大好きですが、聞く方は、あまり積極的にはなれません。
     ですから、私の場合、声楽は、本当に大好きなんでしょうね。でも、フルートの場合は…

    フルートを聴くほうは、以前は管打楽器コンクールのフルート部門とか神戸国際フルートコンクールを朝から晩までお尻が痛くなるくら聴いた時期もありましたが、この前聴いたフルートリサイタルは何時、というくらい遠ざかっています。
    一番の原因はコンクールは神戸では現代曲は新作もありましたが、だいたいバロック、フランス近代、現代、本選はモーツァルトかイベールに限られて、範囲がメチャ狭すぎです。その中で図抜けている方は確かにパユ、デュフォー、ベイノンなどいらっしゃいましたが、いつからか音楽を聴く楽しみという感じではなくなってしまいました。

    未だにフルート吹いているのは、他の楽器に転向もできず、たまたま参加できたアマオケでベートーヴェンとかブラームス吹いているだけでメチャおもろい、というのもあります。

    以前書いたかもしれませんが、フルートを吹く理由として吉田雅夫が「自己修復」と語っていたのは忘れられません。
    サラリーマン経験のある彼だからこそ言いえた言葉とおもいます。
    こちらもめったに吹かなくても、それでも吹いているとどこか自分が修復されるような感じがしています。

    > 器楽一般に興味が薄いんだろう

    そうでしたか。ベートーヴェンのピアノソナタとかバッハの平均律クラヴィーア曲集とかYoutubeで先頭から順番に聴いて飽きたことありません。D.スカルラッティをK.番号順とか、R.シューマンをop.1から順に聴いても飽きません。フルートの作品よりメチャ楽しいです。結局フルートでしかかろうじて表現できないのでフルート吹いてるだけです。

    歌曲は再来週マティアス・ゲルネのリサイタルに行くので、楽しみです。やっぱりR.シューマンが大好きです。

  7. すとん より:

    chakoさん

    >1mの距離で仙クラ聴きましたが

     それはうらやましい。私も生演奏を何度か聞いたことはありますが、いずれも10m以上離れた場所から聞きましたから、そんな至近距離での鑑賞はありません。

    >安い総金買えます(^^;)

     まあ、一流のプロの仕事道具ですから、それくらいしても当然と言えば当然でしょうね。逆に言うと、それくらいの価格あたりの楽器が、プロ用なんでしょうね。プロも大変です。

     フルート音楽鑑賞に興味の薄い私も、工藤重典さんと高木綾子さんの演奏会だけは、行きたいんですよ(笑)。

  8. すとん より:

    tetsuさん

    >フルートを吹く理由として吉田雅夫が「自己修復」と語っていたのは忘れられません。

     ああ、それ、分かります。私自身、そういう部分がありますよ。たぶん、それは私やtetsuさんだけなく、日本人には大なり小なり、そういう部分があると思います。古典作品を読んでいると、平安貴族たちが月に向かって笛を吹くという描写は結構ありますが、あれも笛による自己修復なんだと思います。きっと、我々のDNAにそういう因子が入っているんだと思います。

    >フルートの作品よりメチャ楽しいです。

     まあ、ピアノ曲とかヴァイオリン曲って、フルートの作品よりも数段レベルが高い曲が多いですから、仕方ないです。多くの作曲家たちは、本気で作曲する時に、フルートを選択してこなかったのですから、仕方ないです。

     フルート吹きの端くれとしては、悲しい事です…が、仕方ないです。

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