先日、久しぶりにジャズフルートの生演奏を聞きました。思えば、久しくジャズフルートを聞いていなかった私です。なにしろ、ここんところ、フルート音楽と言えば、クラシックばかり聞いていたし、吹いていたもんなあ。
別にクラシック系のフルート音楽に文句はないです。そもそも私はクラヲタですし、クラシック音楽大好きですし、そのクラシック系のフルート音楽も大好きです。私の感性に合う音楽…って感じです。
それでもジャズはいいですね。まず、音色が優しいです。クラシックのフルートは、中音域~高音域をよく使いますが、フルートの高音域って、正直、少々ヒステリックな響きがしませんか? まあ、気持ちがかきむしられるような感じがします。そこがいいんだし、そこは作曲家の狙い通りなんだろうと思います。クラシックにおけるフルート音楽は、基本的に人を興奮させる方向に音楽が作られているような気がします。なにしろ、一見、癒し系に思える音楽も、使用する音域は、かなり高くて、音楽では落ち着かせる方向であっても、音色の方で心をかきむしってくるわけです。
ジャズの場合は、クラシック同様に、人を興奮させる方向の音楽もありますが、逆に心を落ち着かせ静める方向の音楽もあります。特に、日本人作曲家による音楽は、フルートを癒やしの楽器として用いるモノが多いように、個人的に思ってます。使う音域も、低音域~中音域で、このあたりの音色って、ほんと、心に沁みるんだよね。
日本人にとって、笛って、癒やしの楽器…じゃないかな。私はそんな気がします。平安時代の昔から人々は、心を癒やすために笛を吹いてきたんじゃないかな…と私は勝手に妄想しているのです。
それとクラシック音楽って、基本的に予定調和の音楽だから、演奏が始まった瞬間に、終わりが見えちゃうわけです。出だしの第一音を聞いた途端に「ああ、あ~」と、その日の出来が分かっちゃうんです。そこが安心できると言うか、安定しているというか、とどのつまりは、やっぱり予定調和の音楽なんです。
一方、ジャズって、全然、予定調和ではなくって、むしろ型にはまっているようで、そこからはみ出しちゃった部分を楽しむ…的な、なんとも一寸先は闇っぽい楽しみ方があるじゃないですか。特に演奏楽曲がオリジナル曲だと、全然先は見えないし、よく知ったスタンダード・ナンバーだって、どんなふうに調理してくるか、ほんと楽しみでしょ。そういう“一品物”っぽい楽しみがジャズにはあると思います。
もちろん、クラシックと違って、音楽の品質は保障されていませんから、上出来な曲もあれば、どうにもならなかったダメな演奏もあって、その振り幅は実に激しいのだけれど、そこがナマっぽくていいかなって思いました。
そんなことを、ジャズフルートの演奏を聞きながら思ってしまいました。いいなあ、ジャズって。
久しぶりに、笛先生のレッスンを受けたくなりました。別にクラシック音楽がイヤになったわけではないけれど、やっぱり私のフルートのルーツには、笛先生に育てていただいたジャズが根っこにあるんだろうなあって、改めて思ったわけです。
ジャズフルートって、ほんと、いいよ。
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コメント
勝手ながら、ジャズフルートおすすめ(もとい、すとんさんお気に入り)のCD,フルーティスト、トリオ?なんかをぜひご紹介ください^^
参考にさせていただきたいです☆
カモメさん、いらっしゃいませ。
>すとんさんお気に入り)のCD,フルーティスト、トリオ?なんかをぜひご紹介ください^^
私が何と言っても大好きなフルートプレイヤーは、イアン・アンダーソン(Ian Anderson)です。彼を聞くなら“Plays The Orchestral Jethro Tull”というアルバムがお薦めです(特に“Eurology ”という曲は、フルート大活躍で大好きな曲で、ほんと大好きなんです)が、彼はジャズというよりもロックなフルートプレイヤーなので、除外しますと…やはり、ヒューバート・ロウズ(Hubert Laws)です。彼はクラシックとジャズの融合を目指した人で、彼を聞くなら、やはりショーケース的なベスト盤“The best of Hubert Laws”が良いのですが、廃盤のようです。マッコイ・ターナー(McCoy Tyner)のアルバム“Fly With The Wind”があるのですが、そこでのロウズのプレイズはなかなか良いと思います。
まあ、ひとまずは、彼らの名前をYouTubeの検索窓にでも入れて、数曲聞いてみてください。
すとんさま、情報ありがとうございます^^
また時々お邪魔させていただきます。
カモメさん
いえいえ、こちらこそ。またよろしくお願いします。
フルート関連の記事を散歩している内に、たまたまガロワのコンサートのブログに迷い込み、そこからこの記事も拝見しました。ボクはフルートはもっぱら聴く方で、演奏は若い頃、素人ゆえの怖いもの知らずで、ブラームスやドビュッシーのヴァイオリン・ソナタも自分なりに吹いたりしました。今は街中のマンションで、あまり大きな音出せないし、時間も取れないのですが、今秋に転居予定なので、そうしたらまた吹けるかな、と楽しみにしています。
ジャズ・フルートも良いですね。I・アンダーソンはジャンルはロックだけど、確かにジャズ・テイストで、あと、ゴールゥエイとも通じるケルト音楽風の歌も感じられる。
Divinities というアルバムは、前編、ロック&ジャズ&ケルト風味のフルート協奏曲という感じで、愛聴盤です。
ロウズは、音が素晴らしく綺麗ですね。ポップ音楽系では最高かも。
他に、純粋なモダン・ジャズでは、エリック・ドルフィーのフルート、これは素晴らしいと思います。どのアルバムでも、サックスとバス・クラと三種を持ち替えで多様な音楽を作っていますが、特にフルートでは、クラシックも含め最も神秘的な音楽を生んでいる。
Amazonで、レビュー書いているので、お暇なおり、ご参照下さい。他に、グラーフやゴールウェイやランパルのレビューも書いています。^^
あ、フルート吹きと声楽さんの差異、も面白かったw 自分も 当たらずとも遠からずw
MFさん、いらっしゃいませ。
コメントにお名前を記入されなかったので、普段ならやむをえず「名無しさん」とお呼びするところでしたが、某SNSでのお名前からMFさんと呼ばせていただきます。もし支障がございましたら、お知らせ下さい。
ただいま、イアン・アンダーソンの「ディビィニティーズ」を聞きながらコメントを書いています(笑)。なんとも言えない、ふくよかな音楽がたまりません。とても、おそ松くんのイヤミの「シェー」のポーズでフルートを吹く人のアルバムとは思えないほど、お耽美な音楽ですね。私は次アルバムの「ルピのダンス」が好きなので、そちらばかり聞いてしまい、「ディビィニティーズ」を聞くことが少ないのですが、今回改めて聞き直して、やっぱりいいなあって思いました。ヴォーカルがないので、純粋にフルート好きの人には「ルピのダンス」よりも聴きやすいかもしれませんね。
でもでも「ルピのダンス」に収録されている「ユーロロジー」という曲は、すべてのフルート曲の中で、私が一番好きな曲なんです。変な趣味って言われるかもしれませんが、これが私の趣味なんだから、仕方ないです(笑)。
ジャズの世界だと、フルート専業の人もいますが、大半はサックスとの持ち替え組だったりしますが、この持ち替え組の中にもなかなか面白いプレイヤーがいます。サックスのプレイをフルートに持ち込む…と言うのかな? フルート専業の人とは、音楽のアプローチが違うんですよね。あるいは、サックスじゃできない事をフルートでやってみる…とかね。エリック・ドルフィーはどちらなのかな…って思って聞いてみたのですが、たぶん、彼の中では、サックスとフルート(とバスクラ)はそれぞれ別物なのでしょうね。手にする楽器が変わると、作る音楽が微妙に違うような気がします。でも、根っこはやっぱり同じでエリック・ドルフィーだったりするのが、面白いんですけれどね。
ああ、最近、ジャズ聞いてないなあ…。たまにはジャズにどっぷり使ってみたいなあ。
そうそう、コメント中に引用されていましたアドレスは間違ったものでしたので削除させていただきました。あのアドレスは、MFさんのものではなく、クリックした人ご自身の最新レビューにリンクするものです。ですから、私がクリックすると、私がアマゾンで書いたレビューに飛んでいってしまうというモノなんですね。ですから、削除させていただきました。あしからず。