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高音禁止令が出ました または 先生ってありがたい

 実は最近、高音の練習が楽しくて仕方がありませんでした。と言うのも、F#が楽に出せるようになったからです。

 どうやってF#が出せるようになったかは、実は自分でもよく分かりません。とにかく毎日の練習で「頭の中開いて、骨盤倒して、背中をつぶさないように」を注意して、音の高さには気を留めずにやってきました。で、ある日ふと手元の鍵盤を見ると、(五線の上の)Aのあたりで戦っていることに気づいたのです。

 あれだけ苦労したF#だったのに…今では無意識に越えている(感激)! でした。

 で、F#が出せるようになると、その後は、案外際限のないもので、体調やら疲労やらの具合で、Gで止まってしまう時もあれば、C#まで行けちゃう時もあったりします。本当にどこまで行けるかは、やってみないと分からない状態になりました。

 やってみないと分からないとなると、やりたくなりますよね(笑)。不安定なものは、練習をしてきちんと獲得したくなりますよね(大笑)。

 で、チェンジを越えたらアクートだ! とばかりに、気を入れて、高音中心に発声練習ばかりをしていました。もちろん「オンブラ・マイ・フ(高声用)」も気合を入れて…撃沈する事の方が多かったのですが…練習に励んでおりました。

 そんな日々を過ごしながら、前回のレッスンを迎えたわけです

 で、前回、先生の前で声を出したところ「ひさしぶりに禁止令を出します。高音を歌ってはいけません、少なくとも二週間は!」と言い渡されました。ひやぁ~、一年ぶりの禁止令だ!。

 先生がおっしゃるには「肩に力が入り過ぎ。肩は脱力」「背中の使う位置が違う。もっと下の方に意識を集めて」「ア以外の発音が下手すぎる。ノドの奥を開けたままで発音するように」とのこと。

 従って、中低音を中心にこれらの点(特に脱力)に留意しながら練習するようにとのこと。高い音(五線の中のC以上の音)は発声練習では、くれぐれも出さないようにとのこと。オンブラ・マイ・フは中声用を母音の発音に気をつけながら丁寧に歌うこと。以上のような注意(宿題?)が出されました。

 先生には、F#が楽に出せるようになったこととか、もっと上の音にチャレンジしていることなどは、まだ(時間がなかったので)話していなかったのですが、おそらくバレてますね。練習が高音ばかりに偏ってしまい、発声の基本的なところが崩れてしまったのでしょう。

 もちろん、練習後、高音が出るようになった話はしました。先生は「気持ちは分かるけれど、焦らないこと」と教えてくださいました。「美しい高音は充実した中低音から導かれるものだから、中低音をしっかり出せるようにしないといけません」とも教えてくださいました。

 最初にレッスンで高音を出した時には、おそらく何も考えずに出せたはずです。それを自宅の練習で「どうやって出したのだろう」と考え始めて、あれこれ色々と手を尽くし、悩んで道に迷って迷宮に入ってしまったのだろうという趣旨の話もしてくれました。

 高音の基礎は中低音。まずは中低音をしっかりと固めましょうってことです。

 それにしても、先生というのは、ありがたい存在です。これが独学ならば、F#が出せて高音練習が楽しくなった時点で、止めどなく高音練習をし続けてしまい、どこか間違った場所に行ってしまったことでしょう。間違った場所に行きそうになった私を先生が、そっちはちょっと違う、と行って引き戻してくれたわけです。いや、ありがたい。もっとも先生がいなければ、未だにF#も出せなかったろうし、それどころか響きの薄い間違った発声のまま歌っていることでしょう。

 声楽は、器楽と違い、自分が出している音を客観的に把握できないので、自分で練習方向を軌道修正することが難しいものです。だから、客観的に聴き、正しい方向に導いてくれる先生の存在がとても大切なのです。

 私にはキング先生がいますので、本当にありがたいことです、感謝です。今現在、独学で歌の練習をしている人は、ぜひ良い先生(この定義も実は難しい)を見つけて、レッスンを受けることを強くお薦めしますし、残念なことに先生の見つからない人は、声の分かる友人に聴いてもらうとか、録音録画を活用してセルフコントロールをするなどの方法を取り入れて勉強することをお薦めします。

 それにしても、高音禁止令か…。一年前に戻った気分だ。

コメント

  1. なつめ より:

    こんばんは。
    今まで綺麗に出せなかった音が出てくると、もっと良い音、もっと高い音が出せるのではと欲が出てきますよね。
    私もついつい欲張ってしまい、先生から「基本をきちんと」と注意を受けます。
    特に高音が出てくるとその欲が強くなる傾向が私にもあります。
    私の場合、発声の際に毎回出す最高音はこの一年間で変わらず、やっと最近から半音上まで歌わせていただけるようになりました。
    ついつい焦って、もっと高い音を。。。と求めてしまうのですが、じっくりやっていくしかないのでしょうね。
    まぁ、私は低音が本当に苦手で、響きもままならないし、体力もついていかないので、高音以上の課題なんですけどね。(苦笑)

    お互い、素敵な高音を見つけられるように、日々研磨致しましょう♪

  2. すとん より:

    >なつめさん
     そうなんですよ、欲なんです、欲。人間、欲に目がくらむとロクなことにはならない、そう思います。
     まあ、私の場合、(テノールスイッチが入るせいか)単に高い音を出したという欲と、早く必要な音域の音を出せるようになりたい(つまりは、一丁前なテノールになりたい)という二つの欲にからめ捕られてしまったわけでしょうね。
     なんであれ、技術の習得って「地味に努力」することを忘れてはいけないのでしょうね。

  3. tico より:

    私は高い音はノドが締まってなかなか出ない方でした。それで必然的に出る範囲の歌で練習していますが、一音だけファとかソとかいう程度の歌も流れで出てきます。なんとかノドを締めないように努力しています。先生は自分の一番出やすい音から力を抜く練習をした方がよいと言われました。また低い音はかえってノドを使ってしまうので本当の発声が難しいということもわかりました。一番楽な発声の出来る音から上へ下へと範囲を広げるのがいいようです。結局身体を作ることが大切ですね。胴体と頭がつながること。先生に言われる言葉は深いです。

  4. すとん より:

    >ticoさん
     力を抜く練習って、難しいですね。「〇〇に力を入れて!」だったら簡単にできるんですけれど、「〇〇から力を抜いて~」と言われても、なかなかできないし、逆にその〇〇から力を抜こうとして、◎◎に力が入って、また注意を受けたりして…。
     ticoさんのおっしゃるとおり、あせらずに時間をかけて、身体を作ってゆくしかないのでしょうね。

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