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音符一つ一つをしっかりと確認してもらいました

 声楽のレッスンに行ってきました。今回のレッスンは、本当は行きたくなかったんですよ。というのも、疲れ切っていたからです。疲れて疲れて、どこにも行きたくなかったんですね。仕事から帰ったら、すぐに布団に飛び込んで、そのまま眠ってしまいたいくらいに疲れていたのですが「疲れてしまったのでレッスン休みます」なんて、どのツラ下げて言えばいいんですか? 疲れてはいたものの、頑張ってレッスンに行きました。

 ちなみに、このレッスンの話は、私がぎっくり腰で倒れる、ほんの数日前の話なんですが、こんなふうに疲れとストレスがたまっていた事が、後のぎっくり腰につながっていったのかもしれません。

 お教室に入ると、先生から発表会の時の写真と公式音源をいただきました(いただいて、すぐに妻に渡してしまったので、私、まだ写真を見ていないし、音源も聞いてないや)。改めて、発表会のアドヴァイスを先生からいただきました。

 「なんとか頑張って、声を響かせようとしているのは分かる」「会場を味方にして歌えるといいですね」

 「…声を響かせようとしているのは分かる」っというのは、声はちっとも響いていないって事で、だけど、何か変なことやっているのは分かるけれど、それがちっとも結果につながっていないという事だし、「会場を味方に…」ってのは、全く響きのない声で歌っているって事だね。

 まあ、体調の悪さもあったけれど、それ以前のテクニックの不足もあるわけで、まあ、私の歌なんて、そんなところでしょう。

 さて、レッスンは発声練習からです。

 まずは、柔らかく発声することを練習しました。私の声は、堅くて方向性が強いのです。それはクラシック的な響きある声からは、かなり遠い声質なわけです。ですから、声そのものを後ろに回して、声よりも息の方が先に出る感じで歌えると、柔らかい発声で歌えるようになるのだそうです。頑張りましたが、どれだけ出来ていたのでしょうか?

 次にハモる声の練習をしました。ピアノが和音の倍音を弾くので、私はそれを聞いて、和音の基音を発声するという練習です。最初は何がなんだから分かりませんでしたが、ちょっとしたコツをつかめば、特に難しい課題ではありませんでした。難しいのは、そこで音程的には合っていても、和音の響き的に美しい声で歌えるかどうかですね。同じミならミの音を発声しても、ピアノとハモれる声とハモれない声があるわけで、そこでハモれる声で歌えるようにする練習なわけです。これも頑張りましたが、どうでしょうね。

 とにかく、繰り返して言われた事は「強い声は要らないです。響く声が欲しいです」 私の売りは“強い声”って奴なので、売りは要らないのですね(シクシク)。

 曲のレッスンに入りました。まずは、カルダーラ作曲の「Selve amiche/親愛な森よ」からです。

 この曲のレッスンは…厳しかったなあ。とにかく、音符を一つずつ歌わされました。そして、その一つの音符ごとに、声の響きがきちんと付いているかの確認をされ、フレーズごとの確認を終えたら、今度はフレーズ単位で歌わされて、そこで響きがうまくいってなかったら、また音符単位に戻って響きの確認をされるという…賽の河原で石を積み上げているような気分のレッスンを受けました。

 響きも単に付いていれば良いというわけではなく、きちんとテノールの響きが付いていないと、やり直しになります。どうも、レッスンでY先生と一緒に歌うようになって、知らず知らずのうちに、Y先生の(下手くそな)マネをして、声の響きがバリトン的になってしまうようですが、それではダメで、やはりテノールはテノールっぽい響きがあるので、それを思い出して、そんな感じで歌わないと×になります。

 具体的に言えば、舌根を下げて響きを作ると、私の場合はバリトン的な発声に聞こえるそうです。ですから、舌根は下げるにしても、ほどほどにし、むしろ軟口蓋をあげて響きを付ける方が良いみたいです。無論、軟口蓋を上げるのですから、目を閉じたり、能面みたいな無表情ではいけないわけです。もちろん、目を開けたり、表情をつけるのが主目的ではないけれど、目を閉じたままであったり、無表情なままで、軟口蓋を上げるのは至難のワザだからです。

 キング式の発声法だと、目を閉じるのはアウトだけれど(だから私の発声はダメなんです)、表情は無表情で能面的な表情で歌えることがベストなんですね。これは、表情と発声を切り離す事が大切だというキング先生の意見で、確かにそうなのかもしれません。だから、私は発声の時に、なるべく能面のような、つまらない顔で発声するように心掛けてきたわけですが、Y先生に言わせれば、それではダメなわけです。きちんと目を剥いて、表情を崩して歌うくらいの気持ちで歌わないと、軟口蓋は簡単には上にあがってくれません。いやいや、難しい。

 Y先生には「しっかりと、目ヂカラを使って歌いなさい」と何度も言われました。いやあ、発声に目ヂカラって必要なんだ…。

 とにかく、大切なのは軟口蓋で、軟口蓋で響きを作ると同時に、転がす箇所は軟口蓋を使って転がして歌うんですよ。ああ、神よ、軟口蓋を自由自在に動かせる力を私にお与えください。

 ほんと、ヘトヘトな気分でようやく「Selve amiche/親愛な森よ」のレッスンを終えると、次は、チェスティ作曲の「Introno all’idol mio/いとしい人の回りに」になりました。

 この曲も「響きは上に」と言われましたが、「Selve amiche/親愛な森よ」とは違って、音符一つ一つの確認はしませんでした(ってか勘弁してくれました:感謝)。

 この曲には装飾音符があります。同じに見えるけれど、前打音と後打音の二つがあるので、それらを区別して歌う必要があると言われました。ちなみに、ロマン派以降の曲なら、装飾音符はたいてい前打音として処理をして良いのだけれど、古楽系の音楽(バロックとかルネッサンスね。イタリア古典歌曲はバロックに属します)の場合は、前打音と後打音の両方が使われるので、それを区別しないといけません。

 まあ、実際のところは、主となる音符にトリルがかかっているかどうかで判別するそうです。トリルと装飾音符が同時に使われていたら後打音、トリル無しなら前打音と、ザックリ判別するんだそうです。もっとも実際には、それだけでは分からず、とりあえず歌ってみて不自然では無い方を選ぶんだそうですが。

 ですから、この曲の装飾音符も「この部分は前打音だけれど、こっちは後打音として歌いましょう」って感じで、一つ一つ確認していったわけです。

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