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ホール練習は…楽しかったです

 クラシックコンサートに向けて、ホール練習&ピアノ合わせをしてきました…と言っても、時間は少し逆上って、これは妻がアキレス腱をぶっ千切る前日の話です。まあ、救急車の話を先にアップしたかったので、順序が逆になっちゃったけれど、まあ勘弁。なので、この記事中の妻は、まだまだ元気ハツラツだったりします。

 で、ホール練習&ピアノ合わせの話なんだけれど、本来ならば、事前にしっかりピアノ合わせをし、それからホールに行って、音の響きとか、出入りの練習とかをするべきなんでしょうが、なにしろ私が忙しい! ほんと、時間がないもので、本番前のホール練習を最初のピアノ合わせに設定しました。

 まあ、ピアニストさんは折り紙付きの凄腕だって事は知っているので、いきなり合わせても大丈夫だろうと踏んで、こんな予定を立てたわけです。

 とにかく、自分たちの練習時間の30分前にピアニストさんが現地に到着。私たちは、その時はまだ路上だったので、10分ほど待たせてしまいました。で、練習前の20分を使って、事前に色々と確認しました。妻とピアニストさんの打ち合わせ結構ちゃんとしていて、ふたりともマジメなんだなあ~って思いました。ほんと、細かく細かく打ち合わせしているんですよ。

 私は「…う~ん、とにかく歌ってみるから、それで感じてみて(にこっ!)」と言ったものだから、妻に叱られました。「それじゃあ、ピアニストさんが困るでしょ?」ってね。でもねえ、いつも無自覚に、興の乗るままに歌っているものだから、どこがどうなっているのか、自分でもよく分からないんだよね。ただ言える事は、あんまりインテンポでは歌っていないって事かな? 結構、あっちこっち、ユルユルと歌っていて、それを冷静に伝えれば、妻以上に細かな打ち合わせが必要なんだろうけれど、なにしろ無自覚に歌っているので、それを上手に伝えられないのです。

 だって、馬鹿なテノールなんだもん、仕方ないじゃん(笑)。

 私たちの時間になりました。でも、前の団体が終わりません…終わらないどころか、すでに私たちの持ち時間なのに、新曲の合わせに入りやがった! 前の団体は合唱団なんですが『おいおい、このまま、あと5分以上、歌うつもりかい!』と思ったので、私、ヅカヅカと舞台に入って、彼らが歌っている、その隣で準備を始めました。譜面台を立てて、鞄を開けて楽譜を取り出して、彼らが歌っている、すぐその隣でスタンバイです。だって、もう私たちの時間だもの。

 このホール練習では、実は主催者も役員も誰もいません。ただ、ホールが開放されているだけなので、それぞれ出演者たちが、事前に決められた時刻にやってきて、勝手にホール練習をしていくという、なんともオトナな練習システムなんですが、止める人がいない事を幸いに、時間をルーズに使う人もいるわけですよ。

 まあ、だいだい、時間にルーズなのは、歌の人ですね。ピアノの人やフルートの人(つまり器楽の人だね)は、割と時間に正確なんですが、歌の人は、始めるのが遅く、終わるのも遅い…ってパターンが多いですね。私の前の合唱団が時間通りに始められたかどうかは、私、知りません。「前の団体がおしたんだから、ちょっとくらい時間を延ばしてもいいだろ?」って思っているのかもしれませんが、私からすれば「私の練習時間を盗まないでくれますか?」って気分ですよ。

 指揮者がオバアチャン先生でした。私が仏頂面で舞台に乗り込んできて準備を始めたので「こりゃあ、まずいわぁ~」と思ったのかどうか知りませんが、曲の途中でユルユルと指揮を止めて「時間なので、今日はこれで終わりです」と団の皆さん方に言って、合唱団を解散させてくれましたが…すでに3分ぐらい時間食い込んでます。1団体20分の持ち時間なんだから、15%も練習時間を盗まれてしまいました。15%と言えば、消費税の二倍の数値だよ。いい加減にして欲しいなあ。

 おまけに、オジイチャン団員さん(約3名ほど)には、しっかりガンをつけられました。「人が練習しているところに、ヅカヅカと乗り込んできやがって…!」って感じで、にらみつけてきたので、にっこり微笑んでやりました。なんか言ってきたら「音楽って時間芸術ですよね。練習時間も守れないようでは、なんのために音楽をやっているんだか、分からないですね」というつもりでいましたが、実際は舌打ちをされる程度で済みました。で、荒々しく(本来は出てはいけない事になっている)出入り口から退場していかれました。ほんと、オジイチャンってフリーダムだなあ。

 で、肝心のホール練習ですが、発声練習もせず、いきなり歌いだしました。いや、元々練習時間が少なめとは分かっていたので、家で発声練習は済ませておいたんです。歌い始めた時は、まだオジイチャンたちがいて、私の周りをウロウロしていましたが、そんなの気にしていたら時間が勿体ないです。

 だいたい、歌う人間って…私も含めて…図々しいんですよ。でなければ、人前でオオグチ開けて大声で恥をさらすなんて事、できるわけないものね。

 まず、チマーラ作曲「Nostalgia/郷愁」です。ひとまず通して歌ってみて、ピアニストさんが「そんなに速いテンボで歌うんだ!」とビックリしていました。どうも、楽譜から見た印象や、他のプロの方々の歌唱などを聞いて、当然、かなりゆっくりゆったりと歌うものと思っていたみたいですが、私は、そんなにゆっくりとは歌わないのですよ。

 確かに「郷愁」というタイトルからは、昔を懐かしんでほのぼのとする…というイメージがあるかもしれないけれど、私はこの歌を「報われずに終わった彼女との思い出を、まだ痛む心を抱えたまま、涙をこらえて思い出さざるをえない」という解釈で歌っているので、割と淡々と歌っちゃいます。淡々と歌わないと…涙こらえられないでしょ? 立ち止まったら、涙がこぼれちゃうでしょ? 本当に悲しいので、盛り上がると、自分が壊れてしまうので、自分を一生懸命に堪えている…で、最後の最後で壊れて泣き崩れる…なんて思って歌っているんです。

 それにしても、ホールって広いから、ついつい歌いすぎちゃいますね。もっと小音量でノドをいたわって歌えばいいのに、ついつい歌いすぎてしまいます。気をつけないとなあ。

 色々と微調整をして、まあまあの感じに仕上がりました。歌を作っていく時、先生相手だと教わる立場になりますが、ピアニストさん相手だと二人で曲を仕上げていくって感じになるので、楽しいです。

 次は、デ・クルティス作曲「Non ti scordar di me/忘れな草」です。こっちの方が合わせは難しいですね。

 この曲はポピュラーソングなので、私は楽譜に忠実に歌わないように心がけています。それでもまだ先生に言わせれば「楽譜が見える」って言われるくらいに、楽譜から自由になれません。でも、ピアニストさん的には、だいぶ楽譜に不忠実な歌い方なので「え? 何を歌っているの? どこを歌っているの?」って感じになったそうです。なので、一度通した後、楽譜チェックが始まりました。

 楽譜よりも音符を増やして歌っている箇所を確認し、あっちこっちにブレイクが入るのでそれも確認し、rit.があっても無視している箇所を確認し、何も書いてないのに勝手にRubatoしている箇所を確認し、跳ねないリズムなのに勝手に跳ねているところを確認し…。確かに、それだけ確認箇所があれば、目を白黒させちゃうよね。

 「基本的に、短い音符はより短く、長い音符はより長く、あっちこっちでコブシを回しますので、ひとつよろしく!」って感じです。

 ピアニストさんは、事前にたっぷりと練習して、しっかり音楽を作り上げて、このピアノ合わせに臨んでいるわけなので、それを悪気は無いとはいえ、ちゃぶ台返しのような真似をしている私なので「なんか、悪いなあ…」とは思いました。

 それでも、3回も通せば、だいたい要領が分かってきたみたいで、だいたい合ってきました。まあ、これだけ合えば、許容範囲内でしょう。許容範囲とは言え、ピアニストさん的には、まだまだ全然合っていないという印象のようです。なので、ひとまずステージを妻に譲りましたが、妻とピアニストさんの合わせが終わって、まだ時間があれば、もう一回合わせるという事になりました。

 で、妻の合わせが終わって、残り四分ぐらいになったので、もう一度最初から合わせる事にしました。一人の持ち時間は7分ですが、私のプログラムは5分ぐらいなので、時間ギリギリはみ出る(笑)ので、次の人が来るまで歌いましょうって事で始めました。

 「郷愁」を合わせ「忘れな草」をワンコーラス歌ったところで、ちょうど時間となったので終了しました。その時すでに、次の人は舞台袖でスタンバってました。

 次の人はピアノ女子でしたが、控えめな方でした。「まだ片づけをしていますが、ドンドン弾いちゃってください」とお願いしましたが「いえいえ、ごゆっくりとどうぞ」とか言って、ピアノの前で待ち構えて、こちらの退却を待っているようなので、いそいでステージから退却すると、私が立ち去るや否や、ピアノを弾き始めました。

 たぶん、ステージに他の人がいるのがイヤだったんでしょうね。申し訳ない事をしてしまいました。器楽の人は、歌の人と比べると、繊細な人が多いからねえ…。

 練習が終わって、ピアニストさんと二言三言打ち合わせをして、その日のホール練習を終えました。

 うむ、なかなかいい感じでした。いつもはカラオケで歌ってますが、やっぱり人間の伴奏は歌っていて気持ちいいし、こちらのムチャな要求に答えてくれるので、本当に歌いやすかったです。これだから、やみつきになるんだよね。

 ああ、楽しかったです。本番もこれくらい楽しいといいのですが…さてさて。

蛇足 妻はせっかくホール練習までしましたが、アキレス腱断裂のために、本番回避が決定しました。本番に出演するのは私とピアニストさんだけになりました。まあ、クラシックコンサートは来年もあるので、妻には、今年の借りはぜひ来年返して欲しいものです。

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