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そうか、そういう手もあったのか!

 昨今“芸術の秋”って奴で、あちらこちらの市民会館やら文化センターやらで、アマチュア音楽家たちの発表会やら演奏会やらが開かれております。アマチュアさんの発表会は基本“無料公演”なので、私自身の勉強を兼ねて、割と気軽に拝見させてもらってます。昨日はあちらの公民館へ、今日は向こうのホールへ、明日はこちらのセンターへ…ってな具合で、ヒョイヒョイとお出かけ仕っておりやんす。

 ちなみに「すとんさんは、アマチュア音楽家たちの発表会を、どうしてそんなに知っているんですか?」と尋ねられる事がありますが、その理由は簡単ですよ。近所の市民会館やら文化センターやら公民館やらの行事予定をチェックするんですよ。で、これっていう発表会を見つけたら、そこにうかがうだけです。そんだけです。それでも、実にたくさんの発表会が毎週のように開催されているんですって。まあ、その大半は、ピアノか声楽で、たまにフルートやヴァイオリンの発表会がある…くらいかな?

 もちろん、音楽仲間のクチコミ・タレコミも大切な情報源ですけど、ふふ。

 で、先日も、そんなこんなで、アマチュア音楽家たちによる、ピアノ&声楽発表会らしきものを見つけた…と思ってください。で、そこに行った…と思ってください。

 会場に入る時に、しっかりと確認しました。いかにもありそうな名前の団体さんによる、ピアノと声楽の演奏会でした。まあ普通、こういう団体名ならば、十中八九、個人営業の音楽教室です。で、その教室では、ピアノと声楽の両方を教えていて、今回は、そこの生徒さんたちによる発表会…なんだと思いました。が…なのに、今回はちょっと勝手が違いました。

 例えば、プログラム。会場入りする時に、いわゆるプログラムって奴をいただくじゃないですか? で、それを見ると、なんか、ちょっと違う感じがしたんです。

 …ってか、出演者は、どう見ても、たったの二人なんですよ。ソプラノさんとピアノさんだけ。演奏曲目を見ると…大半は声楽曲。つまり、これってタイトルに偽りあり…ってか、誤解されやすいタイトルがついてますが、実はソプラノさんのソロリサイタルって奴に来ちゃったみたいなんです。

 あのいかにもな団体名は、一体、なんだったのでしょうか?

 無料公演で、しかも出演者個人名ではなく、いかにも音楽教室っぽい団体名で主宰された、ソプラノさんのソロリサイタル……なんか、変でしょ? どう考えても、不思議でしょ?

 ま、それはともかく。演奏時間は約2時間。もちろん、間に休憩は入るけれど、10分だけ。まあ、休憩後にピアノのソロ曲(20分程度の曲が1曲)が入るから、合わせると30分は休めるんだけれど。それにしても、なかなかのリサイタルです。

 演奏曲目にしても、盛りだくさんで、最初のコーナーが日本歌曲のコーナー。その次が合唱曲のコーナー(って、ソプラノ1人でどうやって歌うんでしょうね?)。次が外国曲…というか、ピアノ曲に日本語の訳詩を乗っけた歌を歌うコーナー。最後がオペラアリアのコーナー(結構重い曲ばかりです)。ううむ、これでもか~ってくらいの充実した…と言うか「ほんとにこれだけ歌えるの?」ってノリの選曲なんですよ。

 一体、これから何が行われるのか~って感じですよ、マジでね。これだけバラエティに富んだ曲が歌えるなんて、なかなか凄腕のソプラノさんのリサイタルに来ちゃったわけ? ええ、これは拾い物かもしれない…。

 で、ワクワクしながら、本番を待っていたわけです。

 時間になって、本番が始まりました。

 地味な服装のオバアチャン(失礼)と派手に着飾った若いピアニストさん(でも無表情)が出てきました。で、出てくるなり、オバアチャンの方が、おもむろに諸注意を始めました。普通なら、本番開始前に陰アナが話すような事です。曰く「携帯電話の電源はお切りください」とか「ホール内は飲食禁止です」とかね。

 で、諸注意が終わると、オバチャン、引っ込まずに「本日は、お足元の悪い中、ようこそいらっしゃいました」程度の短い挨拶をすると、そのまますぐに歌い始めました。ええ? あのオバチャンが、本日の主役のソプラノさんなの??

 だってサア、着ている衣装は、とてもステージ衣装とは思えないよ。さすがに普段着とは言わないけれど、いわゆる“訪問着?”レベルの衣装なんだよ。なので、私はてっきり、スタッフさんかと思ってました。だいたい、ピアニストさんの純白のドレスの方が全然派手と言うか、当然ソプラノさんはピアニストさんよりもド派手な衣装を来て、後から登場するものと思ってましたが……ピアニストさんに衣装で負けているソリストって何? って感じです。

 そして歌い始めた歌声は…実に合唱声(涙)でした。私、前から5列目ぐらいに座ったのですが、そこでなんとか聞ける程度の音量で、会場はさほど広くないホールだけれど、後ろまで絶対に声が届いていないだろうなあって感じの声でした。平べったいし、響きもないし、でも声量もないから、合唱では楽しくやれそうな声だけれど…ソロ歌手としては、あまりに足りなさ過ぎます。

 ちなみに、リズムも音程も、結構マイペースだったりします。そして、最初の曲から全身全霊の全力で歌い始めました。

 曲間に休憩やら曲紹介やらおしゃべりやらが入るのかと思えば、前の曲が終わると、間髪入れずに、すぐに次の曲のイントロをピアノが弾き始めると言う、ノンストップな演奏が繰り広げられました。

 なんなんですか? この演奏会は? 果たして、このペースで最後まで歌えるのでしょうか? だって、最後の方は、1曲歌うだけで、かなり消耗しそうなオペラアリアが群れを成しているんですって。一体、この人は何?

 すこし落ち着いて演奏者を観察しました。たぶん…ですよ? たぶんね。たぶん、今歌っているソプラノさんは…アマチュアさんでしょうね。まあ、プロ歌手が無料でリサイタルなんてするわけないのですから、そこから考えても、無料リサイタルを開催している段階で、歌い手はアマチュアだろうと推定できますが、歌の技量的に見ても、おそらくアマチュアさん、それも専門教育などは受けた事のない、ピュアなアマチュアさん…なんだろうと思います。声楽の個人レッスンも…おそらく受けた事、ないんじゃないかな?

 たぶん、正体は、どこぞの合唱団(それもおそらく女声合唱団)でブイブイ言わせている程度の人…じゃないかな? と言うのも、演奏曲が、いかにも女声合唱団でよく取り上げるタイプの曲ばかりなんです。で、それらの曲を合唱団ではなく、ソロで歌ってみましたって感じなんですよ。

 さらに言うと、発声は、そこの団の発声練習で学んだんじゃないかな? ソリストの発声とは色々と違うんですね。

 ピアニストさんは…おそらくソプラノさんの孫娘さんなんじゃないかな? それもまだ学生さん…なんだろうと思います。こちらは専門教育をきちんと受けていると思われますが、歌の伴奏は実に実に不慣れな感じです。歌い手さんの事を、ちっとも考えずに、ガンガンピアノ弾いている感じです。いや「ちっとも考えず~」には言い過ぎですね。歌手の歌うテンポには合わせようと苦心している様子は分かります。まあ、歌手の方は、実にフリーダムなテンポで歌ってますからね。でも、テンポを合わせようとはするけれど、息には合わせようとしない…と言うか、息を合わせるという発想がないんじゃないかって感じるピアノ伴奏でした。

 単純にピアニストとしての経験が不足しているだろうと思っただけです。

 会場をぐるりと見回してみると、お客さんの大半は、ソプラノさんと同年配の、いかにも“合唱をやっています”オーラ全開のお姉様方ばかりで…おそらくソプラノさんと同じ団の方々なんだろうなあって思いました。で、ウンと若い人たちも数人来ていて、そちらはおそらく、ピアニストさんのお友達関係なんだろうなあって思いました。

 まあ、身内や友人ばかりを集めて行った、オバアチャンのリサイタル…ってところだったのでしょうね。だったら、無料コンサートにせずに、関係者のみ観覧可能のクローズドなリサイタルにしておけばいいのに…(ぶつぶつ)。

 私、この日は睡眠たっぷりで元気はつらつだったにも関わらず、3曲目あたりから睡魔に襲われて、4曲目からは記憶がございません。で、記憶がないままに、前半のプログラムが終了してしまいました。

 いやあ、興味の持てない演奏会だと、熟睡してしまうのが私なんですよ。いやあ、上手とは言えない日本歌曲と、女声合唱団で歌うような合唱曲のメロディーだけを歌われちゃうと、私、寝るしかないじゃないですか? カラダって正直なんですよ。

 で、休憩になって、音が途切れたので、目をさましてみると、隣にいる妻が怒り心頭なんですよ。で、開口一発「帰ろう!」って言うじゃないですか?

 いやいやいやいや、君は何を言い出すんだい? 私は今の今まで気持ちよく寝ていたわけで、後半こそはバッチリと起きて、しっかり歌を聴くつもりでいるんだよ。なにしろ、後半にはオペラアリアが、これでもか~と言うくらい並んでいるわけだしさあ…。

 すると妻がアレコレ言い始めました。要約すると「これは無料であっても聞いてはいけない演奏会だ」って事らしいです。私はテノールなので、全然平気なんだけれど、ソプラノである妻にとっては、調子が崩れる…と言うか、ソプラノという楽器の調整が狂わされるような演奏…って言いたいみたいなんです。

 まあ、私も上手なテノールさんの歌を聴くと、その後、しばらくは発声の調子が良くなったり、今まで歌えなかった曲が歌えるようになり、逆に下手くそなテノールさんの歌を聞くと、しばらく歌はもちろん、発声すらできなくなったりするのですが、それと同じ事が妻の身の上にも起きているのだと察しました。

 なので、後半が聞けない残念さは残ったものの、妻の調子を守るために、前半でコンサートを切り上げて帰る事にしました。ああ、残念。私は、あのソプラノさんの夢遊病の女の長大なアリアを聞いてみたかったんだけれどなあ…。

 まあ、今回、我々は、そんな身内向けのコンサートに紛れてしまうという、とんだ失態を演じてしまったわけなんだけれど、それと知って聞くなら、これはこれで微笑ましくてアリかなって思いました。

 ソロリサイタルって、アマチュアはもちろん、プロ歌手だって、なかなか実現できませんよね。でも、一度はやってみたいでしょ? たとえアマチュア歌手であっても。でもね、プロでも実現が難しいのに、アマチュア歌手ならば、それは夢のまた夢であって、アマチュアにとっては、門下の発表会がせいぜい…って思いがちじゃないですか? いや、私もそう考えてました。

 でも、やれば、アマチュアだって、自分のリサイタルを開催できるんだなって思いました。

 確かに公共施設の小ホール程度なら、無料公演にすれば、安く借りられます。ジイチャンバアチャンになっていれば、身内もたくさんいますし、友人もそれなりにいます。会場がガラガラのスカスカって事にはならないでしょう。その年になれば、ピアノをたしなむ友人ぐらいいるでしょうし、孫の中にだって1人ぐらいはピアノが得意な子がいるでしょう。そういう人に伴奏は頼めるでしょうし、受付やら舞台裏のアレコレは、気の利く男の子(もちろん孫)にでも頼めばOKでしょう。いや、無料コンサートなんだから、受付なんていらないかもね。

 そう考えると、このソプラノさんのように、自分のリサイタルをやっちゃうってのは、アリかもしれません。人間なんだから、死ぬ前に、一度ぐらい、自分で自分の花道を作っちゃうっても、悪くない話だと思います。

 私も、年を取って、終わりが見え始めたら、ソロコンサートを開いちゃおうかな? いや、ウチの場合は、妻と一緒にデュオコンサートだな。無料公演なら、開催するにしても、大した金額もいらないし…。まあ、悪い発想ではないかな? ただし、見知らぬ人が紛れ込んでガッカリさせないような工夫は、何かしら必要だろうなあって思いますが。

 今回のリサイタルは、歌には全然感心しなかったけれど(ごめんなさい)、その手口には、すっかり心を奪われた私でございます。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    誇大広告のようなリサイタル、
    いつ、すとん様のお怒りが爆発するのか、と、
    ハラハラしながら読みましたが、
    さすがは、すとん様、爆発などせず、
    よかった、よかった。

    今回のお話は、おもしろおかしいエピソード、
    と読むこともできましょうが、
    しかし、かなり重大なお話と読み解くこともできましょう。
    芸術とは何か、みたいな。

    誠に僭越ながら、ウィーンでウィーンフィル、
    ボストンで、小澤征爾さん指揮のボストン響、など、
    素晴らしい生演奏を聴いてしまった私としては、
    一流とは言い難いプロオーケストラや、
    アマチュアオーケストラの演奏は、ちょっと敬遠したいもの。

    すとん様の、そして、奥様の、
    今回の事件における、観客としてのご経験、ご感想、
    痛いほどわかるような気がします。

    芸術というものは、見たり聴いたりしていると、
    見たり聴いたりしているだけでなく、
    自分でもやってみたいと思うもの。
    自室やカラオケルームで、たった1人、あるいは数人でやるのみならず、
    もっと大きなホールで、大勢の観客を前に、やってみたくなるもの。

    芸術としての完成度がどれほど低くても、
    やってみて、初めて、
    やってよかった、あるいは、やるんじゃなかった、
    また、やろう、いやいや、もう2度とやらない、
    などなどと思い感じることができるのであって、
    どういう気持ちになろうとも、やって得るもの、あると思います。

    ああ、また、とりとめなくなってしまい、申し訳ありません。

    おしまい

  2. 椎茸 より:

    なかなか興味深いリサイタルですね。
    やるにあたっては周囲の後押しもあったのかも知れないなー、だとしたら仲間がたくさんいて幸せだなー、と思いました。

    第三者的には、その方が最後まで、どんな感じで歌われたのかが気になりますね。聴いてみたかったなあ。

    いいですねーリサイタル。わたしもいつかやってみたいです!

  3. tetsu より:

    こんばんは。

    > 人間なんだから、死ぬ前に、一度ぐらい、自分で自分の花道を作っちゃうっても、悪くない話だと思います。

    こういう話は、とある笛吹きの方からいろいろきいたことがあります。
    プロとアマの違いはない、リサイタルはだれでもできる.、どれだけ集客できるかできないかは本人の実力だけ、みたいなことでした。
    今はyoutubeなどで誰でもアップローできるので、「埋もれた才能」はありえません。

    > まあ、私も上手なテノールさんの歌を聴くと、その後、しばらくは発声の調子が良くなったり、今まで歌えなかった曲が歌えるようになり、逆に下手くそなテノールさんの歌を聞くと、しばらく歌はもちろん、発声すらできなくなったりするのですが、

    元師匠の師匠の合宿に行ったあと、元師匠のレッスンに行ったら、「似ている」、と言われました。そのときだけで続きませんでしたが。

  4. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

    >誇大広告のようなリサイタル

     確かに紛らわしい看板を出してましたが、でも間違えたのは、こっちですからね。ソプラノさんには罪はありませんって。個人リサイタルにうっかり混ざってしまっただけの話だし、無料公演なわけだし、それで文句を言ったらバチが当たりますって。

     私は、音楽ってのは“聞いて楽しむ音楽”と“演奏して楽しむ音楽”の二種類があると思ってます。もちろん、音楽そのものが二種類に分かれるというよりも、音楽にどう接するか、その態度に二種類ある…って思ってます。

     アマチュア音楽家の場合は、圧倒的に“演奏して楽しむ”でしょ? だから、そういう演奏に対して、上手いとか上手くないとかいうのはヤボかなって思ってます。腕前はどうであれ、応援して励ましてあげるのが正しい鑑賞姿勢だと思います。

     もちろん、有料公演の場合は、たとえアマチュアであっても、そんな甘ったれた事は許しませんが(爆)。有料公演であれば、アマチュアであれプロであれ、チケット代金分以上の感銘と感動を与えてくれなければ、音楽詐欺として認定します(マジです)。

     今回のソプラノさんは…きっと楽しかったんだろうと思います。それを見ると、ちょっぴりうらやましいですよ。私も、そういうリサイタルを開けるようになりたいなあって、正直思います。

     芸術としての完成度は低くても仕方ないでしょ? アマチュア音楽の醍醐味は、完成度ではなく、熱意ですって。今回のリサイタルは、熱意はあふれるほどに感じましたよ。そういう意味では、良いリサイタルだったと思います。願わくは、音楽的にも、もう少しお上手だったら、なおいいのになあって思ったくらいです。

  5. すとん より:

    椎茸さん

     そりゃあ、周囲の後押しは絶対にあったでしょうね。いくらリサイタルやりたくても、自分一人がなかなか開催できません。物心両面に渡って色々な方々にサポートしてもらわないと実現は困難です。そういう点では、音楽力ではなく、人間力がないと、リサイタルは開催できないかもしれません。

    >第三者的には、その方が最後まで、どんな感じで歌われたのかが気になりますね。

     でしょ? 私もそれは、まだ、気になってます。あの調子で歌っていて、最後のオペラアリアの海をどう泳ぎきるか…本当に興味あります。その前で声を失って溺れてしまうか、案外、スラスラと泳ぎきってしまうか? 一般的に合唱の人って、タフな声を持っている人が多いから、スラスラと泳ぎきってしまったのかもしれませんよ。いやあ、気になる気になる。

     私もリサイタル、ぜひぜひやってみたいです。

  6. すとん より:

    tetsuさん

    >どれだけ集客できるかできないかは本人の実力だけ、みたいなことでした。

     そうそう、それはそう思います。ライブでは、集客力っては、音楽力以上に必要だと思います。逆に言うと、集客力がそこそこ備わってきたなあと思ったら、思い切って、リサイタルを開いちゃうのもアリですね。ううむ、今の私は、たとえ小ホールであれ、それに十分な集客力は…はないなあ(涙)。百名程度のミニホールくらいなら、なんとかなるかもしれない…でもやっぱり難しいかな? そういう意味では、私はまだまだリサイタルをする力が備わっていないと言えるでしょう。

     演奏って、聞いているこっちのカラダに染み込んでくると思います。だから、良い演奏、上手い演奏を率先して聞く必要があるのだと思います。

     そう考えていると、レッスンをしてくれるプロの方々ってエラいですよね。毎日のように下手くそな演奏を聞いて、しかもそれに影響されずにいるのですから。私の知り合いの音楽家の中には「下手が伝染るから、絶対にレッスンはしない」と公言している人がいますが、その人の気持ちは、分からないでもないんですよ。だからこそ、レッスンプロってエラいですし、そういうエラい人がいないと、我々アマチュア音楽家は音楽が楽しめないのだから、感謝しないといけませんね。

  7. tetsu より:

    > 「下手が伝染るから、絶対にレッスンはしない」

    数十年前、H.P.シュミッツの合宿に行ったことがあります。当時すでに彼は人前では全く吹かなくて、「こんな話、誰が面白がっているのか不思議」と言いながら曲の解釈を延々と話していました。
    なぜレッスンをやめたか、というと「自分のイヤなところだけ生徒が真似する」とかでした。大昔の話ですが、なぜか思い出してしまいました。

  8. すとん より:

    tetsuさん

    >自分のイヤなところだけ生徒が真似する

     それって…同族嫌悪でしょ。生徒がよく学んで、やがて師匠そっくりの演奏をするようになると、師匠からすれば、自分のコピーのような演奏家が目の前に現れるわけで、そのコピー演奏家が、自分の良いところもコピーしてくれるけれど、そんなところは師匠的には目に入らず、自分の欠点すらコピーしてくれるけれど、そこばかりが目立つ…んでしょうね。

     そういう意味では、シュミッツ氏は、かなり弟子たちに強い影響を与える師匠だったのでしょうね。そういう先生は、生徒からすれば、とても良い先生なんだと思いますよ。

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