私は物心ついた頃から音楽が好きでした。でも家が貧しかったので、ピアノを始めとする楽器を習う事はできず、お金のかからない歌ばかりを歌って音楽への思いを満たそうとしていました。
でも、歌うとよく親父に殴られました。とにかく、オヤジの前では息を潜めてひっそりしていないと、親父は機嫌悪くなったからね。だから、歌うと言っても、声を出して歌うと殴られるし、殴られるのは嫌だし、でも歌は歌いたいし…ってわけで、よく子どもの頃は声は使わずに息だけで歌っていました。嗄声で歌う? 息だけじゃ歌にはならないし、音程もロクに付かないし、歌うというよりも自己満足の世界だよね。
中学生ぐらいになると知恵もついて、親父のいない時間は思いっきり歌っていましたが、ウチの親父は基本的に、ずっと家にいるタイプの人だったので、あんまり歌えなかったなあ。
そんな鬱積もあって、オトナになって家を出たら、毎日歌うようになりました。以前も書いたけれど、合唱団に入ったのも、その頃の話です。ほんと、私、歌いたかったんだよね。
でも、子どもの頃にロクに歌っていなかったから、オトナになって、いきなり歌いだしても、まともに歌えるはずもなく、合唱団に入れば、自分がいかに歌が下手なのかという現実に直面するしかなかったわけです。あれは悲しい体験だよね。好きなのに、何もできないという無力感は、青年の心をねじまげるには十分なモンです。
キリのいいところで合唱団を辞めて、声楽の個人レッスンを受け始めた私です。とにかく、歌が上手くなりたかったんだよね。そのためには、きちんとした基礎トレーニングから始めないとダメなんだと思った次第なのです。
だから、なぜ私が声楽を学んでいるのか言えば、歌が上手くなりたいからであり、失われた子供時代の回復であります。
もっとも、この時は、一年ほど学んだところで(これも以前書いたけれど)先生が消えてしまったので、私、途中で放り出された形になりました。
いやあ、心がボッキボッキに折れましたよ。ほんと、当時は歌の神様に、とことん見放されていた私だったんですよ。
で、人生後半戦に入ってから、ようやく歌の神様のご機嫌が戻ったみたいで、あれこれ状況が整い、キング先生の元で遊んでいただき、今はY先生のところで、ようやくまともに歌の勉強をしていただけているのでした。
だから声楽を学べる事が楽しいし、幸せだと感じています。願わくば、もっともっと歌が上手になりたいと切に願う私でありました。
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コメント
僕も高校で合唱をやっていたわけではなく、音大を出たわけでもなく、楽譜も読めない。というものです。
とにかく歌が好きです。しかし、合唱で自分は下手なんだと実感させられる。非常によく分かります。
これは素人から歌を始めると避けては通れないのでしょうか。
これからもマイペースに歌を楽しんでいければと思っています。
ちょっと何を言いたいのか分からなくなってきましたが、許して下さい(笑)
ショウさん
今思うに、やはり素人の歌好きさんが歌を始めるなら、カラオケがベストだったんだろうなあって思います。なまじクラシックファンだからと言って、合唱に行ったのが茨の道の始まりだったと思います。合唱は…ぽっと出の素人が歌えるようなモンではないからです。そして、私の場合は、そこからテノール修行を始めちゃったわけだから、茨も茨、茨の森を歩き出しちゃったわけです。
未だに茨の森で迷っている私ですが、その困難さ故に楽しいと言えば楽しいのですが、いつまでたっても一人前(この定義も難しいのですが)に成れずに、悩んでいるわけです。そう考えると、こんな道は誰にでも勧められるモンじゃないし、ほんと、歌が好きなら、迷わずにカラオケに行けよと、当時の私にアドヴァイスしてあげたい気分になります。