スポンサーリンク

フルートを良い音で鳴らすには、どうしたらいいのだろうか?

 フルートのレッスンを休んでしまいました。仕事が忙しかったと言う事もあるけれど、左手が痛かったんです(マジ)。練習もロクに出来なかったし、(先生には内緒だけれど)レッスンに行くのも痛くて気が乗らなかったのです。傷は小さいのに、結構深いみたいで、左の親指と人指し指に圧力がかかるのがイヤなんです。それと、痛みが移ったのか、最近は左手首もちょっと痛くて、フルートを構えるのも気が重いです。パソコンのキーを叩くくらいなら、平気なんだけれど、フルートは…総銀はちょっとイヤだな。プラ管の方が楽です。でも、プラ管だと、p-fの音量差が少なくて、表現力に乏しいというのもあって、プラ管のフルートを持ってレッスンに行く勇気はないです。まあ、もうしばらく辛抱していたら、傷も治ると思うのですが…。

 そこで、今週は、フルートエッセイでお茶を濁します(笑)。

 フルートを良い音で鳴らすには、どうしたらよいのだろうか?…なんていう、普遍的な問題について考えてみました。ま、素人のオッサンの戯れ言ですから、まあ、話半分で聞いてくれると感謝です。

 まず、良い音の定義から。それは“悪い音でない事”かな? まずは、これが第一条件でしょう。では“悪い音”って、どんな音の事でしょうか? それは「耳障りな音」の事でしょ。例えば“音程が不安定でグラグラしている音”“うるさい音”“かすれた音”“一本調子な音”…こんなところかな?

 つまり、良い音ってのは“音程的にはバッチリで、吹き始めも吹き終わりも同じ音程を保っていて、うるさくもなく、かすれてもいなくて、演奏者のニュアンスに応える事のできる、耳に優しい音”の事。これが前提ですね。これに付加条件をいくつか加えると、良い音のイメージがつかめるのではないでしょうか? 付加条件とは「それがなくても困らないけれど、あると、とてもうれしい、オマケの条件」って奴です。

 私が考える、良いフルートの付加条件とは「フルートらしい音」です。例えば、あるフルート奏者の奏でる音がとても美しくても、その音がまるでファゴットのような音色だったら、それはフルートとして美しいとは認知されません。やはり、フルートらしい音で、なおかつ良い音でならないとダメですね。

 フルートらしい音…誰が聞いても「あ、それ、フルートだね」と思わせるような音色の事です。いわば、人の心の中にあるフルートの音色と合致した音の事です。言葉にすると難しいけれど、イメージはどなたでも持っていると思います。

 それと「遠鳴りのする音」です。近くで聞いてもうるさくなく、離れて聞いても、不足を感じさせない音の事です。これは単純に“音量が大きい”と言うのとは違います。むしろ、さほど大きくも感じない音なのに、遠くまでよく“響く音”の事かな? 

 と言うわけで、良い音とは“フルートらしい音色”で“遠鳴りのする音”で“音程的にはバッチリで、吹き始めも吹き終わりも同じ音程を保っていて、うるさくもなく、かすれてもいなくて、演奏者のニュアンスに応える事のできる、耳に優しい音”と言う事にします。
 
 
 では、フルートを良い音で鳴らすにはどうしたら良いでしょうか? 

 まず“音程的にはバッチリ”の部分は、楽器に依存しますね。まあ、国産フルートを使っている限りは問題ないでしょう。外国製のものにはヒドイ音痴な楽器もあるそうですが…そういう楽器を不幸にして所有している場合は、正しい音程で演奏できるように作られているフルートに買い換える事をお薦めします。

 さて“吹き始めも吹き終わりも同じ音程を保つ”は専ら奏者の側の問題であって、これって、ソノリテを繰り返し行う事で鍛えられるモノでしょうね。つまり、息を一定の速度で吹き続けられる事ですね。だから、この部分に関して言えば、奏者の努力次第で、いくらでも良い音に近づけると言えるでしょう。

 “うるさくもなく”は『オーバーブローをしない』って事じゃないでしょうか? つまり『息を吹き込み過ぎない』って事です。息を吹き込みすぎて、オーバーブローになってしまうと、耳障りでうるさい感じの音にどうしてもなってしまうからです。

 “かすれてもいなくて”は、アンブシュアの問題かな? フルートのポイントを外しがちだと音がかすれてしまうと思うし、出す息が太すぎるとやはりかすれ気味の音になってしまうと思います。適切なアンブシュアで吹き込むから、ピントのあったクリアな音が出るんだと思います。

 “演奏者のニュアンスに応える事のできる音”…楽器の性能による部分が無いとは言えないけれど、まずは奏者自らが自分の技量を高める事が大切ですね。で、上達して「この楽器では自分の思い通りに吹くには力不足だ」と思ったら、そこで楽器を買い換える事になるでしょうが、まずは奏者が自分を鍛える事が大切です。

 “耳に優しい音”…これは音の立ち上がりに関する事かな? テクニックで言うと、タンギングに関係するかなって思います。下手くそで雑音交じりのタンギングで吹かれたフルートなんて、聞きたくないですよね。

 そして“フルートらしい音色”ですが、フルートを吹いているのだから、フルートが十分に鳴りきれば、自然とフルートらしい音色になるんじゃないかと思います。フルートが十分に鳴りきる…つまり、管体自らが振動をして、いい感じに音が出る事だと思います。

 “遠鳴りのする音”とは、上記の“フルートらしい音色”が遠くまで届く事なのではないかと思われます。それは音量を増やすのではなく、音の遠達力を増やす方向であって、オーディオなどでは、スピーカーを固定したり、重い材質でスピーカーを作る事で得られるものです。もしかすると、フルーティストが上達するにつれ、洋銀から総銀へ、総銀からゴールドへと、重い材質のフルートへ、どんどんシフトしていく事と関係あるかもしれません。しかし、重い材質のフルートって…高価ですよね。
 
 結局、フルートを良い音で鳴らすには『良い楽器を所有し、良いテクニックを持っている事』という、ごく当たり前の結論になってしまいました。
 
 
 良いテクニックは、良い教師の指導の元、日々の努力と練習によって得られるでしょう。地道に練習を重ね、自分を向上させていくことで、必ず手に入れる事ができます。

 良い楽器の入手は…実に簡単な話で、経済力があれば、いくらでも良い楽器を入手できます。もちろん、フルートの目利きも、ある程度できないといけませんが、フルートをそこそこ吹いていれば、自然と目利きが出来るようになるでしょうから、こちらは問題ありません。問題なのは、経済力ですね。

 経済力に関しては…私がつべこべ言うことではないですね。皆さん、それぞれの才覚でお金を集めてみてください。

 それにしても、フルートって、高いですね。庶民の生活感覚からは、考えられないほど高価な楽器だし、ゴールドフルートなんて、ありえないくらいの高値ですよね。でも、いくら高いと言っても、せいぜい、車1台分のお値段です。なんとかなると言えば、なんとかなるお値段です。

 ヴァイオリンを始めとする弦楽器では、千万円単位、億円単位の値段の楽器だって、ゴロゴロしてます。アマチュアが普通に使っている楽器だって、百万円単位の楽器なんてザラです。それと比べたら、フルートなんて、安いものです。

 いやいや、お金で良い楽器が買えるだけ、ありがたいとも言えます。声楽なんて、お金じゃダメなんです。声は持って生まれたものしか使えません。どんなに良い声が欲しいと思っても、取り替える事はできないし、買う事もできません。どんなに素晴らしいテクニックを持ち、日々の努力を惜しまなくても、声がダメなら、アマチュアとしての活動すらおぼつきません。声楽では、声こそがすべてであって、才能や努力や経済力の前に、声の有無が問われる分野です。そこへ行くと、フルートは、誰であれ、お金さえ出せば楽器が手に入るんですから、本当にありがたいものです。

 ん? 話がちょっと変な方向に言ったかな? まあ、いいや(笑)。とにかく、良い楽器を所有し、日々の訓練を欠かさずにいられたら、やがて良い音でフルートは鳴り始める…って事です。

 だから「私の音はあんまり美しくない…」とお悩みのフルート初心者の皆さんに言いたい事は「まずは、焦らない事。日々練習しているうちに、必ず音色は良くなっていきます。そのうち自分の楽器に飽き足らなくなってきますから、そうしたら、もっと良いグレードの楽器に買い換えてください。そうすると、もっともっと良い音でフルートを鳴らせるようになりますよ」っ事です。

 ありきたりの結論で、ごめんなさいです。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 クラシックブログ フルートへ
にほんブログ村

コメント

  1. 河童 より:

    「良い音」・・・・難しいですね
    銀の鈴、風鈴のような澄んだ音色は確かによいのですが、すべての曲をこの音色で演奏されたらつまらないです。
    音程とニュアンスが良ければ、音色は個性でしょうかねえ。もちろん個性には好き嫌いがでてきますし、曲に合う合わないもあります。
    私をふくめて初級者は、まず音色を再現できるように日々の努力・精進ですね。

  2. すとん より:

    河童さん

    >初級者は、まず音色を再現できるように日々の努力・精進ですね。

     かもしれませんね。おそらく、フォームがどうとか、アンブシュアがどうとか言うよりも、理想とする音を見つけ、その音に少しずつでも近づこうとしていく事で、自分が持っている諸問題を一つずつ解決して、良い音色を奏でられるようになっていくのではないかと思います。結果として、最初に自分が理想としていた音色とはかけ離れた音色になってしまうかもしれませんが(笑)。

     私が憧れたのは、まず最初は、パトリック・ガロワですね。当時は生を聞いたことがなかったので、当然CDの音ですが、これに憧れました。やがて、理想は変わり、エミリー・バイノンの音に強く惹かれるようになりました。この方は、未だ生で聞いたことがないので、まだCDの音に憧れている最中なんですが(笑)。今でもバイノンは私の理想のフルート奏者の一人です。彼女のような音が出せたら最高ですよ。

     最近は、自分なりの良い音を探している最中です(だから、こんな記事を書いたんでしょうね)。自分なりの良い音って、難しいですね。自分の楽器との対話の中で、見つけ出されていくものなのでしょうが、私の場合、相手がなかなかにツンデレですから、容易な事ではありません(汗)。

  3. ぼー より:

    良い音の追求…楽しくも長く険しく、終わりのない道ですね。
    それぞれの向かう目標もちがうし…でも、すとんさんがご指摘のおおよその方向性というのはみんな通る道なのでしょうね。

    私はちょうどその入り口でどこに向かうか試行錯誤しているところです。
    ただ、アプローチはすとんさんのお考えと逆向き(?)で、相棒に不足を感じたらグレードアップする…のではなく、最初からこいつしかいない!という相棒を選んで、どちらかの寿命が尽きるまで(笑)、信頼しあってひたすら練習します。
    ただ、実力が決定的にないので試奏では選べない…正確には試奏を繰り返す時間がないので、すとんさんのいう経済力にまかせて、購入した上で選んでいるところです。
    現状、コレクターですが、毎日吹いていて自分の好み、それぞれの笛の特徴が分かってきた気がします。
    現在、S社のA CC、P社のM CCE、M社のP RCです。
    加えて先日、すとんさんのブログを見るようになって気になっていたAltusにも手を出し、Altus PS RHEを購入しました。

    Altusはr…すごくよさそう。中音は澄んだ音もちょっと荒々しい音色も出せるし、高音はただ高いだけでなく心地よい音がでます…が…すとんさん初めとするAltusユーザーの方の言う「Altusらしい音」が出せているかが分かりません。管はちょっとは共振はしますが…これから吹き込まなきゃです♪

    単なる道楽みたいですが、実際は「ダメなのは道具ではなく、すべては自分の責任」と自分を追い詰めるためと、高い物を買って自分の途中下車を抑制するためです。

    美しい音色を奏でることは至高の悦…道具に負けないように私も頑張らなきゃですね♪

    …長文、失礼しました…

  4. すとん より:

    ぼーさん

     コレクター万歳ですよ。私は、コレクターの方を称賛します。私の気質は、コレクターとは真逆な気質(これは記事をご覧いただければ分かりますね)なので、自分に無いモノをもっている人を、私は尊重し尊敬します。

     お持ちになってらっしゃる笛たちも、いずれも素晴らしいモノじゃないですか! それらの笛を、そのキャラクターに応じて吹き分けるなんて、そりゃあ贅沢だし、そりゃあ、心が喜びます。一つの笛を極めるのも道ならば、たくさんの笛を楽しむのも道です。

     良い楽器と言うのは、良い教師だと思います。一つの楽器を極めるのは、一人の先生に弟子入りして学ぶようなモノだと思います。多くの笛でフルートを学ぶのは、良い先生方に囲まれて、それぞれの良さを学んでいくようなモノだと思います。

    >高い物を買って自分の途中下車を抑制するためです。

     その不退転の気持ち、程度の差こそあれ、私も持っていますよ。でなければ、フルート始めて三カ月で総銀フルートを購入したりしません。そして、その思惑は今のところ当たりです。だって、まだフルートを諦めずに吹いてますから(笑)。

     大人の道楽、上等じゃないですか? 胸を張って、道楽を楽しみましょう! はい、私も、道楽モノですよ。でも、21世紀の日本だからこそ、いい年した大人が堂々と道楽に励めるのだと思いますし、これからも、道楽者が大きな顔をしていられる世の中が続いてほしいと思ってます。

     明日は、今日よりも美しい音色で、フルートを奏でられますように。

  5. 河童 より:

    おやじパワーで頭部管コレクターまっしぐらです。
    下手ながらも少し音色の違い(メーカーでの方向性の違い)や吹奏感の違いがわかってきました。
    一ついえることは、頭部管を代えると全く別物のような変化をします。
    今持っている楽器に音色の不満があったら頭部管を代えるだけで別物に変わりますよ。
    楽器を買い換えるより遙かに安上がりです。
    音程は頭部管によって高音が持ち上がり気味など癖がありますが、テクニックの未熟によるずれの範囲内です。本体が音痴でなければ問題ありません。

    今やっていることは、スイートスポットの狭い頭部管で綺麗な音出しです。
    アンブシュアの練習になりますよ。
    効果抜群で、他の頭部管も綺麗に鳴らせられるようになります。
    やはり、おやじの道楽ですね。

  6. すとん より:

    河童さん

     頭部管を変えると、音が激変すると、よく聞きますが、実際に頭部管コレクター(?)の方が「頭部管を代えると全く別物のような変化をします」とおしっゃるなら、まさにそうなんでしょうね。

     別に私は否定派というわけではないのですが、頭部管と胴部管のバランスを考えると、なかなか手が出ません。特に、パワフルな頭部管を使って、ボディがそのエネルギーを受けとめきれなかったら、どうなるんだろうと、悩んでます。杞憂って奴ですね。

     そんな事よりも、残りの人生、パーッと好きなことやって楽しんだ方が勝ち…ですね。

  7. 河童 より:

    パワー、硬/軟・、輝き/しっとり、等々はそれぞれの要素で無数の組み合わせができそうです。道楽にはことかかないバリエーションだと思います。
    もっともプロはこれらを素材にしてさらに自分の味を作り出すのでしょうけど。

    本体がパワー負けしそうならば少しパワーの控えめのを選べはよいと思いますよ。
    外国には多くの頭部管職人がいますので、世界に目をむければ自分の望みのものが見つかるでしょう。
    もっとも、すとんさんは体のパワーが余っているので常にちょっと控えめに吹いた方がよいのかもしれませんね。

    ウッドの頭部管を作っているところのホームページを見るとおもしろいですよ。
    http://www.sideblown.com/Wood.html
    木の堅さや比重での音色の違いを説明しています。

  8. すとん より:

    >河童さん

     リンク先見ました。実に面白かったです。

     私、頭部管を今すぐ買い換えるつもりはないのですが、買うなら、パワー系の頭部管が欲しいと、常々思ってます。でも、パワー系の頭部管には、そのパワーに耐えられるだけのボディが必要ですが、私の使っているアルタスフルートは、パワー系とは真逆の作りをしていますから、たぶん、そんな力づくな頭部管なんか差せないと思うし、だったら、頭部管ではなく、パワー系のフルートを買っちゃえって思ってます。

     先生から(私のパワーを生かせる様な)ゴールドフルートを買うように言われてますが、財布の中が寂しいのも理由ですが、それ以上に、なんか、気に入ったものがなくてねえ…。

  9. 河童 より:

    パワー系ならブランネンが筆頭に上がるんじゃないですか?

    ウッドの頭部管をアメリカから購入して馴らし運転(初めは10分間/日の指示有り!)していますが・・
    歌口の見た目(メタルのと似たカット)とは大違いでポイントが狭いため、アンブシュアの基礎練習になってしまいました。
    おかげで常用(愛用)しているメタルの頭部管での音も良くなった気がします(自己判断ですが)。結露のつく位置が中央に狭くなったのがわかります。

  10. すとん より:

    河童さん

     ブランネンはいいですね。実はブランネンのシルバーに、とっても憧れてます。ただ、お値段も半端なく良いのが、難点です。まあ、ゴールドフルートほどのお値段はしないので、ゴールドフルートを買うつもりだったら、買えるか。

     ウッドの頭部管、難しそうですね。おそらく、別売り頭部管を購入する層にフルート初心者はいないでしょうから、メーカーも音色優先でカットをしているため、ポイントが狭くなっているのではないでしょうか? だいたい、高価なフルートほど、ポイントは狭いものです。フルートは、吹きやすさと音色の美しさは、なぜかトレードオフでして、吹きやすさを求めると音色的につまらなくなり、音色を求めると吹きづらくなる…という傾向があるみたいです。

    >アンブシュアの基礎練習になってしまいました。

     難しい楽器は、それ自体が良いコーチになってくれますからね。おそらく、ウッドを吹きつづけていると、河童さんの音色がドンドン良くなると思いますよ。ファイト。

タイトルとURLをコピーしました