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カットします! 混乱します?

 声楽のレッスンに行ってきました。

 今回は…東急ハンズで購入したファントムのマスク(ハンズって何でも売っているんですね:笑)を忘れずに持参しました。実は、このファントムマスクって、紙製なのかな? ちょっとヤワいんですよ。これを毎回レッスンに持参していたら、本番までにヘロヘロのヨレヨレになってしまいそうなので、これ用のケースが必要だなって思いました。そこで、レッスン前に近所の百均の店に、何かいいものは無いかと探しに行ったところ、いわゆる“ドカ弁”の弁当箱(笑)が、まさにピッタリサイズでした。こんな大きな弁当箱なのに百円(笑)。さっそく、ファントムマスクのケースにしました。

 持参したファントムマスクを先生の前で着用してみたところ、マスクに多少、手を加えた方が良さそうだという事になりました。近日中に、目や口の周辺をザックリ切ってみる事にしましょう。
 
 
 さて、レッスン前にガラコンサートの話をしました。今回の出演者は13組なんだそうです。一組がそれぞれ15分ずつ歌うわけだし、途中に休憩も入れないといけないとなると、およそ4時間ほどのコンサートになりそうです。うわっ、長い! 一体、開演時間は何時になるだろう? 見に来る人は、それなりの覚悟をしておいてください(笑)。

 ガラコンサートも本番まで約三カ月。チラシも発注しないといけない(実はまだ出来てませんでした:汗)し、歌劇団の方の公演場所も確保しないといけないし、何かと色々とあります。
 
 
 私たち夫婦は、ガラコンサートで4曲ほど歌うのですが、1曲1曲が長いので、全曲をフルコーラスで歌うと、規定の15分では収まりません。実はちょっとはみ出ます。時間的には、多少長くなっても融通が聞きますが「あんまり長いとお客が飽きる」という理由で4曲目に歌う「The phantom of the opera」、つまり主題歌の一部をカットして歌いましょう、と先生が言い出しました。

 実はこの曲は、以前にもカットした方がいいんじゃないかという話が出てました。なので、カットするなら「ここをカットして、そうすると転調の不都合が出てくるので、そこから先はオリジナルより半音低く歌って…」とか、事前に色々と考えて提案したのですが、練習を開始する頃になって「カットの必要なし、このまま練習していきましょう」という事になったので、今までカット無しで練習をしていました。

 練習を開始して、そろそろ二カ月になります。だいぶ曲もカラダに入ってきたところで、急遽、曲をカットする事になり、一部、曲の調性を変えることになりました。結論から言えば、以前、私が提案したとおりのカットをする事になりました。

 まあ、カットした方が、覚える歌詞の量も減るし、狂乱の場のキーが半音下がるので妻も楽になって、良いのですが、今まで二カ月かけて覚えてきたものを忘れるのは、ちょっと抵抗がありました。んー、だったら、最初に私が提案した時に『カットする』と決めて欲しかったです。

 『忘れる事』って『覚える事』以上に困難です。

 実は今、もう一曲の二重唱曲である「All I ask of you」のハモリの部分で苦労している私ですが、ここを苦労している原因も、実は『忘れる事』の困難さから来ています。

 実は、先生とこの曲をどう歌おうかと決める前に、妻と二人でパートを決めて事前に自主的に練習していたのですが、それを先生と相談した結果、妻と私で、歌うパートを代える事になりました。ところが、それまで自主練で覚えたフレーズ(メロディーです)を“忘れられなくて(カラダから抜けなくて)”、どうしても前に自主練で覚えたフレーズで歌ってしまいがちなので、それを無理やりに変えようとして、カラダがあれこれ混乱しているために、新しいフレーズがカラダに全く入らず、苦労しているからなんです。

 まあ、この件に関しては、先生との打ち合わせ前に、自分たちで勝手に行った練習が原因だし、ある意味、自分たちの責任なので、文句は言いませんが、このおかげで、今、私はとても苦労しています。おそらく最初から、今歌っているフレーズで練習をしていれば、こんなに苦労する事はなかったと思うし、この曲も簡単にクリアしていた事だと思います。

 今現在の苦労の具合から考えると、おそらく、現状のままでは、本番までに「All I ask of you」は、歌えるようにはなるかどうかは微妙です。個人的には『たぶん無理』と諦めてます。と言うか「歌えるようになったら、ラッキー!」ぐらいの気持ちです。それくらい苦労しているんですよ。と言うのも、本当に、一度カラダに入ってしまったものを“忘れる”事って、私には難しい作業です。

 まあ、そんな事を先生に言っても、理解していただけるはずもないのでレッスンでは言いませんが、楽譜もロクに読めず、音感もなく、だから音楽をカラダで覚えて、カラダに染み込ませて歌っている私にとって、一度カラダに入れたものを“カラダから抜く”と言うのは、楽譜を見れば何でも歌える方には想像もできないほど、大変な事なんです。だから、音楽をカラダに入れる前に、きちんとやるべき事を決めておきたかったので、カットの有無を事前に確認したんですよ。

 妻や先生は「カットするだけじゃない?」と簡単に言いますが、一部でもカットすれば、全体の音楽の形が変わり、音楽の記憶そのものを入れ換えないといけないんです。こういう感覚も、楽譜を読んで音楽をやる人には分からないんだろうなあって思います。曲のカットにすぐさま対応できるほどの力量なんて、今の私に、あるわけないじゃない? それが素人ってモンです。

 半年ぐらい放置して、楽譜も見ない、歌も歌わないって感じにすると、さすがに忘れられますが、六月に本番を控え、再来週には通して歌ってみようという段階で、すでに覚えた曲を忘れるって、かなり無理です。ああ、あっちこっちグチャグチャになりそう。

 人間って不思議なもので、忘れよう、忘れようと意識するほどに、強く強く記銘されるわけで、それは「All I ask of you」で苦しんでいる事を見ても明らか。「The phantom of the opera」のカットで、頭の中でカットした歌詞とカットされなかった歌詞がゴッチャになってしまう事を恐れます。ってか、すでにゴッチャになってます。もう、笑うしかないですね。
 
 
 で、カット箇所について書きますと、具体的には「The phantom of the opera」という曲は“4番+コーダ”という構成なのです。1番はクリスティーヌのパートで、2番はファントムのパート、3番はクリスティーヌの歌にファントムがからんでいくデュエットで、合唱による間奏を挾んで、4番はファントムの歌にクリスティーヌがからんでのデュエット。最後にコーダとして、クリスティーヌの狂乱の場があって終わりです。曲の途中で何度も何度も転調を繰り返し行きます。

 カットするのは4番の部分です。ただし、そのままの単純なカットでは、間奏部分とコーダは調性が違うので、つながらないので、コーダの部分以降は半音下げてつなぎます。実はこの“3番+(半音下げて)コーダ”という形は、舞台ではやりませんが、映画「オペラ座の怪人」のバージョンがこれ。だから、まあ、このやり方はナシではないんです。

 この3番と4番が似て非なるものなので、最初からカットが決まっていたら4番をカラダに入れなかったのですが、一度カラダに入れた4番を「これはカットしたから歌わないんだぞ」と意識しながら3番を歌うのが…ああ、出来そうで出来ない(涙)。絶対に、3番と4番のハイブリッド版で歌ってしまいそう(涙)。

 とまあ、「The phantom of the opera」のカットの打ち合わせが終わったところで、レッスン時間は終了です。今回のレッスンでは、一声も歌わなかったな…と思って、譜面台とかを片づけ始めたら、少しだけレッスン時間を延長して、歌う事になりました。

 軽く発声練習をして「All I ask of you」です。当然、ハモリの部分は、私は混乱したままなので、ちゃんと歌えません。ハモリのフレーズは、今の段階では、毎日、家でキーボードを叩きながら覚え直している最中です。キーボードに合わせて歌えば、何とかなりますが、キーボード無しでは、別のフレーズをすぐに歌ってしまう…という状態です。

 先生がおっしゃるには「二重唱のコツは相手の歌を聞かない事。聞くのはピアノだよ」って事なんですが、相手の歌もさることながら、自分の中で歌っているのも、実は最初に覚えた相手のフレーズなんですよね(涙)。相手の歌は聞かなきゃ済みますが、自分の心の中の歌は、聞かないわけにはいかないのが、キビシイです。それにピアノを聞くと、ピアノは私が歌うフレーズの音は全然弾かないんですよ。ピアノが弾くのは、相手のフレーズなんです。だから、ピアノを聞くと、この場合、間違えちゃうんですね。はい、八方塞がりです。

 「All I ask of you」は、いくら練習しても、歌える気がしません。最初のボタンの掛け違いが、ここまで尾を引くとは自分でも思っていませんでした。気分はまさに敗戦将軍です。

 私は、昔から暗記は苦手でしたが、一度暗記したものは滅多に忘れないという性質なんですね。だから、不要なモノは極力カラダに入れたくないんですよ。ああ、混乱したまま、本番に臨みたくないなあ…。
 
 
 あんまり歌っている時間が短かったので、レッスンの補講をする事になりました。それは、歌劇団の練習に30分早くやってきて、そこで今回のレッスンの続きをやる…です。以下の記事は、日を変えて、歌劇団の練習の前にやったレッスンの様子です。
 
 
 まずはファントムマスクの確認からです。前回のアドヴァイスどおり、マスクの目の部分を大きくくり抜き(目は演技をする上で大切ですからね。よく見えないとダメです)、マスクの縦の長さを短くしてクチの動きを邪魔しないようにしました。なかなかいい感じです。

 で、マスクを付けて「The phantom of the opera」を歌ってみました。前回のレッスンでカット箇所を決めたので、それを実際に歌って確認しましょうって事も兼ねてます。「半音下がったので(狂乱の場が)とても楽になった」と妻が言ってました。そうだろうねえ、ギリギリで歌っている時は、半音でも低い方が良いものね。最高音がHi-EsからHi-Dになっただけでも、だいぶ違うでしょう。

 私の方は…マスクを付けて歌うと、ちょっと苦しいです。どうも、マスクに空いている鼻の穴が小さくて、鼻から息を吸うのがちょっと大変です。ううむ、マスクの鼻の穴をもう少し広げないと、酸欠になりそう…。

 それと、この曲の出だしはすごくキーが低いのですが、いつもレッスンで使っている響きの良い部屋ならともかく(歌劇団の練習で使っている部屋は広いので)ここでは、隣に立っている私にさえ、妻の歌は聞こえませんでした。

 「ミュージカルなら、どんなに小さな声で歌ってもマイクで拾うからいいけれど、我々は広いホールで生声で歌うわけだから、その声では聞こえないのでダメですね。その箇所はやはり(テノール同様に)1オクターブ上げて歌いましょう」とアドヴァイスをいただきました。妻としては、サラ・ブライトマンと同様に歌いたかったようですが、そんなわけにはいきません。ま、サラが上手な歌手という事もありますが、やはり先生がおっしゃる通り、マイクの存在は大きいです。サラだってマイク無しでは、この低い音域(最低音はLow-G)で歌うのは無理なんじゃないかな?

 せっかく、広い部屋だし、マスク着用しているという事もあり、ソロ曲の「The music of the night」を歌ってみました。部屋が広くて、声の響きが違うだけで、動揺してしまう私がいました。それと、響きが悪い場所だと、発声のアラが目立っていけません。もっと深い声で歌わないといけませんね。高いAsは例によって「下から(音程を)取らない! 必ず上から取る!」と言われました。限界一杯の高音なのに、それをさらに上から(音程を)取るとは…、どうすればいいんだろ?

 最後に「All」I ask of you」も歌ってみましたが、やっぱりハモリの箇所は撃沈です。音楽をそこで止めて、いきなりハモリの箇所から歌うなら、何とかなるのですが、通して歌うと、どうしてもダメです。先は長いです。本番までにこの曲は仕上がるのでしょうか? キビシイですね。

 ま、最悪の場合は、シレっとした顔で間違えたまま歌っちゃうって手もあります。あくまでも“最後の手段”ですがね。

 最後の手段は使わずに済むなら、それに越したことはないです。そのためにも、練習練習ですね。

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