スポンサーリンク

ミュンヘンじゃあ、ビールは冷やさずに飲むもの

 フルートのレッスンを受けてきました。

 まずはロングトーンからです。今回は、先生も加わって、先生と姉様と私との三人でロングトーンの練習をしました。今回はチューナーもしっかり持っていって、バッチリになる予定でした。いや、実際、中低音はばっちりで、三人で吹いているにも関わらず、音は一つしか聞こえないくらいにバチっと合っていたのですが、高音域になると、そこは乱れが生じるわけで…。

 「音が合っていない時は、こっち(先生と姉様)は合っているんだから、自分が違うと思って、必ずチューナーで確認しなさい」と言われました。確かに、その通りです。チューナーで確認を容易にするためには、チューナーの置き場所を考えないとなあ…。ロングトーンの時は立ってフルートを吹くのだけれど、チューナーは目の前の机に置いてますが、その机って私のモモぐらいの高さしかないので、チューナーを確認する時は、思いっきり下を見ないといけないのが、ダメなところです。本当は目線の高さにチューナーがあればいいけれど、なかなかそんなわけにも行かないので、何か工夫しないといけませんね。

 とにかく、三人でバッチリとピッチの合うようになりたいです。私が頑張んないとね。

 実は今回のレッスンは二週間ぶりだったりします。前回のレッスンは(体調不良ではなく)仕事の都合で行けなかったのですが、ブログの記事的には、先週はバス旅行などで記事がたくさんあって「フルートのレッスンに行けませんでした」という記事すらアップできませんでした。先週は、フルートの記事が無くて、楽しみにして下さっていた方には申し訳ないことをしましたが、実はそういうわけだったんです。

 とりあえず、二週間…とは言え、半分の一週間は倒れていたわけですが…みっちり、ミニヨン・エチュードの10番を練習していった私は、意気揚々とレッスンに臨んだわけです。「今回は合格だ~!」とか思っていたわけですが、…結果を言えば、実にまだまだな出来でして、当然、「もう少し練習していらっしゃい」って事になりました。

 前回指摘された“6/8的なリズムのノリ”に関してはOKが出ました。「6/8って、思ったよりもユッタリとしているでしょ?」と言われましたが、まさにそんな感じでゆったりと牧歌的なリズムが6/8だと分かりました。

 今回指摘されたのは“音の方向”と“フレーズ感”についてです。

 “音の方向”とは、長い音符(この曲の場合は、符点四分音符)の音が、高みを目指している音なのか、下がっていこうとする音なのか、あるいは自分自身を保っていこうとする音なのか、その音の方向が私の音からは感じられないというのです。

 「音の方向が感じられないのは、ただの棒吹きです。それは音楽じゃありません」

 長い音符は、次の音を予感させながら吹いて、初めて、音楽的な音になるのだから、それを感じさせるように吹かないといけないのです。…と言葉で書くと???ですが、先生が実演してくれると、一発で「ああ、こういう風に吹けばいいのだな」と分かります。方向性のある音は、エネルギッシュで生き生きしてます。それに対して、確かに私の音は生気のない音だったかもしれません。

 “フレーズ感”とは、演者その人が、きちんと音楽のフレーズを感じて演奏している事で、その感じている事が、きちんと観客にも伝わる事なんです。

 「ただ、楽譜どおりに吹いても、それは音楽じゃないよ」

 フレーズは、別にスラーでつながっているヒトカタマリだけじゃないんです。スラーでつながっていなくても、フレーズとしてかたまっている音符はあるし、スラーでつながっていても、実はスラーの中で、フレーズとしては切れているものもあるのです。

 「あなたのフルートは、実に、日本人臭いですね」

 これは私が強拍(1拍目)を強調した演奏をしていたので、それに対して言われた先生の言葉です。この10番は、アウフタクトの曲なので、強拍を強調するのは当然なのだけれど、それだけではダメで、音楽にウラ拍を感じながら演奏し、観客にもウラ拍を感じさせるように演奏しないといけないのです。「日本人臭い」と言うのは、日本人の演奏って、ウラ拍を感じさせない演奏が多いんだそうです。だから、ウラを感じさせない私の演奏を「日本人臭い」と表現されたわけです。

 え? と思って、よくよく楽譜を見てみたら、確かに、この曲、アウフタクトかも…。先生に指摘されるまで、普通のオンビートな曲だとばかり思ってました(汗)。オフビートな曲だったんだ……。ああ、フシアナな私。

 音楽そのものが、アウフタクトかそうでないかでは、確かにフレーズ感が変わってきます。「弁慶が、なぎなたを、振り回し」を「弁慶がな、ぎなたを、振り回し」と読んだら『え?“ぎなた”って何?』ってなるのと一緒です。フレーズ感、確かに大切です。

 ブレスを守ろうとするのはいいけれど、ブレスが持たない時はフレーズ感を大切に、フレーズの切れ目でブレスをチョコッとするのはかまわないわけです。ブレスが足りなくなって、先細りの音で吹くよりも、適切なフレーズの切れ目でブレスをするのは、むしろ良い事だけれど、それにはフレーズ感がしっかりしていないとダメなのです。

 しっかり、楽譜を読み込んで、フレーズの固まりを再確認しないと…。

 最後とその前の段の十六分音符の連符は、連符で一つの固まりになっていて、その連符固まりは、スラーでつながっているフレーズの固まりと、若干ズレてくるので、注意が必要。スラーはスラーとして演奏するけれど、固まり感はしっかりと出していかないとダメなのです。そこをスラー優先で吹いて、連符の固まり感が薄くなってしまうと、いかにも“字余り”な感じになってしまうので、きちっと連符を感じさせるように吹きましょう。

 ああ、歌なら歌詞がついているから、フレーズの切れ目なんて、サルでも間違えないけれど、フルートだと歌詞がないから、そこんとこが難しい~~。

 今回のレッスンでは、メトロノームをずっと鳴らしっぱなしだったのですが、この10番って、アウフタクトの曲だから、6拍子とは言っても、1拍目や4拍目からフレーズが始まるわけではなく、結構、3拍目とか6拍目から始まったりします。

 で、演奏していると、先生からストップがかかって一度音楽が止まり、先生の解説や指導の後、曲の途中から演奏再開する事が多々あるわけですが、その時は、6拍目から演奏に入る事が多いかな? 私はフレーズの開始が6拍目からでも、メトロノームに合わせて、事も無げにリズムに乗れますが、これ、もしかすると、6拍目からだとリズムが取れなくて、うまくメトロノームに乗れない人っているかな? フルートやっている人なら…いないよね。

 でも、ダンスだと、会場に流れている曲のリズムが取れなくて、ズレたまま踊るって人がいますが、そういう人は、きっと、6拍目から入るフレーズをうっかり次の小節の1拍目の箇所から入って、1拍ズレたまま演奏しちゃう人と同じかなって思いました。…雑念が多くて、ごめんなさい。
 
 
 さて、今回の雑談は…とても長かったのです。レッスンの時間が約20分ぐらいしかなかった(笑)のに、雑談だけで、小一時間もしてしまいました(汗)。いやあ、実に楽しい雑談タイムでした。

 雑談の内容は、先生の留学時代の話でした。H先生はウィーンとミュンヘンで音楽を学ばれたそうで、そういう点では、ドイツ&オーストリア系のフルーティストなわけですが、その先生の話してくださる、ウィーンやミュンヘンの話が面白くて…。

 今回のレッスンでは、バス旅行のお土産であるワインを先生に差し上げたのですが「ワインと言えば…」と言うのが、長い長い話の発端だったんです。先生の話の要所要所をかいつまんで書いてみますと…。

 ヨーロッパでは、本当に、水よりもワインの方が安いんだそうです。また、実際に現地の人は、水代わりにワインを飲むのだそうです。

 「ワインを水代わりにガブガブ飲んだら、酔っぱらっちゃうでしょ?」と尋ねたら「それが酔わないんだよね。あっちのワインって薄いから、いくら飲んでも酔わないんだよ」だそうです。実際、外でワインを頼むと、日本だとワイングラスに入って出てくるけれど、あっちではジョッキにドカンと注がれて持ってくるのだそうです(もちろん、学生が出入りするような庶民的なお店の話ね)。「だいたい、ワインなんて、リットル単位で注文するもんなんだよ」だそうです。へー、知らなかったよ。

 ちなみに、ビールもあちらのものは、薄いのだそうです。「あっちにいた頃は、ビールなんて2リットルぐらい平気で飲めちゃうけれど、日本じゃ無理でしょ。あっちのモノは全体的に薄いんだよ。だから、ワインにしてもビールにしても、向こうよりも日本の方が、味も濃くて美味しいくらいだよ」だそうです。ま、水代わりに飲むのに、イチイチ酔っぱらっていたら話にならないわけで、薄くて当然と言えば、当然なのかもしれませんね。

 ちなみに、ビールどころのミュンヘンでは、ビールは日本よりもずっと安いのだそうだけれど、そのビールよりもワインの方がずっとずっと安かったのだそうです。ワインは1リットルで200円程度だったそうで、確かに水(ミネラルウォーター)よりも安いかも。さらにウィーンでは、そのミュンヘンよりもワインが安かったそうです。

 「ビールを冷やすのは日本ぐらいだね。あっちじゃ、ビールは室温で、たっぷり泡立てたものを、泡を吹き飛ばしながら飲むんだよ」だそうです。なんでも、泡があるのは、ジョッキ(あっちのビールジョッキは日本の大ジョッキよりも大きいので、そう簡単には飲み干せないのだそうです)の中のビールが空気に触れるのを防ぐためのものだから、泡の立たないビールなんて、ビールの注ぎ方としては、下手くそな注ぎ方なんだそうです。

 「ビールが室温という事は、あちらでは飲み物全般が室温で出されるのですか?」

 「そんなわけないよ。ジュースなんかは、きちんと冷えたものが出てくるよ。でもね、日本と違って、氷は使わないよ。ジュースそのものが冷えているんだよ」だそうです。へえ~、これも意外。日本じゃ、ジュースに限らず、ソフトドリンクには氷が付き物だけれど、あっちじゃ違うんだ。

 「冷やすどころか、ウィーンだと、ホットワインを飲むんだよ」

 「ワインを暖めるんですか?」

 「違うよ、ワインのお湯割りだよ」

 「もちろん、ワインは…赤ですよね」

 「そう、赤。白はホットにしない」

 だいたい日本にはホットワインの習慣がないけど、暖かいお酒と聞くと、ついつい熱燗(つまり湯煎ですね)のイメージだから、ホットワインと聞いて、ワインを暖めてしまうのかと思ったけれど、ワインをお湯で割って飲むんですねえ…。これも意外。

 先生との雑談のお酒編はこんな感じかな? もちろん、話は酒だけではなく、料理の話や買い物の話もたっぷり聞きましたが…、今回は省略(ごめん)。だって、ウィーンやミュンヘンの料理の話とか書き始めたら、この記事の倍の分量じゃ済まなくなるもの。

 ちなみに…あっちの肉は、どれもこれも、固くて臭うそうです。肉好きなら、それも良いのかもしれませんが、先生は固い肉は好みではないので、もっぱら子牛料理を食べていたそうです。子牛の肉は柔らかくて美味しいんですって。

 そう言えば、日本にいると、子牛料理って食べれないですよね。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 クラシックブログ フルートへ
にほんブログ村

コメント

  1. tico より:

    ごぶさたです。
    まさに、今、私の生徒さんに言っているのと同じことが書かれていたのでコメントを残したくなりました。

    > 「音の方向が感じられないのは、ただの棒吹きです。それは音楽じゃありません」
    > 「ただ、楽譜どおりに吹いても、それは音楽じゃないよ」
    > 「あなたのフルートは、実に、日本人臭いですね」

    そうなんですよねえ。それをどうやって教えるか、頭を悩ませているところです。彼曰く「どの曲を練習しても、そういうことを考えないといけないのですか?楽譜通り弾いていていい曲はないのですか?」って。ちょっと疲れてこられたのでしょうかねえ。きっと、難しいんでしょうねえ。でも、音階練習でもただ弾いてるだけじゃだめだしね。たとえ「ちょうちょ」を弾いてもどうやって音楽にしていくか、考えなくちゃね、って言ったら「ちょうちょなんか練習したらうちのヨメさんにかっこ悪いって笑われますよ。」って言いました。それは考え違いですよって言ったのですが、さて、どれだけ伝えることができるでしょうか。でも、伝えなきゃいけないんです、教えている以上。責任です。生徒もしんどいけど、先生もしんどいんですよ~~。(笑)こちらの能力を疑われますからねえ…。

  2. すとん より:

    ticoさん

     ああ、ticoさんの生徒さんの気持ち、よく分かる。だって、これらの要求は、とてつもなく難しくて、途方に暮れてしまうもの。特に真面目な人ほど、これらの問題に真正面からぶつかって苦戦しそう。

     私は「先生のおっしゃる事は、ひとまず分かる。しかし、分かる事とできる事は別だし、私が出来る様になるまで、まだまだ時間がかかるだろうから、焦らずに一歩一歩前進していこう」という覚悟があります。だから、とりあえず、なんとか今を乗り切ってます。この手の覚悟がないと、キビシイかも…。

    >「ちょうちょなんか練習したらうちのヨメさんにかっこ悪いって笑われますよ。」って言いました。

     言うでしょうね。いや『ヨメさん』ではなく、その『生徒さん』が…。だって、これって“男の沽券”に関わりますから(マジで)。男って、妻や子の前ではカッコつけたいんですよ。

     私も、ついこの前までヴァイオリンで「きらきら星」を練習してました。あの「きらきら星」ですよぉ。オジサン的には、すごく精神的にハードルが高かったです。最初に教則本を開いて「きらきら星」というタイトルを見た時に『ヴァイオリン、辞めようかな…』ってマジで思いましたもの。男って、そういうツマラナイ見栄やプライドを持っているものです。

     私の場合は、覚悟を決めて、練習をしました。…けど、一分一秒でも早く「きらきら星」はクリアしたかったですね。もちろん、今でも、何となく弾きたくない曲です。

タイトルとURLをコピーしました