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私が目指すべきは、ヴァイオリニストではなく、フィドラーなのか?

 ごめんなさい、毎週土曜日は金魚ネタなのに、どうしてもヴァイオリン記事が入らないので、ここに入れちゃいます。金魚ファンの皆さん、申し訳ない。来週は…絶対、金魚ネタにしますので、ご勘弁を(謝)。

 だいたいヴァイオリン記事は月2回と決めているのに、今月のヴァイオリン記事は、この記事が最初で最後の記事になってしまいました。理由は…二月は生業の方が忙しくて、趣味生活に多大なしわ寄せがあり、そうなると、どうしても優先順位の低いもの、とりわけヴァイオリンに支障が出まくり…となってしまいました。いや、実際、今月、ほとんどヴァイオリンに触れていません。いかんなあ…。

 って、愚痴だけ書いてお終いではいけませんから、ちょっとエッセイなどを書いて、お茶を濁します。
 
 
 ヴァイオリンという楽器は、別名をフィドルとも言います。基本的には、あの楽器をイタリア語で呼ぶと“ヴァイオリン”であって、英語で呼ぶと“フィドル”となるそうですが、現実的には英語でもViolinですから、やっぱりあの楽器自体は“ヴァイオリン”と呼んでいいんだと思います。で、ヴァイオリンを弾く人の事をヴァイオリニストと呼び、フィドルを弾く人の事をフィドラーと呼ぶのだそうです。

 同じ楽器なのに、呼び名が変わると、演奏者の呼称も変わるの? どうやら、そうらしいのです。

 じゃあ、ヴァイオリンをフィドルと呼ぶのはどんな時かと言うと、ヴァイオリンを(いわゆる)民俗楽器として演奏している時に、そう呼ぶのだそうです。逆に言うと、ヴァイオリンと呼んでいる時は、クラシック音楽系の楽器として認識している時となります。

 ヴァイオリンが民俗楽器? はい、ヨーロッパ系の民俗楽器なんですよ。民俗楽器と呼ばれてピンと来ないかもしれませんが、元々民俗楽器と言うのは民俗音楽に使われる楽器の事をいい、その民俗音楽楽ってのが、昔のポピュラーソングの事で、それらのうち、今でも生き残っているものを、そう呼ぶわけで、クラシック音楽が王侯貴族のための音楽なら、民俗音楽と言うのは、文字どおり、庶民のための音楽の事です。

 ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の原題は「 Fiddler on the Roof 」ですから、あの楽器を庶民が庶民のために奏でると、フィドルと呼ばれるようです。

 そう言えば、私のヴァイオリンの師匠のヒイロ先生って、ジャズ・ヴァイオリンの人でしたが、彼はいわゆるヴァイオリニストだったのかと言うと、なんか違うような気がしますね。

 だって、彼は演奏の時に、楽譜なんて使わなかったし、お酒飲みながら演奏する事もあったし、とりあえず結果オーライな人だったし、それにすごぶるテクニシャンで目にもとまらないような速弾きもバンバンしていたくせに、第1ポジションにこだわっていて、ハイポジションでも楽々演奏できるのに、第一ポジションでは弾けない音が出てくると「それ、ヴァイオリンには高すぎる音だから」とか言って、音を低くしてたもんなあ(笑)。

 そう言うのも総合的に考えると、彼は、純粋なヴァイオリニストと言うよりも、かなりの部分でフィドラー的なヴァイオリニストだったんじゃないかな?って思います。

 それに、ジャズ・ヴァイオリニストであったけれど、ジャズと一言で言っても、ジャズにも色々なジャンルがあって、彼が一番得意にしていたのが、ジプシー・ジャズというジャンルなんだけれど、これってモロ、民俗音楽っぽいサウンドなんですよね。

 今は彼から教えをいただく事はなくなりましたが、今でも私は、彼のようなヴァイオリンが弾きたいんです。私の目指すヴァイオリニストは、ヒイロ氏なんです。ならば、私が目指すのは、ヴァイオリニストではなく、フィドラーなのではないかと思うわけなんですよ。

 世の中には、フィドルジョークと言うのがあります。例えば…

フィドルとヴァイオリンの違いは?
フィドルにビールをこぼしても誰も気にしません。

ヴァイオリンとフィドルの違いは何か。
フィドルの方が聞いていて楽しいのです。

ヴァイオリンは歌うけど、フィドルは踊ります。

ヴァイオリンの上手な人は正しい運指をマスターしているが、フィドルが上手な人は無茶苦茶の運指でも正しく弾けます。

ヴァイオリニストは自分の演奏の不出来を楽器のせいにするが、フィドラーは楽器のせいにできるほどいい楽器を持っていないのです。

ヴァイオリニストは楽譜がないと困ります。
しかし、フィドラーは楽譜があると困るのです。

ヴァイオリニストは演奏家です。
フィドラーは作曲家です。

 …ね、なんか、フィドルっていいでしょ。フィドルに親しみがわく私です。いっそ「ヴァイオリンを勉強してます」なんて言うのは止めて「フィドルを勉強してます」って言うようにしてみようかな? 

 でも、フィドラーって、どうやって目指せばいいんだろ? とりあえずは、ヴァイオリンであれフィドルであれ、基礎テクニックは必要だから、スズキや篠崎をじっくりと勉強していれば、いいんだけれど、その後はどうする?

 いっそ、ヒイロ先生を目指して、沖縄に行くか(笑)。
 
 
 ってなわけで、今月分のヴァイオリン独学練習報告です。

 記事冒頭にも書きましたが、今月は全然ヴァイオリンの練習ができませんでした。おまけに、二月も三月もフルバヨとは予定が合わずに練習に参加できません。ああ、悲しい、悲しい。四月のフルバヨには参加できるかしら?(涙)
 
 
 と言うわけで、スズキ教本ですが、どこまで進んだのかと言うと…。

6番「かすみか雲か」  OKです。ううむ、やっぱり#ドをドで弾いてしまう癖が…。それと高いラがしばしば行方不明になる事が…。この二つの音は、篠崎ではまだ出てきていないので、慣れていないからと言えば仕方ないのだけれど、こんなつまらないところで引っ掛かっている自分がちょっぴり情けなかったりします。

7番「ロングロングアゴー」  OKです。鬼門は#ドとそれに続くレですね。つまり、A-durに慣れなくて、つい、そのあたりをいい加減にしてしまって、変な調性になってしまうという事です。指的にはA-durって弾きやすいのですが、指がすっかりC-dur仕様になっているので、わざわざ # をつける感覚なんですね。ははは…。

 一ヶ月ぶりのヴァイオリン記事なのに、これだけしか進んでません。これが独学でなく、レッスンがあれば、無理やりにでも練習するのですが、そこは優先順位の低い独学ですから、忙しい時は無理をしないので、こんなテイタラクです。ああ、情けない。それでも、辞めないだけマシ…と思うようにしてます。

 三月はきちんと練習もして、ヴァイオリン記事もきちんと2回、アップしたいものです。

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コメント

  1. 音羽 響 より:

    フィドルって、確かコテコテに装飾された北欧のヴァイオリンのことを特別にそう呼んでましたよね?
    最初、何で見た目ヴァイオリンで、演奏方法もほとんど一緒なのに名前が違うんだろうって思ってましたが、そういうことだったんですね
    1つ、知識が増えました

  2. 河童 より:

    フィドルっていいですね。
    「大草原の小さな家」のおとうさんも踊りながら弾いてたような・・・
    記憶がごちゃまぜで間違っているかもしれませんけど。
    バイオリンっていうと高嶺の花・孤高の・・・て感じがしますけど、フィドルは唄あり踊りありってイメージですよね。
    すとんさん! 歌いながらダンスしてフィドル弾いたらどうですか!!一石三鳥でっせ

  3. すとん より:

    音羽さん

    >フィドルって、確かコテコテに装飾された北欧のヴァイオリンのことを特別にそう呼んでましたよね?

     確かに、比較的安価で、コテコテなヴァイオリンってありますね。たまに、ヴァイオリン屋で見かけます。ああ言うのは“フィドル”なんでしょうね。

     しかし、フィドルとヴァイオリンの違いは、分かったようで、実際には、よく分かりません(笑)。もう少し勉強が必要かもなあ…。

  4. すとん より:

    河童さん

    >歌いながらダンスしてフィドル弾いたらどうですか!!一石三鳥でっせ

     このスタイルの人は、実際に結構いるみたいですよ(笑)。フィドルを演奏しながら、歌って、踊って、おまけに酒までカッ喰らって…なんて一石四鳥の人でさえも、絶対にいると思います。あ、タバコも吸うから、一石五鳥か…、いやマジです。

     ちなみに私はタバコは吸わないから、そこまでは無理だけど、三鳥ぐらいまでなら、何とか目指したいものです。

  5. アリサ より:

    昔のバレエ教室はピアノではなくヴァイオリンの伴奏だったと聞いた事があるのですが、ググってみたら、それは「ポシェット・ヴァイオリン」という細いタイプのヴァイオリンなんだそうです。

    ヴァイオリンときくと、厳かなイメージがありますが、手軽にさっと出して、楽譜もなしに踊りながら歌うように弾く、そういう楽器だったのかもしれないですね。

  6. すとん より:

    アリサさん

     思わずポシェット・ヴァイオリンをググりました(笑)。これって、ボディが小さいだけ(って事は音量も少なめ)で、あとは普通のヴァイオリンと同じですね。むしろ、ボディが小さい分、携帯性が良いので、モバイル用ヴァイオリンって言えるかもしれません。
    >昔のバレエ教室はピアノではなくヴァイオリンの伴奏だったと聞いた事がある

     へえ~、なるほど。って事は、今はピアノ伴奏がメジャーなんですか? 私はてっきりCDにでも合わせて(歌で言えばカラオケ扱いですね)踊っているのかと思ってました。バレエにはあまり詳しくないので、何か根本的な勘違いをしている…かも(だったら、ごめんなさい)。

     ヴァイオリンは古くからある楽器なので、漁ると、色々な挿話が出てきて、楽しいですね。

  7. Teddy より:

    はじめまして、ブルーグラスのフィドラーです。ギターもバンジョーも弾きます。
    ネットを適当に見ていたらこのブログを見たので、思わずコメントしちゃいます。

     ドとド♯を間違えても、スケール上使える音になっていればどっちを使ってもかまわないのがフィドラーです。曲のキーがDだったらド♯は普通に使えるし、ドはブルーノートとして使えます。キーによって、またメロディによっては間違えるととんでもない音になってしまうので、その場合は使えませんが…
     演奏しながら「今」自分が出したい音を出すのがフィドラーってモンです。
     ちなみに、ジプシーバイオリンは、東欧のハンガリアンジプシーの演奏スタイルがクラシック的なのに対して、フランスのジプシーバイオリンはジャジーなスタイルになっていて、前者はバイオリン、後者はフィドルな感じがしますね。
     とはいえ、東欧でもトラッドになると完全なるフィドルだし…まぁ、聞けばすぐ分かる違いですね。
    バイオリンはまともな音が出せるようになるのに、ものすごく大変な楽器ですが、いったん弾けるようになるとその表現力と表情の豊かさが、弾いていて一番楽しい楽器になりますよね。お互い練習がんばりましょ

  8. ひょっとこ より:

    >ヴァイオリニストは演奏家です。
    譜面再生家だと思う。

    >フィドラーは作曲家です。
    即興詩人なんだと思う。

    クラシックだからって高尚ぶるものでもないし、
    フィドラーだからって卑下する必要もない。

    個人的にはクラシック業界の空気感には、
    イマイチなじめないけどね。
    そういったスタイルなんだけどね。

  9. すとん より:

    Teddyさん、いらっしゃいませ

     本物のフィドラーさんからコメントをいただけて、うれしいです。

    >ジプシーバイオリンは、東欧のハンガリアンジプシーの演奏スタイルがクラシック的なのに対して、フランスのジプシーバイオリンはジャジーなスタイルになっていて、前者はバイオリン、後者はフィドルな感じがしますね。

     なるほど、ひとことで『ジプシーヴァイオリン』と言っても、色々なスタイルの違いがあるんですね。師匠がやっているジプシーヴァイオリンはフランス系のものだと聞いていたので、やはりジャジーでフィドル的なんですね(納得)。

    >バイオリンはまともな音が出せるようになるのに、ものすごく大変な楽器ですが

     どの楽器も難しいのですが、ヴァイオリンは素人の私にも、その大変さが分かるほどの楽器です。ですから、学んでいて楽しいという側面があります。難しくて、奥が深くてゴールが遠いが故に、その過程を楽しむことができる…ってわけです。

     とは言え、時間を捧げない事には上達はありえないので、その時間を捻出するのに苦労があるのですが…。

     クラシックであれなんであれ、まずは自分が納得できる程度に弾けるようになりたいものです。私が納得できる水準はさほど高くないのですが、それでも道は険しいのです。とほほ。

  10. すとん より:

    ひょっとこさん

     “譜面再生家”“即興詩人”…そうかもしれない。でも、譜面をきちんと再生するには巧みな職人技が必要だろうし、即興詩人であるために、研ぎ澄まされた豊かな芸術性って奴が必要でしょう。どちらも究めるには難しい、芸術芸能の世界の話だと思ってます。

     クラシックとかフィドラーとかに、音楽的な上下はないと私も思いますが、経済的な上下はあるみたいですね。同じ楽器なのに、クラシックの道に行くと、本当にお金がかかって仕方ないです。反動なのか、フィドルの世界に行くと、そんなでもないのにねえ。これはたぶん、フィドルの方が健全であって、クラシックの方が、ちょっとイッちゃっているんでと思います。

     クラシック・ヴァイオリンって、お金、かかりすぎ…だと思います。なんででしょ?

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