さて、いよいよ先日おこなわれた「合唱の集い」の話をしたいと思いますが…その前に、本番の前日に行われた「直前練習」の記事を書きます。いやあ、直前練習も立派な歌劇団の活動ですから(汗)、きちんと記録としてアップして残しておかないとね、ってわけで、本番の話は、明日アップするので、ちょっと待ってくださいませ。
ってわけで、そうなんです。「直前練習」と言うのをしたんですよ。前日の午後にみんなで集まって猛特訓って奴をしたんです。まるで、学生の部活みたいですね。あ、オトナのサークル活動なんて、部活みたいなモンか(笑)。
実は…我が歌劇団の特徴は「練習をあまりしない」という点でしょうか? なにしろ、月に一回集まって3時間程度歌って、それで「歌劇団でございます」って名乗っているのだから、ある意味立派だし、ある意味大物でしょ(笑)。なにしろ緊張感というのが欠如している人が団長をやっているくらいなので、何事もマイペースなんでございます。ガツガツしておりません。
と言うわけで、実はこの「直前練習」。当初は、私のアタマの中には無かったんですね。本番前のレギュラーの練習が二週間前に入っているし、あとは各自で調整をして、必要なら勝手にパート練習でもやって、前日はのんびり過ごしてカラダを休めておけばOKなんて思っていたんですよ。はい、私という人間は、学生の頃、試験前日と言うと「なるようになるさ、ケセラセラ~」とほざいて、結局、一夜漬けもせずに早寝をして英気を養うタイプの人でした。なので「直前練習」なんて、そんな発想すらなかったのです。
ま、私はそんな人なんですが、世間一般常識から考えると、やはり「直前練習」ってやっぱり必要でしょう。少なくとも前日あたりに集まって「明日は頑張ろうね!」と言って、気合を入れる…みたいな事は必要かもしれないし、あんまり私が(ソリストなのに)緊張感なくフニャフニャしているものだから、キング先生も「前日に集まって声を出しておいた方がいいんじゃないの~」と言い出す始末だし(笑)。
じゃあ、とりあえず場所くらいは押さえといて、あとは自由参加で!って感じで「直前練習」の予定を組んでおきました。
そういう段取りをしておいて、前回の練習(レギュラーの最後の練習)で、最後の仕上げとして、通し練習を録音したわけです。
いやあ~、録音って残酷だね。見事にリアルに我々の欠点をえぐりだしてくれる(大笑)。ま、私はあんなもんだと思っていましたから「あちゃー、やっちゃっているねえ~」って感じでしたが、あの録音を聞いてソプラノさんたちがハート・オン・ファイヤー状態になっちゃったわけです(こちらの方が正しい反応だと思います)。
そこで急遽クローズアップされたのが「直前練習」だったわけです。この直前練習、前日に集まれる人だけ集まって、適当に声を出して「明日、がんばろうねー」なんていう、ユルイ練習のはずだったのに、一挙にヒートアップしちゃいました。……特訓よ、特訓しないと、このままじゃマズいわ。直前練習でできる限りの事をしないと…ってわけです。
ま、結果論としては、直前練習を設定しておいて、良かったなあと思ってます。と言うのも、私の誤算というのがありまして、いくらペケでもオトナなんだから、『必要があれば、勝手にパート練習するでしょ』と思っていたけれど、実はオトナって忙しいのよねえ…。勝手に集まってパート練習をするってのは、実は相当に難しいという事実と直面。
もしも直前練習を計画していなかったら、きっと焦った気持ちを抱えたまま、だからと言っても何かができるわけでもなく、ジリジリとした気持ちのままで舞台に上がることになったわけです。そのジリジリした気持ちを解消するだけでも、直前練習の価値があると言うものです。
もちろん、ジリジリした気持ちだけでなく、具体的にマズイところを修正するための練習をするわけなんですけれどね。いやあ、まさに「瓢箪から駒」って、この事だね(って、使い方が違っている?)。
そうやって「直前練習」の役目がクローズアップされたところで、人生っておもしろいもので、そうなると今度は、アクシデントは色々と発生するものです。
実はこの直前練習の日は、急に入れたものだから、指導者であるキング先生はダブルブッキングが発覚、1時間の遅刻でなければ練習に参加できない事が判明。そこで、急遽、団員のMさん[仕事の都合で今回の本番には不参加なメンバーさんです]に先生役をお願いしたのですが、そのMさんが直前に指を骨折(!)。その上、台風が接近(!!)。こりゃあ、直前練習は無理かも…って思いました。せっかくみんな、やる気になったのに残念無念って思いました。まあ、これなら、ぶっつけ本番(じゃないんだけれど)でも仕方ないかと覚悟を決めたくらいです。
しかし、決めた以上はやらないと…。それがオトナってモンだよね。私も団長ですから、仕事が終わり次第、取るものもとりあえず、食べるものも食べずに、激しい雨風の中、練習に向かいました。私が会場入りした時には、すでにソプラノさんたち、全員大集合(笑)。いやあ、すごいよ、みんな。危機感を感じている人は、すごいね。電車止まるかもしれないのに、よく集まったものです。知らないよ、帰れなくなっても(笑)。
先生役のMさんも、怪我をおして激しい雨風の中、やってきてくれました。感謝です。
さて、練習開始です。とは言え、ソロパートがある、テノールさんとアルトさんは、声を温存するため、なるべく歌わない方向(笑)で、練習に燃えているソプラノさん中心で行いました。で、ソプラノさんとの合わせで必要な箇所だけ、アルトやテノールも歌うというやり方でやってみました。
まずは、足踏みをしながら歌ってみました。これはリズムをカラダに入れための練習です。「木綿のハンカチーフ」という曲は、聞くと簡単に感じますが、楽譜を見ると、結構黒いし、アウフタクトはバリバリだし、普段クラシックしか歌わない人には、クラっと来る系統の曲なんですね。そこで、まずは、ポピュラーソング特有のあっちこっち食いまくるリズムをカラダに入れるために、足踏みをしながら歌ってみたんです。
これは結構、効果ありますね…。全員で同じテンポで足踏みをすることで、面倒くさいリズムな箇所もバッチリ合います。また足踏みをすることで、細かなリズムも足の動きに合わせて取ることができます。問題は、本番では足踏みをしながら歌うわけにはいかないので、なんとかこの練習中にリズムをカラダに入れることです。
それと足踏み練習のもう一つの効用は、インテンポで歌えるようになることです。この曲、リズムが面倒くさいのに、実は今まで、全くインテンポで演奏された事はなかったのです(爆)。と言うのも、この曲は元々の編曲の段階でも、あっちこっちでテンポが動いている上に、実際の練習では、そのテンポがソリストの気分で毎回違っていたのでした。
それじゃあ、なかなかリズムがカラダに入らないよってわけで、まずは楽譜どおりの速度に合わせて、足踏みをしながらインテンポで歌う練習をしました。とにかく、インテンポで歌えない事には、テンポが動いた時に歌えませんから、しっかりインテンポでの歌唱をカラダに入れていきます。
ちなみに、なぜこの曲を今までインテンポで歌っていなかったのかと言うと…もちろん、テノールさんが、フリーダムな人だから(笑)です。
いやあ、この曲の基本テンポは、指揮者ではなく、ソリストであるテノールさんが決めているんですが、このテノールさんが、実にフリーダムな人で、毎回、曲の基本テンポが違う上に、歌いながら、勝手にルバートはかけるは、テンポチェンジはするはで、実にダイナミックな歌唱(大笑)をしているのですが、これにソプラノさんたちが毎回振り回されていたわけなんです。
なにしろ、さっき歌ったタイミングで歌うと、次の時にはもう合わないってんだから、そりゃキビシイよね。で、このテノールさんが「本番では、もっと自由にいくよ~」って宣言しているわけで、それに合わせてるためには、まずは基本どおりインテンポで歌えるようにして、あとは臨機応変にテノールさんのわがままに付き合うという方向で対応することになりました。
とにかく、これでリズムの問題は光が射してきたわけです。で、次はハーモニーの問題です。
ソプラノがうまく歌えないところをピックアップしてみたところ、そういう箇所って、あまりクラシックではお目にかかれない和音…例えばSus4とかdimとか…でハモる箇所でした。うわっ、改めてビックリ。こんなややこしいコードでハモれって、そりゃあ簡単にはいかないよね。こういう箇所は、取り出して、この微妙な不協和音の響きを覚えて、恐れずに、あえてそこに突入していくという、勇気ある練習を何度も繰り返してみました。
しかし、リズムにせよ、ハーモニーにせよ、ポピュラーソングって難しいね。クラシックオンリーの団員さんたちには荷が重かったわけだ。今更ながら納得。いやあ、テノール独唱と女声合唱の曲ってことで安易に選曲しちゃたのが、裏目に出たかな? もし、次回があるなら、バリバリのクラシック曲の方が我々には容易かもしれないなあと思いました。
とにかく、たっぷり歌って疲れたので、休憩を入れたところで、ピアニストさんが、嵐の中を頑張って到着されました。普段は電車でやってくるのですが、今日は電車が止まるかもしれないというので、車で来たそうです(ナイス判断!)。指揮者不在のまま、通し稽古数回。合わせてみると、新たに気になるところが出てくるわけで、そういうところを数カ所、取り出して練習してみました。
雨風はますます激しくなります。嵐が本格的になってきました。
そんな感じのところで「電車が止まったよ~」というニュースを携えて、キング先生、ご到着。「台風がすごいので、さっさと通して終わりにするよ~」と宣言。
ようやく、本日のフルメンバーが揃ったので、舞台の出入りの打ち合わせをしました。なんと、前日のこの段階で、ソリストの立ち位置変更! ピアニストとコンタクトを取りやすいように、舞台の下手側に立つ予定だったのだけれど、人数のバランスを考えて、急遽、舞台上手側に立つことになりました。いやあ、今まで左目で指揮者を見ていたのに、本番では右目で指揮を見るんだよ。足の組み方だって逆にしないといけないし…。うわあ、大丈夫かな、ワタシ?
出入り&舞台配置が決まったので、実際に「入場 -> 歌 -> 退場」を通しでやってみました。最初の一回をやったところで、空を見て「解散~!」となりました。「え!」と思ったものの、実際に台風はますます激しくなってきたので、それは正しい判断でした。まさに、台風が最接近をする少し前の時間でした。
さあ、泣いても笑っても、あと一回寝ると本番です。がんばってゆきましょう
おまけ 私は練習会場から歩いて帰宅しましたので、カサが壊れる以外には、何事もなかったのですが、他の皆さんは帰宅するのに、散々苦労をされたそうです。ごめんなさい。
おまけ2 最後の通し練習を録音したので、帰宅してから聞いてみたのですが…うん、まあ、なんとかなりそうだなって思いました。もちろん、なんともならない部分はなんともならないのですが(笑)。確かにこれなら、通し練習一回で解散というキング先生の判断も間違いじゃない…というか、みんな、直前練習、頑張ったんだなあって思いました。
さあ、明日はいよいよ、本番の記事をアップします。
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