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ヴァイオリンの試奏に行ってきました その6 新作イタリアンとかオールドとかモダンとかを弾いてきました

 ええと、近所の楽器屋さんからダイレクトメールがやってきました。「今度、ウチの店で弦楽器フェアをやります。新作のイタリアヴァイオリンとか、オールドヴァイオリンとか、モダンヴァイオリンとか、たくさん揃えちゃうから、ぜひ遊びに来て下さいませ(はぁと)」ってね。せっかくお知らせをいただいたので、ノコノコと試奏しに出かけてきました。

 行くと、いつも私の買い物の相談に載ってくれる店員さん(若くてカワイイ女性なんですが)がいて、ニコニコと対応してくれました。私はこの人からフルートバッグとか各種小物とか、色々細々したものを買っているんだよなあ。

 実はこの店員さん、ヴァイオリニストさんなんだそうで、私が最近ヴァイオリンに転んだと知って以来、接客態度もガラッと変わって、フルートの時よりも数段熱心になったのは、かわいくて微笑ましいなあと思っております。フルートの時は、ちょっと専門知識的に不安があったのですが、ヴァイオリンになったら、出るは出るは、色々な情報が垂れ流しで良い勉強になります。

 そう言えば、私、フルートのお客さんとしてお店に登録してあるのに、弦楽器フェアの案内が来るってのは、なぜかしら? ちなみに、弦楽器フェアの前にやっていた、管楽器フェアの案内は、私、いただいてませんよ(笑)。

 さて、お店には、たくさんのヴァイオリンが並んでいました。私はその中から、お薦めって事で、新作イタリアンは5梃、モダンは1梃、オールドは4梃、合わせて10梃のヴァイオリンの試奏をさせていただきました。ちなみに弓は、17万円のものを使いました。たぶん、今まで使った弓の中で一番高価な弓です(汗)。

 今回のヴァイオリンは、すべて一品ものという事で、お値段も展示されていなくて、御商談に入るまでは、あえて値段には触れないという商売のやり方なんだそうです(ちょっと怖いね…)が、それでもいくつかの楽器のお値段を教えてもらいました。フルートで言えば、ほとんどがゴールドフルートクラスのお値段でした(汗)。ああ、バブリーな世界だ…。

 とりあえず、今回は一品もののヴァイオリンということなので、具体的なモデル名(作者名)は伏せますが、私が今まで試奏してきたヴァイオリンとは、ひと味もふた味も違う、個性派揃いでしたよ。ううむ、ヴァイオリンも奥が深いです。

 まずは新作イタリアンの感想から。今回、5梃と言うちょっと多めの数のヴァイオリンを弾かせてもらったのは「イタリアの楽器の声」ってどんな感じなの? という疑問があったからです。私が弾いた5梃のヴァイオリンは、それぞれに個性豊かで音色も様々でしたが、共通する特徴と言うと、とにかく「元気が良い」事です。それと音色的には「クリアな中間色」って印象かな。声楽的か?と言われると、私が思っていたほど声楽っぽくはなかったです。とにかく、パンと張った音が良い感じで共通していました。あと、新作だからでしょうが、音がみずみずしくて若々しい感じがしました。でもこれは、裏返すと、まだ成熟していないかな?という物足りなさにもつながります。“+α”というものが足りない気がします。はっきり言っちゃうと「元気が良いのは良いけれど、落ち着きがちょっと足りないですねえ…」という印象でした。それこそ“若くて尻軽なイタリア男子”って感じです。なんか「パスタ~~」って叫んでいそうです(って、それじゃヘタリアだろ!)。

 今回、イタリアンは新作だけでした。イタリアンなオールドとかモダンは、お値段が跳ね上がってしまうので、なかなかお店で取り扱えないのだそうです。…ってか、この新作イタリアンだって、十分、取り扱えないのでは…と私は思うよ(笑)。

 一通りイタリアンと遊んだ後は、オールドとかモダンのヴァイオリンです。しかし、これらの楽器は…もう海千山千って感じで、個性派ぞろいでした。なんか、オールドを弾いちゃうと、路面店で売っている普通の廉価なヴァイオリンなんて「みんな一緒」って言えるくらいに、もう好き勝手な状態になってました。

 ちなみに、オールドとかモダンとかの違いってなんですかと尋ねたところ、色々と細かい定義はあるけれど、大雑把に言っちゃうと、最近作られた楽器が「新作」で、100年内外に作られたものが「モダン」で、ずっと昔に作られた楽器が「オールド」なんだそうです。なるほど、大雑把な説明だけれど、よく分かりました。お値段的には、同じレベルの楽器なら、古いものほど高価になる傾向があるそうです。

 値段が分からない事を良いことに、臆することなく、オールドヴァイオリンも試奏です。

 ちょっと弾いただけで「パス、これは無し」って断言できる楽器もあれば「おおっ!」とか「ひゃあ~!」とか、思わず感激の声が出ちゃう楽器まで、ホント、色々ありました。

 ってか、オールドって、どんな楽器を弾いても、何らかの“驚き”があります。いやあ、ヴァイオリンはオールドに限るかも。

 そんな中、一梃のヴァイオリンがとても気に入りました。どれくらい気に入ったかと言うと、弾いているだけで、ワクワクウキウキしちゃうんです。弾きながら自然と笑顔になっているのが、自分でもよく分かりました。こんな経験始めてです。すっごーく、私の好みです。

 この楽器、18世紀のドイツのヴァイオリンだそうです。形もストラディバリとかガルネリなどの有名なヴァイオリンのコピーではなく、それ以前の古い楽器の特徴を色濃く残した、かなり特徴的なフォルムをした楽器なんだそうです。…つまり古楽器?

 はっきり言って、見た目はとっても“汚い”楽器なんです。たぶん、あそこに並んでいたヴァイオリンの中でも、一番ルックス的にはダメなんじゃないかな? サイズも他のヴァイオリンよりも小振りだし…。さらに音量的には大したことないので、ソロ演奏には(音量的に)向かないのだそうです。せいぜい、オケの中で演奏するとか、室内楽を楽しむ程度の楽器で、お店的にはあまりお薦めではないそうですが…でもその音色は、あくまで甘美でソプラノっぽいんですよ。私は気に入りましたよ。ずっと弾いていたいと思いました。後先の事を考えずに買って帰ろうと思いましたよ。いや、ほんと。
 
 
 
 ………ほんと、連れて帰りたかったし、そのつもりでいたのですが…お値段を聞いて……あきらめました(汗)…ははは。

 今回の、ドイツ娘はとっても良かったです。お財布との相談で決裂してしまいましたが、それでも、今回の試奏で、私なりに私のヴァイオリンの好みが、よりはっきり分かったので、それはそれで良しです。

 どうやら、私はストラドモデルよりも、古楽っぽいヴァイオリンの方が好みのようです。表板が激しく隆起して、音量よりも音色優先に作られている方が好きみたいです。あと、新作よりもオールドの、枯れた木の音が好きみたいです。

 …って、完全に、骨董品なヴァイオリンが好きって事じゃん。ああ、そんなの、買えないよお~(涙)。

 でもまあ、イタリアンに対するこだわりはない事が分かった事と、音量重視というよりも、むしろ音量的には不利だけど…みたいな楽器の方が好きみたいな事が分かりました(そう言えば、フルートのチョイスもそんな感じだね:笑)。だから、今後は、ヴァイオリンの生産国にこだわらずに、古い楽器をチマチマと当たってみたり、アンティーク系の音を目指して作られた仕上げられた新作楽器の中に、好みの楽器があるんじゃないかなって思いました。

 とにかく、楽器選びは理屈じゃないし、楽器はスペックでは図れないという事がよく分かりました。とにかく、ちょっと弾くだけで“ビビ”って来るんですよ。この“ビビ”ってきた感じを、これからも大切にしていきたいと思います。

 「ヴァイオリンは、音色でなく、作りの丁寧さと美観が大切だ」と、なんかつい先日、書いたような気がしますが、あっさり引っ込めます。いや、やっぱり楽器なんだから、音色が一番だよ(笑)。

 とりあえず、今回の試奏では、私にとって、かなり理想に近いヴァイオリンを弾くことができました。感謝です。これからは、あのヴァイオリンの音が試奏の際の目安の一つになるかな。あんな感じの音のするヴァイオリンを探していけばいいんだろうと思いましたが…やっぱり、そうなると、予算20万円ってのは、キツいのかな? でも、お金も大切なので、予算の枠をなるべく守りながらも、良い楽器を探していきたいと思います。なにしろ、焦って楽器を買う必要はないのですから、ゆっくりと時間をかけて、ビビっとくる楽器を探していきたいと思ってます。

 しかし、ヴァイオリン選びって悩みますね。

コメント

  1. オールドですか。ますます泥沼化してきましたね。オールドイタリアンは確かに高いですが、高いのは、有名なものに限ります。イタリアン以外は確かに安いようです。行かれたかどうか分かりませんが、弦楽器ストラッドというお店が、ホームページを見る範囲では、安価なオールドを扱っており、また、ごく安価なものも置いているようです。

  2. すとん より:

    >アルネスト・アントルメさん

     はい、泥沼化というか、より一層色々なことを学んでおります。ま、私の場合は、先生の言いつけもあって「道具に凝らない」ようにしていますので、オールドは良いのですが、買うことはできません。オールド、高いですね。

     ストラッドさん、拝見しました。楽器のお値段は普通の弦楽器屋さん(100万円前後から)のようですが、弦が安いですね。弦は消耗品ですから、安いに越したことはないと思うので、頭の片隅に入れておきます(アマゾンよりも安いね)。

     安価で良い楽器を探していますがなかなか見つかりません。

  3. YOSHIE より:

    >焦って買う必要がない‥‥

    これって大事ですよね。
    お稽古事は始めるに当たって、大人はつい金額面に関しては自分で決められるので、道具を即買いしそうになりますが、
    レンタルやお下がりって、ものすごく“有り”だと思います。
    店舗で「取り敢えずの物はあるので‥‥」と言うと気持ちに余裕も出ますし。

    だってねー、焦らずいたら、もしかしたら、いつか「これ安価で譲ります」もありかもしれないし(あ、今のスズキさんの事ではないです)
    物欲しそうにしていない所に神様が微笑んだりする…かな?なんて。

    すとんさんの試奏がエネルギッシュ?ですごいです。現金?な、お店のお姉さんも憎めないキャラでいいですねぇ(笑)

    ストラッドさんは掲示板が楽しいですよね。
    身元不明な楽器をお持ちの方が結構いらして“お宝鑑定団”みたい(笑)

    余談、アイフォンのチューナアプリ(400円‥‥本物買うより安い)を先生が使っていて、
    「結構な感度で便利」だと。
    ‥‥私は、何れはDoCoMo系のスマート…を使いたいので、早く追い付いて!と思ってます。

  4. すとん より:

    >YOSHIEさん

    >すとんさんの試奏がエネルギッシュ?ですごいです。

     ありがとうございます。私は本当にヴァイオリンとか弦楽器とかについて無知なので、今、楽しく勉強している最中なんです。試奏もその勉強の一つだし、それが「エネルギッシュ」に見えるとしたら、単純に「エネルギッシュに学んでいる」だけです。

     私は学ぶときも遊ぶときも、熱心なんですよ。

     おっしゃる通り「焦らない」というのは大切な事かもしれませんね。焦って、変なものをつかむ…って、我々の人生の中でたまにあるでしょ。それを避けるためにも、ゆったり構えているという事は大切な事だと思います。おそらく、先生もそういう事を考えて、「焦って楽器を買う必要はない」とおっしゃってくださっているのだと思います。

     楽器は…とりわけ弦楽器は、出会いが大切だと思います。

     楽器選びは難しいです。もちろん、資金が潤沢にあれば、それなりの良い楽器が買えるので、話は早いかもしれませんが、私の場合、決して資金豊かというわけではないし、おまけに私自身の好みはうるさい(笑)ですからね。難しいですよ。

     それと、演奏場所の事を考えると、私はいずれ、ジャズバーとかで演奏をたくらんでいますので、そうなると「酒の席に持っていける楽器」というのも条件の一つに入ってきます。いくら良い楽器でも、酒場にストラドは持っていけません。酔っぱらいが乱暴に扱っても平気、水や酒がかかろうが平気、脂ぎった手でベタベタ触っても平気、落としたり、蹴っ飛ばされたり、踏まれたりしても「大丈夫、大丈夫」と言える、そういう楽器じゃないと困るので、高い楽器は買えません。高い楽器を一つ買うよりも、ソコソコのお値段の楽器を2~3梃持っている事が良いのではないかと思ってます。

     それはフルートでも同じことで、だから総銀フルートであるアゲハは、自宅での練習用にして、本番用に洋銀フルートが欲しいんですよ。

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