こう言っては叱られてしまうかもしれませんが、フルートって、楽器の中では比較的平易な楽器だと思います。要は「演奏するのが簡単」って事です。その証拠に、フルートの譜面って、たいてい細かい音符がびっしりと書かれていて、真っ黒でしょ? それはそれだけの事が求められているわけで、他の楽器では、あまり見られない事です。それくらい、黒い譜面に対応できてしまうのがフルートという楽器なのです。
ですから、プロとアマチュアの差というものについて考えた時に、黒い譜面に対する対応力って、あまり無いように思われます。実際、ハイアマチュアの方々の演奏力って、プロ並みだもの。そういう意味では、プロとアマチュアの間に、演奏力の違いは決定的ではないのだろうと思います。
実際、私のフルートの先生であるH先生も、黒い楽譜が吹けるかどうかは、さほど重視していませんでした。「そんな楽譜は、練習すれば、誰でも吹けるようになる」と言ってましたもの。だから、私にも指の動きに関しては、多くを求めていませんでした。必要ならば、その時に練習すれば、それで良し…という感じでした。
次に考えた、プロとアマチュアの決定的な違いは…楽器の違いです。これは確実にありますね。プロは大抵ゴールドなフルートを使用し、アマチュアは一部の人を除いて、大抵シルバーなフルートを使います。この違いは、確実にあると思います。
とは言え、この違いは、プロとアマチュアの能力的な違いではなく、主に経済力の差と言うか、仕事の道具なのか、遊び道具なのかの違いであって、取り立てて言う事ではないと思います。
となると…読譜力の差でしょうか? 確かにアマチュアでも、プロ並みの演奏力を持っている人は多々いますが、アマチュアの場合、その裏には、膨大な練習時間が費やされている事が多いです。
一方、プロの場合、仕事の現場に入って、そこで初めて楽譜を渡されて、ほぼ初見に近い形で、レコーディングをしたり、舞台に立ったりという事は、しばしばあり、読譜力が大いに求められます…ってか、楽譜の初見が効かないようでは、仕事の幅を大いに狭くなります。どうしても、プロ奏者には高い読譜力が求められます。
そう考えると、意外な話ですが、プロとアマチュアの決定的な差というのは、演奏力と言うよりもむしろ、読譜力の違いが決定的なのかな?と思うわけなのです。
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コメント
往年の、超大物フルーティスト「オーレル・ニコレさん」が、
信頼している楽器商に尋ねて曰く、
「S君は、まだ、決まったポジションには就けていないのかな?
どっかのオーケストラとか?
どっかの音楽大学とか?」
楽器商、答えて曰く「まだ、どこのポジションにも就けていないようです。」
S君というのは、ニコレさんの弟子(日本人)で、
もちろんプロ「級」フルーティストだったのですが、
当時、まだ、
どこのオーケストラにも、
どこの音楽大学にも就職できていなくって、
別の、S君ご本人が書いた記事によると、
「スケジュール表は真っ白」だったとのこと。
音大を出て、でも、どこにも就職できていなくって、
本人が「フリーのフルーティスト」と自称している、
そんな方々って、いっぱいいるんでせうな~。
そんな方々って、プロと言えるのかしら?
それとも、アマチュアと言うべきなのかしら?
なお、S君は、今は国内有力オーケストラで首席を張っております。
おしまい
オペラ座の怪人の怪人さん
私もそういう人、複数、知ってます。決まったポジションに就けていなくて、もちろんフリーで、自分で企画した演奏会ぐらいしか演奏の場がありません。収入は専ら(器楽奏者なら)学校の吹奏楽部のコーチとか(声楽系なら)合唱団の指導とかです。あとは趣味の年寄相手の個人レッスンとかかな?
>そんな方々って、プロと言えるのかしら?
私はそういう方を“レッスン・プロ”として認識しています。少なくともアマチュアの範疇には入らないと思ってますし、ネットには、そういう方々がゴロゴロしていらっしゃって、その方々をアマチュア扱いできませんし…ね?