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生じゃなきゃ、伝わらないものがある

 春休みのある日、私はプロレスを見に行きました。隣市で行われた新日本プロレスの地方巡業興行を見に行ったのでした。

 私は、あまり熱心ではないプロレス・ファンです。限りなくニワカに近い、ライトなファンです。

 そもそもは、平成時代に深夜でリブート製作されたタイガーマスクのアニメを見て、その続きでうっかりプロレス中継を見て、それでハマってしまった人なのです。

 タイガーマスクは…皆さん、ご存知ですよね。プロレスアニメです。それが平成の時代に深夜の時間帯で、平成の時代に合わせた内容で、新しく製作されたのです。私はアニメファンですから、それを毎週楽しみに見ていたのです。「アニメのプロレス、すげー」「こんな事、アニメじゃなきゃ出来ないよね」とか思いながら、アニメのタイガーマスクをまるで絵空事として捉えて見ていたのです。何しろ、私が知っているプロレスって、猪木や馬場時代で止まっているんです。あの頃、テレビ中継されたのを見て、そこで止まっていたのが私のプロレス経験なのです。

 で、ある日、うっかりタイガーマスクの次の時間帯の番組を見てしまいました。それが、今の、新日本プロレスのテレビ中継番組だったのです。

 数十年ぶりに、テレビでリアルなプロレスを見たのですが、ビックリしました。だって、その直前まで見ていたアニメよりも、現実味の無い、嘘のような動きを、アニメよりももっと素早く、リアルなプロレスラーたちが行っていたからです。驚きました。そして思いました。「これはアニメよりもスゴイ。こんな事ができる人たちがいるんだ。まるで超人ではないか!」とね。

 私は柔道の有段者ですし、これでも格闘技を見る目は持っています。その目で見たプロレスは、実にエンタメ要素満載の、素晴らしいショーに思えたのです。そして、この素晴らしいショーを行うために、どれだけ肉体を鍛え上げているかを一瞬で見抜いたのです。

 最初に見た時から、プロレスがガチな格闘技ではない事は分かりました。これはエンタメです。雌雄を決する真剣勝負というよりも、観客を満足させる高度な演劇なんだと理解しました。まさに、マッスル・サーカスなのです。そして、その演者たちは、なまじの格闘家なんかよりも、きっちりカラダを鍛え、技を磨き上げている事にも気づいたのです。

 これは極めて高度に昇華されたエンタメであり、その事実が、一瞬にして、私の心を鷲掴みにしたのです。

 以来、毎週のように、プロレス中継を見るようになりました。しばらく見ているうちに、レスラーたちの顔と名前を覚え、その役柄やストーリーも理解できるようになりました。そうすると、ますますプロレスが面白くなりました。そうして私はプロレスにハマっていったのです。

 でも、なかなかプロレス興行は見に行けませんでした。一度、生の試合を見に行こうと計画した事もありましたが、コロナの影響でそれも頓挫してしまいました

 それがようやく、やっとの事で、生の試合を見るチャンスを得られたのです。やっほー、うれしいうれしいです。

 初めて生の試合を見て思った事は、テレビの中継では、全然伝わらないモノがたくさんあるって事です。

 試合の迫力や、レスラーたちの痛みや衝撃など、全然テレビじゃ伝わりません。彼らは、本当にカラダを張って試合をしているのです。カラダをマットに叩きつけられる衝撃なんて、まるで地響きがしているかのような衝撃です。彼らのキックやチョップから聞こえる打撃音は、リアルに肉で肉を叩きつける音がするのです。生で見ていると、その衝撃の重さが空気振動で伝わってくるのです。プロレスを見ていると、位置エネルギーの凄さが分かるし、力とは“質量と加速度をかけ合わせたもの”だと、肌で感じられます。

 そして、体重100Kgを超えた人たちが、まるで体操選手のように、アクロバチックな動きをするのです。まさにサーカスを見ているかのようです。これで感動し興奮できない人なんて、いるはずないのです。それくらいに、スゴイんですよ。

 はあ~。プロレスを生で見られて良かった。たっぷり堪能しました。素晴らしいエンタメだと思いました。

 どの試合でも、すべての選手に見せ場があって、その選手なりの個性をアピールするシーンがありました。激しいだけではなく、笑いを誘う場面もありました。そして、いくつものストーリーがありました。

 また、近いウチにプロレスを、新日本プロレスの興行を見に行きたいと思いました。ただ、問題はチケット代かな? プロレスのチケットって、オペラ並みの値段で、スポーツ観戦としては、高額な部類に入ると思います。野球やサッカーの試合なんかとは比較にならないのが、玉に瑕だね。でも、それほど高額でも見に行く客がいるんだから、これはこれで仕方のない事なんだろうなあって思います。人気があるからチケットが高いんだよ。
 最後に、生で見て分かった事は、プロレスラーには、格闘家として強い選手がたくさんいるけれど、演技者として上手い選手もたくさんいるって事です。そして本当にスゴイ選手は、その2つを両立しているって事です。そして、試合ってのは、ある種のコンビ芸であって、敵味方の息を合わせて試合が進まなければは、大怪我をしてしまうほどリスキーな芸であるという事でした。

 いやあ、ほんと、理屈抜きですごいのよ。

 個々の試合や選手についても書きたかったけれど…長くなってしまったので、今回はここまでにします。また機会があったらプロレスについても書きたいと思います。

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コメント

  1. オペラ座の怪人の怪人 より:

    今日は2023/4/22/土曜ですが、
    昨日、2023/4/21/金曜の、
    すとん様エッセイに対して、
    コメントを書かせていただきますと、

    大昔(スタンハンセンの全盛期)、
    スタンハンセン、大好きでした。
    ディックマードック、大好きでした。
    タイガージェットシン、大好きでした。

    でも、本当の試合会場で試合を見たことはなく、
    ず~っと、テレビ観戦でした。

    でも、でも、プロレスが大好きだったので、
    大学の学園祭の企画で、
    猪木の側近No.1(だった←当時、既に過去形)
    新間寿さんを学園祭にお呼びして、
    講演会をやってもらいました。

    司会、私。
    会場、満員でした~!
    新間さん、お話、とってもお上手でした~。
    (お話の内容は、覚えてないけど、、、、、)

    ヾ(・◇・)ノ ヽ( ̄▽ ̄)ノ ヽ(・∀・)ノ

    (-A-) (-A-) (-A-) ← ざっくぅ

    おしまい

  2. すとん より:

    オペラ座の怪人の怪人さん

     私もプロレスはテレビ観戦中心です…ってか、生の試合を定期的に見れる人というのは、そんなにたくさんはいないと思います。それこそ後楽園ホールに定期的に行ける環境にある人だけだろうね。なので「プロレスはテレビで…」というのが、日本のデフォルトだと思ってます。

     新間寿さんの講演会? 私も知っていれば行きたかったです…って、その当時の私は、プロレスには少しだけ興味があった時期だったのです。ほら、当時は何度目かのプロレスブームでしたでしょうからね。その後、しばらくして、ブームが去ると同時に、プロレスには興味が無くなってしまったんですけどね。まあ、ライトなファンですから、そんなもんです。

     で、プロレスは当時も面白かったですが、今のプロレスは、本当に面白いですよ。選手の技術向上は目を見張るものがありますって。

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