不定期連載の二回目で~す。
なぜ、ゴールドフルートは日本のプロ奏者たちに好まれるのか
色々な理由があると思うので、考えてみました。
第1の理由は、やはり営業上の理由かな…って思います。演奏家としても、音楽教師としても「さすがはプロ奏者だけあるよね、アマチュア奏者(あるいは生徒さん)とは、使っている楽器から違うよねえ…」と言われないと困る状況ってあると思います。ある意味、ハッタリ半分かもしれませんが、ハッタリも実力のうちです。そういう状況で、一目で「アマチュアとは楽器が違う」事が分かるのが、ゴールドフルート。素人さんでは、なかなかゴールド持ってませんからね。ある意味、一般人との差別化のために、ゴールドフルートを所持しないといけないと言った事はあるでしょう。プロは大変です。
第2の理由として、本当はこちらを第1の理由とするべきでしょうが、音楽的な理由があるかな…って思います。やはりメーカーが気合を入れて製作するのは…高価なゴールドフルートだからではないでしょうか。プロとしては、音楽に集中するためにも、できるだけ良い道具が欲しいわけです。ならば、道具として、より良いものを欲しがるのは当然の話でしょう。シルバーのフルートでも本来は十分なのかもしれませんが、ゴールドのフルートの方が、より丁寧に、より気合をいれて製作されている(と思う)なら、ゴールドを選択してしまうのも、仕方ないことなのかもしれません。
第3の理由として、ゴールウェイが(ムラマツの)ゴールドフルートを使用している…という理由もあるでしょうね。ゴールウェイは当代随一のフルーティストで、プロ奏者のみなさんにとっても、憧れのトップフルーティストですから、彼に憧れ、彼を目指し、彼と同じフルートを使用したくなる気持ちも分かります。
第4の理由として…重いから。重い楽器の方がより遠鳴りがするから、と言う理由があげられます。それと言うのも、音の発信源の重量が重いほど、そこから発せられる音波エネルギーが大きくなるのは、オーディオの常識であり、だからスピーカーシステムは大型がより好まれるのですが、それと同じ理由で、音波発信源である楽器も、適度な範囲で重い方がより大きな音波エネルギー(つまり遠鳴り)を発することができると考えられます。
一生懸命管体に息を吹き込んでも、軽い素材のフルートでは、せっかくの息のエネルギーも音にならずに、管体の振動エネルギーに代わりやすくて、エネルギーロスが多い。だからこそ、管体の振動エネルギーを押さえ込めば、その分だけ音波エネルギーに効率よく変換できるわけです。管体の振動エネルギーを押さえ込む一番簡単なやり方が、管体そのものの重量を増やす事であり、だから、同じ作りのフルートなら、洋銀よりも銀が、銀よりも金が、金よりもプラチナが、音量的に大きくなり、プロ奏者に好まれるのかもしれない。また、同じ材質なら、管厚を厚くする事で、同様の効果が得られるので、管厚フルートもプロ奏者には好まれるのです。
大きな音量はプロ奏者には必要な事です。演奏会場は、いつも音響的に恵まれたホールとは限りませんからね。デッドな会議室や結婚式場で演奏しなければいけない事だってあるし、野外で演奏することだってあるでしょう。ポピュラー系の奏者はPAに頼れますが、クラシック系の人は、自分の音だけで勝負するわけですから、できるだけ、大きくて、遠鳴りのする音が、喉から手が出るほど欲しいのだと思います。それゆえのゴールドフルートなんでしょう。
でも、重くすると言っても、適切な範囲があり、あまりに重くなったり、大きくなっても、演奏に支障が生じます。その辺のバランスと取ると、14~18Kあたりのメカ銀のゴールドフルートという、多くのプロ奏者が所持しているフルートに落ち着くのかもしれない。
ま、私がざっと思いつく理由はこんなものですね。
なぜ、ゴールドフルートは日本のアマチュア奏者たちに好まれるのか
こっちにも色々な理由があると思うので、考えてみました。
第1の理由は、上達(出世)のゴールだから。多くのフルート奏者は、初心の頃から、腕前が上がるにつれて、フルートを買い換えるではありませんか。頭部管銀のフルート、管体銀のフルート、総銀のフルート、そしてゴールドフルート。こんな順番で乗り換えていく人が多いですね。実力的に十分になれば、上級な楽器であるゴールドフルートに乗り換えるのも、ある意味、当然なのかもしれません。そういう意味では、ゴールドフルートは、柔道の黒帯のようなものなのかもしれません。つまり“ゴールドフルートは上級者の証”って奴かもしれません。
柔道をやっていれば黒帯は欲しいものです。ならば、フルートやっている人がゴールドフルートを所有したがるのも道理です。あ、ちなみに私、柔道は黒帯でーす。リアルに強いんだよ。
第2の理由は、上記の理由と密接に関係しますが、ある程度の腕前になってくると、先生とか楽器屋さんとか、回りの人に「あなたもそろそろゴールドフルートを使ってもいい頃ですね」とかなんとか言われて、その気になって、ゴールドに乗り換えちゃうと言うのもあるでしょう。これはある意味“免許皆伝”に相当するのかもしれません。
日本の景気を良くするためにも、そういう人がたくさんいることは、とても良いことだと思います。
第3の理由は…日本の年配者は金持ちが多いから(笑)。お金があれば、趣味の道具にお金をかけるのは当然です。ゴールドフルートを持っていれば、上手くなったような気がするし、周囲の人々の扱いも“ゴールドフルートのオーナーさん”としての扱いに変わるわけです。
その結果のゴールドフルート購入であっても、誰も文句は言えません。
第4の理由…憧れのプロ奏者(自分の先生を含む)がゴールドフルートを使っているので、自分もゴールドフルートを使ってみたくなったから。学ぶはマネぶから始まります。これも立派なゴールドフルートの所有理由になると思います。
第5の理由…単純に気に入った音色のフルートに買い換えたら、それがたまたまゴールドフルートだったから。本来、趣味のフルートなら、この理由が一番に来るべきだと思いますが、この理由でゴールドフルートに乗り換えた人はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
え? 私ですか? 私もゴールドフルート、欲しいですよ。先立つものがあれば、さっさと購入したいと思ってます。では、私の場合、どんな理由でゴールドフルートを欲しがっているのか…と言えば、3番かな? あと1番と5番も少々あるかな? あ、私はお金持ちではありませんよ。でも、泡銭が入ったら、たぶんゴールドフルート買っちゃいます。そういう意味では、やはり3番がゴールドフルートを欲しがる主な理由だと思います。
やっぱりオジサンだから、(たとえ実力的にはふさわしくなくても)オジサンの見かけにふさわしいフルートを所有したい(つまり、見栄を張りたい)という気持ちは、正直あります。そんな理由ですが、神様、もしよかったら、天からお金を降らせて、私にゴールドフルートを購入させてください。
お願いします(笑)。
コメント
もう一つ理由に、
日本の場合は、比較的治安が
良いからではないですか?
海外だと盗まれて、溶かされて、
インゴットになってしまう。
(日本に住んでると、
あまり意識しない点だけど。
保険の扱いも貴金属だと思う。)
少なくとも、アマチュアで
ゴールド持っている人は、
やる気モード全開は
間違いないでしょうね。
オーディオなんかも
程々にしておかないと、
キリがないですからね。
私はサンスイ止まりです。
(アンプ)
ゴールドフルート欲しいですねぇ~♪
やはり憧れますよね。
私はずっとムラマツ(中学では備品のヤマハでした)ですが、20年の間にM120→AD→DSと買い替えました。
今はDSのオフセットリングの、C管とH管(H管は知人が買い替えの際に譲っていただきました)の2本を所有していて、C管を娘が使っています。
これだけ買い換えた金額を全部合わせたら、9Kなら十分買えるじゃん!!って話ですが・・・(^^;
今の楽器も吹きやすく満足していますが、ゴールドを試奏すると、やはりもっと楽に音が出て音色も明るいので欲しくなります。
すとんさんと同じく、お金さえあれば私もまずゴールドフルート(14K)買いたいですね。
余談ですが、先日アンサンブルコンテストの小学生の部がありましたが、小学生のレベルの高さに驚きの一日でした。
吹奏楽部では打楽器をしている娘は、打楽器5重奏で剣の舞のシロフォンを担当して、見事金賞を貰いました♪
私も娘に負けず、いつか一般の部にフルート四重奏で出てみたいものです。
ウゥ~!自分も9Kでもいいから欲しいす。
今のフルートでいかにJazzyな音が出せるか思考錯誤中です。(笑)
暗譜も、フレーズも覚えるのも大変!(汗)
昨日はHubert Laws のCDを聞いて寝ました。(Zzz…)
ジャズでは、銀の方が多いように思えますが、ルー・タバキンはオールド・ヘインズのゴールドを吹いていますね。(日本語でメーカーをきいたら、教えてくださいました。やさしい方です。)
キラキラのゴールドフルートで、渋いThe日本な音を出すので、驚きです。
アンサンブルコンテストの季節ですね。
一般の部では、吹奏楽団に所属していない(かつて所属していた)フルートさんをみかけることがあり、うれしくなります。
曲によっては、さまざまな楽器を担当することがありますし、コンテストとはいえ、聴くだけでもなかなかおもしろいんですよね。
学校では、部活内のオーディションをしているところも多いそうです。
>ひょっとこさん
そうそう、治安の良さは、絶対にゴールドフルートの普及に必要な条件です。忘れていました。日本に住んでいると、治安がいいのが、当たり前になってしまいますから。ゴールドフルートを購入するときに「ぶつけてキズつけたらイヤだな」とは思っても「盗まれたらイヤだな」って思いませんものね。
平和ボケのみならず、安全ボケも、日本人の特徴でしょうね。
アマチュアフルーティストがゴールドフルートを所有できるなんて、ほんと、日本は幸せな国なんだよね。
>きっしさん
でしょう、ゴールドフルート、欲しいですよね。今のフルートに不満があるわけではないのですが、それでもやっぱりゴールドフルート、欲しいです。
娘さん、金賞、おめでとうございます。「栴檀は双葉より芳し」ですね。将来が楽しみじゃないですか。
>私も娘に負けず、いつか一般の部にフルート四重奏で出てみたいものです。
子どもに勝つことはなかなか難しいけれど(笑)、大人もがんばれー。フルート四重奏ですか、なかなかオツですね。
>はっチャンさん
確かにゴールドフルート欲しいですね。金色のフルート欲しいですね。14Kや18Kのような立派なゴールドのものはもちろんですが、9Kやオーラマイトのゴールドフルートでも、十分幸せを感じるくらいに、金色のフルート欲しいです。
JAZZYな音をどうやって出すか? 私はたぶん“念”じゃないかと思います。「JAZZYな音が欲しい…」と強く念じながら吹くと、JAZZYな音が出てくるんじゃないかと思います。違うかな?
>昨日はHubert Laws のCDを聞いて寝ました。(Zzz…)
そんな事をしたら、夢の中でもロウズさんが笛吹きまくって…ロクに眠れないじゃないですか(笑)。
>アリサさん
おっしゃるとおり、ジャズの方はシルバーの愛用者が多いですね。もしかすると、クラシックと違って、演奏場所の治安が悪いからかもしれませんよ(笑)。今、私の目の前にあるCDジャケットの中のデイブ・ヴァレンティンもゴールドフルート持ってますね。でも、ジャズでゴールドは確かに珍しいと思います。
ルー・タバキン氏のフルート、録音でいいから聞いてみたーい。
コンテストも参加の仕方を間違えなければ、とても有意義だと思います。聞く方だって、一定水準以上の演奏が聞けるわけで、楽しみですね。地元でもアンサンブルコンテストをやっていようですが…うっかり聞きに行くのを忘れちゃいました。来年は行かないと…ね。
>クラシックと違って、演奏場所の治安が悪い…
ジャズの場合、専門のフルート吹きが
少ないからでは?
サックス、クラリネットのついでみたいだしね?
さらっとクールでドライな感じでしょ、フルートって。
あまりお金かけてない感じで。
> ルー・タバキン氏のフルート、録音でいいから聞いてみたーい。
ある意味マニアックですが、こんなCD(?)がありますね。
http://www.atn-inc.jp/3365.htm
模範演奏は全曲ルー・タバキンさんです。
いつもフルートばかり吹いてるわけでないので、
珍しいCD、というかスタディーガイドです。
譜面付きです。
タバキンさんは学生のとき、フルート専攻されてた
はずですよ。
渡辺貞夫さんもフルートを吹かれますよね。
1977年のアルバムに「イパネマの娘」
がありますけど、いいですよ。
面白い記事があったので、どうぞ。
(ゴールドにしないのは美学かもしれない。)
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/091206/msc0912061801003-n1.htm
ゴールウェイは以前はダイヤ入りの muramatsu でしたが、Nagahara に乗り換えました。
PIPERS の一つ前の号でメーカーのインタビューでもないのにベタ褒めです。
ポスターにも登場したようです。
Nagahara、お勧めです。
>ルー・タバキン氏のフルート、録音でいいから聞いてみたーい。
すとんさん、iTunes聴けますか?
少しだけなら無料で試聴できます。
「狸’sナイトアウト」の「ワイズ・ワン」なんて、尺八か?て思うかもしれませんよ。
ライブだと、ああいったものを延々と聴かせてくれました。
フルート好きにはたまりませんでしたよ。
ひょっとこさん、渡辺貞夫さんのCDは、家にあったと思います(家族が所有)ので、じっくり聴いてみます。
ジャズ・コンセプションは練習しています。(フランク・ウェスの録音の方です)
楽しく練習できてよいのですが、読むところは一人で読んでいても難しいですね。何度も挫折しています。
>ひょっとこさん
そうですね、治安が悪いなんて断言しちゃいけませんね。失礼しました>ジャズ関係者の皆様。 ジャズの方では、たしかにフルート専業の人って少なくって、サックスやクラリネット、オーボエ(も少ないか)のついでにやっている人が多い…と言うか、そのあたりはマルチでないといけないような雰囲気、ありません? 笛先生もフルートがメインと言いながらも、テナーサックスを吹かれるし…。「楽器をやる」と言うよりも「音楽をやる」感じの人が多いような気がします。だから、曲に応じて、楽器を変えるんでしょうね。
ルー・タバキン氏のCD、演奏目当てで買っちゃいました。アマゾンで「在庫1つ」と出てれば買わないわけにはいかないでしょう。何事も勉強です。実はひょっとこさんに薦められたCDって、結構買っている私です。で、買ってみて、いつも納得している私です(笑)。
ナベサダさんは「モーニング・アイランド」のフルートが好きなんですが…もう30年もフルート吹いていないと言うことは、1977年以来吹いていないって事なんでしょうね。なんか、ちょっと残念です(と言うのは、フルーティストとしての意見ですね:笑)。
>センニンさん
そうですね、ナガハラはいいですね。私も夏のフェアで思いっきり試奏させていただきました。その音は素晴らしいですね。ゴールウェイが乗り換えたというのも納得するほどです。だって私が吹いても、いい音を出しますからね。で、ナガハラは音も素晴らしいのですが、持った感じの印象が、なんかゴツいんですよね(笑)。私はそのゴツさがいいなあと思ってます。
問題は…ムラマツも高価なフルートですが、ナガハラはさらに高価だという点でしょうか(笑)。
>アリサさん
「ワイズ・ワン」聴きました。あれは、尺八でしょ(笑)。そうそう「ダンシング・マヤ」や「デザート・レディ」でも尺八吹いてますね(笑)。あれだけ太い音のフルートも、カッコいいなあ。
確かにあれをライブで延々とやられたら、ハート、持っていかれますよね…。フルートの低音もなかなかいいなあ…。
昔から`弘法筆を選ばず´とか言いますが、
まあ主音も満足に出せないような人には
いくら良い楽器でも「猫に小判、ブ〇に真珠」なんでしょうね。下手なんだから、早くフルートやめちゃえよ。