春風亭昇太師匠と言えば、笑点のせいもあって、すっかり“独身キャラ”となっています。実際、御本人も独身だし、まあ独身である事がすっかりネタにもなっているわけで、それはそれで客の立場になれば、その独身キャラも見ていて楽しいものです。
で、時は逆上りますが、今年のお盆も例年のごとく、昇太師匠の高座を聞きに行ったわけです。で、話の枕で独身ネタの話をするわけですが、その中で「なぜ師匠が独身なのか?」の答えとして「結婚している人を見ていると、どうしても幸せには見えない」から、独身でもいいやって言うわけです。
まあ、高座での話ですから、話半分に聞いておけばいいのでしょうが、でもこの意見、案外、世間一般でもよく言われる話ですよね。
曰く、「結婚は人生の墓場である」とね。
なんか、結婚した人間はバカで間抜けみたいな言われ方です。結婚生活には良い事も楽しい事も無さそうな言いっぷりです。
確かに既婚者の方々に結婚生活について尋ねると、あまり良い返事が返ってこないでしょう。でもそれは結婚生活が墓場のようなものではなく、むしろ照れと謙遜があって、はかばかしくない答えを返す…のだと私は思ってます。特に男性の場合は、それが顕著だろうと思います。
例えば、夫婦仲が良い人に向かって「オタクはどうよ…?」と尋ねれば、そりゃあ、実際はラブラブでも、照れと謙遜で「ダメ、ウチは全くダメ…」とか言い出して、奥さんの悪口を言い始めちゃったりするわけですよ。それが日本男児なんですよ。基本はシャイだからね。
そんな人たちの言葉を真に受けちゃダメなんだって。
まあ、現実問題として、何事にも向き不向きはあるし、成功も失敗もあります。結婚生活に向かない人もいれば、不幸にして結婚相手を間違えてしまったり、結婚生活に失敗してしまった人もいるでしょう。確かにそういう人たちの結婚生活は不幸だろうし、そんな不幸な結婚生活は“人生の墓場”と言われても仕方ないと思います。
でもね、今の時代、そういう人たちの多くは離婚してますって。そんな墓場のような結婚生活をやむなく継続している人って…そんなに多くないはずです。少なくとも、今現在、結婚生活を継続しているカップルは、継続している理由があるわけで、みんなそれなりに幸せだったりするわけです。
昇太師匠と同年輩の50代後半の男性だと、既婚者75.0%,未婚者16.7%,死別者1.4%,離別7.0%であって、圧倒的に結婚している人が多いわけです。みんな、それなりに結婚生活に意味を見出して継続しているわけですよ。
昇太師匠の話はネタだから、真に受けちゃいけないにせよ、でも世の多くの男性たちは、若い世代に向けて、結婚なんてロクじゃねえぜ…的なセリフを吐きがちです。
私はそれは良くない事だと思ってます。と言うのも、今の若い世代は、そうでなくても結婚しづらい世代です。彼らの多くは経済的に困難を抱え、なかなか結婚できなかったり、結婚への不安を抱えていたりしているわけです。そんな彼らに向かって人生の先輩であるオッサンたちが「結婚なんて人生の墓場だぜ」とか言って、彼らが真に受けたら…若者なんて、素直なものだし、騙されやすいんですよ。こちらに悪気がなくても、その言葉をそのまま受け取りかねません。
若者相手に、結婚に嫌悪感を抱かせるような事を言うなんて、ダメです。絶対にダメです。
少なくとも人生の先輩である、オジサンたちは、若い人たちが結婚したくなるような言葉がけを行ったりする必要はあると思います。
私はそう思いますよ。
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コメント
とても共感しました。
私は独身ですが、結婚生活の愚痴を日常的に語りたがる人ほど、独身者に「早く結婚しろ」と言うことが多い気がします。
自己矛盾に気がついていないのか、それとも自分が苦労してるんだから若い奴も苦労しろというよくある価値観の押し付けなのか、と不思議に思っていましたが、そういう人達もなんだかんだで結婚生活を楽しんでいるのかもしれませんね。
楽しいことは楽しい、と素直に伝えないと相手には伝わらない訳で、「若い人間は結婚したがらない」と現状を憂う前に、若い人に結婚の素晴らしさを積極的に伝えるという行動を起こして欲しいものです。
たろすけさん
>結婚生活の愚痴を日常的に語りたがる人ほど、独身者に「早く結婚しろ」と言うことが多い気がします。
言われてみると、確かにそういう傾向はあるかもしれません。そういう人は、たぶん、結婚して幸せな人なんだと思いますよ。幸せだから、愚痴の一つや二つ出るんです。本当に不幸せなら愚痴なんて出ませんよ。そういう人はただただ黙って耐えているものです。
>楽しいことは楽しい、と素直に伝えないと相手には伝わらない訳で、
素直じゃないんだよ、日本男子の多くは…。言い換えれば、ほぼ、コミュ障なんだよ。困ったモンだね。