クラシック音楽関係の呼び屋さんをやっている方のブログの、昔々の記事に「あなたの好きな歌曲はなんですか?」という記事がありました。選択方式になっていて、作曲家を選択して、コメント欄で曲名を紹介してください…って感じの記事で、そこに上がっている作曲家って、以下のようなリストなんですよ。
シュッツ
バッハ
ヘンデル
ハイドン
モーツァルト
ベートーヴェン
シューベルト
シューマン
ヴェルディ
フォスター
フォーレ
カントルーブ
オルフ
デュリュフレ
どうですか? このラインナップ…、一応、プロの音楽の呼び屋さんですから、これはこれで客観的なリストアップなんでしょうねえ(棒読み)。歌曲作曲家と言うと、ごく普通に考えると、この14名(+その他)って事になるのかな?(さらに棒読み)
なので私、選択できませんでした。だって、トスティが無いんだもの(涙)。じゃあってんで、ベッリーニも無いし、ドニゼッティも無いし、ロッシーニも無いし…。ディ・カプアも、ドナウディも、レスピーギも、スカルラッティも、チマーラも、レオンカヴァッロも、無い。かろうじてモーツァルトとヴェルディはあるけれど、プッチーニは無い。
なんか、意地悪されているみたい…っていうか、私の歌曲作曲家の好みが、一般的なクラシックファンの歌曲作曲家の好みと、大きく違っているだけなんだろうか…と疎外感を感じてしまいます。。
それにしても、世間が考える歌曲作曲家って、こうなんだ…。なんか、ショックだよ。私と彼らの間に横たわる溝は、広くて深くて長い…んだろうなあ。見えている世界が全く違うじゃん。
…って、疎外感を感じた上に弱気になってしまうのだけれど…でも、落ち着いて考えると、そんなに弱気になる必要はないし、ましてや疎外感なんて感じる必要もないわけで、我彼でこんなに違うのは、おそらく、歌曲の定義が違うからだと思います。
私が思うに、ブログ主さんは、歌曲の定義を「歌手がメロディーを歌っている作品」程度にしか考えていないと思います。ま、プロの呼び屋さんがこの程度なら、一般のクラヲタだって、その程度でしょう。
あと、声楽曲と歌曲の区別が曖昧とか? そう考えると、モーツァルトを始め、ヴェルディやフォーレやデュルフレはレクイエムの作曲家だし、シュッツやバッハ、オルフなんかはカンタータの作曲家だし…ね。ハイドンやベートーヴェン、シューベルト、シューマンはミサ曲書いているし…、ヘンデルはメサイアだし、そういう定義なら、こういうリストになるのかもしれません。フォスターとカントルーブなどの軽めな民謡っぽい曲を書いている、この二人が入っているのは???ですが…。
とにかく、私が考える歌曲の定義とはだいぶ違うんだよね。
で、私が考える歌曲の定義は…、
1)原則的に独唱であり、ピアノ伴奏とともに歌う形式の曲であり、古典派以降の独唱曲を指す。ただし、ロマン派以降作曲された、独唱とオーケストラ伴奏の形式の曲も歌曲に加えてもよい。
2)明示された作詞家と作曲家の作品である。
3)オペラやカンタータなどの大曲の一部ではなく、独立した一つの作品である。
4)合唱曲や合唱を伴う曲は、歌曲には入れない。
5)宗教曲は、歌曲には入れない。
こんな感じです。つまり、1)は、器楽曲でいうところの、ソナタとかコンツェルトの声楽版が歌曲って考えています。基本的に室内楽だし、ピアノ誕生以降の曲じゃないといけないと思ってます。でも、音楽が拡大化したロマン派以降は、歌曲がホールでも演奏されるようになったわけで、それならオケ伴奏でもいいかなって思ってます。
2)は、民謡とか伝承曲は歌曲じゃないよって話で、歌曲には、作詞家や作曲家の作家性が反映されているものじゃないとダメよって事です。
3)は、歌曲は歌曲として独立した作品であって、大曲の一部は大曲の一部であって、歌曲じゃないですって話です。
4)歌曲は合唱曲ではないですって事ですが、重唱曲に関しては、歌曲として作曲されたモノに関しては、歌曲に入れられるように考えています。
5)宗教曲の場合、独唱+鍵盤楽器なら、それは歌曲ではなく、讃美歌になると思ってます。基本的に歌曲は世俗音楽だと思ってます。
長くなってきたので、続きはまた明日にします。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント
こんばんは。
本筋と関係ないところで失礼します。
> デュリュフレ
デュリュフレってオルガ作品とレクイエムあたりしか聴いたことありません。
デュパルクの「旅への誘い」は大好きですが。コルトー伴奏が見つからなくて奥様伴奏。
Charles Panzera – L’Invitation Au Voyage (1932)
https://www.youtube.com/watch?v=78sK4f86_8M
その2を楽しみにしています。
すとん さん
すとんさんのびっくりの気持ち、よくわかります。
私も呼び屋さんとやらのリストを見て驚きました。
私がまず思ったのは、自ら演奏する人ではないな、ということです。声楽をやってる人なら、こんなリスト作りませんよ!
私たちテノールにとってトスティが入って無いなんて考えられません。
イタリア歌曲の作曲が、ヴェルディを除いて皆抜けている。素晴らしい歌曲の宝庫なのに。
まあ、声楽をやってない人は、こんな認識なのだな、そう思いました。
ところで声楽を始めるテノールにお勧めの歌手。私が今押すのは、ペルー出身のルイジ・アルヴァです。ただ、彼のCDが少ないのが残念です。ay ay ayなど欲しいんですが、今は廃盤になってますね。
tetsuさん
デュパルクの「旅への誘い」は良い曲ですよね。私もこの曲をいつか歌おうと思っていまして、楽譜だけは持っています。ただ…フランス語なんだよあ。いつかはフランス語を克服しない…という思いはあるんです。今年の夏は、ちょっとフランス語の勉強をしようかしら…とぼーっと思っている私なんです。だって、フランス歌曲って、本当に美しい曲がたくさんあるんだよぉ。
カントさん
びっくりでしょ? この呼び屋さんは、カントさんのおっしゃるとおり、自分で演奏する人では無いんでしょうね。でも、世間の人なんて、多少クラシックに詳しいと言っても、この程度なんだろうなあと思います。
それくらいクラシック声楽、とりわけ歌曲なんて、ニッチもニッチなんだろうと思います。
はあ…ため息しかでません。
ルイジ・アルヴァ…CD持ってますよ(ニコっ)。1972年のアバドがロンドン響と録音した『セビリアの理髪師』でアルマヴィーヴァ伯爵を歌っている奴です。いいですよ、これ。
>ay ay ayなど欲しいんですが、今は廃盤になってますね。
確かに廃盤になってますね。CDも買えないわけではありませんが、少々お高くなっているようです。しかし、すでに配信はされていますので、ダウンロードは出来るようですよ。アマゾンでもアイチューンストアでも、1900円というお手頃価格になっています。とは言え、私が買うとしたら、配信じゃなくて、少々お高くてもCDかな? お年寄りなので、現物が手元にないと不安になるタイプの人なんです。それじゃダメなんだと分かっちゃいるけれど、止められていのです。